【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ 作:擬態人形P
IDOL達の演舞
今回、肇を始めとしたIDOL達は海上の護衛艦『阿武隈』からではなく、東京基地から直接出撃した。
新アメリカ帝国の侵攻に対しては、今までは洋上でIDOL達に暴れさせておけば良かったのだが、もうそうはいかない。そこで、思い切って防衛ラインを東京湾ギリギリまで下げてしまい、港を防衛する『睦月』に『レール砲』をひたすら撃たせながら『如月』に撃破させていくという戦術を取る事にしたのだ。この睦月と如月が協力する方法ならば、敵『イーグル』や『ダック』と言った一般機が市街地に突破するのを防ぎやすくなる。その分IDOLは指揮官機や敵IDOLとの戦いに集中できるというわけだ。
『睦月と如月の連携がバラバラだった事も2つ前の襲撃で被害が拡大した原因の一因だったからな………。』
『ごめんなさいね、私達の力不足で。』
『あ、いや、レナ少佐達を責めているわけでは無い。』
『いいのよ、私達にもっと力が有れば良かったんだけれど………。』
『如月の性能では元々限界があったんだ………。それより今回頼む。』
『分かってるわ、分の悪い賭けは嫌いじゃない物。』
『今度は絶対に失敗しないから!』
肇の耳に、阿武隈の内の一隻でオペレーターを務める晶葉と、如月を率いるレナと久美子の会話が聞こえる。
アイドルを除けば日本と新アメリカ帝国の機体では性能差があるからこそ、それを補う戦いをしなければならない。だからこそ、言い方は悪いが分厚い『壁』を作る戦法ももっと早くに実施すべきだったのだ。
「最近は後手に回ってばかりですからね。こちらも何とか相手の意表を突きませんと………。」
『ちなみに、肇ちゃん。今度の敵、IDOL側からしてみれば、何体までならば貴女達で防げる?』
「想定ではライラ機、ナターリア機の他に、新IDOLが2体までならばと言った所でしょうか………。つまり、マンツーマンでギリギリ勝機があるかどうかです。」
『後は攻略速度だな。………敵は、今度は飛行戦艦『アルフォンシーノ』も投入してきている。どれだけ早い段階であの攻略に手を回せるか………!』
晶葉の言葉に肇は考える。
メキメキ実力を伸ばし、頼りになる存在へと化した裕美の『陽炎』はいない。だからこそ、自分達4人のIDOLパイロットが何とかしないといけない。でなければ、裕美の帰る場所が失われてしまう。
(絶対に守ってみせますから………!)
洋上にアルフォンシーノとイージス艦『モーレイ』の群れが見えてくる。
そこから次々と発進する人型戦闘機械。青と白のライラ機、黄と緑のナターリア機の『パラキート』、更にあの赤褐色のIDOLである『クウェイル』、そして………白と黒の新しい翼を生やした機体の姿が見えた。
『肇ー。どう思うのでー?』
「IDOLとみた方がいいでしょうね。作戦通りに行きます。愛海ちゃん!付いてきてください!」
『了解!今度は落ちませんよ!!』
肇の『時雨』と愛海の『吹雪』が猛スピードで部隊を飛び出して行った。
――――――――――
「突撃してくるのは2体ですか………。4体纏めてくるとは思いましたが………。」
『どうする、泰葉さん?』
白と黒の機体………『クレイン』に乗っていた泰葉は藤紫の機体と桃色の丸い機体が真っ先に突っ込んでくるのを見て、日本側の戦術に疑問を持った。
わざわざ港まで防衛戦を下げているのだから、一般機の砲撃で弾幕を張るものだと思ったが、IDOL達の考えている事は別であるらしい。
とりあえず、攻撃の手を緩めず、千鶴のクウェイルと共に、『手持ち式ビームキャノン』を撃つ。高出力のビームは、しかし予測していたのか2体に回避されてしまう。
