「では、両名共準備は良いですか?これよりAクラス対Fクラスの特別ルールを用いた試召戦争を始めます。なお、今回は本戦の勝敗がBクラスとFクラス間の取り決めの内容に影響があるという事情で特別にBクラスの立ち会いのもと行います」
時刻はきっかり十時。
Aクラス担任にして学年主任である高橋教諭が両陣営及びBクラス一行に目を配りながら開戦を宣言する。
「高橋先生、一つ確認したいことがあるんですけど」
「何ですか、木下さん」
優子が手を挙げて前に出る。
「先程の交渉でBクラスの宍戸君がこの戦争の邪魔をしないし、終わった直後に戦争を申し込まないことを先生方に申し出たって聞いたんですが本当ですか?」
「はい、木下さん、その通りです。確かに私がその旨を聞いて立ち会いを許可しました」
「そうですか。分かりました」
「おうおう。すごい疑ってんなぁ」
優子が高橋教諭に確認をとる様子を見て恭二がぼやく。
手にはちゃっかりと頂戴したらしいコーヒーの入った紙コップが握られている。
Aクラス備え付けのドリンクバーが近くにあるのでそれだろう。
「我が物顔で設備を使えるお前もすごいよ」
苦笑する義輝。
「でも確かに滅茶苦茶警戒されているよな」
「視線、すごい」
義輝が周囲を確認すると何人ものAクラス生徒と目が合い、その度に視線をそらされる。
「本当に 多くの奴と 目が合うな」
「いや、お前その糸目でホントに見えてるのかよ」
一刀の一言にコーヒーを啜りながら突っ込みをいれる恭二。
「それは仕方がないよ」
Bクラス一行を敬遠するAクラスの一団から一人の少女が抜け出て話しかける。
「よぉ、工藤。久しぶり、でもないか」
「愛子、元気そう」
「・・・・(軽く会釈)」
「ああ、工藤か」
「やぁ、皆。相変わらずみたいだね」
少女の名は工藤愛子。
体育会系らしい快活さを思わせるような短髪である。
彼女は一年時の学年末ごろに義輝達のクラスに転校して来て、短い間に義輝・恵・一刀(おまけで恭二)と仲良くなり彼らを介して交友の輪を広げていったためか他のAクラス生徒達よりも友好的なようだ。
「ここのところずっとBクラスとFクラスの戦争のことで話題が持ちきりだったんだよ?ボクも聞いたよ、Fクラスをコテンパンにやっつけたって」
愛子は雄二を指差しながら苦笑する。
当の雄二は不敵な笑みを浮かべ腕を組んで仁王立ちしているのだが、その格好は前回述べた通りである。
顔では気丈を装ってはいるが両膝が小刻みに震えているところを見るとやはり堪えているらしい。
Aクラスの多くは引きつつも敢えて触れていないのだが表情を変えることなくそれをスルーした高橋教諭も相当なものだろう。
「やっぱりそれか。あれは正当防衛だって。AクラスとCクラスの戦争も未然に防いだんだし良かっただろ?」
「それは確かにありがたいけど、逆にBクラスが近々攻めて来るって話が盛り上がっちゃったんだ。鬼畜外道が攻めて来るぞ!って」
「鬼畜外道って・・・あぁ、姫路の件か」
飲み終えたコーヒーの紙コップを潰しながら答える恭二。
「あれは確かに・・・・楽しかったな。なぁ、義輝」
「あそこまで術中にハマってくれるとかえって清々しいよな。それにな、工藤。今回は丸と一刀が決着を付けたんだぞ」
「え?丸ちゃんと伊東君が?」
「Fクラスの土屋が窓ガラスを突き破って侵入して来た時、一刀がその時に怪我をしたふりをしてそれを丸が保健室に連れて行くふりをして教室を出てからあの女装している変態の背後をとって終了」
「我が演技 意外に意外 通じたぞ」
「けっこう、楽しかった」
