なんだかんだで彼女ら(彼ら)は再び戦車に乗る 作:眼鏡とタバコ
感想欄にも書いていますが、すでに投稿した作品で色々と編集しました。
もしよろしければ、そちらも読んでください。
今回は西住姉妹が出ます。
どうぞ!
中間テストも終わって6月に入り、衣替えの時期に入りようやく暑苦しい格好から半袖へと移行する頃、戦車道の大会に向けてどこの学校も練習メニューは厳しさを増していた。もちろん俺達、東中も例外ではない。
3時限目が終わり休憩時間の今、俺は2-Bの教室に来ていた。冴塚先輩と相澤先輩、あと黒川先輩と神宮寺先輩を集めて今日の部活のことで話し合っていた。
「それでは、私と冴塚先輩は抽選会に行きますので、今日は昼から早退します。部活の時間には帰れると思いますが、間に合わなかった時は、それまで黒川先輩と神宮寺先輩、相澤先輩には部活で皆さんに指示を出しておいて下さい。練習メニューはこの紙に書いてありますので、これ通りにお願いします」
そう言って俺は、黒川先輩にA4サイズの紙を渡す。
「わかったわ。悪いけど明日香のこと、お願いね」
「もう、夏海ちゃんは心配しすぎだって〜〜」
「アンタはしっかり見張ってないと、すぐどっか行っちゃうでしょ」
「大丈夫だよ〜。今日は抽選会だけだし〜」
そう、今日は大会の抽選会に行くために、午後から早退するのである。
ついにこのときがやってきた、戦車道大会。
原作との違いは、この世界では各都道府県で県予選を行い、その県予選で勝ち残った上位2校、つまり1位と2位が全国大会への切符を手にすることが出来る。
因みに、ウチの学校は毎年県予選の2、3回戦で敗退しているらしい。ウチの学校って結構レベルが下だったんだな。バカな主人公が優秀クラスに喧嘩吹っかけて下克上する某アニメを思い出してしまった。
「それでは私はこれで、冴塚先輩は4時限目が終わったら校門で合流しましょう」
「わかった〜〜」
「いいなぁ〜、午後の授業サボれて」
「サボりじゃありません。なんだったら相澤先輩も来ますか?その代わり冴塚先輩をしっかり見張っていただきますが」
「やめとく」
「ちょっと二人とも〜〜!私をなんだと思ってるね〜〜」
「「天然ドジっ子娘」先輩」
「何一つ当てはまってないよ!?」
「いえいえそんなことは、ってそろそろ時間ですので、私は教室に戻ります」
そう言い残し自分の教室向かった。冴塚先輩が不貞腐れていたが気にしない。
〜〜〜〜4時限目が終わり、校門前〜〜〜〜
「笹原ちゃ〜ん」
「お疲れ様です、先輩。それじゃ行きましょう」
そう言って、俺と冴塚先輩は最寄りの駅に向かって歩き出す。と言っても徒歩20分弱くらいである。
「そう言えば、笹原ちゃんってこの前の中間テストの結果はどうだった?」
「私と吹雪が満点で学年1位です」
「えっ!?学年トップ!?」
「はい」
だってニ度目の中学生ライフだからな、流石に満点は取れる。英語はまだリスニングとかないし。
「苦手科目とかないの〜?」
「強いて言えば、文系が苦手です」
「そのなの?」
「はい、私はどちらかと言えば理系ですので。今回のテストも、数学と理科はそんなに勉強していません。その分、国語、英語、社会に勉強時間を当てました」
「そうなんだ〜」
学校での出来事、趣味の話、そんな話をしていたら駅に着いた。
ホームにはわずかではあるが学生がいた。
何人かはこちらに視線を向けたが、すぐに手元の携帯に視線を戻した。
「あの人達みんな他校の戦車道の人達かな〜?」
「多分そうだと思います。この時間に学生がいる理由なんてそれくらいでしょう」
俺は携帯とイヤホンを取り出し、適当に曲を流そうとした。
