エグゼイドのキャラを小児化してみた   作:ぽかんむ

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前回のあらすじ
 ひいろくんの彼女であるさきちゃんは、ぐらふぁいとくんと二股をかけていました。二人とも平等に愛すと宣言するさきちゃんですが、彼らは納得できません。
 そこで、二人は野球で勝負をすることを決めました。勝った方だけがさきちゃんと付き合うのです。


ベースボールバトル! VSぐらふぁいとくん

学校

 

 

ひいろ「……というわけなんだ。頼む俺に力を貸してくれ」

 

たいが「当たり前だ」

 

えむ「絶対に勝とう!」

 

にこ「……やめとかない……?」

 

ぽっぴー「どうしたの? らしくないね」

 

にこ「……いや、なんでもない……」

 

ひいろ「嫌なら無理にとはいわない」

 

にこ「そ……そんなわけないじゃん! やってやるよ」

 

黎斗先生「面白そうですね、場所は決まっていますか?」ガラッ

 

ひいろ「ここのグラウンドでおこなう」

 

ぱらど「先生の頭脳が合わされば無敵だぜ。必勝法とかないのか?」

 

黎斗先生「基本的なルールと初歩的な戦略と効率的な練習方法以外を教える気はありませんよ」キッパリ

 

あすな「そんな……」

 

まさむね「至れり尽くせりじゃないか」

 

黎斗先生「人から教わるだけじゃない。失敗しても躊躇わずに、自分たちで必死に考えるのも勉強です。三人いるだけで文殊の知恵が生まれるのです。ましてや君たちは九人! 恐れることはありません」

 

きりや「まっ、乗せられてみっか」

 

ひいろ「早速作戦会議を開始する! まずは打順……」

 

黎斗先生「駄目です。授業はしっかり受けましょう」

 

 

 それから一週間、ひいろくんたちは猛特訓を重ねました。

 そしてきたる決戦の日……!

 

 

黎斗先生『こちら、本日実況解説審判を受け持つ檀黎斗です。そしてゲストにお迎えするのは、我が校を転校したさきちゃん!』

 

さき『よろしくお願いします』

 

黎斗先生『いやー、しかし連日の猛暑の中、両チームともさぞかし努力したのでしょうね』

 

さき『そうですね、どんな試合運びになるのか楽しみです!』

 

黎斗先生『両チームとも服装は白い体操服。胸元にそれぞれの校章と名前が記されています。ぐらふぁいとくんだけは緑の服を着ていますが、あれにはどのような意図があるのでしょうか?』

 

さき『私にアピールしたいのではないでしょうか?』

 

黎斗先生『なるほど。さて、時間になりました。両チームは向かい合ってください』

 

ぐらふぁいと「ひいろ、お前は絶対に俺が潰す。だが、あと二人許せない奴がいる」

 

えむ「誰?」 

 

ぐらふぁいと「一人目はにこ! 貴様は俺たちから逃げ出した裏切り者だ。その代償は払ってもらおう」

 

にこ「うぅ……」

 

えむ「どういうこと?」

 

ぐらふぁいと「そいつは元々俺たちと同じ学校に通っていたのに転校した。だから裏切り者だ」

 

きりや(だからにこちゃん怯えてたのね)

 

ぐらふぁいと「そして二人目はたいが! 貴様は俺の仲間に傷を負わせた。その借りを返す」

 

たいが「にこに襲いかかってきた奴等のことか? それならお前らが先に乗り込んできたんだろうが」

 

さき『雰囲気が悪いですね』

 

黎斗先生『それだけ彼らの士気が充分ということですね。面白いゲームになるでしょう。それでは代表者通しでじゃんけんを行ってください。勝った方が先攻です』

 

ひいろ「じゃん」

 

ぐらふぁいと「けん」

 

「「ぽん!」」

 

ひいろ「俺の勝ちだ」

 

黎斗先生『先攻は我らが来騨(らいだ)小です! どれだけ先制点を取れるかで変わるでしょう。それでは各自持ち場についてください』

 

さき『各選手が持ち場につきましたね。ではここでルールを確認します。試合は最高で五回まで! また、制限時間は一時間とします。もし途中で時間が過ぎた場合は、その回限りで終了です。また、今日は暑いため、一回が終わる度に三分の休憩を取りたいと思います』

 

 

黎斗先生『来騨小VS馬救須田(ばぐすた)小が今始まりました。馬救須田の先発、ぐらふぁいと、実力は未知数。来騨の1番バッターきりやがバッターボックスに入る』

 

えむ「頑張って!」

 

きりや「おう! なんとしてでも塁に出てやる!」

 

ぐらふぁいと「まずは肩慣らしだな」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャーぐらふぁいと一球目を投げる! 内角低めの球に対して、きりや動けない! なんという球の速さなんだ! とても小学生とは思えない!』

 

さき(人格変わった!?)

 

きりや「球威も速さもコントロールも桁違いだな」

 

ぐらふぁいと「バットくらい振ったらどうなんだ?」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャー二球目を投げる! 外角高めだ!』

 

きりや「次はそうさせてもらうわ」カキーン!

 

黎斗先生『きりや宣言通り打ったぞ! そしていきなりのツーベースヒット! ピッチャーぐらふぁいとを過信しすぎた守備陣! 反応が遅れた! ノーアウトランナー二塁!』

 

きりや「へへーん! どうよ」

 

がっとん「ぐらふぁいと! しっかりしろ!」

 

ぐらふぁいと「雑魚だと思って油断した。次はない」

 

あすな「私もきりやに続くよ」

 

黎斗先生『二番のあすながバッターボックスに入る! ぐらふぁいと一球目を投げた! 球は先程よりさらに速い! あすなはバットを振るも空振り! ストライク!』

 

あすな「えっ?」

 

ぐらふぁいと「少しレベルを上げた。まさかもう着いてこれないのか?」ビシュッ!

 

あすな「そんなわけないでしょ?」スカッ!

 

黎斗先生『内角低めの二球目も空振り! 三球目が投げられた! 外角高めだ! あすな打ったがフライ! センターのちゃーりーがキャッチしてアウト! 走り出したきりやは、慌てて戻ったためセーフ! ワンアウトランナー二塁!』

 

あすな「ごめん……」

 

ぱらど「いや、お前のお陰でやつの打ち方を模索できた」

 

黎斗先生『三番レフトのぱらどが登場だ! 日頃のゲームの成果は発揮されるのか!?』

 

ひいろ「頼むぞ……」

 

ぐらふぁいと「はぁぁ!」ビシュッ!

