【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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秋田基地奪還指令

 あれから数日後、ほたるはシミュレーター内で如月を駆りながら、『イーグル』と戦いを繰り広げていた。茶色の機体は相変わらず『速射式ビームガン』を撃ちながら迫ってくる。

 

「うまく………弧を描いて………!」

 

 如月の紙装甲では一発の被弾でも致命傷だ。左に旋回し、回避行動を取りながらほたるは『マシンガン』を構える。ビームガンが当たらなければ、次の行動は………。

 

『『ホーミングミサイル』発射してきたね。どうする?』

「こうします!」

 

 志希の通信にほたるは答えると一直線にミサイルに向かっていく。そして、マシンガンを引くと胸部から『近距離牽制用バルカン』を放ち、最低限のミサイルだけを落とし、敵機に近づいていく。迫る敵機。ほたるはマシンガンを構え、それをコックピットに向かって撃った。爆発するイーグル。画面に『敵機撃墜』の文字が浮かんだ。

 

『お疲れ様ー!いやー、まさかミサイルに対し飛びのくよりも飛び込む方を選ぶなんてねー。もしかして動体視力いい方なのかも。ほたるちゃんって割と接近戦向き?如月が近接戦闘能力持ってればよかったんだけれどなー。』

 

 拍手を送る志希の声を聞きながらほたるはシミュレーターを降りる。そこには肇、マキノ、晶葉が待っていた。

 

「ここ数日で随分腕を上げたわね。正直ここまでやるとは思わなかったわ。」

「ありがとうございます………。」

 

 荒い息を吐きながらもほたるは頭を下げる。そんな彼女にマキノは自販機の栄養ドリンクを渡してくれた。

 

「でも、かなりオーバーペースですよ………?プロデューサーや心艦長に居残りをするって言った時は裕美ちゃんや乃々ちゃんも驚いていましたし?」

「実力の無い私は努力するしかありませんから………。むしろ、こんな私に付き合ってくれた皆さんの方に感謝しかありません。」

 

 肇の心配そうな言葉に、ほたるは答える。

実はただでさえハードなスケジュールを、ほたるは更に自分から厳しくしたのだ。当然体は悲鳴を上げたがそれでも成長期の肉体は応えてくれた。ほたるは前回の実戦に比べ、確実に実力を付けてきている。これが実戦で通じるかと言われれば別問題であったが、それでも少しずつ自信を付けてきていた。

 

「例の不幸病は拭い去れたのか?」

「あ、それは一生無理だと思います。でも………。」

「でも、何だ?」

 

 晶葉の言葉にも答えながら、ほたるはじっとマキノのくれたペットボトルを見つめる。

不幸な自分が不幸をなるべく招かないようにする方法。それが戦いの中であるのならば、1つしか答えが出なかった。即ち強くなる事。プロデューサーが言っていた言葉が事実なのだ。

 

「私には裕美ちゃんや乃々ちゃんのような守る力は備わってはいません。だから、せめて2人に迷惑を掛けないようにはしたいんです。でないと、2人が危ないから………。」

「確かにそうですね。特に裕美ちゃんは今後の戦いのキーパーソンになりそうですし………。」

 

 肇は俯く。これ以上裕美の負担を増やしてはいけない。そう思うからこそ、ほたるを始め、みんな強くなろうとしていた。

 

「ほたるちゃんの場合は、まずは自己防衛手段を強化しないとダメだねー。」

「あ、志希さん、オペレーターして下さってありがとうございます。」

「にゃはは、気にしないで。」

 

 手を振りながらやってきた志希は晶葉に聞く。

 

「ねえ、晶葉ちゃん、『アレ』余ってたよね?」

「あの『装備』か?………まさか、ほたるの如月に付ける気か!?」

「あのくらいの軽さならば積載量オーバーしないだろうし、ほたるちゃんくらい勢いのある子ならば、持ってた方が安心じゃないかな?」

「確かに他の機体にはほとんど意味の無い物だから、上層部に申請しても使わせてもらえるとは思うが………。」

 

 悩む晶葉。そんな彼女を横目に志希は、首を傾げるほたる達に説明を始めた。

 

――――――――――

 

「ジェネレーター出力ね………。元が睦月だし、上げるのは正直無理。パルスレーザー砲が撃てるだけでも何とかしたものだよ。」

「やっぱりそうですよね………。もりくぼがせめて遠距離ビーム兵器を使えれば皆さんの負担も楽になると思ったのですが………。」

「その前に飛べなければ、海上では距離も詰める事もできないのでー………。」

 

