【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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藤原肇

「驚いたね!あたしの心を躍らせる機体が出てくるなんて!」

 

 日本の新型機の性能を目の当たりにしたキャシー・グラハムは、専用機である『ヒルマイナ』に乗りながら目を輝かせていた。これでもまだまだ15歳の乙女。遥かに性能の劣る量産機の睦月をひたすらイジメのように斬り刻む作業に辟易していた身としては、見た目が美しく更に高性能の機体の登場に熱い物を感じていた。

 

「とりあえず、仲間の仇は取らせてもらうよ!」

 

 カーボン強化実体剣を取り出すと突きの構えを取り、一直線に突撃した。

 

――――――――――

 

「あ、新手!?」

 

 先程の機体よりも速い突進攻撃を繰り出して来る機体に対し、左腕で防御の構えを取る。だが、相手………キャシーは眼前で急ブレーキを掛けると手元を捻り突きから左からの薙ぎ払いに姿勢を変える。

 

「ッ!?」

 

ガキィンッ!!

 

 右側から陽炎の胴体に実体剣が思いっきりぶつかり機体が思いっきり揺れる。

 

「きゃあああああああああああああッ!?」

 

 バランスを崩された陽炎はそのまま左側の建物に突っ込み派手な音を立てた。

 

『裕美ちゃん!?』

「う………うぅ………。」

 

 ダメだ、殺される。裕美は悟った。正直、素人目に見ても自分が敵う相手じゃない。じわじわと死の恐怖が裕美の中に広がる。

 

『なぁんだ。パイロットはまだ未熟だったのね。』

 

 美世とは違う女性の声が聞こえた。それは、キャシーがマイクで喋ってきたからなのだが、そこまでもう気が回らなかった。

 

『悪いけれど………戦争だからお互い様って事で。』

 

 目の前で剣が振り上げられる。

 

(美羽ちゃん………!ほたるちゃん………!乃々ちゃん………!)

 

 目を瞑った裕美は涙を流した。

 

『ッ!?』

 

 しかし、突然、キャシーのヒルマイナが後ろに飛ぶ。するとそこに別の実体剣が空から刺さった。

 

『増援!?』

 

 マイクをONにしたまま見上げたキャシーはそこに藤紫の機体が舞い降りてくるのを見た。陽炎とは違う美しさを持つその機体に、裕美は思わず息をのんだ。

 

『IDOLだね。戦えるとは思わなかったよ。』

『お褒めに預かり光栄です。』

 

 また違った女性の声が聞こえる。そして、茫然とする裕美の通信に別の画像が映った。

 

「貴女は朝歌ってた………。」

『あ、見てくれていたのですか。』

 

 それは朝のテレビ番組で踊っていた少女。シンデレラガールズのセンターを務めていた………。

 

『ありがとうございます。陽炎の機体と………美羽ちゃんの想いを守ってくれて。』

「……………。」

『私の名前は藤原肇。後は、私と『時雨』に任せて下さい』

 

 そう言うと、肇が時雨と呼んだ機体は突き刺さった実体剣を抜き構える。そして、バーニアを吹かせるとキャシーのヒルマイナに向かって振りかぶる。

 

『流石は日本の要!熟練だね!』

 

 キャシーもカーボン強化実体剣を構え、受け止める。受け止められたと見るや、時雨は何度か剣を左右上下から振りかぶる。ヒルマイナもそれを全部受け止め、やがてつばぜり合いになる。

 

『名前を聞きたいね………。』

『敵に対しては機密事項なので。それに………。』

『ッ!?』

 

 突如時雨の実体剣………『展開式ビームブレード』の刃がビームを纏う。ヒルマイナのカーボン強化実体剣はあっさり斬られ、とっさに飛び下がったヒルマイナの右足も腿から下が斬られてしまう。

 

『やられた!?ビームソードである事を隠してたね!』

『長距離飛行を行う以上、ジェネレーター出力の関係で貴女達はビーム兵器を持てないでしょう。』

 

 時雨に乗った肇は、バランスを崩して倒れたヒルマイナに迷うことなく展開式ビームブレードを突き出す。だが、それはキャシーのいるコックピットまで届かなかった。別の所から何かが投げつけられ、それをとっさに展開式ビームブレードで防御する必要が出たからだ。

 

『………扇子?』

 

 突き刺さった扇子が爆発し、視界が覆われる。時雨は陽炎のいる所まで飛びのき剣を構えなおす。見れば、ヒルマイナを庇うように今度は青い派手な模様の機体が立っていた。

 

『大尉!?』

『引くわよ、中尉。IDOL達の展開が予想以上に速かったみたい。押されてきているわ。』

『しかし、新型が………。』

『装備も十分じゃない以上、もう戦うのは得策ではないわ。一度石川に戻るわよ。』

『了解。』

 

 そうマイクで通信すると2機の指揮官機は撤退していく。周りを見渡せば生き残っていたダックの群れも次々と戦線を離脱しているのが分かった。

 

『終わり………みたいですね。』

 

 肇の通信を聞くまで裕美はずっと身を強張らせ、黙っていた。そして、その言葉を聞いた途端、急に視界がぼやける。

 

(美羽ちゃん………。)

 

 緊張と恐怖から解き放たれた裕美は目を閉じ、眠りに付いた。

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