「ライラ機、ナターリア機!『ビームヘッド』で!」
『了解です!』
『ナターリア達『ソル・カマル』の連携で!』
手始めに肇の時雨に向かってビームを纏った突撃をしようとした所で………2体のパラキートの頭部で爆発が起こった。
『ッ!?』
――――――――――
「ほう………乃々の予備だから正直使えるか分からなかったが、意外と効果があるものじゃの。芳乃、そっちはどうじゃ?」
『どうやら多少の効果はあるみたいでー。やはり攻撃用の武器に完全な防御能力を求めるのは間違っているみたいでー。』
ターゲットスコープを降ろしながら巴はニヤリと笑っていた。
『霞』は今、乃々の『時雨・重装備型』が持っていた『遠距離狙撃用対物ライフル』を構えていた。新規装備の申請が通らなかった巴の霞は、相性の悪いパラキートに対してどう攻略するか頭を悩ませた。その答えが『射程外からの狙撃』だ。
「威力の高い対物狙撃ライフルじゃ。何度も喰らえばあの厄介なビームの頭も耐えきれんじゃろ!」
『わたくしも『レールキャノン』を狙撃モードで対応すれば、あの突進を気にしなくていい分、思う存分撃ちまくれるのでー!』
「なんじゃ、お前も鬱憤が貯まっとったのか。」
『当然でー。』
「なら、数倍にして返してやるぞ!」
芳乃の『雪風』も前回の戦闘とは違い、パラキートのビームヘッドの射程には入らなかった。その更に遠くから、ひたすら撃ちまくる。
元々射撃能力の高い2人にマークされ続けるのだ。相手はたまった物じゃ無いだろう。得意のビームヘッドを封じられ、かといって、他の武装の射程も届かないライラとナターリアの2人は右往左往してしまう。巴と芳乃は更に執拗に狙い続けた。
――――――――――
『ち、チヅル!ヤスハ!どうにかならないカ!?』
『ライラさん達お手上げですよー!』
「待ってて下さい!千鶴ちゃん!」
『了解!』
泰葉のクレインと千鶴のクウェイルは手持ち式ビームキャノンを霞や雪風に向けてくるが、2人は回避しながらひたすらにパラキートだけを狙っていく。最初から自分達IDOLは相手にしていないらしい。更に、そこに肇の時雨と愛海の吹雪が4体の射程圏内に入ってきた。
『行きますよぉ!』
『ジェネレーター展開式ビーム砲』で拡散ビームの雨を放つ吹雪。クレインとクウェイルは『エネルギーフィールド』で防御した。しかし、遠距離からも狙われ続けていたパラキート2機は、避けられず、脚部やカメラアイに被弾してしまう。
『や、やられたゾ!?バランスガ!?』
『あー、ライラさんもジェネレーター出力がー………。』
「退避して下さい。ここは私達で何とかします。」
『で、でも………。』
「いいから!」
『ゴメンなさいです………。』
泰葉の通信に2機のパラキートは渋々と退避していく。
前回はいいようにやられていた日本のIDOL達も今回は作戦を練ってきたようだ。見事な連携プレーに敵ながらやると思いながら、泰葉達は接近戦を挑んでくる肇達の機体を見る。肇の時雨は千鶴のクウェイルを、そして自分のクレインの所には愛海の吹雪が迫ってきた。
「上等………!」
敢えてマイクで答え、気合いを入れた泰葉は巨大な折り畳み式のビームを纏った鎌を………『展開式ビームシザース』を取り出した。
――――――――――
「斧槍の次は巨大な鎌!?」
愛海は見せびらかすように高出力の両手持ちの武装を取り出す敵に、悲鳴を上げたくなる。
本当にIDOLのジェネレーター出力は凄まじい物がある。それは味方の時は頼もしかったが、いざ敵がそれを持つと脅威であった。
『真っ二つにさせてもらいます!』
「お山を制覇するまでは嫌です!」