 

黎斗先生『ぱらど! 三球三振! バッターアウト! ツーアウトランナー二塁!』

 

えむ「ぱらど?」

 

にこ「さっきまでの自信はなんだったの?」  

 

ぱらど「いや……模索はしたけど答えはでなかったというか……」

 

まさむね「安心するといい。次は私だ。ホームランを打って二点先取するだけだ!」

 

ぽっぴー「あ、うん。頑張ってね」

 

黎斗先生『四番ファーストのまさむねがバッターボックスに入る!』

 

グラファイト「四番か。一応警戒しておくか」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャーぐらふぁいと投げた! 球の速さは若干遅く、外角高めだ! これなら打てるか!?』

 

まさむね「ふん!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライク! もっとよく見ろ! 振ってなかったらボールじゃないかあれは!?』

 

まさむね「次こそは!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライク! ストライク! 三振だ! なんでもかんでも振ればいいわけじゃない! スリーアウトにつきチェンジ! この回来騨は一点も取ることができなかった! 残念!』

 

まさむね「なぜだ?」ダッ!

 

たいが「初めから誰もお前には期待してねぇよ。打順決めるときに駄々こねただけのド素人じゃねぇか」ダッ!

 

にこ「マジあり得ないんだけど」ダッ!

 

ひいろ「仕方ない。切り替えるんだ」ダッ!

 

えむ「ひいろくん、ピッチャーよろしく!」ダッ!

 

 

さき『さて、一回裏になりました』

 

黎斗先生『馬救須田小の一番はショートのばーにあ! どんな活躍を見せてくれるのか?』

 

ばーにあ「爆撃こそ正義!」

 

ひいろ「これより投薬治療を開始する」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャーひいろ投げた! 内角低めの鋭いピッチング! ばーにあ軽々と打つ! 球はレフト方向に飛んだ! ばーにあセーフ! ヒットだ! ノーアウトランナー一塁!』

 

ひいろ「次はない。特訓の成果を見せてやる」ビシュッ!

 

もーたす「そんなものか」ブン!

 

ちゃーりー「特訓の成果とやらは!」ブン!

 

黎斗先生『二番のもーたす、三番のちゃーりーに相次いでヒットを打たれ、あっという間にノーアウト満塁だ! そして四番はピッチャーぐらふぁいと! 来騨いきなりのピンチ!』

 

ひいろ「はぁぁ!」ビシュッ!

 

ぐらふぁいと「焦ってるな」

 

黎斗先生『ひいろ一球目はボール。立て続けにヒットを量産されたことに対する恐れが見受けられる! もっとリラックスするんだ!』

 

あすな「打たれても私たちが取るから! 安心して投げて!」

 

ひいろ「俺としたことが完全にビビってしまった」

 

ぐらふぁいと「そうだ。それでこそ打ちがいがある」

 

ひいろ「はぁ!」ビシュッ!

 

ぐらふぁいと「!」スカッ!

 

黎斗先生『二球目はバッターの空振りによりストライク! 完全に調子を取り戻したか! 私との一週間のゲーム修行を思い出せ!』

 

ぐらふぁいと「ゲームだと? 舐めやがって……」

 

黎斗先生『ピッチャー三球目投げる! 外角低めだ! ぐらふぁいと打った! 打球はセンター方向に飛ぶ! タイムリースリーベースヒット! 馬救須田一気に三点を獲得! ノーアウトランナー三塁!』

 

さき『決まっちゃいましたかな?』

 

黎斗先生『五番ファーストのかいでんがバッターボックスに入る! ピッチャーひいろが第一球を投げた! スラッガーを警戒して外角低めを狙うが、これはボール!』

 

ひいろ「これ以上失点するわけにはいかない」ビシュッ!

 

黎斗先生『二球目も外角低めだ! かいでん打った! 打球は三遊間を抜けていく! タイムリーツーベースヒット! ぐらふぁいとがホームインして一点追加! 早くも0VS4だ! ノーアウトランナー二塁!』

 

さき『馬救須田、圧倒的な強さを見せつけております!』

 

黎斗先生『続いてのバッターは六番キャッチャーがっとん。ひいろ一球目を投げる! 内角高めだ! がっとん空振り!』

 

ひいろ「はぁっ!」ビシュッ!

 

黎斗先生『二球目は外角高め! がっとん見逃しストライク!』

 

ぱらど「ここに来てバッターの質が低下してきたな」

 

黎斗先生『三球目を投げた! 今度は内角高めだ! がっとん空振り! ひいろ初の三振を獲得した! ワンアウトランナー二塁!』

 

さき『最低限これくらいらしてもらわないとね』

 

黎斗先生『次のバッターは七番レフトのそるてぃ! ひいろ一球目を投げた! 外角低めのストレート! そるてぃ打った! 打球はショートのあすながダイレクトキャッチ! ファーストのまさむねに送球してそるてぃアウト! まさむねさらに、サードのぽっぴーに送球! ぽっぴーしっかりキャッチして、かいでんアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

さき『一回裏までの点数は0VS4。それでは三分の休憩に入ります。水分補給を忘れずに!』

 

 

黎斗先生『二回表、ピッチャーは引き続きぐらふぁいと! バッターは五番キャッチャーにこ!』

 

ぐらふぁいと「降参はしないか」

 

にこ「当たり前でしょ。それにあんたの球は見切った!」

 

ぐらふぁいと「ハッタリか」ビシュッ!

 

にこ「いけー!」カキーン!

 

ぐらふぁいと「なに!?」

 

黎斗先生『にこ打った! 球は高度を上げていく!』

 

ぐらふぁいと「そんなフライでよく大見得を切れたな」

 

黎斗先生『レフトのそるてぃ! グローブを掲げて後退し、球の落下を待つ! が、球を落としてしまった! エラーだ! もたもたと球を拾って、ファーストのかいでんに投げるが、そのときにこはすでにベースを踏んでいた! ノーアウトランナー一塁!』

 

たいが「あいつやるな。次は俺の番だ」

 

黎斗先生『六番たいががバッターボックスに入る! ぐらふぁいと一球目を投げた! 内角低め! たいが豪快にバットを振るが空振りだ!』

 

たいが「間近で見て速さは覚えた。次こそは!」スカッ!

