カッコイイ白蓮ちゃんが見たかったのです。
64,予感と準備 幽州にて 【赤根視点】
「裏切られた!!」
二日前に凱旋し、間一日を後始末などの走り回り、ようやく今日からいつも通りの幽州の日常が送られるかと思い、会議室兼仕事部屋へと入室した私を出迎えたのは、星お姉様の奇抜な第一声でした。
とりあえず状況を知るために周りを見渡しても、風お姉様は私を確認して手を挙げてくださり、稟お姉様は私が手に持っていたお姉様達の留守中の報告書を受け取って、『お疲れ様』と優しい視線を向けてくださるだけでした。最後にお姉様へと状況を窺おうと視線を向けたのですが、何故か書簡を持って凄く嬉しそうな笑顔をしています。大方、婚約者となったらしい曹操陣営の曹洪様からの個人的な文でしょう。
「ちょっ、俺は無視か?! 赤根嬢ちゃん」
「あぁ、今日はサボらずに来たんですね。宝譿さん」
報告書以外の書簡を自分の机へと置きつつ声が聞こえた方へと注意を向けると、いつもお茶菓子が置かれたり、ちょっとした物をおく時に利用される小さめの机の上で宝譿さんが私へと抗議するように跳ねていました。
「俺、サボったことはねーからな!?
ただ、風とか稟嬢ちゃんが容赦なく俺を使うから、外に出てるだけだから!
つーか、星嬢ちゃんよりも容赦ねぇし、扱い酷くね?」
「いや違うぞ、宝譿」
宝譿さんの抗議も割と日常的なことなので、私は他民族の外交関係の書簡を開いて仕事を始めようとすると、星お姉様がビシリッと宝譿さんへと指差して否定します。
「この状況下で一番酷いのは叫んでいるにもかかわらず相手にされず、挙句室内にいる誰一人として説明しようとせずに放置されている私だと思うのだが?」
「ご、ごめんなさい・・・」
宝譿さんが珍しく謝罪し、星お姉様が私へと向かってきていますが、どうしたんでしょう。
「それよりも、だ!
赤根よ、どうか聞いてくれ。私はつい最近、手酷い裏切りにあったのだ!!」
「そうですか、星お姉様。
いつも通り、宝譿さんに裏切られたんですか?」
前回は秘蔵のメンマ、前々回は贔屓にしている店の試作品の菓子でしたが今度は何を奪われたんでしょう?
「ちょっと待て、赤根嬢ちゃん。
そんな言い方したら、俺がいつも星嬢ちゃんを裏切ってるみてぇだろうが!」
私が首を傾げて視線を送れば、宝譿さんは体を倒して、手だけで体を支えるような姿勢になってしまいましたね。
「赤根嬢ちゃんから見たら、俺って・・・・!」
「まぁ、他から見ればそんなもんですよねー」
そんな光景すら相手にせずに仕事に励む稟お姉様と、それに追い打ちをかけるように笑う風お姉様は本当に容赦がありません。
ですが事実ですので、しっかりと受け止めてもらいたいと思います。
「確かに宝譿からも裏切りがあったが、違う。
私を裏切ったのは・・・・」
「あぁ、わかりました!」
「おぉ、わかってくれたか! 赤根よ!!」
星お姉様を裏切りそうなことに思い当たり、私は手を打ってから言葉を続けました。星お姉様も喜んでいるようなので、当たっているかもしれません。
「メンマのお店が臨時休業だったんですね!」
つい最近ご子息の方が店主である父が腰を痛めたとか言っていたので、当たっているだろうと思い口にすれば、星お姉様はその場で転んで大きな音をたててしまいました。
女性が足をあげて転ぶのは正直どうかと思いますし、星お姉様の服装ではいろいろと注意が必要な気がします。
「違う!!
