会議から一日が経過し、私は朝早くから黒陽と共に自陣内のある幕を訪れていた。
「あら、おっはよー。華琳」
「早いわね、舞蓮」
幕に入るとその中で朝から愛剣を振るって体を動かす彼女が目に入り、当然彼女は私が訪れた程度で自分の行動をやめるようなことも、変えるようなこともありはしない。
私も特に気にすることもなく、彼女が動く範囲で邪魔にならない場を選んで、腰を下ろした。
「それで華琳、こんな朝早くから何か用?
朝からお小言とか、お説教は勘弁よ?」
「あら? あなたは私が小言を言った程度で、行動を改めてくれるのかしら?」
「それはありえないわね。
だって私は、海に咲く桜に愛された虎で、雲に恋した
私らしく生きて、私のやりたいように進む。それが桜との約束で、雲に出会って決めたことよ。
華琳だって、あの雲に出会って決めたことや誓ったことがあるんじゃない?」
彼に出会って決めたこと、ね。
どちらともなく笑いあい、舞蓮は何を思ったのか、私へと訓練用の木剣を投げてきた。
「華琳も体を動かしたらどう?
昨日はずっと座りっぱなしで、体を動かしてないんじゃない?」
私が受け止めれば、挑発するように木剣の先を揺らして、目を細めて笑う。
「それはむしろあなたの方じゃないかしら?
話ではずっと冬雲の荷にまぎれていたらしいじゃない。
しかも冬雲の服に包まれるために狭い荷の中でずっと動かないまま気配を殺して・・・・ 流石の私も呆れたものよ?」
「華琳が私の行動に呆れなかった日なんて、冬雲に連れられてきた時から一度でもあったのかしら?」
大袈裟に肩をすくめて呆れて見せても、彼女は一切悪びれる様子もなく開き直る。そんな実に彼女らしい対応に、怒ることも馬鹿馬鹿しくなってくる。
どちらともなく型を構え、刃先を軽くぶつけた後、舞うように順序良く足を運んでいく。
互いにこれが遊戯であり、幕内で行う程度に加減しなければいけないとわかっているからこそ、型式通りの動きに沿い、互いに軽く木剣をぶつけていくだけに留める。
「ねぇねぇ、冬雲の服に包まれてた私が羨ましい?
流石の華琳でも、こんなことはしたことないんじゃない?」
「・・・・確かにないわね。けれど、私はあなたに嫉妬なんてしないわ。
何故なら私は、冬雲に誰よりも愛されている自覚があるもの」
自慢してくる彼女に対して得意げに笑ってみせると、彼女はすぐさまその頬を膨らませる。
「何、その余裕―!
私だって冬雲といちゃいちゃしたいのにー!!」
「・・・・けれど、あなたがあんなことをしてまで冬雲から離れなかったのは、冬雲との触れ合いだけが目的ではない、でしょう?」
私の言葉にほんのわずかに空気が変化し、先ほどまで膨らんでいた彼女の頬は元に戻り、私の目を見つめている。
肯定も、否定もせず、かといって軽口を叩くわけでもない。そのわずかな沈黙は、言葉の続きを促しているようだった。
「舞蓮、あなたは冬雲を守りたかったんじゃないかしら?」
私の言葉に目の前で木剣を交わしていた舞蓮だけではなく、黒陽からもわずかながら驚きのようなものが感じられた。
けれど私は、それに構うこともなく言葉を続ける。
「あなたは私たちのところ来てからずっと・・・ いいえ、それどころか冬雲が連れてきた時から、あの白陽ですら怒りを露わにするほど執拗に冬雲と触れ合い、傍に居ようとしていた」
私達と冬雲が恋仲にあるのを知り、嫉妬心を煽るように舞蓮は冬雲と触れ合い続けた結果、私達は夜すらも警戒して冬雲の傍にいるようになった。
「けれど、おかしいでしょう?
