【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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交差する想い

 藤原肇のいる病院の一室に、裕美達は集められていた。

そこには心を始め、プロデューサー以外のシンデレラガールズの面々がそこにいた。プロデューサーは先の襲撃でも無事だった裕美の両親など、シンデレラガールズの関係者を回収して回っている。世論の悪意が向けられてしまえば、彼らにも迷惑が掛かる。だからこその行動であった。

 

「受け入れられるわけ無いじゃろ………。」

 

 心の話を聞き、開口一番に呟いたのは巴だった。

 

「うちらは何の為に戦ってきた!?日本を守る為に必死になってきたのに、用が済んだらお払い箱!?ふざけとるわ!!」

「巴ちゃん………。」

 

 吐き捨てるように叫ぶ巴の言葉に裕美も黒い物を感じていた。

上層部に好きに振り回された挙句、現場に無茶を強いた結果がこれだ。こんなの確かに受け入れられるわけが無い。

 

「肇!断固抗議じゃ!うちらを蹴った事を後悔させてやるぞ!」

「……………。」

 

 巴の言葉に、しかし肇は黙って窓越しに外を見ていた。

病院の外では記者や暴徒が集まってきている。緊急会見の影響は早速出始めていた。

 

「肇………?何して………。」

「巴ちゃん、私達はもう『戦うな』と言われたのですよね………。」

「お、おう………ふざけとると………。」

「いいじゃないですか、それなら。」

 

 肇の言葉に………裕美達は固まった。

彼女はこちらを見た。その表情には感情が籠っていない。思わず巴が動揺した。

 

「な、何言っとるんじゃ、肇!?こんな扱いをされてお前は………。」

「皆さん、もう戦わなくて済むのですよ?こんな嬉しい事は無いじゃないですか。」

「肇!?」

 

 信じられない物を見るように巴が叫ぶ。

 

「どうしたんじゃ、お前!?10年前の事はどうした!?故郷の悲劇は!?あの悲劇を繰り返さない為に戦うのがお前の信念じゃ無かったのか!?うちは………うちは、そんなお前の信念に憧れて付いて行くって決めたんじゃぞ!?」

「故郷の為に戦っているのが私達だけとは限りませんよ、巴ちゃん。」

「何を………!?」

「ライラさんでしたっけ………私が殺したパイロットも、ドバイを盾に参加されているって言っていました。」

 

 抑揚のない肇の言葉に裕美を始め皆が唖然とする。

あの残虐な作戦を行ったパイロット達は上からの命令で無理やり戦わされていた事を悟ったのだ。そして、その事実を知ってしまった肇は………。

 

「少し考えれば分かる話でしたよね。帝国側のパイロット達の中にも望まない戦いに駆りだされている者がいるのだと。でも、私は今までその事に目を瞑って剣を振るい、沢山の人達を殺してきました。そんな私がこれ以上………。」

「逃げるのか、肇!?芳乃や美羽の仇はどうするんじゃ!?それでいいのかお前!?」

「ならば、また人を殺しますか、巴ちゃん?」

 

 まるで慈母のような佇みにすら見える肇の言葉に、巴は体が震えているのが裕美には分かった。誰も何も言えない。その中で、肇は言う。

 

「美羽ちゃんも芳乃ちゃんも、自分達の仇討ちの為に、人を殺す事なんて望みませんよ。」

「それは………それは………。」

「皆さんも、これを機に考えて下さい。これ以上、人を殺す道を取りたいかどうかを。」

 

 肇は皆を見渡す。巴は何かを言いたかったが何も言えなかった。

裕美も言葉が浮かばない。

 

「肇………うちは………うちは………!」

「ゴメン、巴ちゃん、あたしもう無理………。」

「愛海!?」

 

 何とか振り絞ろうとした巴の耳に愛海の呟きが追い打ちをかける。

彼女は震えていた。自分の体を抱えながら。

 

「あんな怖い目にあって………、あんな怖い光景を見て………、それでも戦い続けるなんてあたしには無理………。あたしは………戦いたくない………。」

「止めろ、止めてくれ愛海!」

「本当にゴメン………ッ!」

 

 耐えきれず愛海は部屋を飛び出す。

それを見た巴は皆を見渡すが俯く事しか出来ない、裕美達一同を見て何も言う事ができず同じように部屋を飛び出す。

 

「愛海ちゃん………巴ちゃん………なんで………。」

 

 肇達の会話の中で何も喋れなかった裕美は、心の底で力の無さを悔やんだ。

 

――――――――――

 

 新設された格納庫では、量産型IDOLである夕雲がずらりと並んでいた。

シンデレラガールズの解体が発表された後、美世、沙紀、由愛のメカニック班は、こちらの整備を手伝う事になった。IDOLの整備に携わっていたから量産型の面倒も見られるだろうという上層部の判断故だ。しかし、現場では、彼女達は異端の目で見られていた。

 

「量産型IDOLねー。確かにジェネレーター出力、バーニア出力、武装などはIDOLに匹敵する物があるみたいだけれどコレ、どうやって開発したのかしら?」

「自慢したがりの開発者に聞いたっすけれど、IDOLの材質を加工する技術を確立した人達がジェネレーター周りの構造に関しても必死に勉強したって話っす。」

「へー、やっぱりみんな苦労してるのねー。」

「もっと大っぴらにやってくれた方がありがたかったっすけれどねー。」

 

