ぱらど「先生! 六時間目の総合はなにするの?」
黎斗先生「皆さんには宝探しゲームをしてもらいたいと思います。校庭に埋まっている宝を一番多く見つけ、先生に持ってきた子が優勝です」
にこ「一位は私よ!」
きりや「いいねいいね! フゥー!」
ひいろ「勝ってどうなるというんだ?」
えむ「もしかしてびびってる? 一個も見つけられなかったらやだもんね」
ひいろ「うるさい!」
黎斗先生「そうそう、お宝の近くにはゲームを有利に進めるための便利アイテムを置いていますので、お好みでお使いください」
まさむね「つまり出だしが肝心と」
ぽっぴー「便利アイテムって?」
黎斗先生「それは見つけてからのお楽しみです。それでは校庭に行きましょう」
黎斗先生「制限時間は三十分。では、いってらっしゃい」
たいが(考えろ……先生はこう言っていたな。"埋めた"って。もし俺たちが取り損ねたとき、埋めたものは回収しなければならない……となると、何らかの目印があると考えるのが普通だな)
まるで自分は天才かのように思い込むたいがくんですが、他のみんなも同じことを考えています。
ぱらど「ノーヒントはあり得ない。パネルとかないか……あった」
木製の小さい板が、木の幹に杭で打ち付けられています。それには↓と書かれていました。
ぱらど「ここにあるんだな? 掘ってみよう」
両手を使って地面を掘ろうとするぱらどくん。しかし、グラウンドは児童に踏まれて押し固められているため、少しも堀進められません。
ぱらどくんは靴を脱ぐと、ショベル代わりにして再び挑戦しました。だけど奥深くに隠されているのか、一向に宝は姿を現しません。
ぱらどくんは断念し、別の場所を探しに行きました。
えむ「まずは一つ目ゲット!」
他方でえむくんは、タイヤの下から赤い箱を見つけました。中を開けると、ゲキトツロボッツのガシャットロフィーが入っています。さらに、箱の横にはL字に曲がった太い針金が二本埋まっていました。
えむ「トロフィーの後ろに3と書いてあるけどどういう意味だろ? それになんだこれ? 先生の言っていた便利アイテムってこれのこと?」
えむくんは二本の針金を持って、次のお宝を探しに行きます。
ジャングルジムの周辺には、ぽっぴーちゃんがいました。近くをくまなく探しますが、なかなか手がかりは見つかりません。
そこへ、えむくんがやって来ました。そのとき、針金がわずかに揺れます。
ぽっぴー「えむが持っているのって、ダウジングじゃない?」
えむ「なにそれ?」
ぽっぴー「簡単に言うとね、お宝がどこにあるかわかるの」
えむ「マジ!? 俺ムテキじゃん!」
ぽっぴー「歩いてみようよ。そうすればもっと反応するよ」
えむくんがジャングルジムの端に足を踏み入れたとき、ダウジングマシーンがガバッと開きました。二人はその真下を掘ります。
地中には宝箱が眠っていました。えむくんは箱を開けようとしますが、固くてびくともしません。ぽっぴーちゃんも試しますが、結果は同じでした。
えむ「便利アイテムもないね」
ぽっぴー「箱に一緒になってるのかもね」
にこ「よっしゃぁ! アイテムとお宝ゲット!」
松の木の根元にて、ニコちゃんはジェットコンバットのガシャットロフィーと、航空写真を手に入れました。写真にはトロフィーの位置に丸がつけられています。
ニコ「お宝は全部で十個あるのね」
まさむね「どこだ? でてこい!」
まさむねくんはなかなかトロフィーを見つけられません。そこで、彼はクラスメートからトロフィーを奪う作戦に出ました。
まさむねくんの視線の先には、あすなちゃんがいます。彼は素早く駆け出しました。
あすな「あったあった!」
その頃あすなちゃんは、シャカリキスポーツのガシャットロフィーを見つけていました。
一緒に入っていた鍵を、近くに停めてある自転車に挿すことで、彼女は自転車が使えるようになりました。
あすなちゃんはペダルをこいで、まさむねくんから簡単に逃げ延びます。
まさむね「うぐぐ……」ガックシ
時を同じくして、ひいろくんはタドルクエストのガシャットロフィーとツルハシを、きりやくんは爆走バイクのガシャットロフィーとキックボードをゲットしました。
ぱらど「ここにあったか」
ぱらどくんは百葉箱の下から宝箱を発見します。ギリギリチャンバラのガシャットロフィーと、スコップが入っていました。
近くにいたまさむねくんは、それを奪い取ろうとします。そこへ、きりやくんとひいろくんが現れました。
きりや「悪乗りがすぎるんじゃ?」
ひいろ「ルール違反だ」
まさむね「私こそがルールだ!」
ぱらど「どうせ自力で見つけられなかったんだろ?」
まさむね「……」
たいが「いや、他人の宝を横取りしてはいけないなんてルールはない」
輪ゴムが発射され、ひいろくんの手に当たりました。
たいがくんはバンバンシューティングのガシャットロフィーを見つけたとき、アイテムのゴム鉄砲を入手していたのです。
ひいろ「よくも!」
ひいろくんはツルハシを振り上げて抵抗します。二人はトロフィーを巡って戦い始めてしまいました。
きりやくんはさっさと離れ、まさむねくんがそれを追います。二人は本来の目的を忘れ、しばし追いかけっこに興じました。