確かに落ち込みはするが、裏切りではない!」
「では、連合の旅路などで口にしたメンマに・・・?」
「いや、メンマに裏切られるって何だよ。赤根嬢ちゃん」
「口に合わない、とかでしょうか?」
星お姉様が他に裏切られるものが思い浮かばないので、行く途中に口にしたメンマがあわなかったのでしょうか。長期保存できますし、結構な量を用意しておいたはずなんですが、やはり星お姉様には足りませんでしたか・・・
「この私が、メンマが口に合わない程度で裏切られたと感じたと思うのか!」
『えっ?』
星お姉様とは思えない発言に対し、私のみならずその場にいた皆が口を揃えて戸惑いを声に出すと、星お姉様は怒りで拳を震わせています。
そろそろ本格的に話を聞いてあげた方がいいかもしれません。しないとは思いますが、ここで大きな動作などをされたら書簡が大変なことになってしまいますから。
「では、星お姉様は一体何に裏切られたんですか?」
ですが、先程挙げたこと以外に星お姉様が裏切られるということに皆目見当がつかないのも事実であり、星お姉様を裏切るなどという仕返しされることが目に見えていることをしでかす剛の者がこの幽州にいるとは思えませんでした。
では、連合で何か起きたのでしょうか?
「お姉様、連合で何か・・・」
連合内でいざこざが起きたというのなら、一陣営の責任者であるお姉様が知らないわけがないと思ってそちらを振り返れば私が入室時と変わらない・・・
「うふ、うふふ~。樟夏ったら~」
どころか、むしろ悪化しています。
時々、唇を指で触れては顔を真っ赤にするとか、一体どうしたというのでしょうか? 少し心配です。
「赤根、あれだけは触れるな。
惚気がこちらにも向けられた場合は面倒極まりない上に、しばき倒したくなるからな」
星お姉様の言葉に素直に従うが吉、でしょうか。
あれほど自信がなかったお姉様を変えてくださった方ですから、いずれお会いしたいとは思いますが、身内となるとですからそう遠くない内に会えるでしょう。
それに、あの状態のお姉様が愛しい方と会わないということに耐えられるとはとても思えません。
「私を裏切ったのは、先程から私を気にすることもなく書簡仕事を行う風と稟だ!」
「えっ、そんなまさか・・・
これまで様々な所を共に旅し、姉妹同然のお姉様達が喧嘩どころか、裏切りなんて想像できませんが・・・」
おもわず風お姉様達と星お姉様を交互に見つめ、お二人も沈黙を保っている辺り、それは事実なのでしょう。
「一体、何をなさったんですか? 星お姉様。
怒らないので、正直におっしゃってみてください」
「何故、いの一番に私を疑う?!」
「ふふふ~、星ちゃんの普段の行いの結果ですね~」
私の思いを代弁するように答える風お姉様ですが、一番わかりやすく問題を起こしそうなのが星お姉様というだけであってお二人も起こす可能性は十分あると思いますが、それは胸にとどめておこうと思います。
「つっても、風も稟嬢ちゃんも平等に問題起こしたりするけどな。
星嬢ちゃんと違ってわかりにくいし、
余計なことを口走った宝譿さんへと二つの文鎮が命中し、痛みで悶えていますが、私は星お姉様にしっかりと肩を掴まれてしまい、話を聞くまで離さないと目が語っていました。
「さぁ、聞いてもらおうか。赤根よ」
内心で一つ溜息を零して、私は星お姉様の話を聞くということに相成りました。
「――― というわけだ!」
長かった星お姉様の話を要約すると、風お姉様達の妨害工作によって赤の遣い殿に会えずに終わったというものでした。
「星お姉様・・・」
私は予想以上にくだらない内容に溜息を零し、眉間に手を当ててしまいました。
えぇ、別にただそれだけであるなら、私も星お姉様の味方をしていたかもしれません。
「風お姉様達の恋人である方に、『惚れるかもしれないから会わせてほしい』というのはどうかと思います」
むしろどこの世界に行けば、『あなたの恋人が気になってるから、会わせてほしい』と言われて会わせるような方がいるでしょう?