 格納庫では、乃々が美世を始めとしたメカニック班と『睦月・重装備型』について話していた。雪風の装備の事も話したいからか、芳乃も同席している。

 

「睦月も如月も、元々の出力が低すぎるから実弾装備が中心っすからね。それを上げるのは難しいとは思うっすよ。」

「ジェネレーターも外付けにして無理やり上げる事はできないでしょうか………。」

「そ、そんな事したら、立てなくなりますよ………いくら乃々ちゃんでも戦い所じゃなくなります………。」

 

 沙紀や由愛も色々考えているが、有効な解決策は思い浮かばない。睦月・重装備型のバランスの悪さは今でもかなり厳しい物があるのだ。これ以上無理な負荷を掛けられない。

 

「では、IDOLである雪風に手持ちビームキャノンを備えるのはどうですかー?」

「その場合、ジェネレーターをビームキャノンに直結させる改修を行わないといけないから、その間出撃が出来なくなるよ。」

「うー、それは難しいですねー。上も納得しないでしょー………。」

 

 芳乃の要望も美世に却下されてしまう。要のIDOLが出撃不能になる事態も今は避けたい。5体でもやっとだった敵を4体だけでどうにかするのはそれだけでも厳しい物があった。

 

「乃々殿ー。乃々殿は昔雪風に乗ってたのですよねー。何か強敵と出会った際の対処法とかご存知では無いのでー。」

「も、もりくぼがいた時はそんな強敵いなかったので………。」

 

 芳乃の言葉に乃々は俯く。

実は、雪風の話題はまだダメだった。自分が油断をしたばかりに七海を死なせてしまった事がずっと心に引っかかっているからだ。それを除いても、あの機体に乗ってしまったばかりに自分達『先代』のパイロット達の運命は狂わされてしまった。戦闘中以外は、なるべく直視したくはない。今も、ほとんど雪風の方は見ていなかった。

 

「ごめんなさい、芳乃さん。もりくぼは雪風のパイロットを名乗る資格は無いです………。」

「………そうですねー。わたくしも迂闊でしたー。申し訳ありませんのでー。」

 

 乃々の心情を理解したのか芳乃も謝る。

そうしている間にも、メカニック班の3名は、どうにかできないか色々会話を繰り返している。だが、それが解決できるようには見えなかった。そこに、別方向から足音が響く。見れば、プロデューサーが歩いてきていた。

 

(何だろう………。)

 

 普段の乃々ならば彼とは目を合わせないだろう。だが、付き合いが長いだけあって今回、この男がよく無い情報を持ってきた事が理解できてしまった。それを裏付けるように、彼は言う。

 

「緊急招集だ。………悪い知らせを複数しないといけない。」

 

 乃々達はブリーフィングルームへと向かう事になった。

 

――――――――――

 

「秋田基地が占領された!?」

 

 ブリーフィングルームに集められた裕美達はプロデューサーか凶報を聞くことになった。北信越をやっとの事で奪還したのに、今度は秋田県が新アメリカ帝国に占拠されたというのだ。

 

「恐らくは、北信越の基地から撤退した部隊が中華共和国で再編し、日本海側から攻略を始めたんだろう。」

「も、もしかして………。」

「これ以上の基地の占拠を招く前に、奪還する事が決定された。」

 

 プロデューサーは静かに答える。

それを見た裕美達は不安になる。また分散作戦だ。ただでさえ敵の中にIDOLがいるというのに、味方のIDOLを割かないといけない。分かっていてもどうしようもない敵の罠だった。

 

「で、今回の割り振りはどうなるんじゃ?」

「戦艦武蔵に乗って秋田に向かうのは、比奈少佐の第三部隊、乃々、ほたる、メカニック班、それに………裕美だ。」

「え?」

 

 プロデューサーの言葉に裕美は固まる。今の割り振りの発表が正しければ………。

 

「あ、あのまさかとは思いますが………。」

「秋田基地攻略に派遣するIDOLは陽炎1機と決まった………。」

 

 裕美は固まる。

比奈の部隊はいる。乃々もほたるも。だが、肝心のIDOLは、自分1人?

 

「ひ、裕美ちゃんを1人で戦場に放り込もうって言うんですか!?」

「上層部の決定だ………。東京の防衛を割くわけにはいかないから苦渋の決断を取った結果らしい。前の戦闘結果を見れば、陽炎1機でも奪還できるだろうと………。」

「無茶苦茶過ぎる!」

 

 仲間達がプロデューサーに苦情を訴えかける中、裕美はその場で動けないでいた。

 

 第11話 完

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