『奪ってでも手に入れたい』というのなら、あなたにはいくらでも冬雲を物にする機会はあったわ。それこそ白陽が報告に戻った時、冬雲との二人旅の間に襲ってしまえばよかったのよ。
『江東の虎』と呼ばれたあなたなら、冬雲を適当に言いくるめ、つながりを持つことは出来た筈だわ」
いくら強くなったとしても、冬雲に舞蓮を抑えるほどの力はない。それに彼の甘さと立場、状況から彼女を拒むことはなかった。
「そして黄巾の乱後、冬雲が『英雄』と呼ばれるようになってからはその頻度がさらに増した」
昼夜問わずに冬雲の元を訪れ、時に天和達のところで待ち伏せされていたということも冬雲から聞いたことがある。
けれど、彼女はこれほど接触を図っていながら、一度として実力行使をしようとしなかった。確かに接吻や夜這いを仕掛ける時はあったが、場所は城であったり、私達の誰かの目が必ずある場所で行われ、それは余りにも不自然だった。
「これではまるで、私達に常に警戒しろと言っているようなものだわ。むしろあなたには不都合しかない状況の筈。でも、それこそがあなたの狙い。
自分の本音の一つをあからさまにひけらかすことによって将の全員に危機感を抱かせ、彼が何かに狙われることを暗に示したかった、というところかしら?」
そこまで言って舞蓮が降参するように両手を上げて、持っていた木剣を放り投げた。
「もう降参よ、降参!
もう! 華琳には何でもお見通しなのかしら?」
「いいえ、見通しているわけではないわ。
これは私の勝手な想像であり、ただの女の勘よ」
「女の勘、ね・・・ それは鋭いわけだわ。
アハハハ、かなわないわね、華琳には」
私が言い切れば舞蓮は大笑いし、顔を隠しながらその場に寝そべった。
「ふふふふ、本当に底が知れないわねぇ。本当にうちの娘と同じ年頃なの? ぜーんぶ正解。
あと私が話すことなんて、こんなことをした理由ぐらいだけど、それも華琳なら想像できているんじゃない?」
指の間から私へと視線を向けて、彼女の纏う空気はほんのわずかだが変化したような気がした。
「ねぇ、華琳。不自然だとは思わない?
何故、この大陸で優秀と称された者が次々と早死にするかを。
馬騰の夫も、私の夫も、病死と戦死。
性格も、死に方も、死んだ年も違えば、場所も違う。
ただ一つ共通点があるとしたら、都まで響くほど何かに秀でていたこと」
私に問うておきながら舞蓮は自ら口を開き、彼女は顔を隠した左手を硬く握りしめた。顔全体を見せようとはしない様子は、子どもが泣くのを必死に誤魔化そうとしている姿にとてもよく似ていた。
「調べたわ。八年もかかっちゃったけど、確かな証拠も掴んだ。
まっ、詰めが甘くて、逆に目を付けられて冬雲に助けられちゃったんだけど」
口元では笑みを作り、声は明るい筈だというのに、隠された手から零れる涙。それでも嗚咽を漏らさないのは彼女の意地。
「そりゃ、守るわよ。
私以外に殺せる相手なんていないって、死ぬ筈がないって思ってた旦那が、力も何もない・・・ 権力しか持ってないゴミどもの使い走りに殺されたんだもの。
しかもこんな方法しか浮かばなくて、白陽ちゃんは本気で怒るし。あぁでも、二番目の娘に
自嘲し、私に笑ってほしいかのように言う彼女のことを、笑うことなど出来るはずがなかった。
何故なら、私が彼女の元を訪れたのは笑うためでも、責めるためでもないのだから。
「舞蓮、私はあなたの行動を言及しに来たわけではないわ。むしろその逆よ」
「え? 逆って?」
「私は、あなたに礼を言いに来たのよ。舞蓮」
