【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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乱戦の中で

 陽炎に乗り込んだ裕美達も出撃をしていた。

今回はいつもの戦闘と違い、初戦闘のほたるを守りながら戦わなければならない。庇われた事は沢山あったけれど、庇いながら戦う戦闘は初めてであった。

 

(守らないと………。)

 

 斜め後ろを何とか飛行するほたるの如月を見ながら裕美は決意を固めていた。

戦場が近づく。もうすぐ先頭の如月部隊が射程に入るだろう。だが………。

 

(ん?)

 

 そこで裕美は妙な事に気付く。敵部隊の先頭の赤褐色………多分新型が徐に腰の銃を構えたのだ。こちらまでの射程は遠い。だが、その狙いは………。

 

「まさか!?」

 

 裕美の陽炎は左腕を掲げ、ほたるの如月の前に飛び出す。

それとほぼ同時に、敵の銃口から、オレンジ色の輝きが一直線に陽炎へと向かい飛んできた。

 

ズギュゥゥゥウウウウウウウウウウンッ!!

 

 音は後から響いた。その放たれた大出力のビームは進路上の如月2体を貫き、陽炎の左腕へとぶつかり、凄まじい音を立てながら弾ける。

 

『裕美ちゃん!?』

「ビームキャノン!?私のと同じ!?」

 

 幸いにも展開した『エネルギーフィールド』はその高エネルギーの出力に耐えてくれた。

防ぎ切った裕美は反射的に右腰の『手持ち式ビームキャノン』を取り出すと撃ち返す。

 

ズギュゥゥゥウウウウウウウウウウンッ!!

 

 同じ音を立てながら飛ぶオレンジの輝き。しかし、相手の機体も左腕を掲げると、青白いフィールドを出現させ、それ弾いた。

 

「エネルギーフィールドまで!?あの機体の武装、私の陽炎と同じだ!?」

『バカな!?両方共IDOLの出力があって初めて成し得る武装だぞ!?新アメリカ帝国の機体では………!』

「じゃあ、アレはなんですか!?」

 

 晶葉の驚きの声に裕美は叫び返す。

そうしている間にも赤褐色の機体………千鶴のクウェイルは他のIDOL達の機体を狙っていく。陽炎のような防御能力を持たない機体はそれぞれ何とか回避するが、その度に巻き込まれた如月が爆散していく。

 

『砲撃始めるのでー!』

『『ホーミングミサイル』で弾幕を作って!』

『回避を最優先にしないと落ちるわよ!』

 

 芳乃の雪風が『レールキャノン』を、更にレナと久美子率いる如月部隊がホーミングミサイルをクウェイルに叩き込んでいく。だが、遠距離からの実弾武装ではエネルギーフィールドの前には無力だった。

このまま手持ち式ビームキャノンを撃たせるわけにはいかないと、肇の時雨が『展開式ビームブレード』を構え、接近戦を挑もうとする。クウェイルは手持ち式ビームキャノンをしまうと、背中に背負っていたビームを纏った巨大な斧槍………『ビームハルバード』を取り出す。

 

『大出力の両手持ち装備!?でも、それならば!』

 

 肇の時雨の展開式ビームブレードと千鶴のクウェイルのビームハルバードのビーム刃がぶつかり合う。この状況ならば、手持ち式ビームキャノンを使う事は出来ない。

 

『近接戦闘なら………!』

『それはどうでしょうか?』

『ッ!?』

 

 肇は気づく。クウェイルの口が普通の機体と違い、四角系の穴が開いていた事を。そして、その口部が光った事を。

 

『当たれ!』

『クッ!』

 

 器用にも機体を仰け反る事で時雨のツインアイに向けられた『口部エネルギー粒子砲』を回避した肇。だが、そこで狙いが『自分』では無かった事に気付かされる。

 

『う、うわわッ!?』

『愛海ちゃん!?』

 

 口部から放たれたビーム砲は手持ち式ビームキャノンに匹敵する出力を持っており、その軌道は初めから時雨でなく、後ろにいた愛海の吹雪を狙っていた。

慌ててビームコーティングされた腕でガードをする愛海だが、防ぎきれず、煙を吹かせながら墜落し海面に沈む。

 

『愛海ちゃん!大丈夫ですか!?』

『だ、大丈夫………って、バーニア破損!?防御したのに!?』

 

 動揺する愛海の声が、裕美達にも響いてくる。たった1発の攻撃でIDOLが1機戦闘不能になったというのだ。

 

『ご、ゴメンなさい!もう飛べないです!あたしの吹雪は何とか泳げるから戦闘に集中して下さい!』

『分かりまし………ッ!?』

 

 肇は最後まで言えなかった。再び放たれた口部エネルギー粒子砲が捻った時雨の首の横すれすれを通っていったからだ。

思わず距離を離した肇に対し、追い打ちの口部エネルギー粒子砲を放ちながら、ビームハルバードを旋回させるクウェイル。

そして、パイロットの千鶴は敢えてマイクで、後ろにいた2人に指示を送る。

 

『パラキート2機、黄色の砲戦機と赤い射撃機を押さえて下さい。』

『了解です。』

『行くゾ!』

『!?』

 

 『ビームヘッド』を展開させながらライラ機は再び巴の霞を、そしてナターリア機は芳乃の雪風を狙う。

 

『前のようには行きませんですよー!』

『………じゃろうな!』

 

