真・恋姫✝無双 魏国 再臨   作:無月

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一日遅れの投稿、本編は久しぶりですね。


会談するつもりでした!
会談するつもりでした・・・・


60,義姉妹 会談? 【風視点】

「おい、風!!

 白蓮嬢ちゃんが・・・・ぐべっ?!」

 足がないも関わらず、慌ただしい音をたてながら風の幕へと入ってきた闖入者に、硯を投げつけてから振り返れば、そこには地面と熱い抱擁を交わす宝譿が落ちていました。

「いや、『足がないにも関わらず』の時点で俺ってわかってたよな・・・?」

「風には何のことだかさっぱりですよ、宝譿。

 女性の幕に入る時は、幕の外から一声かけるのが常識だと思うのですよ」

「相棒なのに?!

 あの時、もう一人の自分って言ってくれたのに?!」

 風が落ちた宝譿に膝を曲げて伝えれば、落とされたことなどどうとでもないかのようにその場から立ち上がり・・・? 起き上がり・・・? 浮き上がり? とにかく復活しましたねぇ。

 流石、普段星ちゃんと渡り合っているだけはありますねぇ。以前よりもずっと宝譿が頑丈且つ、逞しくなってくれたのですよ。

「過去は過去なのですよ~。

 風達は変わった今を、これからの未来(さき)を見つめていくのです」

「言ってることはカッコイイけど、それってどういう意味?!」

 拳を握って精一杯キリッとした表情をすれば、風の袖を引きつつ必死になる宝譿が少し可愛い・・・ なんてことはありませんねー。

 はぁ、やはりからかって面白いのはお兄さんが一番ですし、風も早く華琳様達の元に行きたいのですが・・・

「そうもいかないんでしょうねぇ・・・」

 この後ある話し合いの一件も勿論ですが、今後もあれやこれやとやることは山積みですしねー。

 白蓮ちゃんと赤根ちゃんが現実を見てくれていることが幸いしたのもありますが、想定外でしたけど白蓮ちゃんと華琳様の間に明確な縁が出来たのはある意味好都合だったのですよ。この縁によってあの件は他に知られることなく、且つ自然に繋がりを持つことが出来ますからねぇ。

 星ちゃんをお兄さんに会わせないように画策したりもしましたけど、それも時間の問題でしょうねぇ・・・ まぁ、そうわかっていても風や稟ちゃんが満足に会えていない現状、星ちゃんをお兄さんに会わせるなんてことはさせませんけどね~。

「風、黒い考えが出てる?! 口に出てるから!」

「ふふふふ・・・

 風達が居ない間に桂花ちゃんを始め皆さんがいい思いをしているかと思うと、本当に羨ましくて妬ましいのですよ☆」

 勿論皆さん好きですし、憎むことはありませんけどねー。

 それでも羨ましいものは羨ましいですし、この想いはもう別次元の感情なのかもしれませんねぇ。

「だからってよー、司馬の嬢ちゃん達にあんな書簡もたせなくてもよかったんじゃね?

 誰が見てもビビるだろ、あれは」

「う~ふ~ふ~。

 風としては最近デレの激しい桂花ちゃんか、秋蘭ちゃんが最初に見ることを期待するのですよ~」

 交代で筆を執ってくれるのは嬉しいんですけど、自慢やら惚気やらが混じってちょっとイラッ☆とくるのですよ。

「だからって、『狡い』のみを書簡いっぱいに書くのはこえーよ!」

「・・・お兄さんに会えない想いをこじらせた、可愛い嫉妬ということで~」

「旦那なら苦笑した挙句抱きしめるだろうが、普通はそうは思わねーからな?

 つーか、こじらせたって自覚あるんじゃねーか!」

 宝譿の言葉を聞き流しつつ、白蓮ちゃんと合流してからそのまま華琳様のところへ行けるように書簡を用意しておきます。今回の話はいろいろと用意しなければなりませんし、あちらとの連携が必須ですからねぇ・・・

「聞けよ?!」

「それで白蓮ちゃんのところで何かあったんでしょう?

 あまりにも地味すぎて、ついに背景と一体化しましたか?」

「どんな世界だよ?! 流石にそれはねーよ!

