「はぁ・・・・・」
下校時間が近づき、活動に勤しんでいた部活動の生徒達が撤収を始めた頃、肩をがっくりと落としながら下校する生徒がいた。
彼の名は平賀源二、文月学園2年D組代表である。
補習担当教師、西村宗一による"鬼の補習"と呼ばれ恐れられる苦行を終えただけあって彼の顔には運動部の生徒以上に疲労が滲み出ているが、今回の彼の場合はそれ以上に心労が重くのし掛かっている。
こういう時こそ切り替えが大事かもしれないが、彼の立場上そういった選択肢はこれから訪れるであろう苦難を思うと霞んでしまう。
「ほんと、まさか負けるなんてな。ひ-」
「『姫路さんがFクラスにいるなんて思いもよらなかった』ってか?俺は他にも原因があると思うけどな、源二」
校門に差し掛かり、彼ーー源二が独り言を漏らすとそれに割って入る生徒が現れる。
「同感、私も」
「無理はない 姫路がいると 分からぬよ」
そして後に続く二人の男女。
どうやら三人して源二が来るのを待っていたらしい。
「何だ、義輝か。それに丸目さんと・・・・」
「性伊東 名前一刀 よろしくな」
「え?あ、ああ」
糸目の少年の自己紹介に源二は苦笑いで返す。
「一刀は口調は変わってる奴だけどいい奴だからさ。よろしくしてやってくれ」
「流石に口調ぐらいで差別したりはしないさ。・・・・で?原因が何だって?」
「まあ言わなくても分かっちゃいるだろうけどな。格下への油断、士気の低下、時間の長引き、放課後のゲリラ戦・・・挙げればキリがないな。それより何と言っても常識はずれな行動だよな」
「言い訳じゃないけど・・Fクラスは普通に消火器を使ったりスプリンクラーを壊したりしてDクラスの追撃を撒いたからね。木内先生の件や極めつけが姫路さんの存在。想定外ばかりさ」
そう言うと源二は再び肩をがっくりと落とす。
「普通、あり得ない。でも、勝てたはず。時間、かけなければ」
「返す言葉も無いよ、丸目さん。・・・で?義輝。わざわざ待ってたのは冷やかしの為じゃないんだろう?」
「さっすが元同じ中学。今回の戦争のことで聞きたいことが山ほどあってな」
「聞きたいこと?」
「まあ今後の為の情報収集ってとこだ。ウチのクラスの代表も情報を欲しがっているしな」
「代表ってことは霧島さんかい?」
「いやいや、源二。俺はそこまで頭は良くないよ」
義輝は苦笑いしながら胸ポケットに手をやると一枚の紙を取り出して源二に見せる。
『宍戸義輝 Bクラス次席』