 ビームヘッドで突撃すると見せかけたライラは直前で急ブレーキを掛け、2丁の『ビームガン』を連射する。フェイントを覚えたライラのパラキートに、前のような奇策は通用しない。巴の霞はビームの雨を、バーニアを全開にして躱しながら、ひたすら『速射式二丁拳銃』を放つしかなかった。

 

『今度のナターリアの相手はお前カ?』

『相手はしたく無いのですがー。』

 

 呑気に呟いている芳乃では有ったが、内心はかなり焦っていた。ビームヘッドの突撃体勢を取られると基本、実弾兵器は効かない。いや、レールキャノン程の威力ならば多少の効果はあるかもしれないが、それでも相手の軌道が変わらなかった時のリスクを考えると迂闊に行う事ができなかった。ここに来て武装のレパートリーの少なさが芳乃にとってはネックになってきている。

 

『裕美ー。申し訳ありませんがー………。』

「前に出ます!プロデューサー、ほたるちゃんの事頼みます!」

『ひ、裕美ちゃん!?』

 

 目まぐるしく変わる戦況に対応できないほたるが思わず呼びかけるが、裕美はフットペダルを後ろに踏み込むと口から大出力のビームを吐きまくる新型の元へ飛んだ。

 

――――――――――

 

「晶葉………あの機体の出力はどうだ?」

「どう見てもIDOL並だ。………新アメリカ帝国はIDOLの発掘か開発に成功したのか?」

 

 大出力の様々な兵器を扱う新型機………クウェイルの様子を艦橋から眺めていた心は、晶葉の報告に汗が滴り落ちるのを感じる。IDOL5体が手玉に取られている。今まで無かった事が、遂に起こってしまっていた。

 

「映像を見ている上層部からメッセージが絶えないです。この状況はどうしたことだと。」

「こっちが聞きたいんだけどよ………。」

 

 マキノが淡々と報告する。

恐らく上層部は今頃また色々揉めているだろう。人によっては早々と避難を始める情けない司令官もいるかもしれない。

 

「イーグル、ダックが徐々に押してきています。」

「乃々ちゃん達は?」

「既に交戦を開始しています。ほたる機、プロデューサー機含め、まだ全員無事です。」

「『対空砲』、『対空ミサイル』用意。味方を巻き込まないように迎撃しろよ!」

「了解!」

 

 心の号令に戦艦武蔵から、機銃やミサイルが次々と放たれる。

時折爆散する敵を見ながら心はこの状況をどうするべきか考えていた。

 

――――――――――

 

『乃々ちゃん、弾薬は足りてる………?』

「はい、由愛さん、ありがとうございます。」

 

 乃々の搭乗した『睦月・重装備型』は武蔵のデッキの上に乗っていた。その上で『遠距離狙撃用対物ライフル』を構えると、近づくイーグル達を………特にほたる機に迫ろうとする機体を片っ端から撃ち落としていった。

 

『みんな、落ちたら危ないから気を付けてね!』

『しかし、こんな形で出撃をするとは………!』

 

 デッキの上には美世達メカニック班も『睦月』に乗って応戦していた。美世機と沙紀機は左右から飛来してくる敵を『レール砲』で露払いする役目。由愛機は乃々の重装備型の弾薬補充を行っていた。

 

『前線が厳しいから、後ろは後ろで支えないと………。』

「はい………。」

 

 こちらを厄介と思ったのか、イーグル達はホーミングミサイルを撃ってくる。

乃々は素早く左肩の『パルスレーザー砲』を撃ち、それを爆発させていく。これは肇の時雨に備わっていた物と同型の物であったが、彼女の射撃がドヘタであった為、実戦での性能評価が行えなかったから乃々の機体に改めて備わった物だ。そんな事情の兵器すら、乃々は使いこなしていた。

 

「もりくぼ達は、もりくぼ達に出来る事をしないと………!」

 

 彼女は近づこうとするイーグルを片っ端から遠距離狙撃用対物ライフルを放ち、撃ち落としながら裕美達の無事を祈った。

 

――――――――――

 

(何も出来ない………。)

 

 乱戦の中、ほたるは唇を噛み締めていた。

彼女の機体が危機に陥る事はほぼない。そういう状況に陥る前に、プロデューサーか乃々が撃破をしてくれるからだ。だが、その分、他の機体に構ってあげる事ができない為、次々と如月が撃破されてしまっている。しかし、下手に攻撃しようとすれば、自分から危険な目に合うので周りに迷惑を掛けてしまうのは必然であった。

 

「私………無力です………。」

『誰だって最初はそうだ。その中で自分の才能を努力し、見つけていかないといけない。』

「プロデューサーさん………。」

 

 ほたるの呟きにひたすら自分を援護してくれている男は答える。

シンデレラガールズに入り始めて日が経ち、この男の事も少しは分かるようになってきた。この男は乃々を始め、先代のIDOLのパイロット達をこの運命に巻き込んだ事を後悔している。それはとても悲しい事で、不幸で悩んでいるほたるには、何となく共感できる部分もあった。

 

『悔しかったら強くなれ。後悔したくなかったら守れるようになれ。………私と同じ想いをするな。』

「はい………。」

 

 それは、プロデューサー自身の戒めの言葉だったのかもしれない。

それでも、ほたるはその言葉に強く誓う。もっと強くなってみせると。

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