Fate/world end ~ソラノハテとリクノハテ~   作:神駆

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ACT.11

 

 

 冬木市民会館。今日、そこでは発表会が行われていた。キャスターのマスターであるコトネの発表は次に迫っている。

 

「うー、緊張する」

 

「コトネちゃんなら大丈夫だよ」

 

「うん…………って、ええーーーっ!!」

 

 独り言に返事が返ってきたことに驚くコトネ。更に、その声の主がリクであることがもっとコトネを驚かせた。

 

「あ! 静かに! ばれない様に来たんだから」

 

「う、うん。でも、どうやって?」

 

「それは内緒」

 

 内緒と言われれば聞きたくなるのが人間。だが、コトネには大凡予測がついていた。なにせ、自分に『魔法』という存在を教えたのは、まぎれもなく目の前の人物なのだから。

 

「そうそう。これ上手くいくようにお守り」

 

 そう言ってリクはポケットから、ペンダントを取り出す。そのペンダントは、蒼い石が雫のような形になっている。勿論、リクの魔術で()()()()の保護も掛けられている。

 

「わあー! ありがとう!!」

 

「どういたしまして。……ほら、もうそろそろだよ?」

 

「うん! じゃあ行ってくるね」

 

「ボクも席で聞いてるよ。そのあとは用事があるから会いに行けないけど、頑張ってね」

 

「うん!」

 

 控室から出て行くコトネ。一人その場に残ったリクは、以前コトネにあげた本を開く。

 

claudere(閉じよ). summonitionem(召喚)・SORA」

 

「あ、リク。コトネちゃんは?」

 

「発表会だよ。それより、ほらボクの記憶、さっさと受け入れちゃってよ」

 

「はいはーい。……完了だよー」

 

「じゃあ、ボクは行くよ。あとは頼んだ」

 

「任せときなさい。私は一部分とはいえソラなんだから」

 

 リクは本を閉じると、足を踏み鳴らし、その場から消えていった。

 

 

 

 

 

   ◆

 

 

 

 

 

「アイリ、ここを出る準備をしてくれ」

 

「急にどうしたの? 切嗣」

 

「セイバーがあれでは使い物にならない。それにこの城の在処は既に明らかになっている。ならば僕が用意した場所に移ったほうがいい」

 

「わかったわ」

 

 アイリスフィールはすぐに部屋を出て行き、準備を始める。勿論、舞弥もそれに付き従う。今日はいくらかマシとはいえ、やはり歩くことすら難しくなっているのだから。

 

 アイリスフィールが部屋を出たのを確認すると、切嗣は溜め息を吐く。それはセイバーの現状に原因がある。

 

 昨日のキャスター、バーサーカーの影響か、セイバーが部屋から出てこないのだ。アイリスフィールが行ったところでまともな返事も帰ってこず、もはやサーヴァントを失ったのと大差ない。

 

 切嗣は自分の願いの成就の為こんなことで諦めるわけにはいかない。ライダーの居場所も分からない以上、既に判明している時臣から始末することに決めた切嗣ではあるが、やはりアーチャーが気にかかる。特に、セイバーが使えない現状では。

 

「全く、役に立たない。あんなものが騎士王だというのならば、やはり騎士というものは間違っている」

 

 切嗣が一人呟いても、答えが返ってくるはずがない。

 

「まあいい。まずは出来ることをやらないとね」

 

 

 

 

 

   ◆

 

 

 

 

 

「おい、ライダー。何でまた急に霊体化なんかしてるんだよ?」

 

『ちょっと予感がしてな。どうも今日は大きく戦況が動きそうなのだ』

 

「……それ、本当か?」

 

『ああ。余の勘は中々に鋭くてな。そういえば、ダレイオスと戦う前もこんな感じだったのう』

 

 ウェイバーが朝起きてみると、なぜかライダーが霊体化していた。今までなるべく現界したままでいようとしていたライダーが。

 

 流石に不審に思ったウェイバーがそのことを聞くと、何やら戦況が動きそうだという答えが返ってきた。

 

「そうか。じゃあ、あそこに行くぞ、ライダー。お前を召喚した場所なら、魔力も満ちていくだろ? それに僕も協力してやる」

 

 ウェイバーは朝食もそこそこに、マッケンジー宅を出て行った。

 