「笹原ちゃん、何聞いてるの?」
「アニソンです」
「へぇ〜〜、なんか意外だね。J-POPとかそのいうの聞くと思ってた〜」
「J-POPも聞きますよ。アニソンもボカロも聞きますし、クラシックやオーケストラも聞きます」
「色々聞くんだね〜」
そんな会話をしていると電車が来た。扉が開いて乗車し適当に座った。
俺は音楽を聴きながらカバンから小説を取り出して読みだした。
「笹原ちゃ〜ん」
隣に座った冴塚先輩が、名前を呼びながら肩を軽く叩いた。
「なんですか?」
「イヤホン、片方貸して。笹原ちゃんがどんなの聴くか興味があるなぁ〜」
「いいですよ」
「やった〜!」
そして俺は、右耳のイヤホンを外して冴塚先輩に渡す。
「これってなんて曲名?」
「ひぐ◯しの◯く頃にってアニメで流れた、Y◯Uって曲です」
夏も近いし、結構俺も気に入っている。
「詳しいね笹原ちゃん」
「ピアノで最初に弾けるようになった曲ですので」
「へぇ〜〜、笹原ちゃんってピアノ出来るんだ〜」
「趣味でやってます。この曲は、ヒグラシが鳴いてる時に弾くのが一番ですね」
ガタンゴトンとリズム良く音が車内に響く中、俺と冴塚先輩は時折会話を交えながら目的地に向かった。
〜〜〜〜目的地到着〜〜〜〜
さて、会場に着いたのだが何故だろう。
周りの人が時折、俺のことを見てくる。まぁ、特に害があるわけでもないので無視して会場の中に入った。
入ってすぐのところに受付の人がいたので、名前と学校名を書いて奥に進む。
「なんか緊張するね〜」
「緊張する要素がどこにあるんですか」
少し歩いたところで大ホールの入り口を見つけ中に入る。
席は特に指定されていないので、後ろの方に行き座る。
どうやら記者やマスコミ、カメラマンもいるようだ。たかが中学生の大会で、なんでこんな奴らまで来てんだ?理解出来ない。
他の学校もある程度来ており、適当に周りを見渡していると入り口の方がやけに騒ついていることに気づいたので、そちらに視線を向けた。
「おい、王者が来たぞ」
「あー、しかも今年は妹も入って、姉は隊長に昇任したからさらに強くなったな」
記者、マスコミ、カメラマンの人達がそんなことを口にしていた時、そいつらはやって来た。
「・・・・・黒森峰」
俺はそう呟いた。間違いない、あの先頭に立っているのは西住まほ、その後ろにいるのは妹のみほだ。てか黒森峰って中高一貫なんだな、それとも原作との違いか?
「来たね、黒森峰」
「そうですね」
「反応薄いね〜」
「正直どうでもいいです。決勝まで当たらないことを祈るだけです」
『まもなく抽選会を行います』
そのアナウンスを聞いて周りの学生やその他色々が座って、抽選会が始まった。
『それでは抽選会を始めます。まず最初は黒森峰女学院ですが、今回も例年通りシード校です』
『まぁ〜そうなりますね〜。出来るだけ公平にするためにはそうなりますね〜』
どうやら司会進行役と解説者?の女性二人でやっていくようだ。
それにしても、いいな〜黒森峰はシードかぁ。まぁ仕方ないか。
『続きまして、海元中学校』
『昨年は準々決勝で惜しくも敗れましたが、はたして今年はどうなるのか注目です!それでは海元中学校の生徒は前にお願いします!』
その学校の生徒と思われる学生がステージに向かって歩いて行き、ステージに用意された箱の中から一つのボールが取り出される。
『海元中学校、5番』
そして、ステージに設置されたスクリーンに海元中学校の名前が入る。ここは原作通りだな。
こんな感じで抽選会は進んでいった。途中、西中が呼ばれてすごい歓声が上がった。それもそうだよな、去年の全国ベスト6位だもんな。
