【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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第19話「リザレクション」
強固なる『盾』


 新たな日本の戦力と新アメリカ帝国の部隊で間もなく戦闘が始まる。

その様子を前に、東京基地の司令部では、皆、興奮していた。

 

「いよいよ………!いよいよ我らのIDOLが帝国を圧倒する日が来るのですね!」

「そうだ!今までの状況もこれで打開される!我々は無敵になるんだ!」

 

 圧倒的な戦果を確信している司令官達はその喜びを隠そうとしない。

無理もない。これまでギリギリの戦いばかりして来たのだ。その鬱屈した展開が変わると言われれば誰だってこうなるだろう。

だが、その中で指示を出す肝心の長官だけは、笑顔をこぼしていなかった。

 

(『無敵になる』………か。自ら仕掛けた策とはいえ、こうも白黒別れると悲しい物だな。)

 

 長官は思う。司令官達が思い描いている日本の力の中に、あの今まで奮闘してきてくれた灰被り達の事は含まれていない。

いや、彼等だけでは無い。報道陣も。専門家も。都民達も皆、灰被りの事は忘れてしまった。

そう仕向けたのは長官自身だ。だが、その絶大な世論誘導の効果を改めて自覚すると残酷な事を平然としたものだと思ってしまう。

 

(私は、いつ『罰』を受けるのだろうな?)

 

 日本が生き残る為の最善の策を取ったつもりだ。

それでも灰被りにした事を考えれば悪行でしか無いだろう。

その報いを受けるのはいつになるのか。日本に本当の平和が訪れてからか。それとも………。

 

(或いは、『すぐ』かもしれんな。)

 

 長官は心の中で苦笑した。

 

――――――――――

 

「来たわね、帝国の部隊………。各機、『夕雲』のスペックがあるからって油断しちゃダメよ。」

 

 日本の量産型IDOL達の先頭に立つ兵藤レナが、新アメリカ帝国の部隊を睨みつける。

『イーグル』や『ダック』を中心とした部隊であったが、その真ん中に5体の専用機が居た。

赤褐色の『クウェイル』に白と黒の『クレイン』。それに赤と白の機体と赤と緑の機体、そして黄色の機体。

 

『5体ッスか………。全機、帝国IDOLと考えた方がいいッスかね?』

『だったら5体とも、『手持ち式ビームキャノン』並の高出力射撃兵器を使ってくると思った方がいいわね。』

 

 比奈や久美子の会話を聞きながらレナは指示を出す。

今までならば絶望的な状況。だが、今回からは違った。何故ならば夕雲にはそれを打開する兵器が搭載されていたからだ。

 

「だったらスマートじゃないけれど、撃たれる前に一斉発射するだけよ。各夕雲機、『双肩装備タイプ型ビームキャノン』発射用意!」

 

 レナの合図で、数十機の夕雲の両肩のキャノン砲が動く。

双肩装備タイプ型ビームキャノンは、その名の通り、両肩に装備された主兵装のビームキャノンだ。『陽炎』等のIDOLが持つ恐ろしい出力の手持ち式ビームキャノンを二門同時に発射する事が出来る。これだけでも火力が決定的に足りなかった『如月』乗り達からしてみれば、有り難い武装だった。

 

「全機………発射!!」

 

ズギュゥゥゥウウウウウウウウウウンッ!!

 

 凄まじい太さのオレンジの大口径ビームが一斉に発射される。

正直、レナはこの一発だけで大勢は決するのではないかと思っていた。裕美の陽炎が振るうその力を間近で見てきたのだ。その判断は決して驕りから来るものでは無かった。

 

 だが………。

 

「え?」

 

 レナは思わず怪訝な顔をした。

ビームキャノンの一斉射撃に対し、新アメリカ帝国側は、黄色の機体が一歩前に出ると両手を前に突き出し広げたのだ。

すると、広範囲に鏡のような物が貼られ、部隊の全ての人型戦闘機械を覆い………。

 

ガキィィイイイイイイイイイイイインッ!!