 何者かがそれを見ていたのにも気づかずに。

 

 デパートで寝袋や栄養ドリンクを買い込み、コンビニで昼食を買ったウェイバーは、ライダーを召喚したその場に到着すると、魔法陣の点検を始め、そこに綻びがないのを確認するとその上にレジャーシートを敷き、昼食をとる。

 

『それ、うまいのか?』

 

「いいや。日本の食文化もたかが知れてるな。それよりもライダー、調子はどうだ?」

 

『うむ。ここならば夕方には万全の状態になるだろう』

 

「そっか。……なあ、ライダー。お前、やっぱり僕からの供給じゃ魔力足りなかったんだろ?」

 

 食べ終わり、寝袋の用意を始めるウェイバーはライダーに向けて話し掛ける。

 

『まあ、なあ。しかし、余の全開の魔力消費にお主を巻き込めば命すら危ういのかも知れんしのう』

 

「僕はそれでもいいんだ。聖杯を勝ち取るためなら……」

 

『余も聖杯とやらが()()()()()()()ならそれでもいいとは思う。しかし、それが虚であった場合、余はそういった有るのか無いのか分からぬもので、もう周りの者を死なせたくないのだ』

 

最果ての海(オケアノス)……」

 

『そうとも。この時代に召喚されて驚いたわ。まさか地が丸く閉じているとはな。……もし、余を無理矢理にでも止めてくれる臣下がいなければ、余は余に従う全ての者を死なせていたであろうよ。そういった裏切りが無いとは言い切れんのだ』

 

「それでも…………。まあいい。で? 次はどこと当たるつもりなんだ?」

 

『そうさのう。まずはセイバー。あやつの考えは誰かが正してやらねばならん。あのままでは可哀想だ』

 

「ふわぁ……。そっか。じゃあ、僕は寝るから、魔力どんどん取ってっても構わないからな」

 

 そう言った途端、ウェイバーから取られていく魔力が増える。襲ってくる眠気に抗うことなくウェイバーは眠りについた。

 

 

 

 

 

   ◆

 

 

 

 

 

 綺礼は昨夜の言いつけどおり、遠坂邸を訪れていた。

 

「それで導師(マスター)。一体何用で」

 

「一応、遺言状を、と思ってね。この先いかに英雄王をしても不測の事態が起きないとは限らない。この遺言状には、綺礼、君が凛の後見人になることが記してある」

 

「私でよろしいのですか」

 

「ああ。君ほど優秀な生徒はいないよ。それと、これを」

 

 時臣が古めかしい箱から取り出したのは、アゾット剣とよばれるものだった。

 

「これを、君に。私からの餞別だ」

 

「ありがとうございます。導師」

 

 綺礼はその剣を手に取ると、眺める。

 

「気に入ってもらえたようでなによりだ。さて、私はこれから少し出てくるよ。私が帰ってくるまでいてもらっても構わない」

 

 時臣は綺礼に背を向け、部屋を出ようとする。

 

 だが、その望みは永遠に叶わない。

 

「な…………」

 

 時臣が背を向けた瞬間、綺礼は代行者として鍛えたその身体を使い、アゾット剣で心臓を的確に刺す。少しの痙攣ののち、時臣は死亡した。

 

 まるでそれに合わせるように、黄金の光が集まり、アーチャーが姿を現す。

 

「おやおや、これはこれは。まさか(オレ) のマスターが死ぬとはな。……おや? そこにいるのは敗退したにも関わらず令呪を持っている綺礼ではないか」

 

 あまりにも演技がかった口調に綺礼は苦笑する。

 

「ふむ。ならばアーチャー、私と再契約するか?」

 

「いいだろう」

 

「告げる。汝の身は我の下に、我が運命は汝の弓に。聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うのなら、我に従え。ならばこの命運、汝が弓に預けよう」

 

「アーチャーの名に懸け誓いを受ける。貴様を我が主として認めよう」

 

 ここに、最後のマスターが誕生した。

 

 

 

 

 

   ◆

 

 

 

 

 

 冬木市沖合。

 

「ふふふ。やっとボクの魔力もいっぱいになってきたね」

 

『――――――』

 

「うん。じゃあ、夜になったら仕掛けるとしようか」

 

『――――――』

 

「さーて、覚悟してよね? バーサーカー」

 

 

 

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