『続きまして、常幻東中学校』
『今年の東中はすごいですよ〜〜。私的には黒森峰女学院の次に注目しています』
『今年は一味違うと?』
『はい、こちらで事前に得た情報によりますと、今年の隊長はなんと1年生です』
『これは珍しいですね、1年生ですか。いつもは3年生が隊長を務めていましたからね』
『資料によりますと、今年の東中は1年生と2年生で出場するようです』
『3年生は出場しないと?』
『いえ、どうやら3年生はいないそうです。今年の4月に全員退部したようです』
『退部ですか?』
『はい、原因はわかりませんが全員退部したそうです』
『そうだったんですか』
『それで今の隊長、笹原 紅音さんが新隊長になったんですが、今年の東中の隊長はすごいです。戦車道を始めたのは中学生になってからそうなので、実質戦車道歴はほんの数ヶ月だそうです。私も最初は信じられなかったのですが、先月西中との練習試合にも勝ったそうです』
『に、西中にですか!?これはかなりの注目ですね。それでは常幻東中学校の生徒は前にお願いします!』
「私、帰っていいですか?」
「ダメだよ笹原ちゃ〜ん」
「代わりに行っていただけませんか?私、あまり目立ちたくないのですが」
「私もやだ〜、笹原ちゃんの話で盛り上がってるのに副隊長の私が行ったら気まずいし〜」
「はぁ〜・・・・行って来ます」
俺はその場で立ち、ステージに向かった。
「頑張って〜、隊長〜!」
なんで大声でそんなこと言っちゃうかな〜。目立ちたくないって言ったばかりじゃん。それに頑張ることなんてなに一つないし。
「あの子が西中に勝ったって言う・・」
「あれが東中の隊長か・・・」
「まぐれでしょ」
まぁ、周りからそんな印象を持たれても仕方ないか、信じられないというより認めたくないんだろ。熊本県2位の西中に勝ったなんて、ましてや県予選で2、3回戦で敗退しているような学校が出しゃばるなって思ってんだろ。
ステージに上がり、箱の中からボールを一つ取り出す。
『常幻東中学校、32番』
32ってことは、黒森峰とは決勝まで当たらないな、よかった〜。
俺はボールを返して自分がいた席に戻る。
「お帰り♪」
「・・・・・」
俺はさっきのことで少しイラっとしていたので無言で座った。
「無視しないでよ笹原ちゃん〜」
「はぁ〜、わかりましたから、そんなに肩を揺らさないでください」
こんな調子で抽選会は進んでいき、最後の学校の抽選も終わった。
『それでは、これを持ちまして抽選会を終了させて頂きます』
『皆さん、頑張ってください!』
それを聞き、他校の生徒はホールから出ていく。
「それじゃ行きましょ、冴塚先輩」
「うん」
そう言って、俺と冴塚先輩はホールから出た。
「今年の目標をお願いします!」
「やはり今年も狙うのは優勝ですか!」
「西住 みほさん!こっち向いてください!」
「何か一言お願いします!」
ホールから出たところで黒森峰の西住姉妹が取材を受けていた。
「人気者だね〜、黒森峰は」
「いえ、黒森峰というより西住姉妹がでしょ。それより、ちょっと遅いですがお昼にしませんか?」
時刻は14時30分。俺達は4時限目を終えてすぐ会場に向かったため昼飯を食べていない。
「そうだね〜、近くにマク◯ナル◯があったと思うから、そこにしない?」
「そうですね、では「東中の方ですか?」」
俺はちょっと不機嫌になる。
誰だよ、記者か?カメラマンか?俺はそう言った人種は嫌いなんだが。
そう思って振り返るとそこには意外な人物がいた。
「初めまして」
赤星小梅であった。
何故コイツがここに?俺に何の用だ?