 

黎斗先生『またしても空振り! ぐらふぁいとは球の速度を変えることで緩急を生み出し、バッターを惑わしているぞ! しかしたいが、格好つけている割にはまさむねと同程度には下手だ!』

 

きりや「そういうこというのやめてやれよ」

 

黎斗先生『ぐらふぁいと三球目を投げる! たいが打った! 球はセカンドのりぼるがキャッチし、ファーストのかいでんに送球。たいが、間に合わずアウト! ワンアウトランナー一塁!』

 

ぽっぴー「いくよー!」

 

黎斗先生『続いては七番サードのぽっぴーだ! 趣味の歌やダンスで身につけた体力はどこまで通用するのか!? 目が話せない!』

 

さき『そりゃそうでしょ』

 

黎斗先生『あっ、誤字った』

 

ぐらふぁいと「それ!」ビシュッ!

 

ぽっぴー「うわっ!」スカッ!

 

黎斗先生『一球目はストライク!』

 

ぐらふぁいと「雑魚は引っ込んでろ」ビシュッ!

 

ぽっぴー「ピプペポパワー!」ブン!

 

黎斗先生『ピッチャー二球目を投げた! 内角高めだ! ぽっぴー打った! 打球はレフト方向に流れる! ぽっぴーセーフ! ワンアウトランナー一二塁!』

 

ぽっぴー「やったー!」

 

あすな「ぽっぴーちゃんやるー!」

 

えむ「次は僕だ。緊張するな……」

 

ぱらど「大丈夫だ。もしお前がダメでもひいろが何とかしてくれるさ。だから安心して空振ってこい」 

 

えむ「その言い方はなんか嫌だけど」

 

黎斗先生『八番ライトえむがバッターボックスへ! ぐらふぁいとに対して天才ゲーマーはどう挑む!?』

 

えむ「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」ギラッ!

 

ぐらふぁいと「雰囲気が変わった?」

 

黎斗先生『ここで説明しよう! えむはゲームをプレイするときに性格がちょっと荒くなるのだ! これまでの優男はもういない!』

 

さき『むしろ猛威上がってませんかね』

 

ぐらふぁいと「ゲームと実戦は違う」ビシュッ!

 

えむ「そんな球で俺に勝つつもりか?」カキーン!

 

黎斗先生『外角高めの球をえむ打った! ランナーたちが激走し出す! 球はセンター前に流れる! ツーベースヒット! にこがホームインして一点を獲得! ワンアウトランナー二三塁!』

 

にこ「よし!」

 

きりや「お疲れ!」

 

黎斗先生『にこがチームメートとハイタッチを始めた! 初得点はやはり嬉しいものだからな! しかしまだ1VS4! もっと点を稼ぎたいところ!』

 

さき『まあ私としてはどちらが勝っても構わないのですが』

 

ひいろ「俺に切れないものはない」

 

黎斗先生『満を持して来騨のキャプテン 九番ピッチャーひいろのお出ましだ! ぐらふぁいとが一球目を投げる! ひいろが打つがこれはファウル!』

 

ぐらふぁいと「俺の球に適応しつつあるというのか?」ビシュッ!

 

ひいろ「この手で必ずさきを取り戻す!」カキーン!

 

黎斗先生『ピッチャーの二球目をひいろ打った! まずい! フライだ! えむはセカンドに留まるが、ぽっぴーは走る! レフトのそるてぃがキャッチしてひいろアウト! 続いてそるてぃはサードのもーたすに球を送球! 引き返すぽっぴーだが間に合わない! ぽっぴーアウト! ゲッツーが決まった! スリーアウトチェンジ!』

 

ひいろ「すまない」ダッ!

 

ぽっぴー「判断誤った私が悪いよ」ダッ!

 

えむ「まだ挽回できる」ダッ!

 

 

黎斗先生『さあ二回裏! 馬具須田の攻撃だ! 来騨としてはこれ以上の失点は避けたいところ!』

 

りぼる「行ってくるかな」

 

黎斗先生『八番りぼるがバッターボックスに入る! ひいろ第一球を投げた! 内角高めだ! りぼる空振りでストライク!』

 

ひいろ「無駄だ」ビシュッ!

 

黎斗先生『二球目は外角低め、三球目は内角低め! りぼる相次いで空振り、アウト! よく見るとさっきまでとひいろの投球ファームが違う!?』

 

ぐらふぁいと「俺のスタイルを真似しやがったな。お前にプライドはないのか?」

 

ひいろ「優れた者から学び自らの糧としただけだ。次はどいつが相手だ?」

 

あらんぶら「わたしだ」

 

黎斗先生『九番あらんぶらが登板! ひいろが第一球を投げる! あらんぶら打った! 打球はサード前に転がる! あらんぶらセーフ! ヒットだ! ワンアウトランナー一塁!』

 

ばーにあ「ここからはいいようにはさせない」  

 

ひいろ「同じ手は通じない」ビシュッ!

 

黎斗先生『ひいろ一球目はボール! 気持ちが先行してしまったか!? 二球目はばーにあ空振りによりストライク!』

 

ひいろ「はぁぁ!」ビシュッ!

 

ばーにあ「俺たちも進化することを忘れるな!」ブン!

 

黎斗先生『ばーにあ打った! 打球はセンター前に飛ぶ! ばーにあセーフ! ツーベースヒットだ! ワンアウトランナー二三塁!』

 

もーたす「ここいらでもう一点いれるぜ!」

 

黎斗先生『バッターボックスにもーたすが入る! ひいろ一球目を投げた! 球は内角低め! もーたす打った! セカンドのたいがが球をキャッチして、ファーストまさむねに送球! もーたすアウト! ツーアウトランナー二三塁!』

 

ちゃーりー「あいつしくじりやがったな……」

 

黎斗先生『次のバッターはちゃーりー! ひいろ一球目を投げる! 内角高めを狙うがこれはボール! 続いて二球目! 今度は内角低めだ! ちゃーりー空振りストライク!』

 

ひいろ「はぁっ!」ビシュッ!

 

ちゃーりー「!!」ブン!