って、そうだった! 白蓮の嬢ちゃんがやべーんだよ!

 とにかく、幕に行った方がはえーから今から行くぞ!!」

 ヤバいという割には風のおふざけに悪乗りしてましたけどね~と口にする前に、風の襟を掴んで引っ張っていきます。

 おぉ~、宝譿の重量の限界を試したことはありませんでしたが、まさか風が宙に浮く日がこようとは・・・ 風は今、大陸で初の経験をしているのですよ。

「風!? さっきから返事がねーけど、おかしな感動してないか?!」

「気のせいですよ~」

 足が地面に接触しないように直立不動を心がけて、風は白蓮ちゃんのところへと引っ張られていくのでした。

 

 

 

「白蓮嬢ちゃん! 早まってねーだろうな!?」

「縁起でもないですねー、宝譿。

 それじゃぁまるで白蓮ちゃんが首吊りでもするみたいじゃないですかぁー」

 風を引っ張ったままの状態で幕へと突入する宝譿の第一声に文句を言いつつ、幕を覗いてみれば、そこには今まさに首を吊ろうとしている白蓮ちゃんの姿が映りました。

「はぁ・・・」

 馬鹿なことをしでかそうとしている白蓮ちゃんに風は一つ溜息を吐いてから、懐から護身用の小さめの弩を取りだして、浮いていた宝譿を番えてから一切の迷いもなく射出しました。

「あい・きゃん・ふらーーーい!!」

 飛びながらも風の知らない言葉を叫ぶ余裕がある辺り、宝譿の図太さにはびっくりですねー。

 いつの間にやら縄の切断用に刃物を持ってますし、ぶっちゃけ縄を先端の鉄片だけで切断とか出来ませんから。秋蘭ちゃん辺りは平気でやってるますが、縄の強度を見直すことも考えておきますかねぇ。

「あーんど! かっと!!」

「ぎゃっ?!」

 縄が切れる音と、今まさに縄に首をかけようとしていた白蓮ちゃんが派手に地面と接吻を交わしていますが、風はそれにかまわず白蓮ちゃんを見下ろしました。

「白蓮ちゃーん、宝譿に引っ張られて来たら突然首吊りなんて言うお馬鹿なことをしていた説明をしてほしいんですがー」

 指で白蓮ちゃんの髪をツンツンしつつ周囲を見渡しますが、原因となりそうなものが見当たらないんですよねー。

 机と着替え等の入った籠、立てかけられてる剣と書簡ばかりが置いてあるという、なんて言うか色気の欠片もなくて地味且つ欲のない幕ですから、原因となるものがあればわかると思ったんですけどねぇ。

「それもそうなんだけど、私から風に一つ聞いてもいいか?」

「なんでしょー?」

「さっきの弩の腕前、何?

 ていうか、矢じゃなくて宝譿飛ばすとか何なの・・・・?!」

 この状況下でそっちについて触れてくる辺り、白蓮ちゃんの神経も太いですよねー。

「女三人の旅でしたから、星ちゃんだけの腕では足りない時というものはあるのですよー。

 矢は枝を尖らせれば簡単に作れますし、宝譿なら多少無茶に扱っても壊れませんからねー」

 むしろ風としては、意外と腕の立つ上に領主としての仕事をもこなせる白蓮ちゃんの方がおかしいと思うんですけどねー。

 以前の王たちは華琳様も含め、必ずどちらかを不得手としていましたし。地味と言われる割にはなんでも出来るんですよねー。

「それで白蓮ちゃんはどうしてあんなことを~?

 なんというか白蓮ちゃんらしくない無責任な行動で、風は少しばかりおこなのですよ~」

 宝譿も大変とか、急いで来いと言うばかりで理由やら原因やら一切言ってませんでしたしねぇ。

 風の考えたことがわかったのか、宝譿が地面からようやく這い出てきて風の隣へと浮かびました。

「あ~・・・ それは・・・」

「話を聞いてない風が考えられる可能性を言うのなら~。

 あっちこっちで印象の強い諸侯や将の方々を見て、自分の地味さに嫌気がさしたとか、はたまた婚約者から一方的に婚約破棄をされたとかですかねぇ?」

「風!