「黒森峰の方が、私に何の用でしょうか?」
「私達の隊長が、貴女方とお話がしたいそうです」
西住まほが?接点も心当たりも全くないはずなのに。
「どうする笹原ちゃん?」
「・・・・・わかりました。場所はどうしますか?」
「場所はこのメモ紙に書いてあります」
そう言って小梅はメモ紙を渡してくる。
「隊長は今インタビューを受けていますので、少し遅くなります。先に行ってお待ちになってください、では私はこれで」
そして小梅はどこかへ行ってしまった。
「ホントに行くの?」
「行きましょう、あまり気乗りはしませんが」
「なんで?」
「単に面倒だからです」
そう言って俺達はメモ紙に書かれた場所に向かった。
〜〜〜〜20分後〜〜〜〜
徒歩20分、俺達はとある喫茶店の前に来ていた。
「ここ・・だよね」
「そのはずです」
そこは特に目立った特徴があるわけでない普通の喫茶店だった。
「とりあえず中に入りましょう」
「そうだね」
扉を開けて中に入る。そこは観葉植物があるレトロな喫茶店だった。
「いらっしゃいませ、2名様ですか?」
「はい」
「では奥の方へどうぞ」
そう言われ俺達は奥の方へ行き、適当に座った。
「飲み物はどうされますか?」
「私はココアでお願いしま〜す」
「私はコーヒー、ブラックで」
「かしこまりました、ご注文が決まりましたらお声かけください」
そう言って店員さんは行ってしまった。
「笹原ちゃんって、コーヒー飲めるの?」
「普段からよく飲んでますよ」
「そうなんだ〜」
「冴塚先輩は飲まないんですか?」
「私にはまだ早いかな〜」
それから10分程、冴塚先輩と話していた時
「いらっしゃいませ、2名様ですか?」
「いや、待ち合わせをしているのだが」
来たか。
てか、俺達が入店した時客は俺と冴塚先輩しかいなかったはずだからすぐに来るはず。
「待たせてすまない」
「こんにちは」
俺は声のする方を向く。そこに西住まほと妹のみほがいた、まさか姉妹で来たか。
そして2人は俺達の向かいに座った。
「改めて自己紹介をする。知っていると思うが私は黒森峰女学院中等部2年の西住 まほだ、今は戦車道で隊長を務めている」
「妹の西住 みほです」
「常幻東中学校戦車道隊長、1年笹原 紅音です」
「副隊長で2年の冴塚 明日香です」
一通り自己紹介が済んだところで店員さんが来た。
「飲み物はどうされますか?」
「私は紅茶で」
「私はココアでお願いします」
「すいません、コーヒーのおかわりとイチゴショートを」
「私もココアのおかわりを」
「かしこまりました」
店員さんが行ってから、俺は西住 まほにたずねた。
「それで、黒森峰の隊長が私達に何の用ですか?」
「なに、少し興味があってな」
「興味?」
「ああ、1年生で隊長を務め、そして西中との練習試合で東中を勝利に導いた君に」
「それはどうも」
「随分と素っ気ないな」
「不愉快な気持ちにさせてしまったのであれば謝罪します」
「別にそんなつもりで言ったわけではない。気にしなくていい」
「お待たせしました」
ちょうど店員さんが注文した品を持ってきたくれた。俺がイチゴショートとコーヒー、冴塚先輩とみほはココア、まほが紅茶である。
俺がイチゴショートを食べようとフォークを手にしたとき、一人の視線を感じたのでそちらを向く。
「・・・・・・・・・」
みほである。
「半分、食べる?」
「えっ、いや、悪いですそんな」
「私一人だけケーキを食べていたら気まずいわ、だから一緒に食べない?」
「い、いいんですか?」
「えぇ、それと敬語はなしにしましょ。私達同級生よ」
「うん、ありがとう」
俺はみほにイチゴショートを渡す。みほはそれを受け取り、半分にカットして食べた。
