Nier:Automata ニンゲンサン:イラッシャイ 作:雄樹
「中に入るとお寝んねできるのよ面白いでしょ?」
「うん」
「カイルはこれからこの中に入るのよ
おはようの時間になったらおかあさんが起こしてあげる」
「まだねむたくない」
「…ほら、早く入りなさい。…これで良いわ
これをお口に付けるのよ…大丈夫だから…ね?」
「おかあさんは?」
「お母さんはおまえの後で入るから…
起きたらこの緑色のお薬を飲むのよ…絶対ね…この中に入れておくから…」
「?」
「この中に入ったらお寝んねするの
おはようの時間になったらこれを飲むの、わかりましたか?」
「はい!」
「はい!…じゃぁおやすみなさい…元気でね…カイル」
皆がカプセルを取り囲む様に近づきその全てを余す事無く観察する
デポルの宣言と共に休眠状態だったカプセルは
主を目覚めさせる為に活動を始めた。
………カプセルの中に満たされていた青い液体が徐々に排出されていくと
中の様子がとても良く見える
少年はとても生きているとは思えない真っ白な顔色をしていた
皆に焦りと緊張が走る中、双子は悠然と少年を見つめる
少年は透明な椅子の様な物で固定されており
椅子の背凭れは長く首元まで届き椅子の内部は長い極小のケーブルが
所狭しと押し詰められケーブルの先端は少年の背中・首・口元にある端末に接続されている
青い液体が全て排出されると次は少年の足元から頭部にかけて徐々に緑色の液体で満たされていく
「…問題はないんだな?」
「あぁ…私達的に言えば再起動させる為の物だ、心配はいらない」
A2が疑問を投げ掛けるとデポルが答える
「!」
液体でカプセルが満たされると少年の指が僅かに動く
全員が巻き起こす緊張感で室内は重く深く張り詰めていく
少年はまるで神経が痙攣を起こすように
頭から足の爪先まで一通り震えるとその全身は一気に弛緩していった
「終わったみたいだな」
………緑の液体が先ほどと同じように排出されると少年の顔が露わになる
先ほどまでは生きているとは思えない真っ白な顔色ではあったが
今はほんのり赤みがさす顔色になっている
……ガシャ…………p-…ガチャリ…
液体が排出されると少年に繋がれていた端末が全て外され
カプセルの扉のロックが解除された
「………」
ポポルが慎重な面持ちで扉を開け少年を抱き抱え床に下し
少年の心の臓に耳を当て、目を閉ざした
緊張は渦巻く中、痺れを切らしたデポルが話しかけた
「ポポル…どうなんだ!?」
「……ッ……生き…てる…生きてるよ…デポル~」
少年の胸部を涙で濡らし、嗚咽を漏らしながらポポルが呟いた
緊張した空間が四散する
皆、安堵しこれからこの少年をどうやって保護するのかを思案していた。
9Sと2Bは緊張を未だ解せずにいた
この後、起こるであろう諍いに備えるように…
アネモネのマントで体を巻かれたカイルをA2が軽く揺さぶる
「…起きないか…」
「A2…この子には落ち着いて過ごすが必要よ…」
ポポルが慎重に言葉を選んでA2に提案するとデポルがそれに乗っかる
「レジスタンスキャンプにはベッドもあるし私達もいるし
私達は治療型よ…万が一も起こさないよ…」
「それにもうわかってるだろ?
お前が嫌がっていても連中は関わってくるぞ?」
A2はその言葉を理解していた。
此処に9S・2BがいるならYoRHaはすぐにでも…
アネモネに言われた事を思い出す
「大事なのはその子の安全ではないのか?」
…私はカイルの発見者だ…
行く末を見守る義務がある…だから…
「…………わかった」
「A2…心配するな、ホワイトには私からも話す」
アネモネもこの提案に賛同した
「って事なんだがお前達もそれで良いだろ?
上の方が騒がしいみたいだけどな~」
デポルが意地の悪い顔をしながら9Sと2Bに決断を迫る
「……はい」
「……わかった」
見抜かれていた……
YoRHaの部隊員は先に送った座標を頼りに
既に地上に集結している。
無論これはホワイト司令官の命令だ
優先されるのは少年の安全
YoRHa主導で保護する事
話し合いで決まらない様なら強行手段
A2の手配の一時的な解除
但し、抵抗するなら破壊するといった指示が出されている
9S・2Bは彼女達に説明をする
「司令官には既に報告しておきましたから問題はないですよ」
「YoRHaの部隊員はこの施設の探索とデータがあれば
持ち帰る事を指示されている筈です」
「…道中に関しては私達もいるし護衛も付くから問題ない…この施設の資料はYoRHaが持ち帰る
事になると思う…」
(あぁ……相も変わらず身勝手な連中だ)
A2は毒づくとカイルの荷物をその背に背負いポポルに小声で話しかける
「……ポポル、カイルを頼む」
「…カイル?」
「多分その子の名前だ…日記に書いてあった…」
「そう…わかったわ、任せて」
ポポルは大事な役目を任された事で嬉しそうだがデポルは少し不満そうな顔をしていた
カイルを抱えたポポルの後ろについていきながらブツブツ小言を言っている
「…ガサツだからか?…ポポルは大人しいから私より頼りになるってか…」
私には何も聞こえない
彼女達が外に出るとYoRHaの戦闘員が彼女達を取り囲んだ
その内のポッドの一つがこちらに近づきながら空中に映像を映し出す
映像には司令官であるホワイトが映し出されていた
「…地下での話は聞いた、今後の事は少年の安全が確保できてからにしよう」
「施設内は我々の方で調べる、キャンプまでは我々の方からも数名護衛にだす…質問は?」
「横暴だな」
「……」
アネモネが苦言を呈すとホワイトは回線を切ってしまった
大多数の戦闘員は彼女達が出てきた出入り口へと消えていき
残った者は彼女達と共に目的地へと走り出す
…アンドロイドハッケン…
…コロセ!コロセ!…
…グワーヤラレター…
…ツキアッテクダサイ…
…ツキニカワッテオシオキジャー…
…タマトッタラー…
……?……
…アレ?…
アノチイサイアンドロイドハナニ?
シラン!
ナニナニー?
ワカンナイ?
アンドロイドジャナイ?
ジャアナニ?
…シラナイ…シラナイ…シラナイ…シリタイ…
…シリタイシリタイシリタイシリタイシリタイシリタイシリタイシリ………