【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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追憶

「どうして!?どうして、もりくぼを庇ったんですか!?」

 

 格納庫で幼い栗色の少女が別の少女に駆け寄る。その少女は青いウェーブの長い髪をしており、大きい同じ色の目が特徴的だった。だが、今はパイロットスーツが血にまみれており、いつもは健康的な肌も青白くなっている。

 

「………仲間を助けるのは当然のことれす~。それが乃々ちゃんならば猶更れす~………。」

 

 語尾が特徴的で何処か間延びしたその言葉も今は力が無い。ぐったりと動かなくなったその体はもう手遅れだという事を示していた。

 

「もりくぼは………もりくぼは七海さんほどの実力は………!」

「乃々ちゃんは優しいれす~………。でも、自虐的になったらダメれす~。」

 

 七海と呼ばれた少女は何とか最後の力を振り絞り、乃々の手を取る。

 

「乃々ちゃんは乃々ちゃんのいい所があるれす~………。だから………。」

「七海さん!」

「いつか………乃々ちゃんに大切な人が出来た時………その人達を守ってあげて………。」

 

 七海の言葉が途絶え、手から力が抜ける。

 

「七海さーーーんッ!!」

 

 乃々の絶叫が響き渡った。

 

――――――――――

 

「もりくぼは………。」

 

 乃々は部屋の一室で目を開ける。簡易ベッドの上に座っていたが、ここ数日横になる事はなかった。この場所は彼女にとっては文字通り牢獄だ。そんな場所にずっと閉じ込められている。目の前にいる、友達と共に。

 

「乃々ちゃん。大丈夫?うなされていたけれど………。」

「………大丈夫です。」

 

 心配する友達………白菊ほたるに乃々はボソボソと答える。どう見ても大丈夫とは思えないが、ほたるはそれ以上詮索しなかった。彼女も軟禁生活に余裕がなくなってきているのだろう。

そうしている内に扉が開き、乃々は3人の人物を目の当たりにする。プロデューサーと佐藤心、そして………。

 

「裕美ちゃん………!」

「ほたるちゃん!乃々ちゃん!」

 

 思わず抱き合おうとしてプロデューサーに手で制される。彼は乃々とほたるを見ると覚悟を決めたように呟き始める。

 

「君達の処遇が決まった。」

「シンデレラガールズに戻れと言うのでしょう?」

「理解が早いな………。」

 

 冷徹に呟く乃々の姿に裕美もほたるも不安そうな顔を向ける。特に裕美はそんな乃々の姿を初めてみるからか、動揺を隠せないでいた。

 

「今回の戦いで沢山のパイロットが死にました。軍はもりくぼのように戦える人が1人でも欲しいんでしょう。そして断ればほたるさんも、もりくぼの我儘に巻き込まれる………。」

「そうだ………。」

「そうやって裕美さんも無理やりIDOLにした。多分、美羽さんもそうやって巻き込んで殺した。貴方達は………卑劣で残虐です。」

「否定はしない。私を含め、軍上層部は最低な人間が揃っている。」

 

 無論、乃々にも分かってはいる。軍とはそうしなければ成り立たない物なのだと。人を道具とみなさなければ崩壊してしまうと。この目の前の男が自分に罪悪感を持っているのも分かっている。

だが、だから許せというのだろうか?自分の世界を崩壊させた者達を。七海達を使い捨て、命を奪った者達を。その乃々の感情を理解したかのように、プロデューサーは言う。

 

「乃々。私達は恨んでくれて構わない。ただ、お前を心配してくれる者達だけは守ってやってくれ。頼む………。」

 

 頭を下げるプロデューサーを乃々は直視しない。することができない。

彼女はベッドから立ち上がると、反対側で固まっていたほたるの前に行き、彼女に対して頭を下げる。

 

「ほたるさん。もりくぼの事情に巻き込んでしまってごめんなさい。でも、もりくぼはまだ少しだけ力を持っています。絶対に守りますから、我慢して下さい………。」

 

 乃々のその姿にほたるは何も言えなかった。

そして、それを見守っていた裕美も何も言えなかった。

 

 第8話 完

 

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