私の言葉に驚き、顔を上げた舞蓮をまっすぐ見つめ、告げる。
「ありがとう、舞蓮」
本来なら彼のことをここまで愛し、想っている彼女に嫉妬しなければいけないのかもしれない。
「冬雲のことを想ってくれて、愛してくれて、そして守ろうとしてくれて、ありがとう」
けれど私は、嫉妬などしない。
多くの女性に愛されても、想われても、彼の優しさを多くにふりまかれても、彼が、冬雲が最後に帰るのは私の元。
たとえ世界が違っても、大陸が乱れようとも、それは絶対のことなのだから。
「ねぇ、華琳。
今の言葉を、笑顔で、もう一回言ってくれない?」
舞蓮は鳩が豆鉄砲をくらったような顔で、もう一度求めてきたので笑顔でそれに応じた。
「えぇ、勿論。
ありがとう、舞蓮」
「・・・いつ振りかしらねー、面と向かって誰かにお礼を言われるなんて。
でも、今になって冬雲があの時に言った言葉の意味がわかった気がするわ」
舞蓮は再び寝そべりながら、私にはよくわからない独り言を言う。
言葉から察するに冬雲が何かを言ったのでしょうけど、彼女の思い出に突っ込んで聞くほど私は無粋ではない。
「それじゃ、舞蓮。
私はこの後、やることがあるから失礼するわ」
「はいはい。
華琳達は先陣きったりしないでしょうし、他のところを眺めるぐらいしかすることないでしょ。それなら冬雲は華琳と一緒に行動するでしょうから、この幕で大人しく寝てることにしますよーだ。
気が向いたら、冬雲の幕で寝てるかもだけど」
「好きにするといいわ」
さっきまで涙を零していたはずの彼女は笑顔を取り戻し、どこかで見ていたのではないかと思うような慧眼を見せつけられてしまうと、もはや呆れる事しかできない。
「あっ! 華琳。このことを冬雲には・・・」
「言われなくてもわかっているわ」
もっとも、今の冬雲なら察していそうな気もするけれど。
「さて、あの子たちはどう動くのかしらね?」
冬雲、春蘭、秋蘭、樟夏、桂花の五人を待ちながら、私は泗水関の前に用意された簡易の陣へと目を向ける。
「劉備、関羽、孔明。そして、白の遣い。
あなた達は私がおもわず求めてしまいたくなるような、そんな存在になっているかしら?」
関の前で一人立つ関羽の後姿を見つめながら、私は零れる笑みを止めることが出来ない。
「さぁ、あなた達の成長を、私に見せて頂戴」
「華琳、その発言はどうなんだよ」
冬雲の呆れたような声に私は数瞬前までとはまた違う笑みを浮かべて、問う。
「あら、こんな私は嫌い?」
「そんなわけないだろ。
大好きだよ、華琳」
背後から彼の温もりに包まれ、耳元に聞こえる言葉は私に安らぎをくれる。
「知っているわよ」
ずっとずっと昔から、今の私が始まる前から。
「それはそうと、さっきから華琳が熱心に見てるのは関羽殿か?」
「えぇ、この先陣で彼女たちがどう動くか。とても興味深いわ。
あの時ほど向こうが愚かではないのなら、尚更ね」
「あの時、か・・・・
俺はこんなところに立ったり、他の陣営を知ろうとする余裕なんてなかったから、あの時の状況はほとんど知らないのが正直な所なんだよなぁ」
「でしょうね。
あの時のあなたはそれほど未熟で、努力が足りていなかったもの。
第一、駆け出しのあなたが他陣営のことを把握しても、他に情報を漏らす可能性も十分にあったわ」
「否定できないところが痛いなぁ・・・・」
苦笑いし、かつての己の未熟さを指摘されても、彼は怒ろうとはしない。そのための今とでもいうように、私を抱く手にわずかながら力が込められ、人の気配を感じてその手は離された。
「「華琳様ーーー!!!