「〜〜〜〜!美味しい!」
「妹がすまない」
「いえ、お気になさらないでください」
似た様なヤツをいつも相手しているからな。特に吹雪と弥生。
「色々聞きたいことがあるが、いいか?」
「答えられる範囲でなら」
「なら早速、西中にはどうやって勝利した」
いきなりその質問かよ。
「どうと言われましても、ただ普通に勝ったとしか言えません」
「そんなはずはない。西中は全国6位の強豪校だ、そんなところがそうそう負けるはずがない」
「・・・・作戦内容は教えられません。強いて言えば、ただの思い付きの作戦で勝ちました」
「そうか、次の質問だ。東中の3年生と試合をして強制退部をさせたのは事実か?」
それを聞いて俺は冴塚先輩を見る。だが先輩は首を横に振る。
どこからその情報を?普通に考えて、校内に彼女と繋がりがある人物から情報を得たと考えるのが妥当だろう。
「どこでそれを?」
「東中の入学式の時、私も同じところの演習場を使う予定だったんだが、先約がいてな。私は気になって試合を見に行ったころには、ちょうど試合が終わったところだった。そのとき3年生と相手していたのが」
「私達だったと」
「あぁ、双眼鏡で遠くからだが1年生のチームの中に君がいたことは覚えている」
「そうなの、お姉ちゃん?」
「あぁ、しかも5対1という不利な条件で勝ってみせた」
「えぇ!!」
まさかあれを見られていたとはな。試合そのものを見られなくてよかった。見られていたら俺の実力が筒抜けになる。
「その日から色々と調べていたら、次の日に3年生が全員退部したという情報が入ってな」
「それでその退部には、当時試合に参加していた私が関わっていると」
「そうだ」
「事実です。3年生に喧嘩を売って勝利し、隊長の座を奪って3年生を強制退部させました」
「何故そのようなことをした」
「それを教える義理はありませんよね?」
「・・・・・私にはわからない」
「何がです?」
「わざわざ戦力を減らした理由も、喧嘩を売ってまで隊長の座を奪った理由も、私にはわからない」
「そうですか」
「本当に話す気はないのだな」
「しつこいですよ。そこまで言うのであれば言います」
俺はちょっと不機嫌になって言った。
「不要な存在だと判断したから切り捨てた。それだけです」
「どういうことだ?」
「そのままの意味です。すみませんがこれ以上は言えません」
俺はそう言って冴塚先輩を見る。
彼女の顔は曇っていた。思い出したくないことを思い出した、そんな顔をしている。
「・・・・これ以上はやめておこう」
なんとなくこちらのことを察してくれたらしい。
「そうしていただけると助かります」
そう言って俺はコーヒーを飲む。
「ねぇ、笹原さん」
「何、西住さん?」
「みほでいいよ」
「わかったわ、それで何?」
「そのコーヒーってブラック?」
「えぇ、そうよ」
「ブラックって苦くない?あっ、イチゴショートありがとう」
そう言って、半分になったイチゴショートを渡してくる。
「いいわよそんなの、私は普段からブラックを飲んでるから」
「そ、そうなんだ」
「1回頼んでみたらどうかしら?飲めなかったら、私が貰うわ」
「う〜〜ん、やっぱりやめておこうかな」
そして、俺は残りのイチゴショートを食べ、カップに入っていたコーヒーを一気に飲み干した。
「すいませ〜ん、コーヒーとイチゴショート追加で」
「まだ注文するの、笹原ちゃん!?」
「出来ればケーキをホールで注文したいところです。お昼、何も食べていないからお腹が減りました」
「そんなに食べたら太っちゃうよ」
「そうですよ、笹原さん」
冴塚先輩とみほがそう言ってくる。だってホント腹減ってんだもん。マジで頼もうかな?