 

 何とその鏡に当たった全てのビームを遮断したのだ。

 

『な、何アレ!?あんな武装見た事無いわよ!?』

『巨大なシールドッスか!?ビームキャノンを全部遮断するなんて………!』

「落ち着いて!全機、収束砲撃!あの黄色の機体を狙って!!」

 

 動揺を隠せない久美子達に、レナは再攻撃を命じる。

拡散させて弾かれるならば、収束させれば………しかし、そう思って撃ったビームキャノンの束も帝国の黄色の機体がかざした両手の前にかき消されてしまう。

 

「如月部隊、『ホーミングミサイル』をありったけ叩き込んで!」

『は、はい!』

 

 実弾ならばとほたるを始めとした如月部隊がありったけのミサイルの雨を更に集中させる。だが、それでも黄色の機体にダメージは無かった。

 

「『エネルギーフィールド』?でも、効果範囲と防御能力が桁違いだわ………!あの機体、防御に全部スペックを割り振っているの………?」

『どうします、レナさん?面で防御してくるならば、三部隊を分散させて四方八方から囲い込む手段があるけれど………。』

『その分、正面突破はされやすくなるッス。とはいえ………。』

 

 久美子達の通信を聞きながらレナは考える。あの巨大な『盾』の性能が分からない以上、下手に接近戦を仕掛けるのは下策だ。だが、このままでは対処のしようがない。

 

「………久美子達は右、比奈達は左から囲い込んで。私達は撃ちながら後退してあの盾持ちの動きを見る!」

 

 やっぱり簡単にはいかない。そう思ったレナは指示を送った。

 

――――――――――

 

『日本軍は左右に展開。正面の部隊は後退しました。智香さん、ここまでは予定通り。』

「ありがとう、響子ちゃん。………じゃあ、みんな、準備はいいね。」

 

 『広範囲拡散エネルギーフィールド』を作り出し、日本軍のビームを弾いてみせた若林智香の黄色の機体………『カナリー』はその体勢のまま、前傾姿勢になる。

元々智香はみんなを応援するのが好きな性格だ。だが、実験の中でその努力は空振りに終わる事が多かった。応援しても応援しても、大切な仲間はみんな死んでいってしまう。

 だから、彼女は力を求めた。その想いが通じたのかは分からない。彼女はこの皆を守る機体カナリーとの適性を手に入れた。

 

「アタシは大切なみんなを守って見せる………。絶対に!だからみんな、力を貸して!」

『勿論です、岡崎泰葉、クレイン、戦闘行動に入ります。』

『松尾千鶴、クウェイル!同じく攻撃開始します!』

『乙倉悠貴っ、『アイビス』!い、いきますっ!』

『五十嵐響子、『フェザント』!支援に回ります!』

 

 智香のカナリーが盾を広げたまま勢いよく前進を開始する。

それに続いて帝国のIDOL達が追従していった。

 

――――――――――

 

「やっぱり、正面突破を図って来たわね!」

 

 レナの部隊はひたすら双肩装備タイプ型ビームキャノンを撃ちながら後退する。盾を展開している間は相手側も鏡を打ち破る事は出来ないらしく、イーグルやダック達はカナリーに匿われながら付いて行くだけだ。だが、数を減らせないのでは、市街戦に持ち込まれた時が辛い。

 

「下からも狙って!『阿武隈』、『主砲』を当てて………!」

 

 そう命じた途端、先頭の阿武隈の艦橋がビームで貫かれる。

見れば、盾を展開するカナリーのかなり後方の海面ギリギリから、赤と緑の機体、響子のフェザントが巨大な狙撃銃を持って阿武隈の艦隊に狙いを定めていた。

そこから放たれる威力はビームキャノンに匹敵する上に、射程が遥かに長い。

 

「『大口径収束狙撃型ビームスナイパーライフル』と言った所かしら………。盾役の次は援護役もいるなんて………。」

 

 日本にはまだビーム仕様の狙撃銃は無かった。実弾の狙撃銃も出撃中のメンバーでは、乃々の『睦月・重装備型』しか持ち合わせていない。優位な位置から狙い撃てるスナイパーが1人でも存在すると戦況は大きく変化する。早く排除しないと戦いの主導権は相手に転がってしまう。

 

「久美子ちゃん!比奈ちゃん!そっちは!?」

『あの白と黒のビット付の機体に妨害されています!深追いはしてこないけれど、その分ほとんどの機体が正面突破にしか興味が無いみたい!』

『こっちも似たような物ッス!口からビームを吐く機体が牽制するから思うように行動がとれないッス!一応、何とかイーグルとかは少しずつ撃破はしているッスが………!』

 

 左右からの併撃も上手くいっていないみたいだ。やはりまだ皆、夕雲を扱い切れていない上に、相手のIDOLの性能がこちらの想像を上回っている。

着々と不利になりつつある状況に、レナは苛立ちを覚えていた。

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