 言葉にオブラートつけてやれよ?!」

 おぶらーと? って何でしょう?

 表現的には優しくしてやれって言われてる気もしますが、可能性としてあげられることってこれぐらいなんですよね~。今回の連合で将の顔は一通り確認していますし、宝譿を使って情報を集めたりしましたが、以前より豪華すぎて驚かされたものでしたよ。

「うぅ・・・ うわーーーーん!」

「泣かれても困るので、状況説明を~」

 泣きだす白蓮ちゃんを宥めつつ、白蓮ちゃんは大粒の涙をこぼして叫びました。

 

「だってだって・・・ 樟夏殿は、樟夏殿は義理の弟と愛し合ってるんだ!」

 

「わー・・・

 なーに、馬鹿なこと言ってんでしょう。この子」

「口に出てんぞ、風」

 白蓮ちゃんのその発言で何が原因なのかがはっきりとわかりましたが、なんというか・・・

「華琳様の実弟であり、お兄さんの義弟が男とイチャイチャするわけないじゃないですか」

「そこかよ?!」

「いや、華琳様の弟というだけなら同性愛の可能性は十分ありますけど、お兄さんの義弟ですよ?

 まして、初対面の相手に運命とか口走るような人ですしね~」

 宝譿からツッコミが入ったりもしてますが、風はあの物語が華琳様の行っている資金調達の手段の一つであることも知っていますからねぇ。娯楽を生み、経済を回し、ひとときであれ争いを忘れることは民の気分転換にもなりますし。

「ところで宝譿、どうして今更あの本が白蓮ちゃんの手に?」

「いや、一般兵が読んでたのを覗いちまったみたいでよー」

「はぁ、結構前から普及していた空想の産物ですよ。白蓮ちゃん」

 宝譿に確認したのち、風は白蓮ちゃんに溜息を吐いてしまいました。

「で、でも!

 もし、これが本当だったら私は・・・」

「いや、ありませんって~。

 大陸で同性愛は至って日常的なことではありますが、桂・・・ あの荀彧の甥っ子ですよ~?

 性格に何らかの難があっても風は驚きませんし、華琳様の弟が男色家であるなら物語にされる以前からもっと話題にされているでしょうからね」

 問題の物語を手に風に詰め寄ってくる白蓮ちゃんを落ち着かせようと言葉を並べれば、何故かさらに思いつめるような顔になるのは何故でしょうー?

「荀家、か・・・

 名家同士なら男同士であろうと婚姻は許される・・・

 が、子は残さなければならないから私と婚姻したのかな? こんな私よりも彼には相応しく、想いあう人がいるんだ・・・・」

「うわっ、めんどくせぇ。この恋愛初心者の地味っ子」

「風、お口チャック!!」

 立場とかを言い出したら、野から湧き出て来たようなお兄さんと華琳様なんて釣り合うわけがないんですよねー。

 立場なんてものは所詮大陸に立った各々が成してきたことでしかなく、多くの者に言葉を飾られた偶像の自分ともいえますし。そんなものを気にしてたら、今のお兄さんはともかくかつてお兄さんと結婚なんて出来っこありませんからねー。

「そんなに白蓮ちゃんが不安なら、これから不安の原因を作ったご当人でも呼んで熱い接吻の一つでもしてもらいますかね~?」

「☆%#$&?! そ、そそそそそそんなことできるわけないだろ!?

 仮にこれが虚偽でも、真実であっても、まだ所詮は婚約者でしかないんだぞ?!」

「そんなこと言ったら、恋人止まりであれこれしてた風達って一体何なんでしょうねー」

「むしろ片っ端から手を出してる華琳嬢ちゃんの方がやべぇな」

「まぁ、どのみちこの後あちらとの話し合いの場があるので、嫌でも曹洪さんに会うことにはなるんですけどねー」

「あ、会うのが嫌とは言ってない!」

 ならなんでそんな些細なことを心配しますかねぇ、この子は。

 内心で零れる溜息を飲み込みつつ、白蓮ちゃんにあれこれ用意させてから風達は華琳様達の元へと向かいました。

「さっ、行きましょうか。

 お兄さんといちゃつきに」

「話し合いだよ?!」

「あと、白蓮嬢ちゃんのことはいいのかよ?!」

 

 

 

 そして今、つい先程これからのことについて無事話し合いが終わり、風はひたすらお兄さんといちゃついているのですよー。

「いや、話し合えよ?!