 

黎斗先生『三球目をちゃーりー打った! レフト方向に飛ぶ! 球はぱらどがキャッチ! サードのぽっぴーを中継して、キャッチャーにこに送球! あらんぶらアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

さき『それでは三分間の休憩に入ります』

 

 

たいが「ひととおり投げてみたがどうだ?」ゴクゴク

 

ひいろ「ぐらふぁいと以外はなんとかなりそうだ」ゴクゴク

 

あすな「ぐらふぁいとを封じるのは難しい?」ゴクゴク

 

ひいろ「方法はふたつ。ひとつはデッドボールやフォアボールにしてファースト以上に行かせないこと」ゴクゴク

 

ぱらど「でも打たれたらヤバイこと代わりはないぜ?」ゴクゴク

 

ひいろ「その通りだ。そこでもうひとつの手が……」ゴニョゴニョ

 

えむ「なるほど! それなら倒せるかも」ゴクゴク

 

まさむね「しかしリスクもあるぞ。例えば…………」ゴクゴク

 

ひいろ「覚悟の上だ」

 

黎斗先生『時間になりましたので選手の皆様はグラウンドにお集まりください』

 

きりや「さっきから先生の情緒が妙に不安定だな」

 

 

黎斗先生『三回表! 現在は1VS4で馬具須田が優勢だ! 負けるな来騨ナイン! この回の打順は一番センターのきりやから! 先程何やら作戦会議が開かれていたが、果たして逆転の糸口は掴めるのか!? ピッチャーぐらふぁいと一球目を投げた!』

 

きりや「ノリに乗ってるぜ!」カキーン!

 

黎斗先生『打った! ファウルだがいい当たりだ! 二球目が投げられる! 外角低めだ! きりやが打った! ライト方向に打球が転がる! そしてきりや足も早い! もうファーストを越えたぞ!』

 

あらんぶら「うわっ!」

 

ばーにあ「早くしろ! ヘイパス!」

 

あらんぶら「それっ!」ビシュッ!

 

黎斗先生『ライトのあらんぶらが投げた球は、ショートのばーにあを飛び越えてあらぬ方向へ! その隙にきりやはセカンドをも踏み越える!』

 

もーたす「ばーにあ!」

 

黎斗先生『サードのもーたすが催促するが、ばーにあはまだ球を捕れていない! 壁まで転がった球を追いかけている! きりやは三塁をも過ぎた!』

 

えむ「いっけー!」

 

ぱらど「回れ回れ!」

 

黎斗先生『ばーにあようやく球に追い付く! もーたすに球を投げた! きりやはホームベースまで走っている! きりや間に合うか!?』

 

あすな「……!」

 

黎斗先生『セーフだ! ぶへへへへ! ばーにあの投げた球をもーたすが捕る前に、きりやの足がホームベースに触れていた! ランニングホームラン! 来騨貴重な追加点だ! 2VS4!』

 

きりや「サイコー!」

 

ひいろ「作戦とは異なるがいい仕事をした。ありがとう」

 

黎斗先生『バッターボックスには二番ショートあすなが入る! ぐらふぁいと一球目を投げた! しかしやや雑だ! あすな打った! ツーベースヒットだ! ノーアウトランナー二塁!』

 

ぐらふぁいと「このままじゃダメだ」ビシュッ!

 

黎斗先生『おっと、ぐらふぁいとが調子を取り戻した! 三番のぱらどと四番のまさむねを三振で抑える! あっという間にツーアウトだ!』

 

えむ「やっぱり強いね」

 

ひいろ「奴は打たれてもいい相手とそうでない相手を分けている。きりやのホームランは例外だろうが。そうして体力の消費を抑えているのだろう」

 

まさむね「次の打者はにこだが、あいつはどっちにカテゴリーされているんだ?」

 

ひいろ「十中八九後者だ。勝手に裏切り者扱いされているのだからな」

 

にこ「逆に言えば、私が打てれば動揺を誘える。見てなって」

 

黎斗先生『五番キャッチャーにこがバッターボックスに入る! ぐらふぁいと一球目はボール! にこは上手く見極める!』

 

きりや「自分なら今のは振ったな」

 

黎斗先生『二球目もボール! 今度は大きく逸れた! キャッチャーのがっとんはなんとか捕る!』

 

ぽっぴー「どうしちゃったの?」

 

たいが「ぐらふぁいとの事情などどうでもいい。にこを信じろ!」

 

ぐらふぁいと「死ね!」ビシュッ!

 

にこ(種は割れてんだよ。わざと下手に投げて心理戦を仕掛けたいんでしょ?)

 

にこ「そんな手に引っ掛かるかよ!」ブン!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと三球目はうって代わって豪速球! 緩急をつけることが目的だったのか! ところがにこ打った! サードのもーたすは球を捕ると、ファーストのかいでんに送球! にこ走るが間に合うか!?』

 

えむ「……!」

 

黎斗先生『セーフだ! ヒット! ツーアウトランナー一三塁! 迎えるバッターはたいが! 更なる追加点を稼げ! きりやの変えた流れに乗れ!』

 

あすな「頑張って!」

 

ぐらふぁいと「いい気になるなよ。貴様は潰す」ビシュッ!

 

黎斗先生『一球目は空振りストライク! 二球目はファウル! 三球目も空振りストライクだ! ヘタクソなたいがはチャンスを活かせられるのか!?』

 

にこ「打てなかったらどうなるかわかってる?」

 

ぽっぴー「お願い!」

 

ぐらふぁいと「くらえ!」ビシュッ!

 

たいが「きた! もらった!!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライクバッターアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

にこ「ふざけんな!」

 

たいが「うるせぇ……」

 

ぱらど「ダメなもんはしょーがねぇだろ。守備に行くぞ」

 

 

黎斗先生『三回裏、バッターボックスには四番のぐらふぁいとが入る! ピッチャーひいろ一球目を投げた! 外角低めだ! ボール!』

 

にこ(ぐらふぁいととの直接対決は避けたいよね。ひいろはフォアボール狙いかな?)

 

ひいろ「はぁっ!」ビシュッ!

 

ぐらふぁいと「そんな真似はさせん!」カキーン!

