【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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悪魔の所業

『な、何じゃアレは!?』

 

 巴の声に一同は戦慄する。

まだ射程外だと言うのに、何百もの円盤が一斉にこちらに向かってきたのだ。反射的に裕美が『手持ち式ビームキャノン』を撃ち、巴も遠距離狙撃用対物ライフルを数発放つが落としきれるわけが無い。まるで空を埋め尽くすようなその大群は、しかし裕美達を無視して後方へと飛んでいく。

 

「無視した!?まさか戦艦狙い!?」

『いや、こっちも素通りだ!?『アレ』は何を狙ってる!?』

 

 心の通信に裕美達はそれが東京の街へと一直線に向かっている事に気付く。

 

『ま、まさか………。』

『肇!?』

 

 肇は呟くと時雨の機首を反転させる。続いて巴の霞も。

 

「は、肇さん!?巴ちゃん!?」

『裕美、お前も向かえ!武蔵は自衛も出来る!嫌な予感がする!』

「は、はい!」

 

 心の通信に裕美も陽炎を反転させた。

 

――――――――――

 

「な、何………アレ………?」

 

 吹雪に乗った愛海は市街地で大量に飛来して来る円盤を見た。

反射的に防衛本能が働き『ジェネレーター展開式ビーム砲』を放つが、3つくらいを落とすのが精一杯だ。海岸線の睦月部隊も『レール砲』を連発するが、中々撃ち落とせない。だが、円盤は愛海達には興味を持たず、まっすぐに市街地へと散らばって行く。

確か、まだ街では人々がシェルターに避難をしている最中だったはずだ。そこで、愛海の奥底にぞわりとした考えが浮かぶ。

 

「も、もしかして………!?」

 

 愛海の最悪の予感は………当たってしまった。

円盤は………逃げる人を襲い、引き裂き始めた。

 

「あ、あぁ………。」

 

 拡大した画面に赤い物が飛び散るのが分かる。小型の円盤とはいえ、それは人型戦闘機械と比べればの話だ。人と比べれば、すり潰すくらいの事は簡単に出来る。

 

「み、みんな………。」

 

 地獄絵図が広がる東京の都心で愛海は、しかし通信を送る。

恐怖に耐えながら。胃の底から込み上げる物を堪えながら。

 

「みんな、助けてえええええええええええええええええええええええええええええっ!!」

 

 愛海の悲鳴が木霊した。

 

――――――――――

 

「こ、こんな事って………。」

 

 愛海から送られてきた映像を見た裕美は青ざめ、気絶しそうになってしまった。

円盤は街も巻き込んで暴れているからだろうか、東京の街では至る所で炎が上がるのを見た。

 

「人が………人の死に方じゃない………。」

『何故………こんな民間人を巻き込む事をまた………。』

 

 その低い声が肇のもたらす物だという事に、裕美は少し時間が掛かった。

時雨に乗った少女は『ビームダガー』を2振り抜くと、その刃にビームを纏わせた。

 

「は、肇さん………。」

『10年前と同じ………いや、それ以上の悪行………。』

「肇さん!」

『こんな事を………こんな事を平然と………ッ!』

 

 裕美の言葉を無視し、肇は叫ぶとそのまま街へと降下していく。対人兵器の円盤を片っ端から破壊するつもりなのだ。

それを見た巴も遠距離狙撃用対物ライフルを捨て、『速射式二丁拳銃』を構えると、裕美に通信を送る。

 

『裕美!あの円盤を全部壊せ!とにかく壊しまくるんじゃ!!』

「は、はい!」

 

 裕美も『ビームマシンガン』を取り出すと、巴と街へと降下していった。

 

――――――――――

 

(帝国は………何処まで人の命を弄べば………!)

 

 ビームダガーを振るい、円盤を破壊しながら肇は唇を噛み締める。

10年前、まだアメリカ合衆国と呼ばれていた国は、国力の拡大故か、それとも上層部の独断故か、新アメリカ帝国と名を改め、戦争を始めた。

その真っ先の対象となったのが平和条約を結んでいた日本。それも、平和の象徴の場所であった『広島』だった。

広島を中心とした地方で当時最新鋭だったダックが暴れまわり、被害が拡大した。それは広島の隣県であった肇の故郷『岡山』でも変わらなかった。当時両親と高速バスで家族旅行を楽しんでいた肇は無差別攻撃に巻き込まれた。

気付けば、肇以外の人は両親を始め、皆生き残っていなかった。………人としての原型を保ってなかった。

その光景が肇の脳裏にいつまでもいつまでも焼き付いている。………その時に負った『古傷』と共に。

 

(また………またあの時のような悲劇を………この人達はッ!!)