 つーか、話し合いが終わる前からずっと旦那の膝に居ただろうが!!」

 外野からツッコミが入りますが、お兄さんのお膝の上で腕を抱きしめて甘える方が重要なのですよ。

「お兄さん、お兄さん」

「何だ? 風」

 風が呼べば、目元を緩ませたお兄さんが優しく風を見下ろしてくれます。

いいですねぇ~、実に素敵な光景なのです。

「呼んでみただけなのですよ」

「甘えん坊だな、風は」

「聞けよ!! そこのバカップル!」

「そうよ、風!

 久しぶりだからってアンタ、冬雲との距離が近すぎるのよ!! 少しは遠慮しなさい!」

 おや、ツッコミが一人増えましたね。

 風が渋々視線を向ければ、そこにはお冠状態の桂花ちゃん。そして、書簡を届けてくださる司馬家の長女さんが笑顔のまま立っていました。

「いいじゃないですかー。

 桂花ちゃん達がいつも独占しているんですし、こういう時ぐらいは」

「こっちだって、そいつと二人きりになることなんて滅多にないわよ!

 どっかの馬鹿が拾ってきた虎だったり、最近増えた断頭姫だったりの所為で元々多くない機会がさらに減ってて、夜に部屋に突入するか、機会作って予定組むぐらいしかないのよ!!」

 おーおー、桂花ちゃんが桂花ちゃんと思えないぐらい積極的ですねー。

 というか、競争率が現段階で随分あがってるようですねぇ。今回、星ちゃんをお兄さんに会わせないようにしたのは正解かもしれません。

「つーか、白蓮嬢ちゃんはどうでもいいのかよ?!」

 宝譿の言葉に頭の隅に追いやっていた白蓮ちゃんの方を見れば、さっきの話し合いまで隣にいた筈の白蓮ちゃんがいませんでした。何やら幕の隅で足を三角にしてブツブツと言っていて、その様子を心配そうに曹洪・・・ いえ、樟夏殿が問いかけていますが、風は宝譿にとてもにこやか顔で笑いかけました。

「風はお兄さんといちゃつくのが忙しいので、出来ません☆」

「うおぉぉーーーい!?」

「というかー、話せば解決なのに無言を貫き通したり、本人の話を聞かずに思いつめるとか馬鹿じゃねーの?

 というのが風の本音なのです☆」

 風の容赦のない言葉に華琳様と司馬の方が笑い、お兄さんが風の上で苦笑した気がしますが、風は気にせずお兄さんへとすりすりを実行します。

「そんなことをしていないで、好きなら好きと言えばいいんですよー。

 言葉を声に、行動を実行に。

 不安なら不安と言うことこそが、想いが繋がる第一歩なのです」

「白蓮殿、何を不安に思っているのですか?

 私に、あなたの不安を消すことは出来ませんか?」

 風がそう言えば、樟夏殿が白蓮ちゃんに話しかけていますが、風の前で浮いていた宝譿が突然錐を使う時のように回転しながら樟夏殿の所へと突貫していきました。

「テメーの所為だ!! このホモ野郎!」

「ごはぁ?!

 ほ、『ほも』とはなんです? 私が原因とはまたどういう・・・」

 胸の中央に突貫し、樟夏殿の体をくの字に曲げてから宝譿は手を組んでお説教体勢になっていますねぇ。

「八百一本の事だ! ボケェ!!」

「なっ?!

 あれに関しては、事実無根で・・・!」

「言い訳する相手が俺じゃねぇだろうが!!