 

黎斗先生『二球目をぐらふぁいと打った! 打球は逸れファウル! ストライクゾーンを外れているにも関わらず手を出すとは、ひいろへの牽制が目的か!?』

 

ひいろ「ならば手を変えるまで」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャー三球目を投げる! 外角低めだ! ぐらふぁいと打った! 大きい! 打球が外野のフェンスを越えた! 先程のお返しといわんばかりのソロホームラン! ぐらふぁいとが一点追加して2VS5!』

 

ぱらど「やつは化け物か?」

 

黎斗先生『続いてのバッターは五番かいでん! ひいろ一球目を投げた! 内角高めだ! かいでん空振り! 続いて二球目が投げられる! かいでん打った! 打球はレフト方向に流れる! かいでんセーフ! ノーアウトランナー一塁!』

 

さき『ひいろから動揺が伝わってきますね』

 

黎斗先生『バッターボックスには五番がっとんが入る! ひいろ一球目を投げた! 外角低めだ! がっとん打った! 打球は左中間へ転がる! がっとんセーフ! ヒット! ノーアウトランナー一二塁!』

 

たいが「さっきは威勢のいいこと言ってたじゃねぇかよひいろ……」

 

黎斗先生『次のバッターはそるてぃ! 一球目と二球目はストライクで抑える! しかし三球目! 内角低めの球を打たれヒット! ノーアウト満塁だ!』

 

さき『この回バッターの調子は良好です。大量得点に繋げられるでしょう』

 

黎斗先生『七番りぼるがバッターボックスへ! ひいろ一球目を投げる! 内角高めだ! りぼる打った! 打球はセンター前に転がる! センターきりや、セカンドのたいがに送球! そしてたいが、ランナーのそるてぃをタッチアウト! 続いてたいがはキャッチャーにこに送球! しかし間に合わない! かいでんによって馬救須田さらに一点を獲得!』

 

さき『これにより5VS2となりました。現在ワンアウトランナー一三塁。一塁にはりぼるくんが、三塁にはがっとんくんが待機しています』

 

黎斗先生『バッターボックスに九番あらんぶらが入った! ひいろ一球目を投げる! 外角低めだ! 見逃しストライク! 続いて二球目! あらんぶらレフト前に打った! セーフ! さらにがっとんが帰ってきて一点追加だ! これはまずい! ワンアウトランナー一二塁!』

 

ひいろ「まるでウィルスのような成長速度だな」

 

黎斗先生『次のバッターはばーにあ! ひいろ一球目を投げた! ばーにあ打つ! 打球はレフト方向に飛んだ! ぱらどがダイレクトキャッチ! ばーにあアウト! ツーアウトランナー一二塁!』

 

ばーにあ「ノーバンで取るとかイカれてやがる……」 

 

黎斗先生『バッターボックスにもーたすが入る! ひいろ呼吸を整えると、第一球を投げた! 内角高めだ! 空振りストライク! 続いて二球目もストライクを取った! ひいろ三球目を投げる!』

 

ひいろ「はぁっ!!」ビシュッ!

 

もーたす「おらぁぁぁ!!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライク! バッターアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

さき『6VS2……馬救須田の勝利でゲームセットでしょうね。では休憩に入ってください』 

 

 

黎斗先生『ゲームは折り返しに突入! 三回までの点差は2VS6! 来騨巻き返しなるか? 七番サードのぽっぴーがバッターボックスに入った! ぐらふぁいと一球目を投げる! ぽっぴー見逃しストライク!』

 

ぐらふぁいと「ぼさっとすんなよ」

 

ぽっぴー「そう見えた? ごめんね」

 

ぱらど「力づくじゃパズルは解けない。あいつにはそれがわからないのか、それとも知る必要がないのか」

 

黎斗先生『二球目が投げられる! ぽっぴー打った! 打球はセカンドの手前に転がる! ぽっぴーセーフ! ヒットだ! まずはノーアウトランナー一塁。滑り出しは良好

!』

 

えむ「早く投げろ!」

 

黎斗先生『八番えむはバッターボックスに入るなりぐらふぁいとを挑発! 投げられる球を勢いよくスイングするが、これはファウル!』

 

ぐらふぁいと「貴様の打順と守備位置に俺は疑問しか浮かばない」ビシュッ!

 

えむ「余計なことを考えてんじゃね!」ブン!

 

黎斗先生『打った! 打球はレフト方向に飛んでいく! えむ余裕のセーフ! ノーアウトランナー一二塁!』

 

ぐらふぁいと「ここまで食らいついてくるとは正直予想外だ。だがそれも終わりだ」ゴォォ!

 

ひいろ「!」スカッ

 

黎斗先生『一球目はさらに速さと勢いを増している! 読みが外れたひいろ空振りだ!』

 

ぐらふぁいと「本来ならわざわざ貴様に使うほどではないが、肩慣らしとして利用させてもらった。俺の投球は超絶進化を遂げ、レベル99(ナインティーナイン)だ!」

 

ひいろ「なに!?」

 

ぐらふぁいと「まだ数回の使用が限界だがな」ビシュッ!

 

ひいろ「緩急……!」スカッ!

 

黎斗先生『レベル99の投球に圧倒されるひいろ! しかしあれは変化球ではなくただの速い球! 必ず突破できる!』

 

ひいろ「確かに……速いとはいっても充分目に写る範囲だ。日頃先生のゲームで動体視力を鍛えられている俺たちならばいける!」

 

ぐらふぁいと「この勝負に勝って、ゲームよりも外で遊ぶ方が健康にいいことを証明してやる!」ビシュッ!

 

ひいろ「99投げと見せかけて通常の球で挑んできたか。だがこんなものもはや止まって見える!」カキーン!

 

黎斗先生『打った! 打球は大きくレフト方向に飛ぶ!』

 

にこ「回れ回れ!」

 

黎斗先生『レフトのそるてぃが球を捕るが、どこに投げるか一瞬戸惑う! その間に走者たちは塁を越える! そるてぃはセカンドのりぼるに送球した! しかしりぼる痛恨のミス! 球を落としてしまう! ぽっぴーホームインして一点追加! えむもホームベースを目指す! りぼるはキャッチャーのがっとんに、球を送る! 果たして先に到着するのはどちらだ!?』

 

たいが「……」ゴクッ

 

黎斗先生『えむセーフ! さらに一点追加だ! 現在4VS6! ノーアウトランナー三塁!』

 

きりや「あれ~? ゲームをした方が強い身体に育つんじゃない?」

 

ぐらふぁいと「ゲームへの理解は示してやる。だがバランスが大事ということを忘れるな!」ビシュッ!