「私は大丈夫です。毎朝ランニングしていますので」
「へぇ〜、そうなんだ。あっ、そう言えば毎朝笹原ちゃんがランニングしてることを、誰かが言ってたような」
「そうなんですか。まぁ、どうでもいいですが。冴塚先輩も始めてみてはどうですか?」
「私はやめておこうかな」
「体を動かさせないと太りますよ」
「ぶ、部活で体動かしてるもん!」
「部活
「う、うぅ〜〜」
そんな感じで、4人で会話をしていると電話がきた。相手は吹雪だった。
「もしもし」
『あっ、紅音ちゃん、今大丈夫?』
「問題ないけど、何かあった?」
『いや、抽選会終わったかな〜って思って』
俺は時計を確認する。時刻は15時50分であった。
「今終わったからこれから帰るわ」
『そっか、なら早く帰ってきてね。紅音ちゃんがいないと弥生ちゃん、何をするかわからないから』
「人を兵器の安全装置みたいに言うのやめてくれない」
『まぁ、冗談はこれくらいにして早く帰ってきてね。紅音ちゃんがいないと弥生ちゃんの凡ミス率高いから』
それってもはや一種の病気だぞ。
「わかったわ。なるべく早く帰るから」
『早く帰ってきてね〜。じゃまた』
「えぇ、また」
そう言って、電話を切った。
「雪宮ちゃんから?」
「はい、なるべく早く帰ってきてと言われました」
「もしかして、轟ちゃんのこと?」
「なんでわかったんですか」
「轟ちゃん、笹原ちゃんに懐いてるからね〜。なんていうか、ペットと飼い主って感じかな」
そんな主従関係を築いた覚えはないんだけどな〜。
「すみませんが私達はこれで失礼します」
「あっ、そうだ。笹原さん」
「何?」
「携帯の番号とメアドを教えて」
は?
いや、別に嫌って訳じゃない、正直驚いた。
みほってこんなに積極的な子だったか?
でも、せっかく向こうから言ってくれたのだから。
「いいわよ」
俺達はメアドと番号を教え、お互いに登録した。
「それでは西住さん、私達は失礼します。お金はここに置いておきます」
「あぁ、また会おう。それと私のことは、まほと呼んでくれ」
「わかりました。まほさん、みほも、次は決勝で会いましょう」
それを聞いたまほ、みほ、冴塚先輩は驚いていた。
「今日抽選会があったばかりだというのに、随分とおかしなことを言うな」
「別に慢心しているわけではありません。ただ負けるつもりはないっでだけです。他の学校も黒森峰にも。黒森峰とは一度戦ってみたいと思っていました。今の私の力でどこまで行けるのか、どこまで通用するのか」
「随分と強気に出たな。決勝が楽しみだ」
そう言って、まほは席を立った。
「そこまで言うなら、決勝で会うまで負けるんじゃないぞ」
そしてまほは右手を出す。
「わかりました。決勝で会いましょう」
俺も右手を出し、握手をする。
俺はみほの方を見た。
「みほ、次会ったときは友達じゃなく、敵だからね」
「っ!うん、わかった!」
そして再びまほを見る。
「ありがとう。妹と友達になってくれて」
「いえ、気にしないでください。それでは」
そう言って、俺と冴塚先輩は店を出た。
「行きましょう、冴塚先輩」
「うん」
「それと、大丈夫ですか?」
「何が?」
「3年生を強制退部させたって話をしていたときの先輩、思い出したくないことを思い出したって顔をしてましたよ」
「うん・・・・ごめんね、心配させて」
「いえ、そんなことはいいです。・・・・・・・これから忙しくなりますよ」
「頑張って県予選勝ち残らないとね」
「冴塚先輩」
「何?」
「先に確認します。私はルールに抵触しないなら、可能な範囲で全てを使って勝ちに行きます。例え邪道と言われても。先輩はそれでも、私について来てくれますか?」
「・・・・・・・・・・」
冴塚先輩は少し考えた。
そして。
「お手柔らかにね」
そう言ってくれた。
「わかりました。では少し急いで帰りましょう」
「うん!」
そして俺達は駅に向かって歩き始めた。
いかがだったでしょうか。
次は3月末あたりに投稿します。
では!