悠馬たちはDr.ロマンから転送された座標のマップを頼りに歩いてたどり着いた。
「ここがその座標が示してる場所か?」
「はい、確かに座標はこの教会らしき場所を示しています」
二人がたどり着いた先は教会らしき廃墟であった。
所々焼け焦げていて、ステンドグラスも無残に割れていたが、それでも教会であった名残が残っていた。
「とりあえず中に入ってみよう。
俺たち以外にも生存者がいるかもしれないしな」
「はい。
ん、中から叫び声聞こえませんか?
何か女性のような高い声が」
マシュが何か教会から聞こえたので悠馬も耳をすませる。
その声は段々近づいていて、声だけじゃなくそれと一緒に何かが走る音も聞こえてきた。
「おいマシュ、この声って・・・」
「来ます!
マスター、指示を!
・・・え、あの人は!?」
教会の入り口から後ろの数体の骸骨に追われながら誰かが走ってきた。
悠馬とマシュに覚えのある人だったのだ。
「なんで私ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないのよ!
レフ、レフはどこなの!?
早く助けなさいよ!!」
「あの人所長じゃないか!
マシュ、俺が保護するからお前は後ろの骸骨を頼む!」
「はい!
はあぁぁ!!」
マシュは盾を構え所長の横を通りすぎる形で走り出した。
「え、今のマシュ!?
それと門矢 悠馬、なぜあなたがここに!?」
「話はあとです!
とにかく俺の後ろに隠れてください!」
所長を保護した悠馬はマシュの様子を見る。
マシュは盾の面を正面に突き出し走った衝撃を利用して一体の骸骨の体を一撃で破壊する。
そして盾を振り上げ、そのまま二体の骸骨の腰や肋骨を捉え横殴りし、まだ上半身が動いている骸骨を盾に体重を乗せて叩き潰した。
「・・・戦闘終了、先輩たちも無事ですか?」
「あぁ、所長も無事だ」
マシュが悠馬と所長の安否を確認が終わり、所長が顔を出した。
「ちょっとあなたたち、これは一体どういうことよ!
特に、門矢 悠馬!」
「え、俺ですか!?」
怒り心頭で所長は悠馬の右手に指差した。
「マシュがサーヴァントになってるのはともかく、なぜあなたがマスターになってるのよ!」
悠馬は右手を指差されたので右手を見る。
右手の甲に三画の紋章が描かれていた。
「あれ?
いつの間に?」
「惚けないで早く答えなさいよ!!」
「ちょっと待ってください、俺もさっき気づいたばかりでわからないんですよ!?
というか落ち着いてください!」
所長にすごい剣幕で問い詰められた悠馬は困惑してしまう。
しばらくして、状況を理解した所長は頭を押さえながら確認していた。
「・・・つまりあなたは私が言うまで自分がマスターに、それも令呪を持ってることも気づかなったと言うのね?」
「はい、さっきマシュが俺のことマスターって言っててまさかなって思ってましたが」
教会の中を歩きながら悠馬は頬をかく。
悠馬にとってはあまりに自覚というか実感がなかったのでそう感じたんだろう。
そんな悠馬の様子を見て呆れたのか所長はため息を落とす。
「まぁ、こんな状況なのであまり言いませんが、カルデアに帰ったらきっちり調べさせてもらいますから!」
「えぇ・・・」
「何ですかその態度は!?」
「帰ってもそんなことしないといけないのかぁって思っちゃって」
「私は所長よ!?
調べるっていったら調べさせてもらうわよ!」
「・・・あの、このあたりでサークルを形成しても良いですか?」
所長と悠馬が言い合っている間に、マシュは立ち止まり準備をしながら呆れたような様子で二人に声を掛ける。
「うるさいわね、勝手にしなさいよ!」
「悪い、もう少し立て込むからやってくれ」
「あぁ、はい」
マシュはとにかく連絡のためにサークルを形成しようと作業を始めた。
二人の口論をBGMに。
サークルを形成し、二人の口論がおさまった後にカルデアとの通信を行った。
「こちらマシュ・キリエライトです。
目標の座標に到着し、無事サークルを形成しました。
それと、行方不明だった所長も無事です」
『えぇ!?
所長、行方不明だからカルデア中探しまわってたのにレイシフトしてたのですか!?』
「えぇ、なぜかわからないけど。
そんなことよりもレフはいないの!?」
『レフですか?
それが、探したり連絡を取ったりしていますが未だに行方不明です』
「そう・・・」
「一つ聞きたいけど、今この時代から帰ることって可能なのか?
俺たちちょっとこの時代で調べたいことがあるから待ってほしいんだけど」
『レイシフトねぇ、それが今不可能なんだ。
先ほどからこちらでもレイシフトを試みてるけど』
「はぁ!?
ロマン、それどういうことよ!?」
この時代から帰れないと告げられ所長は通信機のDr.ロマンに食いつく。
『じ、実は先ほどその時代から聖杯の反応が見られているんですよ!
恐らくはその聖杯が何らかの原因で汚染されているのでそれを探し出さないといけないんです!』
「それで場所の特定はできますか?」
『うん、聖杯自体の反応が大きいからね。
この座標に向かえばあるはずだ。
ただ今問題が発生してるんだけどね・・・』
「その問題ってなんだよ?」
『それは』
Dr.ロマンが何か言いかけた時に教会が激しく揺れた。
まるで何か強い衝撃にぶつかったような揺れだった。
「うお!?」
「うっ!」
「きゃあ!」
「フォーウ!」
悠馬たちは揺れに耐えれず倒れ込んでしまい、Dr.ロマンは通信機で慌てたように注意を促す。
『ま、まずい!
シャドウサーヴァントがこの近くに来てる!』
「なんだよ、そのシャドウサーヴァントって!」
『汚染された聖杯から生み出されたなり損ないのサーヴァントだ!
数体いるみたいだし今のマシュでも無理だ!
早くここから脱出を!』
「ちょっと、こんなに揺れてるのに脱出だなんて無茶よ!」
「だったらマシュ、所長を担いでくれ!」
「了解です、マスター!」
マシュは盾で壁を壊し所長を担いで外に出た。
悠馬もその穴から脱出しようとしたが、 その前に足元に何かが落ちているのを確認し取り出した。
「何だこれ?」
取り出したのはバックルとカードケースらしき物だったが埃被っていて何なのかはわからなかった。
だが、悠馬はこれは自分で持っていたほうが良いのではと思い服のポケットの中に入れ、急いで教会の外に出た。
悠馬が拾ったバックルとカードケースが、この先彼の運命を左右するとは知らず。
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