「まったくの正論で返されただと?!」
「正論というか、常識ではないかと・・・
風お姉様と稟お姉様でなくてもそんなことを言われたら妨害しますし、むしろ星お姉様の気持ちは有名な方に会ってみたいという好奇心もあるのではないかと推測します」
驚く星お姉様に対し、私が推測を交えて告げれば、視界の隅で風お姉様達が感心したように頷いていました。
「今日の赤根ちゃんはガンガン行きますねぇ~。
いいですねぇ、もっと言っちゃってください」
「いつもは星の言葉にも大人しく従う素直な良い子ですが、こうした強かさも持っていましたか。心強いですね」
「いや、原因であるお前らがそれを言うのかよ・・・
つーか、無駄に星嬢ちゃんを焚きつけるようなことを言うのはやめよーぜ」
最期の宝譿さんの言葉が一番焚きつけている気がしますし、現に私の目の前にいた星お姉様の目に対抗心という火が灯りました。
はぁ・・・ 流石は宝譿さん、余計な一言が多いですね。
「私は赤き御使い殿に一目惚れしていたんだ!!
言葉を交わし、あの場に立った瞬間から目を離すことが出来なかったんだ!」
情熱的な言葉ですが、私に向けられてもどう返せばいいかもわからずに戸惑っていると風お姉様と稟お姉様がほぼ同時に鼻で笑いました。
「まだ気になっている男性の域を超えていないくせに生意気な」
「四半刻も会ってませんし、お兄さん側から見れば『風達の同僚』ぐらいの認識でしょうけどねー」
「ミーハーは引っ込めー」
「よし、言葉の意味は分からんが宝譿は突く。
そこを動くな」
言いたい放題に言われ、とりあえず宝譿さんから罰することに決めたのかその場から槍で突きを繰り出しますが、全てを軽く避けられてしまいます。
常日頃から思っていましたが、宝譿さんのこの無駄に高い回避能力は一体何なのでしょう・・・?
「甘い、甘いぜ! 星嬢ちゃん!」
「ならば、横薙ぎにするのみ!」
突きを横跳びや側転で見事に避け続けられ、星お姉様がしびれを切らしたのか横薙ぎをすれば当然宝譿さんは跳んで躱します。
「ふっ、空中には逃げ道があるまい!」
が、星お姉様もそれが狙いだったと言わんばかりに空中の宝譿さんへと突きを繰り出しますが、宝譿さんの余裕な表情は崩れず、むしろ深まっていました。
「だーかーらー! それがあめーんだよ!!
何故なら俺は、飛べるからな!」
「なん、だと・・・?!」
小芝居を続けるお二人(?)を放っておき、私は外交関係の書簡に『済』の一字を書き込んでから次の話し合いに向けての書簡へと書き足していきます。
「風お姉様、連合で他民族の皆さんに知らせた方が良いことはありましたか?」
「いやー、赤根ちゃんの真面目なところが風は大好きなのですよー。
その辺りも含めてそろそろ真面目な話をしたいと思うので、白蓮ちゃんもいい加減・・・」
途中で言葉を止めた風お姉様は懐から弩を構え、星お姉様と小芝居に興じている宝譿さんを容赦なく掴み、弩へと番えて狙いを絞りました。
「戻ってきてくださいねー」
「風うぅぅぅーーーー、番えるなら一言くらい言えーーーーー」
宝譿さんの悲鳴が響き、狙いが逸れることもなく見事に白蓮お姉様の額にあたり椅子ごと背後に倒れますが、お姉様はあの程度ではなんともないので放っておいても大丈夫でしょう。
伊達に白馬義従を従えてはいませんし、幽州を守るお姉様はけして弱くはありませんからね。
「もう少し弩の練習した方がいいかもしれませんねぇ。
一般の矢でも、これぐらいの命中率になるぐらいまでは頑張りますかー」
何が不満だったのかそんなことを言ってのける風お姉様ですが、普通に木になっている果物を打ち落とす腕前は持っていますし、本来軍師ですので気にしないでいい気がします。
「風にそんなことを言われたら、戦力を持っていない私に立つ瀬がないでしょう」
「じゃぁ、稟ちゃんも弩やります?
