【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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『少女』達の声

「しぶといですねぇ!」

『貴女こそ!』

 

 愛海と泰葉の戦いはまだ続いていた。基本愛海は回避優先だ。ヒラリヒラリと躱しながらチャンスを待つ。声を聞く限り相手は年上だと思ったが、IDOLの経験で言えばまだこちらが上だ。それがまだ勝機に繋がると愛海はジッと耐えていた。それに………。

 

(何かに焦ってる?)

 

 マイク越しに聞こえる声が、だんだんヒートアップしてきているように思えた。何かの『タイムリミット』があるかのように。しかし、それが何かは分からない。確かな事は、攻撃が大振りになってきている事。

 

「今なら………!」

『もう終わらせます!』

 

 泰葉のクレインの胸部エネルギー粒子砲を躱した愛海の吹雪に、ビームシザースの薙ぎ払いが迫る。それを、愛海は僅かな距離で避けると何と両腕でそれを掴んだ。すると、手の中が発光し、ビームシザースを破壊する。

 

「もらいましたよ!」

 

 クローの中に仕込んであった『零距離掌底ビーム砲』で相手の近接武器を破壊した愛海は新しい武器を抜かれる前に右腕を振り上げる。

 

『ッ!!』

 

 それを見たクレインの背中の『翼』が………8つの飛翔体となり、飛んだ。

 

「へ?」

 

 一瞬愛海はポカンとした。飛翔した8つの翼はそれぞれがビームを放ち、吹雪の右腕に一斉に浴びせる。途端に爆発して煙を吹き、力を無くすクロー。

 

「な、何々!?ビット!?」

『『拡散式ビット』の使用許可が出ました。………もう加減は出来ません!』

 

 『ビームソード』を取り出し振り下ろしてきたクレインの攻撃を慌てて左腕で防ぐ吹雪。だが、そこに8門の拡散式ビットが砲塔を構える。

 

「び、ビットちゃん!!」

 

 思わず『簡易式ビット』を移出する吹雪であったが、2門のビーム砲で8門のビーム砲に太刀打ちできるはずもない。すぐさま破壊させられ、更に吹雪の胴体にも浴びせられた。

 

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

 

 爆発がコックピット付近にも起こる。その衝撃を受けた吹雪は力を無くし落下していく。気が遠くなる中で愛海は死を悟った。そして、思う。

 

「し、死にたくないよ………。」

『全く………仕方ないですね。』

 

 その耳に、全く知らない『少女』の声が聞こえた。

 

――――――――――

 

「愛海ーーーッ!!」

 

 巴の霞は遠距離狙撃用対物ライフルを捨て、バーニアを全開にし、海面へと落下している愛海の吹雪へと飛ぶ。

折角何故かイーグル達が後ろに後退を始めたから援護が出来ると思ったのに、こんな『隠し玉』が出てくるなんて予測も付かなかった。

 

(間に合うか………!)

 

 コックピットのダメージを考えたら海に沈んだら確実に浸水するだろう。そうなったら愛海の生存確率は更に下がる。何としても海面に落ちる前に掴まなければならない。だが、計測データはその巴の希望的観測を否定した。

 

「間に合え!間に合えっちゅうんじゃ!!」

『ならば、私が力を貸しましょう!しっかり捕まって下さいよ!』

「何!?」

 

 聞きなれない『少女』の声を耳にした巴はそこで愛海の吹雪がバーニアを放ち、減速を始めた事に気付く。

 

「何じゃ!?アレはまるで………裕美の時のような………うぉッ!?」

 

 更に自機が加速する。明らかに霞のスペックを超えた推進力が巴を包み込んだ。原因不明の現象。だが、今はそれが何であれ有り難かった。

 

「吹雪ーーーッ!聞こえてるなら手を伸ばせーーーッ!!」

 

 圧迫感に支配されながらも巴は敢えて機体の方を呼んだ。そして、吹雪はそれに応えるように手を伸ばす。

巴の霞の伸ばした手と落下する吹雪の手が海面ギリギリで交差した。何とか愛海が眠るその機体を空中で掴む事に成功する。

すぐさましっかりと抱えて反転し、晶葉のいる阿武隈へと機首を向ける巴。そこまで来て、ようやくあの声に付いて疑問を呟いた。

 

「お前は………いや、お前らは『何者』だったんじゃ?」

 

 霞にも吹雪にも声はもう聞こえなかった。

 

――――――――――

 

 空中戦を繰り広げていた肇は、愛海と巴が離脱するのを見て、一刻も早く自分もあのクレインとの戦闘に加勢しなければと焦っていた。だが、目の前の機体………クウェイルは、それを許してくれない。

 

「どうにかしないと………!どうすれば………!?」

『射撃が下手だから折角増えた近接武装のレパートリーが活かせないのが難点れすね~。』

「え?」

 

 そこで聞きなれない『少女』の声が聞こえる。何者なのか分からない。いや、まさか………。

 

「貴女は………。」

『ちょっと手伝ってあげるれす~。距離少しだけ離して~。』

「こ、こうですか?」

 

 言われた通りに時雨は距離を離すと、クウェイルは口部エネルギー粒子砲を放ってきた。

それを時雨が躱すと変化が起こる。何と『勝手に』左腰のパルスレーザー砲が動き、クウェイルのその口部を射抜いたのだ。

 

『ウソ!?』

 

 カメラアイを含め、頭部を破壊されたクウェイルは反射的に仕掛けた肇の時雨の展開式ビームブレードを防げずビームハルバードを斬られてしまう。あっという間に形勢が傾いた。

 

『射撃は下手じゃ………ウッ!?』

 

 そこで、クウェイルのパイロット………千鶴の様子が変わった。彼女は荒く何度も咳き込むと、急に機体を反転させたのだ。

撤退すると分かった肇の時雨は追撃をせず、泰葉のクレインの位置を探る。そして驚く。もうその機体は、港ギリギリまで迫っていた。しかも、飛行戦艦アルフォンシーノを連れて。

 

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