 

きりや「おうよ!」ブン!

 

黎斗先生『きりやヒットだ! ひいろがホームインして来騨はさらに一点追加!』

 

あすな「ゲームと勉強のバランスは大切だね」カキーン!

 

黎斗先生『バッターあすなもヒット! ノーアウトランナー一二塁! 続いてバッターボックスには三番ぱらどが入る!』

 

ぐらふぁいと「なぜこうもことごとく打たれる……」

 

ぱらど「ぐらふぁいと、不調の理由を教えてやる。それは疲労だ。俺たちはお前の体力を削るため、わざと球を見逃したことが何度もあったからな」

 

ぐらふぁいと「姑息な手を使いやがって」ゴォォ!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと一球目を投げた! ぱらど空振りでストライク! 二球目、三球目も空振りでバッターアウト! ワンアウトランナー一二塁!』

 

まさむね「刻めクロニクル」

 

にこ「意味わかんないし。まあアウトで許すからさ」

 

まさむね「あいつは私の手で絶版にする。やり方は強引だったとはいえ私は四番。これ以上失態を晒すわけにはいかない」

 

ぽっぴー「本当に大丈夫なの?」

 

まさむね「げんむこーぽれーしょんの社長に不可能などない」

 

きりや「こいつが珍しくやる気に満ちてんだ。信じてやろうぜ」

 

黎斗先生『四番まさむね三振! バッターアウト!』

 

えむ「……」チベットスナギツネ

 

黎斗先生『バッターボックスに入るのは五番キャッチャーのにこ! ぐらふぁいと一球目を投げた! 外角高めだ! にこ空振り! ワンストライク!』

 

にこ(今のが99投球? 間近で見ると迫力が桁違いだね)

 

ぐらふぁいと「ラァァ!!」ゴォォ!

 

にこ「もらった!」ブン!

 

黎斗先生『ぐらふぁいとの二球目をにこ打った! 打球はセンター方向に飛ぶ! ツーベースヒットだ! きりやホームイン! 一点を獲得! にことあすなもセーフし、順調に塁を進めた! ツーアウトランナー二三塁! 並んだ! 6VS6でついに馬救須田に追いついた!』

 

ひいろ「よしっ!」ガッツポーズ

 

えむ「万歳!」

 

たいが「さっきもだが、どうして俺の番はこんなに精神が磨り減るんだ」

 

ぽっぴー「不満なの?」

 

たいが「むしろ逆だ。今にも発狂しそうな心を楽しんでいる節すらある。ミッション開始!」ドッ!

 

黎斗先生『バッターボックスには六番たいがが入る! しかし、顔を合わせるのは今日が初めてなのに因縁の相手だというのは不思議だ!』

 

さき『ぐらふぁいとくんの一方的な感情ではありますからね。だけどたいがくんには見たところ、にこちゃんの受けた痛みに対する憎しみも込められているのでしょう。つまりもっと前から、二人の盤外戦は始まっていたのです』

 

黎斗先生『なるほど……さて、ぐらふぁいと一球目を投げた! 内角低め! たいが打ったがこれはファウル!』

 

ぐらふぁいと「ふむ……かくなる上はこの技で仕留めてやる」パシッ!

 

たいが(99を越える豪速球でも来るのか?)

 

ぐらふぁいと「激怒竜牙(げきどりゅうが)!」シュン!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと二球目を投げた! 球の速度はあまりに遅く、ふらついている!』

 

たいが「???」スカッ!

 

黎斗先生『たいが空振りストライク!』

 

さき『あの技は初見殺し程度ですが問題はそこではありません。超絶遅球と豪速球が使い分けられることをバッターに知らしめ、択ゲーに持ち込む戦略なのです』

 

黎斗先生『三球目も激怒竜牙だ! たいがまたしても空振り! 狙いを定められない!』

 

ぐらふぁいと「くらえ!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと四球目を投げる! 球が消えた!? 見失うほどの豪速球! たいが振ることすらできない! バッターアウト! スリーアウトチェンジ! それにしても今の球……99以上の球速を出しているのか!』

 

さき(いや、あれは……。ついに本気を出したのね)

 

 

黎斗先生『四回裏! 三番ちゃーりーがバッターボックスに入る! ピッチャーひいろ一球目を投げた! 外角高めだ! ちゃーりー打つ! 打球はサードのぽっぴーがダイレクトキャッチして、ファーストのまさむねに送球! ちゃーりーアウト!』

 

ひいろ「次はぐらふぁいとだ。心してかかるぞ!」

 

ぽっぴー「オーー!」

 

黎斗先生『四番ぐらふぁいとを迎えるにあたって守備陣が気を引き締める! ひいろ一球目を投げた! ボール! その後残りの三球もボールにして、ぐらふぁいと出塁! フォアボールだ! ワンアウトランナー一塁!』

 

ぐらふぁいと(直接対決を挑む振りをして、俺に悪球打ちをさせないようしたってわけか)ザッザッ

 

さき『その後次のバッターであるかいでんくんはフライを打ってアウトになりました。六番のがっとんくん、七番のそるてぃくんは連続でヒット! ツーアウト満塁。そして次バッターボックスに入るのは八番りぼるくんです! チャンスをものにして、再び点差をつけて!』

 

りぼる「俺は負けん。友のために!」

 

ひいろ「俺とて同じこと。恵まれた友人に付き合ってもらっている以上、無様に負けるなど許されない」ビシュッ!

 

黎斗先生『ひいろ一球目を投げた! さらに球速を増したアウトロー! りぼる空振り! ストライクワン!』

 

さき『極度の緊張感がこちらまで伝わってきますね。八番という、どちらかといえば守備での活躍を期待されるりぼるくんに背負わされた重圧は計り知れません!』

 

ひいろ「術式レベル50(フィフティー)!」ズバーン!