冬雲ーー!!」」
聞き慣れた二人の愛しい部下の声を聞きつつ、かつてと少し違う点にまた笑みがこぼれる。
「これもまた、かつてとは違うわね」
「何がだ?」
「私だけしか呼ぶことのなかった、あの子たちのことよ」
そう言えば冬雲は少しだけ驚き、彼もまた微笑んだ。
「あぁ、嬉しいな」
かつてなら照れたり、否定していたかもしれない彼が恥じることもなく受け入れる。成長したこと、慣れたこと、理由はいろいろでしょうけど、そんな些細なことですら誇らしく感じてしまうのは何故でしょうね。
「華琳様、全員揃いました。お待たせしてしまい、申し訳ありません」
冬雲も、待たせてしまったようだな」
「いえ、私達が早すぎただけよ。
皆もこちらへ来なさい」
全員が私の半歩後ろに立ちながら、平原の彼女たちの旗の立つ陣を眺める。
劉備や白の遣いが見えたところから察するに、今は話し合いでもしているのでしょう。
「先兵隊、か。
どうなるだろうな」
この場の思いを代弁するような冬雲の問いは場に吸い込まれ、誰かが反響することもない。
この先兵隊はこのまま功績をあげることもなく、睨みあいで終わる可能性も十分あり得る。
否、むしろ状況から言ってあちらが動かない可能性の方が高い。
「難しいでしょうね。
それこそ向こうが妙な動きでもしない限り、劉備たちは功績なんてあげられっこないわ」
「だろうな。
だが同時に、ここで功績をあげられなければ、劉備たちは機を失うだろう。
『犠牲を出さない』という点においては歓迎される事態でもあるがな」
桂花と秋蘭の言葉にそれぞれ頷き、考えを巡らせているのが空気となって伝わってくる。
「ましてや相手はあの『魔王の盾』、泗水関を守る魔王の強固なる盾がそう簡単に動くとは思えません。
春蘭、あなたは・・・・」
「・・・・」
「春蘭? どうかしましたか?」
樟夏の言葉に春蘭は何も答えず、真っ直ぐ何かを見つめている。
その表情は厳しいながらも、ほんのわずかに笑っているようにも感じられた。
「来る・・・・!」
「我が主に、都へと迫る連合の者たちよ!
正義を語り、天を語り、偽りに塗り固められた欲にまみれた者たちよ!
我が名は華雄!
鬼神・麒麟と並び、魔王の盾と呼ばれし者なり!!」
私達が春蘭の視線の先を確認するよりも早く響き渡るのは、華雄の名乗り上げ。
「諸国から将を集い、群れを成し、実に滑稽だな!
はっ、諸侯は皆、我が主である董卓様が怖いと見える。
たかが関一つ、大勢でよってたかり、攻め滅ぼすことも出来ぬとはな!
だが、安心するといい。
我等は貴様らのように卑怯者でも、臆病者でもない!」
目の前の者だけでなく、連合の全てを自分が相手どると宣言するかのように。
「私はここに! 一騎打ちを申し込む!!」
「あの姿、誰かさんにとてもよく似ているわね」
斧槍を構え、泗水関を守るように仁王立ちをする彼女の姿。
私はあの背に守られている者の喜びも、悲しさもよく知っている。
「えぇ、似ていますね・・・」
「えぇホント、私が一目惚れさせられて、努力を見せつけられて」
「いつの間にか懐に入られ、愛おしさを感じ、私達を守ろうとしてくる」
「本当は・・・ そんなお前を見ていると不安になる。
だが、お前の優しさと温もりから離れることなんて・・・ もう考えられん」
四人の言葉の最後を締めくくるように、私は話に一人置き去りにされた冬雲を見つめた。
「そんな私たちのものである、あなたにね」
大きく目を開いて驚きながらも、その表情はすぐにほころび、嬉しそうに笑う。
「樟夏。
お前も、大好きな人からこんな風に言ってもらえるようになれよ」
「照れも何もなしで、開き直りですか?!