横に振られたビーム刃を飛びのいて躱すと愛海は『頭部内蔵二連装ビームガン』を撃つ。しかし、その攻撃はエネルギーフィールドで防がれてしまう。すると、今度はクレインの胸部に備わった穴が輝いた。前回の経験があったからだろう。すぐさま愛海の吹雪は横に飛びのく。その居た場所を高出力のビームが通過していった。
「『胸部エネルギー粒子砲』と言った所ですか………!お山はビームを撃つ場所じゃないですよ!」
『分からない事を呟かないで下さい!』
ビームシザースを大上段で振り回しながら胸部エネルギー粒子を再び撃ってくるクレイン。物騒だと思った愛海に通信が来る。
『愛海、大丈夫か!?』
「巴ちゃん、ちょっと援護してもらえませんか!?」
『今、イーグル達がちょっかいを掛けて来ておっての………!どうやらこっちに近づくアルフォンシーノを狙い撃たれるのが嫌みたいじゃ!』
「芳乃さんはー!?」
『わたくしも同じような感じでー。その分突破を図る敵は少なくなるのでレナ殿達の負担は減りますがー。』
「結構コレ、辛いですぅ!」
『落ち着け!口よりも胸の方が射角は狭いじゃろ!?』
「そういう簡単な問題じゃないですよぉ!」
文句を言いながらも愛海は隙あらば敵IDOLを撃ち落とそうとジェネレーター展開式ビーム砲を放ちながら応戦する。それを確実にエネルギーフィール防ぎながら、泰葉のクレインは何度も鎌を振るった。
――――――――――
一方の肇の時雨は『展開式ビームブレード』を千鶴のクウェイルの『ビームハルバード』とぶつけ合っていた。IDOLのジェネレーターがもたらす強力なビーム刃は、凄まじい音を立てる。しかし、そんな事に臆している場合でも無い。先手で2機のパラキートを落とす事には成功したが、そこ物量の差と新規機体の性能故か、愛海の吹雪が徐々に押され始めている。早く助けに行きたかったが、このクウェイルがそんな簡単に倒せる機体で無い事は前回の戦闘で分かっていた。
『今日こそ貴女は落とします!』
「それはゴメンですね………!」
ビーム刃が弾け、距離が空いた所にクウェイルが『口部エネルギー粒子砲』を放ってくる。それを左に避けた肇はお返しに『パルスレーザー砲』を撃つが、当たるはずが無い。
『事前情報通り、射撃は下手ですか………。』
「自覚はしています!」
展開式ビームブレードを右手だけで持つと、左の拳を叩きつけようとする時雨。しかし、こちらに関しても事前情報があるのか、『炸裂ボルト内臓ナックル』は見破られてしまう。空振りに終わった肇は、悔しがる間もなくすぐさま後ろに飛びのく。そこに口部エネルギー粒子砲が飛んできた。
(何か手段は………何か打開する方法は………!?)
肇はIDOLを倒す方法を必死に考えていた。
――――――――――
「前線ハ?」
「徐々にですが、押しています。………ですが、このままだと先にアルフォンシーノが沈められるかもしれませんね。」
戦況を見て訝しむクラリスにメアリーは考える。
まさかパラキート2機が早々に撤退をさせられるとは思わなかった。日本側もそこまで駆け引きは下手では無いらしい。そこに、焦った中将の通信が入ってくる。
『な、何とかならんのか!?このままだと沈められてしまうぞ!?』
「中将落ち着いて下さいナ。アルフォンシーノはそこらの人型戦闘機械よりよっぽど頑丈ヨ。」
『だ、だが、艦橋を狙われたら………。』
「じゃあ、イーグル部隊を後退させまショウ。」
『何言っている!?そんな事したら私の艦を守る機体が居なくなるぞ!?』
「『IDOLが守ってくれる』って言ったのは中将じゃないノ。………クラリス、ヤスハにアレ使っていいって言いナサイ。」
「分かりました。………でもいいのですか?」
「このままだとチヅルの『限界時間』にも引っかかるワ。その前に決めないト。」
「分かりました。」
メアリーの指示にクラリスは通信を開いた。