 

 とにかくバーニアを吹かし、ビームダガーで対人兵器を破壊していく肇は、上空の変化に気付く。

空では帝国のイーグルやダックが攻め込んで来ていた。

 

――――――――――

 

「うぉッ!?」

 

 巴の霞は突如飛来したビームを寸での所で躱す。見れば、イーグルが2体迫ってきていた。

いつの間にかレナを始めとした如月部隊は、対人兵器の破壊をする為に、武蔵や護衛艦『阿武隈』の防衛を担う最低限の数を残し、街へと舞い戻ってきていた。その為、海岸線の防衛が崩れ去った今、帝国は易々と突破し、進軍してきていたのだ。

 

「そぉいう事か………。」

 

 巴が低い声を発しながらイーグル達を睨みつける。

帝国の目的は対人兵器で撹乱し、その隙に本隊を東京攻略に差し向けるという物だったのだ。つまり、その為だけに、多くの民間人の血が流れている。

 

「悪魔か、お前らはッ!!」

『弟達の事が無ければ、誰がこんな事好きで………!』

 

 敢えてマイクで叫んだ巴にイーグルのパイロット………五十嵐響子は唸る。彼女は『ビームソード』を引き抜くと、若林智香の『速射式ビームガン』の援護を受けながら巴に迫る。

 

「チィッ!?」

 

 ビームソードは躱せたが、その後に飛んできたビームガンで速射式二丁拳銃を取り落としてしまう。その隙を狙い、一気に迫る響子のイーグル。

だが、巴の霞は右腕を突き出すと、その腕部が展開した。

 

『ッ!?』

「砕けろッ!!」

 

 実弾では有るが、奇襲用の秘密兵器である『腕部内臓ガトリング砲』を放つ霞。咄嗟に響子のイーグルは右腕で防御するが、ビームソードと片腕が砕ける。

 

『クッ………。』

『響子ちゃん!?………ッ!?』

 

 更に隙が出来た智香のイーグルに『踵内臓ビームカッター』の後ろ回し蹴りを喰らわせる霞。今度はガードした両腕が纏めて吹き飛んだ。

 

『撤退しよう!』

『うん………。』

 

 去って行くイーグル達を巴は追わなかった。追う余裕が無かった。彼女はそのまま腕部内臓ガトリング砲で再び対人兵器や近づく敵機を迎撃していく作業に回った。

 

――――――――――

 

「酷い………。」

 

 地上の凄惨な絵を見ながらほたるは『マシンガン』をダック達に叩き込んでいた。

イーグルはともかく、『対人スライサーユニット』のコンテナを背負ったダックは『ビームガン』しか持てないらしい。ビームを弾く『コーティング済み近接用振動ナイフ』を武器に持つほたるの如月にしてみれば、恰好の的だった。だからこそ、自分が出来る限り、対人兵器を移出している大元であるこの敵機を破壊しないといけない。

 

『大丈夫か、無理はするな!』

 

 ほたるとは違い、『マシンガン』でダックを撃破して回るプロデューサーの声が聞こえる。

だが、そこで下からビームが飛んできて、プロデューサーの如月のマシンガンが破壊された。見れば、そこにはイーグルが1機。だが、その動きは機敏だった。

 

『これ以上は、やらせませんっ!』

「女の子!?」

 

 無理に大人ぶっているようなそんな少女の声を聞いたほたるはもしかしたら自分と同じくらいの年齢なのでは?と一瞬思ってしまう。だが、そのイーグル………乙倉悠貴機は、ひたすらにプロデューサー機を狙ってくる。

 

『邪魔しないでもらおう!』

『当たりませんっ!』

 

 2つの機体が放った『ホーミングミサイル』同士がぶつかり合い、射線上で爆発する。

それを見たほたるは、とっさにプロデューサーの前に飛び、コーティング済み近接用振動ナイフを構える。予想通り煙の中から飛んできたビームを弾くと、彼女はそのままバーニアを吹かし、悠貴機に迫る。

 

『突撃っ!?あんなナイフでっ!?』

「私だって………!私だって!!」

 

 咄嗟にビームソードを引き抜いた悠貴のイーグルであったが、そこにコーティングされたナイフを構えたほたるの如月が勢いよくぶつかった。振動が起こり、コックピットのすぐ近くでビームが弾けるのが分かったが、ほたるはそのままフットペダルを踏み続けた。地上に勢いよく降下する2体の機体。下敷きになったら不味いと思った悠貴機は、とっさにほたる機を蹴り飛ばし距離を離すが、そこでバーニアに衝撃を受けた。

 

『狙撃っ!?撤退するしか………っ!』

 

 出来る限り全速力で後退していくイーグル。ほたるは後ろから乃々の『睦月・重装備型』が遠距離狙撃用対物ライフルでほたるを助けてくれた事に気付く。

 

「ありがとう、乃々ちゃん………。」

『お礼は後です。早く、この状況を何とかしないと………。』

「うん………。」

 

 プロデューサーの如月に自分のマシンガンを渡しながらほたるは頷く。

こんな非道な事はもう続けさせてはいけないと思った。

 

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