 テメーの大事な人不安にさせたり、泣かせたりしてんじゃねぇ!」

 ・・・あれはどこのおやっさんでしょうかー。

 風はおやっさんを頭に載せてたつもりはないんですけどねー。

「風」

 お兄さんの優しい声に上を向けば、苦笑したお兄さんがいました。

 その言葉と表情だけで何を意味しているのかが分かったのですが、風は首を横に振ります。

「まだまだ、お兄さん成分が不足しているのですよー。

 もう少し溜めるのでこのままで~」

「はいはい。

 俺も風の成分を溜めとくよ」

 お兄さんの嬉しい言葉と頭に触れる優しい手に目を細めていると、稟ちゃんから頼まれたあることを思い出して、再度お兄さんへと視線を向けました。

「どうかしたか?」

「お兄さん、ちょっと髪を貰ってもいいですかね?」

「髪? 何でだ?」

「お兄さんに会えず、寂しがっている稟ちゃんにお土産を渡したいのですよー。

 人手の足らないこちらの陣営で、稟ちゃん達まで幕を空けるわけにはいかなかったのでー」

 まぁ、勿論それだけではないんですけどねー。

 星ちゃんの足止めをしつつ、二人には幽州に帰るための準備を頑張ってもらっているのです。今頃は幕で星ちゃんが文句を叫んでいるでしょうが、そんなことは風の知ったことではありませんねー。

「んー・・・

 流石に髪だけっていうのもあれだし、一筆書くからちょっと待ってくれな」

 腰に差してある小刀でやや伸びていた後ろ髪を躊躇なく切って紐でまとめ、影から出てきた子が渡した一本の書簡にさらさらと書いて、乾くのを待ってから風へと手渡してくれました。

「稟ちゃんがはしゃぐ姿が今から見えるようですよ~」

「喜んでくれるなら俺も嬉しいけど、風も自慢はほどほどにな」

 自慢をしないという選択肢はありませんが、稟ちゃんに良いお土産も出来ましたし、戻ったら星ちゃんを弄り倒すとしましょうかね~。

「樟夏・・・ その、ありがとう」

「い、いえ!

 私もその・・・ あなたとしたかったので・・・」

 なんか幕の隅から初々しい恋人たちのやり取りがあったような気配がしますが、見ないフリなのですよー。大方、初めての接吻でも成功させたんでしょうしねー。しかも白蓮ちゃんの頭の上で、何故かやり遂げたような顔をしてドヤ顔している宝譿なんて見えません。えぇ、見えませんよー。

「では、華琳様。

 あちらも解決したようなので、風達はそろそろお暇するのですよ」

 名残惜しくもありますが、お兄さんをこちらから引き抜いて連れ帰るのは出来ませんし、次にやることがある以上は風が幽州に戻らないということも出来ません。

 はぁ、仕方ないんですけど、やっぱりお兄さんと会えないのは嫌ですねぇ。

「えぇ、ご苦労だったわね。風。

 あれが終わってから、樟夏をそちらに送るわ」

「正直、いらないのですよー」

「何、勝手に断ってんの?!

 いるよ! 超重要だし、いなきゃ困るからね?!」

 風の言葉に初々しい恋人達空間から白蓮ちゃんが抜けだしてツッコミを入れますが、風は全然気にしません。

「さて、お兄さんのお膝ともまたしばらくお別れなのです」

 そう言いつつ降りれば、お兄さんも少し寂しそうに目を細めて、風の頭を撫でてくれました。

「あぁ、またな」

「・・・あーっと、風としたことが一つだけ重要なことを忘れていました。

 というわけでお兄さん、お耳を拝借」

 我がことながら酷い棒読みですが、お兄さんは少し驚いて風の顔の近くへと顔を近づけてくれました。

「ちょっ、風! アンタまさか・・・」

 なんか一部の方々が察して動き出した音がしますけど、もう遅いのですよ☆

「はい、お兄さん。忘れ物です」

 近づいたお兄さんの頬に接吻をして、迫ってくる桂花ちゃんから逃げるように幕の出口へと向かいます。

 ちょっとだけ振り返って見えたのは顔を染めつつ幸せそうに笑うお兄さんと『あの子らしい』と言わんばかりに笑う華琳様、そして凄い形相で追いかけてくる桂花ちゃんと丁寧に礼をして幕を後にする白蓮ちゃんでした。

 そんな様子を見た風は走りながら、ついつい笑みがこぼれてしまいました。

「あぁ本当に・・・ 楽しいですねぇ」

 




しませんでした!

次も本編を予定しています。

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