【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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第2話 「ファースト・コンタクト」
初めての戦い


 黒髪をポニーテールで縛っていた女性である原田美世は突然の出来事に混乱した。『陽炎』の正規パイロットになるはずだった美羽が戦死し、代わりに同じくらいの年の少女がコックピットに座っている(正直その怒りの形相は美世も引くほどだった)。しかも、その少女も『IDOL』を動かせるというのだ。偶然にしては出来過ぎている。

 

「え、えっと………。」

『お願いします!敵が前にいるんです!!』

「か、艦長!」

『教えてやれ。』

 

 美世が助けを求めた艦長こと、佐藤心はすぐに答えた。

 

『プロデューサーとも連絡が取れない以上、陽炎を守れるのはその子だけだからな。』

「こっちも交戦中なのに………!」

 

 美世は思わず文句を言う。そう、彼女は2人の仲間と共に日本の量産型人型戦闘機械『睦月』に乗り込み、敵の『ダック』と呼ばれる機体と射撃戦を繰り広げていた。睦月はお世辞にも性能が高いとは言えない。それは敵のダックにも言える事なのだが、それでも複数で協力してようやく1機を倒せるほどの格差は有った。

 

「さ、沙紀ちゃん!由愛ちゃん!」

『了解っす!美世さんはビルの裏に隠れて説明を!』

『あの、陽炎のパイロットさん、名前は………?』

『え?あ、関裕美です………。』

「じゃあ、裕美ちゃん!今から言う事をよく聞いて!」

 

 沙紀(さき)と由愛(ゆめ)と呼ばれた2人の仲間が美世の前に立つ。沙紀の方の機体は左腕で盾を構えながら最前線で空から仕掛けてきているダックに対し右腕で構えた『マシンガン』で牽制。その後ろに隠れながら由愛の機体が右肩に装備された『レールガン』を撃つ。

 

(やられないでね!)

 

 そう願いながら美世はビルの裏に隠れた。

 

――――――――――

 

『なぁ、何だアレは?』

 

 近接型のダックに乗っていた新アメリカ帝国のパイロットは眼前で横に転がっている白銀の機体に疑問符を浮かべる。その『相棒』の言葉を通信で聞いていた砲戦型のダックのパイロットはコックピットに備わったキーボードを弄る。

 

「照合中………睦月ではないな。しかし、IDOLの機体でも無い………。新型か?」

 

ガシャン!

 

 そう言っている内に、白銀の機体がたどたどしい手つきで体を持ち上げ、立ち上がる。

少しふらつくその様子は、とてもベテランのパイロットが乗っているとは思えなかった。

 

『………鹵獲したらどれだけ昇進できるだろうな?』

 

 相棒が笑みを浮かべながら『カーボン強化実体剣』を取り出す。

 

「待て、ヘレン大尉かキャシー中尉に先に報告した方がいい!」

『あんな女共に手柄を取られてたまるかよ!俺達が昇進するんだ!!』

 

 相棒がカーボン強化実体剣を上段に構えた。

 

――――――――――

 

「く、来る!?」

 

 裕美は眼前に位置した2体の人型戦闘機械の内の1体が剣を構えて突進してくるのが分かった。このままだと殺されるのは裕美にも理解できる。

 

『焦らないで。まず、フットペダルを下に思いっきり踏み込み、足を安定させて。』

「は、はい!」

 

 そう言い、ふらつく機体を何とか制御する。そうしている間にも敵は眼前に迫ってくる。

 

『左レバーを持ち上げ左腕で防御。』

「ええッ!?でも相手………。」

『いいからッ!』

 

 もうなるようになれと関裕美は半ば自棄になり陽炎の左腕を上げる。振り下ろされる剣。思わず目を閉じた。そして………。

 

バキッ!

 

『は?』

 

 裕美はもちろん、敵パイロットも茫然としただろう。カーボン強化実体剣が半ばから折れた。

 

『今!右腕で腹にあるコックピットを思いっきりぶん殴って!!』

「ひ………ひ………。」

 

 裕美は顔を引きつらせながら右レバーを引く。緊張と恐怖が入り混じり、とてもでは無いが、正気を保てなかった。

 

「ひぃやあああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

 

 悲鳴か、咆哮か。とにかく目の前の敵に殺されたくない一心で右ストレートを叩き込む。近接型ダックのコックピットは無惨にひしゃげ、数十メートル吹き飛ばされた。中のパイロットがどうなったかは言うまでも無いだろう。

 

『とりあえずは1機………。』

「な、何!?何が、どうなって………!?」

『IDOLはね。すっごく硬いの。特にその陽炎の腕部は丈夫に作られていてね。だから、あんなカーボンで強化した剣じゃ斬れないの。殴っただけでも量産機ならば装甲を破壊できる。』

「そ、それを早く言って………。」

『暇が無かったから許し………両腕で腹を防御!!』

「うわッ!?」

 

 ぜぇぜぇと息を吐いていた裕美はとっさに両腕で腹を覆い、コックピットを守る。見れば、残った人型戦闘機械が『ホーミングミサイル』を放ってきていた。更にそれが効かないと見るや、『連射式マシンガン』をこれでもかと撃ち込んでくる。多分、相棒が無残にやられた事で気が動転しているのだろうが、今の裕美にそこまで考える余裕は無い。

 

「ど、どうすればいいのですか!?こっちも武器を………!」

『無い。』

「え?」

 

 振動に揺られながら、とりあえずこっちも撃ち返さないといけないと思った裕美は美世の言葉に目を丸くする。

 

『今日、美羽ちゃんが搭乗して一般公開してお披露目する予定だったんよね………。だから、当然装備は取り払われている。』

「そ、そんな!じゃあ、どうすれば!?」

『当然突撃あるのみ!片腕でコックピットを守りながらフットペダルを思いっきり後ろに踏み込んで!それでバーニア全開になるから一気に敵に突っ込む!!』

「無茶苦茶すぎるーーーッ!!」

 

 それでも裕美の中にあった生存本能が勝ったのか。彼女は言われた通りフットペダルを思いっきり後ろに踏み込む。機体の後ろから思いっきりバーニアが吹かされ、敵目がけて一直線に突っ込んでいく。周りの景色が高速で流れていく中、眼前に迫る敵。初めてだからか微妙に軌道が左にずれ、左肩が建物を削って行く。

 

『『アームハンマー』って知ってる!?右腕を広げて思いっきりコックピットをぶん殴って!!』

 

 言われた通りにやる。やるしかない!裕美は思いっきり右腕を掲げ、腹部に向けて頑丈な腕を掲げる。

 

『うぁああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?』

 

 それは裕美の悲鳴か敵パイロットの悲鳴か。全力で突撃した一撃がダックの腹部を抉り、更にそのまま引きずり、数十メートル疾走する。やがて、2機はもみくちゃになるように機体は前のめりに倒れ、ようやく止まった。

 

「ど、どうなった………の?」

 

 コックピットの中で振動を感じながら裕美は顔を上げる。正直、こんな恐ろしい経験初めてだった。

 

『2機撃墜したみたいだね。大丈夫、そこにいる敵は何とかなったよ。今援軍を送るからその場で………ッ!?』

「え?ど、どうしたんですか!?」

 

 そこで裕美も気づく。上空から黒に黄色の模様の入った機体が………先程の2機とは明らかに違う雰囲気を纏った機体が降下して来たのを。

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