【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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2人目の復讐者、岡崎泰葉

 ハワイ諸島の基地に戻ってきたメアリー達は大歓声で受け入れられた。

それもそのはずだろう。彼らにしてみれば、今まで憎き対象でしか無かった日本のIDOLが自分達のIDOL達によってほとんど為す術の無い様子を見る事ができたのだ。この圧倒的な力が自分達の物になると考えただけで、今まで散った仲間達の無念を晴らす事ができると喜ぶ事ができる。だが………。

 

(結局彼らが喜んでいるのは『その力』だけ。私達は『物扱い』である事には変わらない。)

 

 兵士達の歓声に応えながらも松尾千鶴は涼しい顔をしていた。

彼らが真の仲間だと認めているのはあくまで同じ故郷の同胞達だけだ。千鶴のような日本出身の兵や、ライラやナターリアのような属国の兵の事を受け入れてはくれてはいないだろう。むしろ、分け隔てなく接してくれるメアリーやクラリスのような存在の方が異端なのだ。だから、この興奮による歓声もしばらくすればやがていつもの軽蔑の視線に戻る事は十分承知していた。

 

「やあ、メアリー少将、大義ご苦労であった。」

「中将殿もお迎えご苦労様ですネ。後、任務を果たしたのは後ろの3人ですから彼女達を褒め称えてあげて下さいナ。」

「おお、そうだったな。」

 

 髭を生やした壮年の男性………メアリーの上司が笑顔で出迎える。

この男も基本は他の兵士達と変わらない。立場上メアリー達を祝福しているだけで、心の底では見下しているのが千鶴でも分かった。

 

「これで我が帝国も、本格的に日本を攻める事ができる。勿論、私もただ見ているだけでは申し訳ないからな。さっき、次の作戦の指揮を執る事が認められたよ。」

「それは心強いですワ。中将殿の勇ましさがあれば、東京陥落も夢物語ではないデショウ。」

 

 千鶴もライラもナターリアもクラリスも、この機に及んでこの男が手柄を漁夫の利をしに来た事は瞬時に理解できた。しかし、メアリーはそこに深く詮索はしなかった。多分、ある程度は予想できていたのだろう。彼女は笑みを崩さず会話を続け、やがて解放される。

 

「宜しかったのですか?」

「別に問題無いんじゃナイノ?」

「でも、今まで貴女をこき使って後ろで手柄だけ取っていた方ですよ?」

 

 人の波から解放され、通路を歩いていた所でクラリスがメアリーに問う。

千鶴は、メアリーの事はまだあまり知らなかったが、それでもこの11歳の少女が苦労を強いられている事は理解できる。

 

「レディはこういう時も落ち着いているのが嗜みヨ。後、もう慣れたワ。」

 

 最後のが本音なのだろう。千鶴は自分達とは違う意味で軽蔑されているこの少女に少し同情した。と、そこで、メアリーが千鶴の方を向く。

 

「チヅル。どうやら貴女にお客様よ。」

「え?………あ!」

 

 千鶴は見た。通路の奥から青髪のショートの少女がやってくるのを。それは千鶴が最も信頼している人物の1人。『復讐者』の仲間だった。

 

「泰葉さん!」

「千鶴ちゃん、お久しぶり。」

 

 思わず千鶴は駆け寄り、少女に抱き着く。それを暖かい目で見ながらメアリーが話しかけてきた。

 

「岡崎泰葉(おかざき やすは)少尉、よく来てくれたわネ。」

「はい、この度少将の元に着任する事になりました。以後宜しくお願いします。」

「別にそんな堅苦しい挨拶しなくていいわヨ。それじゃあ、先に指令室に行ってるカラ後で来てチョウダイ。」

 

 敬礼する泰葉を手で制しながら、メアリーはクラリス、ライラ、ナターリアを連れて歩いていく。久しぶりの再会を気遣ってくれたのだろうかと思い、心の中で感謝しながら千鶴は泰葉に話しかける。

 

「泰葉さんが来てくれるなんて思わなかった。機体が完成したのね。」

「うん。………千鶴ちゃんの体調も心配だったから、凄くハラハラしてたけれど大丈夫?」

「今は大丈夫。あ、もしかして、泰葉さんもあの戦いの映像見たの?」

「見たよ。堂々としてたと思う。」

 

 そこまで言って泰葉は少し目を伏せる。

多分、あの日本のIDOL達の事や自分達を捨てた日本の事を考えているんだろう。ライラ達にも言ったが、基本、千鶴達は日本を故郷だと思っていない。それでも1つだけ感謝できる事はあった。それは『復讐者』として、『仲間』に出会えた事である。

 

「他のみんなとも話したけれど、やっぱり不思議な気分かな。捨てられて、あの悲劇の中を育たなければ、私達は出会い、絆を深める事は無かったんだから。」

「正直、私も複雑。自分が生まれた国に降伏するように勧告して、そしてこれから攻撃しに行くんだから。」

「日本では、今頃私達の事どう思っているだろうね?」

「さあ、裏切り者とか適当に罵ってるんじゃないかな?」

 

 国とはそういう物だと『ある男』にずっと前に習った。その男もこれから作戦を実行すると聞いた。人の縁が何をもたらすかは本当に分からない。光も闇も、何でもある。それを、千鶴と泰葉達は既に理解していた。

 

「泰葉さん、次の任務頑張ろうね。」

「うん、あ、でも千鶴ちゃんは無茶しちゃダメだよ?体………良く無いんだから。」

「大丈夫、私でも何とかなるって前の戦いで分かったから。」

 

 心配そうに見つめる泰葉に千鶴は笑顔で答える。しかし、内心ではやっぱり鋭いなと思っていた。

まだメアリーや泰葉を始めとした一部の者にしか知られていないことが有る。千鶴は………実は完全なIDOLの『適合者』では無かったのだ。

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