【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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第13話「IDOLの謎」
誰も知らない秘密


 気付けば裕美はいつかの時みたいに部屋で目を覚ましていた。

そして、その時と同じようにプロデューサーと、更にほたると乃々が側にいた。

 

「裕美ちゃん!」

「わっ!?ほたるちゃん!?」

「裕美さん………良かったです………!」

「乃々ちゃんも………。」

 

 身を起こした裕美に思わず抱き着くほたる。乃々も、ホッと胸を撫でおろしていた。プロデューサーは裕美が目覚めた事を携帯端末で、誰かに………恐らくここにいない心達に連絡しているのが見えた。

 

「私………生きているんだよね。ここは秋田基地?」

「そうだ。その一室を借りている。身体には特に異常は無いそうだ。しばらく休めばまた動く事もできるだろう。」

 

 連絡を終えたプロデューサーが裕美を見て(と言っても相変わらずその目は髪に覆われていたが)答える。

裕美は両手をグーにしたりパーにしたりして動くのを確認しながら、確かに生きているのを実感する。

 

「私、無事だったんだ………。」

 

 やがて、部屋に心達、秋田基地に派遣されたシンデレラガールズの面々がやって来た。

彼女達は、無事そうな裕美を見ると、手を上げたり、互いに叩き合ったりしながら無事を喜ぶ。聞けば、裕美は3日も眠っていたらしい。

 

「いやー、本当に良かったぞ!裕美ちゃんが無事で!」

「すみません、色々ご迷惑をお掛けしまして………。」

 

 代表して心がうんうんと頷く。

相当みんなに心配を掛けてしまった事を悟った裕美は頭を下げた。どうやら戦闘後のライブは、心達で何とかしてくれたらしく、戦闘後の後処理も比奈達の協力もあり、ほとんど終わっていたらしい。とりあえずは秋田が解放されて良かったと裕美は思う。だが………。

 

「喜びを分かち合っている所悪いけれど、裕美ちゃん。早速だけれど質問に答えてくれる?あの戦闘中に『陽炎』が黄金に輝く現象はなんだったのかなー?」

「黄金………?」

「あの『電磁ネット』を吹き飛ばして巨大なビームソードを振るった時の事だよ。後、気絶した後に、陽炎が勝手に帰艦したんだけれど………それも心当たりない?」

「……………。」

 

 志希の質問に、裕美はどの状況の事を指していたか理解したが、どのように説明すればいいものかと考える。正直、裕美自身も現実味の無い話だったのだ。

 

「あの………信じてくれるかどうか分かりませんけれど………。美羽ちゃんが助けてくれたんです。」

『美羽ッ!?』

 

 裕美の言葉にプロデューサーも含めて全ての者が驚愕の声を上げた。思わずその音量に耳を塞いだ裕美は恐る恐る順に説明する。

電磁ネットの電撃を受け、意識が暗転してしまった事。

気付けば花畑に立っており、そこに美羽がいたという事。

彼女は生命体であるIDOLに宿った『想い』であり、裕美を助けに来てくれた事。

そして、陽炎を呼び寄せた彼女は裕美に『オーバーロード』という秘策を伝授してくれた事。

 

「気づけば、私はコックピットに座っていて、朦朧とした意識の中で美羽ちゃんの指示を聞いていました。『オーバービームソード』でしたっけ?美羽ちゃんが、陽炎に念じろって言ってくれて、その通りにしたら、あんな大技が出せました。後は、気絶して………あ、その時美羽ちゃんが『死なせない』って言ってくれた気が………。」

 

 一同は絶句する。特にプロデューサーや乃々、それに美世を始めとしたメカニック班は何も言えないでいた。それはつまり………。

 

「裕美ちゃん。みんなの様子を見れば分かると思うけれど、陽炎にそんな武装は備わっていないんだよ。というか、そんな武装が有れば、本当にIDOL1体で無双出来ちゃうからね。あたしや晶葉ちゃんのような開発陣も知らないんだ。」

「じゃあ、やっぱり信じられませんよね、こんな事………。」

「ううん、実際にあたし達はその陽炎の力を見ちゃったからね。起こった『事実』は否定できないよ。」

 

 元々の胆の座り具合が違うのか、唯一志希だけはいつもの様子で裕美に話しかけて来ていた。

 

「でも、志希さん達も知らないって事は………。」

 

 裕美の疑問は深まる。彼女の説明が正しければ、あの美羽が教えてくれた事は、『生きていた美羽』も知らなかった事になる。ならば、あの花畑にいた美羽は、何処でオーバーロード等を知ったのか?