軽いですし、馬上でも他の武器よりかは使いやすいと思いますよぉ」
溜息を零すように稟お姉様を慰めるように弩を薦め、前向きに検討する稟お姉様達を見守りつつ、一応武将の括りに入る私も気合いを入れなければなりません。
お二人に武力が必要な状況にならないようにするのが、武将の務めですから。
「よっと・・・
えっと、いろいろ遅れたけど、とりあえず今回の報告と今後の会議を始めようか」
起き上がった白蓮お姉様が宝譿さんを丁寧においてやり、その対応に当人(?)が感涙を零したりもしていますが、星お姉様も居ずまいを軽く正して自分の席へと戻り、話し合いに相応しい空気が用意されました。
「まず皆、お疲れ様。
連合に参加した星、風、稟は勿論だけど、一人で幽州を守ってくれた赤根もありがとう。おかげで何の心配もせずに、連合では無事一陣営としての役目を果たすことが出来た。
連合の結果は知ってのとおり勝利で終わったし、犠牲はなかったわけじゃないけど少しの犠牲で終わった。
それもこれも全部、ここに居る皆・・・ いや、幽州の兵のおかげだと思う。本当にありがとう」
一切の迷いもなく頭を下げる白蓮お姉様に私を含めた全員が苦笑いし、お姉様が頭をあげるのを待っていました。
何度も『君主はそう簡単に頭を下げるものじゃない』と注意しても治らないお姉様に呆れつつも、そんなお姉様だから幽州はこうして平和なのかもしれないと思う時点で私もお姉様と同じなのかもしれません。
「それで、だ。
樟夏・・・ 私の婚約者となった曹洪が近く幽州を訪れることが決まった。公には正式な婚姻をするための話し合いなんだけど・・・」
言いにくそうに言葉を濁すお姉様を不思議そうに見つめつつ、曹操殿ところから武名に優れた曹洪様がこちらに訪れる理由を模索していきます。
幽州は現状、他民族と友好な関係を築き、民の争乱もなく、反董卓連合も無事終わりました。洛陽は今後、地方に居る皇族の方を出迎えるのが妥当といったところでしょうか。
「白蓮ちゃんが言わないなら、風が言っちゃいますね~。
わかりやすく言うと、袁家が幽州に攻めてくるんですよー」
「風、それは歯に衣着せなさすぎだろ!?」
「どうしてですか?」
宝譿さんのツッコミのおかげで私は内容を飲み込むまでの時間を貰えたので怒鳴ることもなく、静かに疑問を口にすることが出来ました。
「大陸の端にあり、他民族の接触も高く、土地としても有効的な活用法のない幽州に袁家が攻めてくるのでしょうか?