というか、痛いです! 背中を叩かないでください! 兄者!!」
照れ隠しなのか、樟夏の背を叩き、首に手を回して捕まえる。
あらあら、こんな冬雲も悪くないわね。
あの時は、こんな風に彼が親しくする同年代の男なんていなかったものね。
「まっ、お前にも樹枝にもその手の心配は少しもしてないけどな。
俺にもなれたんだ、お前たちになれないわけがない。
お前たちは俺をここまで押し上げて、変えてくれて、支えてくれて、愛してやまない大事な人の弟なんだからな!」
「結局、
二人のじゃれあいから関羽たちへと視線を戻すと、何やら関羽と白の遣いが抱き合い、何かを話している様子がうっすら見える。
戦場で抱き合うなんて、流石は北郷一刀ね。
「我が名は平原の相・劉備・白の遣いの将、関羽!
その一騎打ち、この私が受けよう!!」
華雄へと向き合い名乗り上げる彼女は、かつてとは何かが違うように感じられた。
もっと言えば、彼女が成長していなかったなら、華雄の名乗り上げに対して突っ込んでいくことも考えられた。
「桂花」
「おそらく、華琳様のご想像通りかと・・・」
劉備たちもこの連合が嘘から生まれたことを理解して行動しているのだとしたら、華雄を殺すことはない。
けれどそれは、捕まえたら終わりなどという簡単なものではないわよ? 劉備、白の遣い。
「黒陽」
「ふふっ、委細承知。
少しばかり探ってきますわ。白ではなく、金にある異色を」
名を呼んだだけで全てを察する優秀な子たちに頷き返し、黒陽の気配がその場から掻き消えていく。
「それにしても、見事だわ。華雄、関羽」
こちらまで響く激しい武の衝突、互いに間をとり、牽制し、幾度もぶつかり合う偃月刀と斧槍は近くであっても目で追うことは難しいだろう。
そんなやり取りを武人である春蘭は目を離すこともなく見つめ、おそらく無意識に笑んでいた。
「姉者・・・ 彼女は強くなりましたね。
おそらく今の私では敵わないほど、強く・・・・!」
樟夏は悔しそうに拳を握り、春蘭同様に素晴らしい一騎打ちから目を逸らすことはない。
「えぇ、彼女はとても強くなったわ。
けれど樟夏、今のあなたになら関羽が強くなった理由の一端がわかる筈よ」
勝敗が決するであろう最後の一撃が振るわれ、斧槍が宙を舞っていく。
そして、本来なら誰も気にも留めないであろう一人の存在がその場へと駆けていくのが視界の端に映り、私は微笑んだ。
「はい? それはどういうことです? 姉者」
連合を訪れる前の樟夏ならば、きっと彼女が強くなった理由がわからなかっただろう。理解できないと、呆れはてすらしたかもしれない。
だが、今の樟夏なら理解できるでしょうね。
「何故なら彼女は、恋をしているんだもの」
「は? 姉者?
それはその・・・ 愛しい者が出来た私にも気持ちはわからなくはありませんが、あまりにも・・・」
呆然とし続ける樟夏に対し、桂花たちは納得するように強く頷いていた。
「ただの自己犠牲でもなく、闘争本能から戦いを求めるわけでもない。
生きて、共に歩きたいという存在がいる。
ただそれだけで、人はいくらでも強くなれるものよ」
私達がかつてそうだったように。今もそうであるように。
「以前の関羽にはなかった想いが、未来という夢が彼女を強くしているのよ」
あの時、行き場のなかった想いと具体性に欠けた夢があの子たちをそうさせたというのなら、やはり天の遣いという存在は特別なのかもしれない。
「天の遣いにもし何かの力があるとするなら、それは未来という夢を見せることだわ」
もっとも当人たちにそんな自覚もなければ、否定すらすることだろう。けれど今、もう一人の天の遣いを・・・ 北郷一刀を遠くから眺めてみることでよくわかる。
乙女たちと恋に落ち、互いに想いあいて夢を描き、姫武将たちはその想いを力として無双となす。
「夢想で無双なんて、本当に奇跡のような力ね」
言葉と共に、