 

「美羽ちゃん………そのオーバーロードを使う時に言ったんです。『私達』を信じてくれと。陽炎と美羽ちゃんを信じてくれって。」

「裕美ちゃんは信じたんだね。」

「信じない選択は無かったですし………。」

 

 もうすっかり馴染んでくれた愛機と自分を助けに来てくれた友達を信じるのに、裕美に抵抗は無かった。それだけ信頼できたのだから。

だから結局の所、具体的にどうしてあんな真似が出来たのか、あの美羽が何処までIDOLの事を知っていたのか、裕美自身も皆目見当も付かなかった。

 

「ごめんなさい………。何の役にも立てなくて………。」

「いや、いいよいいよ。生命体って面白いよねー。機械には有り得ないような超不可思議現象を昔から起こすし。」

 

 落ち込む裕美を励ますように志希が笑顔で肩を叩く。

彼女はこれっぽっちも裕美を責めている様子は無かった。単純に好奇心が多いのかもしれない。そんな彼女はプロデューサーを見て言う。

 

「そう言えばさっきから黙っているけれど、プロデューサーはこの事に関してどう思ってる?」

「私は………。」

 

 話を振られたプロデューサーはひとしきり考えた所で答える。

 

「裕美の見たそれが夢であっても、現実であっても、私は美羽に感謝したい。裕美を助けてくれた美羽をな。」

「プロデューサー………。」

 

 珍しくその言葉に乃々が反応した。

彼女も似たような心境なのだろう。どんな形であれ美羽は、死を迎えるはずの裕美を助けてくれた。彼女の優しさを知っているだけに、乃々も有り難かったのだ。

だが、プロデューサーは悲しい顔をして(大分表情が分かるようになってきた)言葉を紡ぐ。

 

「これが美羽のもたらしてくれた奇跡ならば私達はそれに感謝するだけで済む。だが、上層部はそうはいかない。今回の………オーバーロードと言えばいいか?それを確実に発動する手段が無いのかと苦情が殺到している。」

「だろうな………。厳しい話だが、押されている日本の現状を打開する手段になり得るんだ。相当躍起になるだろう。」

 

 心が苦々しい顔をする。

裕美の話を解釈すれば、オーバーロードは現状、意図的に発動できる物では無い。だが、偶然で済ませておくには惜しい力だ。新アメリカ帝国に奪われそうになったIDOLの栄冠を日本に取り戻す為の力。しかし、人の想いを『道具』としか見ないその上層部の考え方は、やはり裕美達は好きにはなれなかった。

 

「陽炎は………?」

「あたし達が徹夜で調べる羽目になってるよ。一応ボイスレコーダーも再生しようとしたけれど、あのエネルギーの衝撃に耐えられなかったのか壊れちゃっててね………。」

「武装も見てみたっすけれど、そのオーバービームソードに関しては全く分からなかったっす。」

「塗料も………黄金に光る物なんて全く塗られてないから、全然分からなくて………。」

 

 美世、沙紀、由愛の3人のお手上げと言える言葉に心はお疲れと言うと、手を叩く。

 

「ま、とりあえずは裕美ちゃんの無事を喜ぶべきだな。今夜はみんなで夕飯を食べようぜ。」

 

 ニヤリと笑った心は一同を見る。その中で、ほたるがアッと気付いたように呟く。

 

「そう言えば………。」

「ん?どうした、ほたるちゃん?」

「芳乃さんの予言………当たりましたね。」

「予言って………?」

「『友達』が裕美ちゃんを救うって事です。」

「あ………。」

 

 友達………美羽が裕美を救ったという事実に気付いた一同は、芳乃の予知めいた能力に改めて驚愕した。

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