 そんな視線も何処吹く風で美世と沙紀は夕雲について解析していた。

シンデレラガールズ達が必死に戦っている間、その陰で裏方に回っている人達は躍起になっていたのだ。それはそうだろう。彼らも上層部に使われる身。無茶をこなし続けていたのだ。

 

「確かにこの夕雲ならば、シンデレラガールズが無くても日本は守れるのかもね。」

「ハッ!今更気づいたのかよ、灰被り!」

 

 男の声に美世達は視線を向ける。

そこには複数の男達が傲慢な笑みを浮かべて向かってきていた。それは今まで如月のメカニックをしていた男達だ。

 

「………何すか?貴方達に構っている暇無いっすからナンパは後で頼むっすよ。」

「へッ!いつまでもお高く止まってるんじゃねえぞ?」

 

 沙紀が興味無さそうに言うが、男達の方は下品な笑みを隠そうとせず言う。

 

「この夕雲が出来た以上、もう灰被りの時代は終わったんだ!これからは俺達が活躍する時代なんだよ!そこら辺、上下関係分かってるのか!?」

「上下関係ねー………。」

 

 美世も面倒臭そうな顔をしながら明後日の顔を向いて呟く。

この男達は今まで戦力にならなかった如月のメンテナンスばかりしていた事で鬱憤が貯まっているのだ。彼らにしてみれば羨ましかったのだろう。日本を担うIDOLを整備出来ていた美世達が。それが妬みとなっていた。

 

「男の嫉妬って醜いねー。」

「モテそうにないっすねー。」

「テメーら………パイロット含めて役立たずの癖に、偉そうに踏ん反り帰ってるんじゃねぇよ!」

「おッ、やるっすか?」

「ケンカする気?」

 

 美世と沙紀が前に踏み出す。

こう見えてアイドルのレッスンや基礎訓練などをこなしているのだ。普通のメカニックよりもケンカには強い。一触即発の状況になる。だが………。

 

「違う………。」

「え?」

「ん?」

「何?」

 

 そこにか細い声が響いた。見れば、後ろで今まで何も言わなかった由愛が呟いていた。

拳を握りしめ、わなわな震わせながら………。

 

「ゆ、由愛ちゃ………。」

「みんなは役立たずじゃない!!」

『ッ!?』

 

 突然の大声に美世、沙紀、そして男たちは皆驚愕し、一歩後ずさる。

こんな由愛の大声は聞いた事無かったからだ。

 

「みんな必死に戦ってきた!辛くても!苦しくても!みんなずっと戦ってきた!!みんなは役立たずなんかじゃない!!みんなは!!みんなは………!!」

 

 あまりの大声に困惑する一同。そこに………。

 

「コラッ!何やってるの!?」

 

 反射的に男たちが一斉に敬礼するのが分かった。

見れば、そこには兵藤レナ、松山久美子、荒木比奈の部隊長が3人揃っていた。

 

「しょ、少佐殿………!」

「遊んでいる暇があったらさっさと整備しなさい!」

「も、申し訳ございません!」

 

 そそくさと退避していく男たちを見ながら、レナがため息をつき近づいてくる。久美子は半べそをかいている由愛を抱きしめると泣き場所を作ってあげた。

 

「御免なさいね、うちの整備班が無様な真似さらしちゃって。」

「いえ、いいんです。………あたし達も思わず熱くなっちゃいましたし。」

 

 レナの謝罪に美世達は思わず頭を下げる。

帝国がいつ攻めてくるかも分からないのに、仲間内で揉めている場合では無かった。売り喧嘩に買い喧嘩になる所だったと反省した美世達に比奈が話しかけてくる。

 

「長官達はああ言ってたッスけれど、夕雲は実際戦力になりそうッスか?」

「スペックだけを見れば如月より遥かに強いっすよ。………やっぱり新機体は嬉しい物っすか?」

 

 沙紀の言葉に少しレナ達は逡巡し、しかし答える。

 

「勿論よ………。だって今まで私達、全然貴女達の役に立ってなかったもの。」

「正直言って、凄く悔しかったんだから………。IDOLが自分達にもあればいいのにって何度も思ったわ。」

「だから………正直に言うと今回の配備は有り難いと思うッス。それでシンデレラガールズに全ての汚名を着せるやり方は納得できないッスが………。」

 

 これからは力を持てる。その事が旧如月部隊にとってはとても嬉しい事だったのだ。その感情は睦月で何とか応戦していた美世達にも何となくではあるが理解できた。

 

「やっぱりシンデレラ以外はみんな、今回の事は喜んでいるのかな………ん?」

 

 美世は見る。プロデューサーに連れられて、乃々とほたるがやってくるのを。

 

「プロデューサー、あの暴徒の中を潜って、わざわざ病院を抜け出してきたんすか?」

「ああ、レナ少佐達にお願いしたい事があってな………。」

 

 プロデューサーの言葉に、乃々とほたるが前に出てくる。2人は開口一番こう言った。

 

「レナ少佐………。」

「私達を、部隊に入れて下さい!」

『え?』

 

 レナだけでなく美世達も唖然とする。

彼女達にまで回す夕雲は無い。『睦月・重装備型』と如月で出ないといけないのだ。それでも頼みこんでくるという事は………。

 

「い、いいの?折角もう戦わなくていいチャンスなのに………。」

「どちらにしろ………軍に拘束される事には変わらないので………。」

「裕美ちゃん達が休んでいる間に、少しでも強くなりたいんです。」

 

 美世は知る。

乃々もほたるも、シンデレラガールズがまた復活する事を願っている事に。

 

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