 

黎斗先生『ひいろ第二球を投げた! 素早い内角低め! りぼる打った! 打球はレフト前に転がる! ぱらど、取った球をキャッチャーのにこに送球! 三塁からはランナーぐらふぁいとが走る!』

 

えむ「……」

 

きりや「こればっかりは信じるしかないな」

 

あらんぶら「同点のまま次イニングなんて嫌だ……」

 

黎斗先生『……』

 

さき『……!!』

 

黎斗先生『ぐらふぁいとアウト! 来騨は見事この回無失点に抑えた!』

 

にこ「よっしゃぁぁぁ!!」

 

あすな「でもまだ油断はできないね」  

 

たいが「ようやく振り出しに戻れただけだからな」

 

さき『これより三分間の休憩に入ります。水分補給を忘れずに!』

 

 

ぐらふぁいと「おのれ! このまま負けてたまるか!」ゴクゴク

 

あらんぶら「ところで、私たちはなぜ野球のために集められたのだ?」ゴクゴク

 

ぐらふぁいと「そういえばまだ言ってなかったな。俺はこの試合に勝ってさきを手に入れるのだ」ゴクゴク

 

かいでん「手に入れるとは恋人の関係になるということか?」ゴクゴク

 

ぐらふぁいと「あぁ! そのとおりだ」

 

そるてぃ「さきは私の彼女だ!」ゴクゴク

 

ちゃーりー「いや僕のだよ?」ゴクゴク

 

もーたす「俺もだぞ!」ゴクゴク

 

りぼる「何を、一番は我だ!」ゴクゴク

 

あすな「うわぁ……さきちゃん何股かけてるの?」

 

えむ「ねぇひいろくん。これでもさきちゃんが好きなの?」

 

ひいろ「当たり前だ!」

 

 

黎斗先生『ゲームは最終回! 来騨必死の追い上げにより、同点にまで追い詰めた! ピッチャーぐらふぁいとから緊張がひしひしと伝わってくるぞ! さあぐらふぁいと、一球目を投げる!』

 

ぐらふぁいと「いくぞ!」ゴォォ!

 

えむ「えい!」カキーン!

 

黎斗先生『いいところに打ったぞ! ノーアウトランナー一塁! 続いて九番ひいろがバッターボックス入り!』

 

ぐらふぁいと「貴様は我が奥義で打ち破る」

 

ひいろ「奥義だと?」

 

そるてぃ「おいおい、あれを使うつもりか?」

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

ひいろ「!?」

 

ぽっぴー「まさか奥義って……球を投げるふり? なにも見えなかったよ」

 

がっとん「そんなわけないだろ」スッ

 

黎斗先生『私にも球が見えなかったぞ!? しかしキャッチャーがっとんのグローブには、確かに球が収まっている! なにが起こったんだ!?』

 

さき『あれこそぐらふぁいとくんの三大奥義の一つ・黒球拳! ここで使ってくるとは、まだまだ勝負はわかりませんね。ちなみに、四回表でたいがくんに使った投球も黒球拳です』

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

ひいろ「うわぁぁぁ!!」スカッ!

 

ぐらふぁいと「さきは俺のものだ!」

 

黎斗先生『ピッチャーぐらふぁいとの奥義にひいろは翻弄されっぱなしだ! そしてそのまま三球三振! ワンアウトランナー一塁!』

 

たいが「なぜ奴は初めからあれを使わなかった?」

 

にこ「なにか秘密があるのかな? それにしてもうるさいね、投球の音」

 

黎斗先生『一番きりやがバッターボックスに入ります。彼は今試合において三打数三安打! 必ずや攻略してくれるでしょう』

 

ぐらふぁいと「貴様は最大限警戒しなければならない。レーザー!」 

 

きりや「アダ名までつけられちゃった」

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

きりや「うわっ!?」スカッ!

 

黎斗先生『流石のきりやも打つ手なしか!? ここに来てぐらふぁいとの独走だ!』

 

きりや(速すぎて球が見えねぇ。どうせ打てないのならいっそのこと……)

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

きりや「ピッチャーの手が振り下ろされる瞬間に振る!」カツン!

 

黎斗先生『きりや打った! が、球は高く上がってしまう! センターのちゃーりーがキャッチ! ツーアウトランナー一塁! 投げられる度に轟音が鳴り響く!』

 

ぽっぴー「あんなのズルいよ! ピプペポパニックだよ!」

 

あすな「大丈夫。みんなの笑顔は私が取り戻す」

 

たいが「何か策はあるのか?」

 

あすな「……賭けだけどね」

 

ひいろ「次の攻撃を無失点で乗りきればまだ勝機はある。その事を忘れるな」

 

あすな「いや、制限時間が設けられているから延長が行われる可能性は低いと思う」

 

黎斗先生『バッターボックスに二番あすなが入る! このままぐらふぁいとに蹂躙されてしまうのか!?』

 

ぐらふぁいと「怖じ気づいたか?」

 

あすな「まさか」

 

ぐらふぁいと「このままこいつで押しきってやる。ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

黎斗先生『一球目投げた! あすな棒立ちのまま動けずストライク! 続いて二球目、またもやぐらふぁいとは奥義を発動!』

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

あすな「ときめいた」ブン!

 

黎斗先生『あすな打った! ヒット! ついに黒球拳を打ち破った!』

 

にこ「どうやったんだろ?」

 

きりや「たいが、あんたさっき疑問に思ってたよな? どうして初めから使わなかっのか」

 

たいが「あぁ。やはりなにか弱点があるのか?」

 

ひいろ「あの耳障りな騒音になにか突破口が隠されているのだろう」

 

ぱらど「俺が種を明かしてやる」

 

黎斗先生『三番ぱらどがバッターボックスに入る!』

 

ぱらど「ぐらふぁいと! お前の奥義は見切った!」ザッ

 

ぐらふぁいと「そんなはずはない! ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

にこ「ぱらどが目を瞑った!?」

 

ぱらど(使えない視覚を捨てて、聴覚を頼りに打つ!)ブン!

