【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ 作:擬態人形P
『落とす!』
『クッ!』
クウェイルの複合攻撃を凌いでいた肇の時雨は、遂に『展開式ビームブレード』を破壊されてしまう。口部エネルギー粒子砲が刃先に掠ってしまい、爆発してしまったのだ。
『他にあの戦斧を受け止められる武装は………!』
「肇さん!」
そこに裕美が駆けつける。彼女は腕部から板を取り出すとそれが直角に曲がり、ビーム刃を纏う。『腕部ビームブーメラン』と呼ばれるその武装は、弧を描きながら、後ろに下がった時雨と入れ替わる形でクウェイルへと飛んでいく。
『面白い武装ね。』
それはビームハルバードで簡単に落とされるがその隙を狙い、裕美の陽炎が飛び込む叩きつける右ストレート。しかし、それをクウェイルは左腕で受け止めた。
「ウソ!?IDOLの装甲なのに!?」
『IDOLの装甲がそちらだけの物だと思いましたか?』
「えッ!?」
ビックリしながらも裕美は反撃で放たれた口部エネルギー粒子砲を躱す。その隙を見計らって肇の時雨が『ビームソード』を2本構え振りかざすが、クウェイルはハルバードを器用に横に構えると、両方共受け止める。
『IDOL………その機体もIDOLだと言うのですか!?』
『そちらほど輝かしい物ではありませんが。』
千鶴はそうマイクで叫ぶと動揺した肇の時雨を蹴り飛ばす。
更に口部エネルギー粒子砲を放つが、射線上に裕美の陽炎が立ち、エネルギーフィールドで受け止める。
そして、裕美はその体勢のままバーニア出力を全開にして突撃した。
「はあああああッ!」
『勇ましくても物の一つ覚えなら!』
振りかざした右ストレートをビームハルバードで受け止める。超合金で出来たIDOLの装甲と巨大なハルバードのビーム刃がぶつかり音を立てるが、裕美は焦らなかった。
彼女は、そのままキーボードを操作し武装欄を開くと、『武器』を選択する。
「当たって!」
『!?』
右腕の装甲部分が開き、そこから何と『杭』が伸び、ビームハルバードを貫いた。
『零式パイルバンカー』。陽炎に増設された追加武装の1つであったが、今まで使う機会が無かったのだ。
ハルバードが爆発する中、後ろに飛びずさったクウェイルはビームソードを引き抜き、隙なく構える。
零式パイルバンカーの杭を引き武闘家のように拳を引く陽炎と、体勢を立て直してビームソードを2本構える時雨。3体がにらみ合った。
「貴女は一体………?」
『IDOL及び日本政府に勧告します。』
コックピットで荒い息を吐く裕美の問いに千鶴はマイクの音声を最大にして話す。
『我々新アメリカ帝国は日本に対抗する為、IDOLの開発に成功しました。これからは私を含め、『復讐者』と呼ばれる仲間が攻撃を仕掛けてきます。』
その言葉に、戦闘をしていた全てのパイロット達の動きが止まる。
『日本人しか乗れないはずのIDOLに何故、新アメリカ帝国の兵が乗れるのか?それを知りたければ、貴方達が過去に仕出かした事を振り返って下さい。』
そして、千鶴は息を吸うと言葉を放つ。
『私達『復讐者』は、貴方達が10年前見捨てた日本人の生き残りです。』
復讐者?10年前?生き残り?裕美の頭の中に初めて聞く単語が並ぶ。そして、千鶴は最後に言った。
『次は仲間達と共に本土を攻撃します。もしもまだ心の余裕が有るのならば、降伏を受け入れて下さい。』
そう言うと、千鶴は去って行く。見れば、ライラやナターリアを始め、他の兵士達も撤退を始めていた。
『艦長、追撃は?』
『それどころじゃないだろ?愛海機を回収して戻ってこい。』
『了解です。』
肇はそう言うとビームソードをしまうと時雨を陽炎に振り向かせる。
『先程はありがとうございます、裕美ちゃん。』
「はい………肇さん………。」
『何ですか?』
「あの人は、何だったんでしょうか………?」
『………今は愛海ちゃんを助けましょう。』
肇の言葉に裕美は陽炎を反転させ、戦場を後にする。名前の知らない敵パイロットの言葉がいつまでも心に残った。
――――――――――
「見事な戦果と演説だ。上層部はさぞ満足しているだろうな。」
画面を見ていた提督は笑みを浮かべていた。だが、それは喜びの笑みでは無い。歓声で沸き返る艦橋の上で彼は、寂しげに笑みを浮かべていた。
一方脇に並ぶ2人は対照的だ。ヘレンがいつものように笑みを浮かべていたのに対し、キャシーは唖然と………千鶴のクウェイルの戦闘力に驚かされていた。
「闘争心が刺激されたかしら、キャシー?」
「は、はい………。」
「そうか。ならばそれは次の戦いに活かしてほしいな。」
提督はそう言うと、後ろから歩いてきた2人を見る。
片方は茶髪の短い髪に碧眼でそばかすが印象的な女性。それなりに背は高く、成人しているように見えた。
もう片方は白い長い髪が特徴的の女性。キャシー並に背が高く、何故か困ったような眉をしていた。
「ケイト少尉、イヴ・サンタクロース少尉、よく来てくれた。」
「ハァイ、提督。私達の力が必要だなんて変わり者ネ。」
「わ、私達なんかでいいんですかぁ~?」
「上の連中の評価なんて気にするな。私が必要だと思ったから使うんだ。文句は言わせない。」
イギリス出身のケイトと、デンマーク領のグリーンランド出身のイヴ。彼女達もライラやナターリアと同じ新アメリカ帝国の『属国』出身の娘だった。だが、そんな事はこの提督にとってはどうでもいい事であった。腕が立つならば、積極的に役立てたかった。
「さぁ、私達も『仕事』を始めよう。」
そう言うと提督は戦艦『アルフォンシーノ』の出港準備を命じた。
第10話 完