【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ 作:擬態人形P
「ナターリア機、ライラ機共に帰艦しました。」
「IDOL達が向かってっちゃったわネ。東京基地の方はどうなってるノ?」
「睦月部隊が大量に出て来て抵抗されている模様ですね。」
「呆れタ………。」
イージス艦モーレイにて、クラリスの報告を聞いたメアリーはその言葉通り、憮然とした表情で顎に手を付く。
司令部に大量に部隊がいるという事は、その分街中の防衛には割かれていないという事だ。どうやら日本の上層部も新アメリカ帝国の上層部と根本的な所は変わらないらしい。
「敵ながら使われている人や国民達に同情しちゃうワ。」
「更に、富山基地から出発したIDOL3体が高速で東京に迫っている模様。」
「侵攻部隊に撤退指示出しテ。」
「いいのですか?上層部は東京基地を落として欲しいとは思いますけれど。」
「今回の電撃戦で十分ダメージは与えたワ。東京基地も無事では済んでないでしょウ。次に繋がれば、ソレでいいのヨ。というか、IDOL5機に挟まれたらそれこそジ・エンドヨ?海上の戦線が保たれている内に撤退できなければ逃げ道も無くなるシ。」
「了解しました。」
メアリーの指示にクラリスは微笑みながら通信を開く。
慈母のような彼女の事だ。内心これ以上の争いは避けたいと考えているのだろう。味方の犠牲を最優先で考えたメアリーの考えが好ましいと思えたのかもしれない。ただ、メアリーはため息を付く。
(尤も、この次は『提督』のトラウマの『復讐者』を出す事が確実になりそうだけれどネ。)
あの『情けないほどに優しすぎる男』を彼女は思い浮かべていた。
――――――――――
「撤退していくじゃと………?」
東京の市街地に入った巴達はイーグルやダックの群れが次々と東京湾の方へと飛んでいくのが分かった。港の睦月の守備隊は半壊しておりもはやまともに機能する状態では無い。市街地の敵を何とかしようとしている巴達を含め、追いかけようとする機体は誰もいなかった。
『巴ちゃん、東京が………。』
「うちらは遅かったってわけか………。」
街のあちこちから炎や黒煙が昇っているのが見えた。無惨に破壊された睦月も幾つか転がっている。司令部の方は防衛を固めていただけ有り、比較的マシだったが、それでも被害が出ているのが分かった。
『こちら晶葉。………海上で交戦していた敵部隊も撤退を始めた。』
「つまり、相手は任務を十分達成出来たってわけじゃな………。」
『そうだな………。今回の戦い、完全にこちらの『敗北』だ。』
ガンッ!
巴はコンソールを思いっきり叩いた。
色々とやりきれなかった。自分達の力不足でこの事態が起こったのだ。
『………都民の救出を行いましょう。』
「ああ。」
だが、まだやる事はある。巴は感情を押し殺すと、愛海と一緒に救助活動を開始した。
――――――――――
炎がくすぶる街中で、乃々とプロデューサーの睦月は立っていた。敵が去った事により、安全は確保された。だが………。
「もりくぼ達は………どうなるんですか………?」
顔を俯かせながら呟く乃々に、ほたるは不安な顔をする。致し方ない事情があったとはいえ、勝手に軍の所有物を動かし戦ったのだ。下手したら………。
「大丈夫だ。銃殺刑にはしない。………させない。」
「貴方の立場でそんなこと保証出来るわけがない………。」
「そうだな。………でも、お前だけはもう失わせない。それだけはもう決めたんだ。………名前を捨てた時に七海達に、誓ったんだ。」
「でも貴方はもりくぼ達の世界を壊した。今も昔も………。」
「……………。」
ここまで冷徹に呟く乃々も、ほたるは知らなかった。通信画面に映っているプロデューサーは沈黙する。それは、乃々の言葉を肯定しているようだった。
――――――――――
裕美達は全速力で東京まで飛ばした。IDOLに内蔵されているジェネレーター出力は無尽蔵で、本当に補給無しで富山から東京まで一直線に飛んでいく事が出来た。それでも………それでも、日本海側から太平洋側まで襲撃の間に辿り着けるわけがない。彼女達が到着した時には既に全てが終わっていた。
「こんな事って………。」
裕美はショックを受ける。夜間になってもまだ至る所で赤い炎の光が見える東京の景色。『武蔵』に乗って出撃する時に見た光景は既に塗り替えられていた。
『巴機、愛海機、応答願います。』
『おう、肇達か………。』
画面に力なく呟く巴と俯く愛海が映っていた。その顔は別れる前に比べ、数段やつれているようにも見えた。芳乃が問いかける。
『大丈夫なのでー?』
『すまんな………うちらの力不足で。悪い報告ばかりじゃ………。』
いつも一本気な巴が、明らかに落ち込んだ様子で謝罪をする。無論、間に合わなかった裕美達がそれを攻める権利等あるわけが無い。
『救出活動はどうですか?』
『何とか………。うちらでやるから、肇達は休んでくれ。』
「で、でも、みんなでやった方が………。」
『止めておいた方がいいです、裕美ちゃん。………とても見れた物じゃありません。』
やっと呟いた愛海の言葉に、裕美は一般市民達にも被害が出た事を悟る。
おそらく、場所によっては凄惨な事になっているのだろう。彼女達がやつれているように見えたのはそんな現場を目の当たりにしたからなのだ。確かに、裕美もそういう光景を目の当たりにするのは震えがした。だが………。
「………みんなでやりましょう。私達は『シンデレラガールズ』ですから。」
前を向いて………仲間を労わるように言った裕美の言葉に巴は目を伏せ、愛海は泣きそうな顔になる。
『本当にすまんな。だが、お前にプロデューサーからの最悪な伝言を伝えなければならん。』
「え?」
声のトーンを落とす巴に、裕美は一瞬思考が固まる。
『今回の戦闘に、お前の友達………森久保乃々と白菊ほたるを巻き込んでしまった。』
意外過ぎる言葉に裕美は何も答えられなかった。