それに次の皇室を支えるのは、袁家ではないのでしょうか?」
「まぁ、普通はそう思うよな。フツーは」
私の言葉に宝譿さんが頷き、風お姉様達に意見を求めようと顔をあげると何故か三人とも私と白蓮お姉様に目を緩め、暖かな視線を送っていました。
「本来はこうあるべきなんですよねー」
「白蓮殿も赤根も、今の世には希少価値である純粋なる漢の忠臣。
いやはやこんな逸材である姉妹を何故中央ではなく、こんな大陸の端に追いやったのやら・・・」
「だからこそ、でしょう。
ですが、本当に・・・」
「「「癒され
三人同時にそう言ったかと思えば、風お姉様は少しだけ真面目な顔をして私達へと向き直りました。
「強大で、一つの家として十分な力があるからこそ、袁家は世が乱れたこの機に大陸へと名乗り上げてくるでしょー。
既に他の諸侯の皆さんも自分の領地では好き勝手やってますし、皇帝が確立しない今こそが狙い目と見てもおかしくありませんからね」
「華琳お義姉さ・・・ 曹操殿もそう考えているのか」
お姉様の発言に稟お姉様の眉が跳ね上がった気がしますが、お姉様の問いかけに風お姉様は頷くこともなく、いつものように笑っていました。
「あの方は大陸を変える御方なのですよ。
とても欲が深く、懐が広く、愛に溢れ、才能を好む方。
風程度では、あの方の考えるところまではわかりませんね~」
「そっか・・・
風にわからないんだから、私がわかるわけないよな」
そこでお姉様は固く目を閉じて、組んだ腕に体を預けるように座りなおし、しばらくの沈黙した後に口を開かれました。
「今だって本当は麗羽がこっちに攻めてくるなんて信じたくないし、想像もできない。
綾羽様が死んでからの麗羽は馬鹿みたいに明るく高飛車になったし、人のことを馬鹿にしてくるように言ったりもする。
けど、言葉が素直じゃないだけですっごくいい奴でさ。名家でも何でもない私なんかに、真名を呼ぶのを許してくれたんだ。
麗羽はどう思ってるかわからないけど、私は麗羽のことを桃香と同じ親友だと思ってるし、その友情が終わったなんて思ってない」
そこでお姉様は自分に喝を入れるように頬を叩いて、そのままの勢いで手を机に叩き付けました。
「でも、私は幽州を、この地を任された領主なんだ。
私は自分達が出来る範囲で幽州を、民を守るために動く」
きっぱりと告げられた言葉に私を含めた全員が同時に立ち上がり、君主であるお姉様の下す指示を待ちました。
「星は兵の調練を頼む。
稟も星と共に、兵の調練に参加してもらいたい」
「承知した」
「了解です」
お姉様の指示にお二人が確かに頷き、どこか嬉しそうに笑んでいました。
「風は、民の避難経路や陳留までの道を確保してほしい」
「お安い御用なのですよ。
ならあちらと連絡を取りつつ、少しずつ民を避難させるということもしましょうかねぇ~」
「!
曹操殿達が受け入れてくださるなら、是非頼む!!」
真っ向から立ち向かって敵う相手じゃないことはお姉様も重々承知しているようで、風お姉様の提案に目を輝かせていました。
本当にお姉様は・・・ 領主としてはお優しすぎます。
「赤根、赤根はこれまで通り他民族との外交を任せる。
今後のことについての説明と、麗羽達が攻めてきた際の警告を促してほしい」
「それに加え、民の皆さんの受け入れをお願いしてきます」
私の発言にお姉様は少しだけ驚いた様子を見せますが、嬉しそうに微笑んで頷きました。
「うん、そっちは赤根に任せる。
私は全体統括で、他の雑務を担う」
指示を飛ばすその姿はお姉様らしくないと思う反面、これが本来のお姉様なんだと思えてしまうような不思議な気持ちになります。
「私は確かに、この地を今は亡き霊帝様に任された。
だけど私が守るべきものは物言わぬ土地なんかじゃなく、この幽州に生きる民なんだ。
人命があってこその土地で、民あっての国・・・」
そこでお姉様は一度言葉を止めて、照れくさそうに頭を掻いて苦笑しています。だけど今だけは、誰も茶化そうとはしませんでした。
「曹操殿や馬騰殿、他の多くの諸侯の人達にみたいにうまく言えないけどさ。
この土地に思い入れはあるし、大切だと思う気持ちも凄くよくわかる。
だけど、そうした思いをまた抱けるように、また帰ってこれるように今は・・・ 皆で生き延びるために行動しよう。
立ち向かうとも、勝てるともいえないから、せめて皆で生き延びよう」
我が姉ながら情けない、しまらない言葉。
だけど、なんて優しい言葉だろう。
「はい、お姉様」
「とーぜんですよー」
「えぇ、皆で生きましょう」
「では、行動で示さなければな。白蓮殿」
幽州の優しき領主の号令にあわない返事を返して、私達は生き延びるために行動へと移りました。
この後、「俺は?!」と叫ぶ人形が居たような、居なかったような・・・
次は白の予定です。