Nier:Automata ニンゲンサン:イラッシャイ 作:雄樹
レジスタンスキャンプにてタイプモデルA2を確認
…否定…攻撃の意志は無い模様
了解…ターゲットロック
了解…ターゲットロック解除
了解…映像…音声…秘匿回線にて司令官室に送信
…………了解…秘匿回線を終了
…ポッド153から司令官室に報告
A2・9S・2B・デポル・ポポル・アネモネの六名は
A2が発見した施設に向かう模様
…了解
…ポッド153から司令官室に報告
目的地に到着した
座標データ送信中………完了
…了解…生体反応の検索を開始
………終了…生体反応は一件のみ
了解…報告を終了する。
「……ッ」
部屋の扉を開けて中に入ったポポルは顔を手で覆い泣き崩れた
慌ててデポルは彼女を支えると自身も部屋の中を見渡すがもう彼女の瞳は
カプセルの中しか映らない
私達双子の同型機が犯した罪で私達はこの世界から拒絶されてきた。
私達に残された物は体を蝕む絶望とお互いだけだった。
一人だけならとっくに…
私達の罪は消えない
でも…少しでも償えるなら…
…その機会を与えて貰えるのなら…
私達は何だって出来る
あなたは人間なんでしょう?
その機会を私達に与えて下さい…
…生きていくには意味が必要だ
生き甲斐というらしい
キャンプの仲間がそんな事を言っていたな
それは人間ではない私達も変わらない
今日まで私の生き甲斐は死なせない事だ
死ななければまだ修理すれば助かるかもしれない
仲間達が皆いなくなる
もう絶対に…私は…
今はもう一つ生き甲斐を見つけた様だ
生き甲斐?違うな
これは使命だ
私達はこの為に生まれてきたはずだ
彼らを…いや…彼を守る
私の命をかける意味なんてそれだけで十分だろう
まだ死ぬつもりも死なせるつもりもないが…
でも…心配だな
9Sと2Bは?
ホワイトはどうするつもりなのか?
もしYoRHaで保護などしたら月の連中は…
…いや…今はよそう
彼を無事に救出し
今後の手伝いをする事が私がしなければならない事だ
私は今見ている光景を忘れはしないだろう
…忘れたくはない
初めて人間にあった
アネモネ達も驚いているみたい
きっと私もこんな顔をしているのかな?
私達YoRHa部隊は感情を持つ事を禁止されている。
…でも…
私の中にあるナニカがざわついている
慌ただしく揺れ動くナニカが私の中にある
…司令官から指令を受けている
考えるのはその後にしよう
あの人間の子を助ける事で何かが変わるかもしれないから…
本当にいた
人間の男の子だ
僕も男だけど僕はそう創られただけ
でもこの子は違うんですよね?
早く話をしてみたいな~
この子は何を知ってるんだろ?
何を教えてくれるんだろう?
司令官からは確保・保護を最優先と命じられた
座標を送る様にも命じられたから
近くにいる他の部隊員も此処に来るだろう
問題はその後だけどA2達は受け入れるかな?
皆が部屋の中に入り物思いに耽る
部屋の中に響くのはポポルの嗚咽だけ
他の者は皆黙して何も語らない
そんな中2Bの随伴機であるポッド042が皆に行動を促す
「推奨…速やかな少年の救助、並びに保護の最優先を提案」
その一言をきっかけに他の者は意識を目の前の事に戻した
アネモネはこれが旧世代の機器と見るや最も詳しそうな双子に
「あ…あぁそうだな…デポル、ポポルここにある計器はわかるのか?」
「とても古い物よ…私達よりも年上ね」
「あぁ…でもこれ位なら何とでもなるよ」
「デポル、先に機器の状態のチェックから始めましょう」
「わかった、ログのデータは…これだな」
「しかしよく稼働しているわね…奇跡と言うものかしら?」
「今まで見つからなかった方が奇跡的だよ…初期機動が2000年代…
ポポルの言う通りだよ…稼働している方が奇跡だな」
「ねぇデポル…この子は本物なのかな?」
「…初期可動時からすぐに入れられた様だし…そうだと思う…」
「………」
「………」
デポルとポポルはカプセルに繋がれたモニタ―やタッチパネルを入念にチェックして
自分達の必要な情報を抽出していく
9S・2Bはその場から動かない
A2やアネモネは手伝う事の出来ない歯痒さはあるが
この場は自分達の出来る事が無いのを理解し部屋にある小棚の中やテーブルにあるものを調べる
小棚の中には鞄と本が入っている
A2は本を手に取り表紙を見る
夏休み日記帳「楠木海流」と書かれている…汚い字だ
「A2そっちはどうだ?」
「多分…この子の日記と鞄だ…鞄は今調べる…」
中を開こうとしたがアネモネに話しかけられたので中断し鞄の方を調べる
鞄には「非常用」と書かれている
中身はこの子の為の衣服の類と用途不明な固形物が数点収められていた
「服などが入っていた…後の物は不明だがこの子の持ち物の様だ…」
「そうか…ならあまり勝手に触らない方が良いか?」
「あぁ…見られた事を知ったら嫌がるかもしれない…そっちは?」
「紙の束が数十枚と…昔の電子機器の様だが使い方が判らない…持ち帰って色々調べてみるよ」
そう言うとアネモネはキャンプから持って来た大き目の袋にテーブルの上にある物を手当たり次第に詰めていく
「?…2B、9Sはどうした?」
部屋を見渡すと9Sがいない事に気が付いた
「…他の部屋を見に行った。使えそうな物があれば持ってくるとも言っていた。」
2Bはそう言うとデポルとポポルの作業を見つめる
A2は何か不安げなモノを彼女2Bから感じていた
9Sが帰ってきたが私達を見るなり首を振る
大した物は発見出来なかった様だ
そんな中デポルが私たちに声をかける
「おい」
大きな声ではないが緊張感を含んだ声で彼女は私達に言葉を告げる
「開くぞ」
初めて見る人間
私達とは別の存在
違う時代からの来訪者
彼等の繁栄と維持が私たちの使命
………ガチャ……
人と機械
二つの世界の歯車が
ゆっくりと噛み合った