「それじゃあまずはFクラスの罪状を確認しようか。敗戦者を裁くのは戦勝者の特権だしな」
恭二は改めて仕切り直す。
「えーと・・・
協定違反、逃亡の際の消火器使用、Fクラスの分際でCクラスの侮辱並びに煽動、DクラスへのBクラスの室外機破壊示唆」
「ちっ・・・全部筒抜けだったのかよ。平賀の野郎、しゃべりやがったか」
ペラペラとしゃべる恭二に舌打ちする雄二。
「そしてBクラスの窓ガラス破壊に、そのせいで伊東が負傷」
「おい、待て。最後のは違ぇだろ。野郎、ピンピンしてやがるじゃねぇか」
雄二は義輝の隣に立っている一刀を指差す。
当の一刀は恵に肩を借りていたときのように弱々しくもなく何事もなかったように自然体でいる。
「まあ流石に時間が経てば分かるか」
異議を申し立てる雄二を見て義輝は苦笑いする。
「平賀からお前らから室外機を壊せば無罪放免って条件を提示されたって聞いてな。で、なんでそんなことをさせるのか考えた。答えは簡単、窓を開けさせて侵入経路を確保することだった。坂本、お前がBクラスに現れた時、暑いだの何だの言ってたよな。あれは窓が開いてないことに内心焦ってたんだろ。でも、結局そのまま強行した」
「・・・・・やらなければ勝利はなかった」
康太が呟く。
「俺だってまさか窓を突き破るなんて思ってなかった。でも万が一のことを考えて保険をかけることにしたんだよ。丸、例のブツを出してくれ」
義輝が恵の方へ目を向けると、恵は頷き袖口からあるものを取り出す。
恵が指でつまみ上げたのは小さなビニールで包まれた赤い液体だった。
「美術部と演劇部の連中に協力してもらって血糊を作ってもらったんだ。ま、演劇じゃあんまり使わないから実は専門外だったらしいけどな。とにかくそれを近衛部隊の皆に一つずつ配ってなおかつ窓から付かず離れずのところに立つように指示を出した。後は壊れた窓ガラスの近くにいたやつが袋を破って怪我をした振りをする。そして土屋の責任を問いただして失格にさせて後は保健室に行く振りをして後ろから不意討ち。本当にやるか分からなかったから博打みたいなもんだった。」
「・・・・・血の匂いがしなかった」
康太は悔しそうに言う。
普段何かとたいりの鼻血を流している康太だからこそ気づけたのだろうが、それを知らせる前に鉄人に連れ去られてしまったのだろう。
「いやぁ、それにしても皆の演技が中々良かった。岩下なんて素人とは思えない悲鳴のあげっぷりだったから、俺は内心爆笑だったんだぞ。だから俺は堪えるのに必死でそれを隠そうと怒った演技をするしかなかったんだから」
義輝が律子の方へ振り返る。
「ちょっとやめてよ宍戸君。恥ずかしさがこみあげてくるじゃない!」
「えぇ?でも律子、迫真の演技だったわよ」
顔を少し赤らめる律子を真由美がからかう。
「でも、根本、目が本気だった」
「ば、馬鹿言うな丸目!あれは演技だ演技!」
康太の奇襲の時の恭二の反応が槍玉に上がる。
『いや、あれはマジでビビってたっしょ』
『むっつりぃーにー!!、だったっけ?』
『俺、よく笑いをこらえたとおもうわ』
「お前ら、後で覚えとけよ・・・」
恵の一言から恭二をからかう空気になり、次々とBクラスの面々が口にする。
「まさか・・・お前が秀吉を狙ったのは」
雄二が何かに気づく。
「察しが良いな。腐っても代表か。人を騙すために演技をするやつでも一応演劇部のホープらしいからな。素人の演技がバレちゃまずいから犬死してもらったわけだ」
『一応』を強調して義輝が言う。
「くっ、ワシはまんまと罠に嵌まったということか・・・」
「木下だけじゃない。島田やら姫路やら、果てには坂本まで仲良く皆で罠に嵌まったんだよ。つまるところ、ぜーんぶ俺と恭二の掌の上だったよ」
「馬鹿みてぇに上手く行くから逆に不安だったぞ。あ、馬鹿みてぇじゃなくてホントに馬鹿だったな」
義輝と恭二はこれでもかと言わんばかりに勝ち誇った笑みをこぼす。
今回は短め。
実は秀吉の件まで計算してたんですね。
多少、無理がありますが。
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