その間に、ぱらどくんは始めに訪れた木に戻ります。彼はスコップを用いて、宝箱を掘り起こしました。
蓋も固くて開かなかったので、スコップで破壊します。中にはドラゴナイトハンターZのガシャットロフィーと、ペンが入っていました。
ぱらど「なんでペン?」
えむ「あといくつあるんだろう?」
ぽっぴー「わからないけどどんどん見つけよう!」
一方えむくんはあれから、マイティアクションXのガシャットロフィーと、それに付属する便利アイテムのハンマーを掘り起こしていました。
ジャングルジムで見つけた宝箱を、ぽっぴーちゃんは地面に置きます。
えむ「とりぁ!」
ハンマーを振り下ろすえむくん。箱は粉々に破壊され、中からはドレミファビートのガシャットロフィーと、小さなラジカセが出てきました。
ぽっぴー「ありがとう! えむ!」
えむ「たくさん見つかったね!」
えむくんたちのもとへ、みんながやって来ました。
にこ「これで最後ね」
ひいろ「なぜわかるんだ?」
にこ「ジェットコンバットを見つけたときに、写真があったのよ。それには丸が十個つけられていたの。写真見せたげようか」
あすな「それはどこにあったの?」
にこ「松の木の根元」
ひいろ「そこに丸はつけられていないぞ」
まさむね「それは本当か?」
ひいろ「あぁ。だいたい、すでに発見された宝の位置をわざわざ書く必要はない」
たいが「つまり宝はあと一つあるってことか」
きりや「もう残り一分しかない。ニコちゃんの地図から、すでに見つけた地点を消すんだ!」
みんなはそれぞれ、自分が回収したトロフィーのあった場所を指で押さえました。一ヶ所だけ隠されない場所ができます。
そこはみんなが出発したスタートであり、黎斗先生が待つゴールでもある、水飲み場の前でした。
みんなは目的地に向かって走り出します。きりやくんとあすなちゃんは、キックボードと自転車を持っているため、みんなより一足早く到着しました。
黎斗先生「時間はまだありますが、降参ですか?」
あすな「とぼけないでよ。この下にあるんでしょ?」
黎斗先生「その通りです。しかし、残り二十秒で見つけられますか?」
きりや「自分たちのチームワーク、舐めてるとクラッシュするよ?」
えむくんたちも駆けつけます。
にこ「だけど蛇口は二十個以上あるのよ? とても探しきれない……」
ぽっぴー(ガシャットロフィーの裏の番号にも何か秘密があるはず……もしかして)
ぽっぴー「みんな! トロフィー見せて!」
ドラゴナイトハンターZの裏には1、シャカリキスポーツには2、ゲキトツロボッツには3、バンバンシューティングには5、ギリギリチャンバラには6、タドルクエストには7、爆走バイクには8、ドレミファビートには9マイティアクションXには11、と降られていました。
これらは黎斗先生が仮に降った通し番号です。その真意を、ぽっぴーちゃんは読み解きました。
ぽっぴー「残った番号は4! ラジカセのダイヤルをそれに合わせるよ!」
ラジカセ『中央』
ぽっぴー「中央だって! えむ! 早くダウジング!」
えむくんが真ん中の蛇口へ駆け寄ります。手のダウジングは大きく広がりました。
すぐにひいろくんとまさむねくんが、ツルハシとスコップで地面を掘ります。
まさむね「でてきた!」
えむ「おれに任せろ!」
宝箱が掘り起こされました。えむくんはダウジングマシーンをハンマーに持ち代えると、勢いよく振り下ろします。
しかし、箱はびくともしません。
えむ「そんな……」
あすな「自転車で踏み潰そう!」
ぱらど「たぶん威力の問題じゃない。どうすればいい……」
黎斗先生「5……4……」
にこ「ヤバイよ!」
たいが「カウントなんてさせるか!」
たいがくんは咄嗟に、黎斗先生をゴム鉄砲で撃ちました。弾の輪ゴムが、握られていた懐中時計を吹っ飛ばします。
ぱらど(考えろ。このゲームで便りになるのは便利アイテムの存在だが……。宝を手にいれるため、ペン以外のアイテムはすべて使われてきた。ということは、ペンにも何か用途があるのか……?)
ぱらど「わかったぞ! えむ! 箱をこっちに!」
えむ「うん!」
ぱらど「パズルは解けた!」
箱が渡されました。ぱらどくんはすぐに、箱の横の小さな穴に気がつきます。ぱらどくんはその中に、ペンの先を突っ込みました。
その瞬間、これまでびくともしなかった蓋が、ぱっかりと開いたのです。
ぽっぴー「やったぁぁ!!」
まさむね「グッジョブ」
ぱらど「やっ……た……!」
黎斗先生「おめでとうございます。では、箱の中のものを取り出しましょうか」
ひいろ「ゲームカセットか?」
たいが「なるほどな、だから力づくで壊されないようにしたってわけか」
あすな「乱暴に扱ったら壊れちゃうもんね」
きりや「あれ? 見たことないゲームだな」
黎斗先生「それは私が新たに開発したゲームですから。その名もデンジャラスゾンビ!」
にこ「なんかすごそう!」
ぱらど「ところでこれに便利アイテムはないのか?」
黎斗先生「一応アイテムとして投げ縄を用意しておきましたが、それはもう必要ないでしょう。今の君たちにはより優れたアイテムがありますので。友だちはお宝ですよ」
ぱらど「結局、俺たちは先生の掌で転がされてただけかよ。楽しかったぜ!」