 

黎斗先生『ぱらども奥義に打ち勝った! ヒットだ! 守備陣の反応が遅れている!』

 

ぐらふぁいと「我が奥義が打ち破られただと!?」

 

ぱらど「他のやつらにも教えてやる。黒球拳の正体は、色を周りに同化させた球だ。投げる前に塗料を球に付着させていたんだよ。あれは目にも止まらぬ豪速球なんかじゃない。文字通り視認不可のインチキだったのさ」ハァハァ

 

がっとん「疑うのならこの球を見ろ! 普通のボールだぞ!」スッ

 

きりや「あの轟音は塗料が剥がれる音なんだろ? そうしないとバレちゃうからな! だがそこが欠点でもある」

 

ぐらふぁいと「肝心の塗料はどこにあると言うんだ?」

 

あすな「あんたの服だよ。服に塗料をつけてあるんでしょ。だから回数に限りができる」

 

黎斗先生『インチキで勝とうとするなんて君は最低のクズだ! 私たちの反則勝ちにすべきだ!』

 

さき『どうしてですか? 彼は後ろ指を指されることを覚悟してそれでも、私を手に入れるため実行したんです。立派な心がけだと思います。よって試合は続行します』

 

えむ「ごみかよ」

 

黎斗先生『気づけばツーアウト満塁! そして次に控えるのは我らが四番! まさむね!』

 

たいが「一瞬勝てる気がしたけど気のせいだったか」

 

ぱらど「まさむね! せめて後悔しないように思いっきり打て!」

 

まさむね「くっ……」

 

ぐらふぁいと「奥義がなくてもお前ごとき! くらえ!」ゴォォ!

 

まさむね「うおぉぉぉ!!」スカッ!

 

ぐらふぁいと「気迫だけで実力差をひっくり返せると思うな」ビシュッ!

 

まさむね「今度こそ!」スカッ!

 

ひいろ「まさむね……頼む!」

 

ぐらふぁいと「こんな雑魚に賭けるとは堕ちたなブレイブ!」ビシュッ!

 

まさむね「」キッ

 

ぽっぴー「気のせいかな? 目が緑に光ったように見えたよ」

 

まさむね「私の商品価値は……無限だ!」カキーン!

 

たいが「当てやがった……!」

 

黎斗先生『まさむね打った! 打球は大きくレフト方向に飛ぶ! 三塁からえむがホームイン! 一点を獲得! レフトのそるてぃ、サードのもーたすに送球! しかしその前にあすなは三塁を踏みセーフ!』

 

もーたす「がっとんに投げれば……あれ? 向こうの四番走ってなくね?」

 

にこ「まさむね!」

 

まさむね「腰が……抜けた……」

 

黎斗先生『もーたすは送球相手をキャッチャーから、ファーストに変更! 送球した! 三塁からホームを目指すあすな! 間に合うか!?』

 

かいでん「あっ……」

 

あすな「うっ!」ズズズ!

 

黎斗先生『あすなセーフ! ホームインだ! もーたすの判断遅れが、来騨にさらなる追加点を与えた! そしてかいでんが球を受け、まさむねアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

きりや「へぇー、やるじゃん」

 

ひいろ「あえて走らなかったのか。まさかそんな戦略が……」

 

まさむね「ははは……」

 

ぐらふぁいと「ここに来て逆転されるとはな。面白い」

 

 

黎斗先生『五回裏! ひいろが最後の追い上げを見せる! まずはあらんぶらを三振で仕留めた! ワンアウト!』

 

りぼる「何をしている!」

 

ばーにあ「追い詰められて焦る気持ちはわかるけど、もう少し落ち着こうぜ」

 

黎斗先生『一番ばーにあがバッターボックスに入る! ひいろ一球目を投げた! 外角高めだ!』

 

ひいろ「はっ!」ビシュッ!

 

ばーにあ「!」ブン!

 

黎斗先生『ばーにあ打った! 打球はレフト前に転がる! ヒット! ワンアウトランナー一塁!』

 

さき『続いてバッターボックスにもーたすくんが入ります。ひいろくんが一球目を投げます。内角低めの術式レベル50! もーたすくん打ちます。ヒットです。ワンアウトランナー一二塁になりました。次のバッターは三番ちゃーりーくん』

 

ちゃーりー「俺も続くぜ!」

 

ひいろ「はぁっ!」ズバーン!

 

ちゃーりー「ちくしょう!」スカッ!

 

黎斗先生『ひいろが三球ともストライク! ちゃーりーを三振に沈めた! ツーアウトランナー一二塁だ! しかし次のバッターは馬救須田小エースぐらふぁいと! 打率10割で内一回はホームランの超強打者に対し、ひいろはどう戦う!?』  

 

ぐらふぁいと「仲間がお膳立てを果たしてくれた。俺はここでホームランを打ち、期待に応える!」

 

ひいろ「これよりぐらふぁいと切除手術を開始する!」ビシュッ!

 

黎斗先生『ひいろの一球目はストライク!』

 

ぐらふぁいと「やはりな。今の貴様は、四回までとはなにもかも違う。格なる上は……」

 

黎斗先生『ぐらふぁいとがバットを振り回し始めた! いったい何を企んでいる!?』

 

ひいろ「オペを完了させる。キメワザ! ファミスタ クリティカルストライク!」ギュイイン!

 

ぐらふぁいと「超絶奥義! ドドドドド 紅蓮爆竜剣!」カキーン!

 

ひいろ「バカな……うわぁ!」ドン!

 

黎斗先生『打球がひいろの顔面に命中! ボールは高く舞い上がる!』

 

 

ポンッ

 

 

たいが「あっ捕れた」

 

もーたす「なに!? 引き返さなきゃ……」ドタドタ

 

たいが「はい、タッチ。逃がさねぇよ」パシッ!

 

黎斗先生『もーたすアウト! ここでゲームセット! 8VS6で来騨小の勝利だ!』

 

にこ「よっしゃぁぁ!」

 

ひいろ「……やったのか……」

 

ぐらふぁいと「ちくしょう!」

 

黎斗先生『ひいろくんの勝利という結果に終わりましたが、さきさんはいかがでしたか?』

 

さき(戻った)

 

さき『はい、ひいろくんがとっても格好よかったです! なのでこれからは週二回、木曜日と日曜日はひいろくん専用の彼女になります!』

 

ひいろ「えっ?」

 

黎斗先生『と言いますと?』

 

さき『あとは今まで通りみんなの彼女に居続けます!』

 

ぐらふぁいと「やったー!」

 

そるてぃ「キタコレ!」

 

あらんぶら「うぉぉぉ!!」

 

きりや「よかったじゃんひいろ、特別待遇だぞ」

 

ひいろ「うん……」

 

ぽっぴー「みんな仲良しが一番だよ!」

 

あすな「ひいろ……考え直した方がいいと思うよ」

 

にこ「女って怖いね」


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