「へぇ、そうなんだ。・・・あ、そろそろ一回目が始まるみたいだよ」
「それでは一人目の方、どうぞ」
「このまま出ます」
「ワシがやろう」
高橋教諭の呼び掛けに木下姉弟が出そろう。
「ところでさ、秀吉」
途端に笑顔になる優子。
「な、なんじゃ?姉上」
華やかだがどことなく凄味がある笑顔にたじろぐ秀吉。
「Cクラスの小山さんの件なんだけどね」
「こ、小山がどうーー」
「ちょーっとこっちに来てくれる?」
「あ、姉上!そっちは廊下じゃぞ。早く勝負をーー」
優子は有無を言わさず秀吉を廊下へと引きずり、姉弟は教室の外へ。
『姉上、どうしてワシの腕を掴む?』
『親切な人のおかげで分かったんだけど、アンタ、Cクラスでアタシに化けて小山さん達を豚呼ばわりしたそうじゃない?』
『いや、あれはワシなりに姉上の本性を推測してやっただけでーーあ、姉上っ!ちがっ・・・・・!その関節はそっちには曲がらなっ・・・・!』
秀吉の声が途切れると共に渇いた枝が折れるような音が響く。
「秀吉は急用ができたから帰るってさっ。代わりの人を出してくれる?」
ドアを開け返り血をハンカチで拭いながら笑顔で戻ってくる優子。
スポーツで良い汗をかいたかのような清々しい笑顔だ。
「い、いや・・・。ウチの不戦敗で良い」
流石の雄二も何も言えず棄権を宣言する。
「・・・おい、工藤。アレの方が鬼畜外道じゃねぇかよ」
「いや、まさか優子があんなことをするとはね・・・」
「まあ良いをじゃないか、恭二、工藤。姉と弟のスキンシップに他人が口を出すだけ野暮ってことで」
「それ、賢明」
「然るべき 裁きを受けた それだけだ」
義輝と恵の言葉に相槌を打ちながら言う一刀。
「・・・・・そう言えば工藤、お前もこの一騎討ちに出るのか?」
「え・・・・あ、うん。そうだよ。3番手で出る予定だよ。できれば教科は保健体育が良いな」
「保健体育か。俺は苦手だな」
「ボクで良ければ宍戸君にいつでも教えてあげるよ。もちろん、実技で♪・・・・・・丸ちゃん、ごめん、冗談だから!そんなに睨まないでよ!」
「・・・・・私が、教える」
愛子の義輝へのからかいを聞いて普段の冷静さから考えられないほど愛子を睨む恵。
「・・・これに何て言えば良いか分からないんだけど、恭二」
「・・・・突っ込めば良いんじゃね?」
「お前はお前で下ネタで被せてくんなよ!かかってるけどうまくないからな!?・・・・・あぁ、もう!だから保健体育は嫌なんだ、話題を戻そう!工藤、保健体育ならおそらく相手になるのは土屋だぞ?」
「土屋君?そういえばさっきの話にも出てきたよね?ってことは宍戸君達は土屋君に勝ったの?」
「いや、勝ってない。土屋が一刀に怪我をさせたと大島先生に誤認させて失格にしてもらったからな。・・・・ところで工藤、お前の召喚獣の装備は何だ?」
「装備?セーラー服に召喚獣よりも大きな斧だよ。ちなみに400点以上だから腕輪が使えるんだ」
胸を張り誇らしげに言う愛子。
「・・・・なるほど。工藤、俺の予想が正しければ、の話だけどな。
それが的中すればお前は100%勝てるぞ?」
義輝が愛子に何か吹き込もうとしている時、教壇の前では二回目の一騎討ちが行われようとしていた。
下ネタは分からなくて良いと思います。
銀魂の読みすぎのせいです、はい。
苦手な方は不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
工藤が絡む以上、こういったことは避けられませんね。
それはさておき、やっぱり何かを企んでいる義輝君。
どうなることやら。
ところで、更新って何時くらいがベストなんですかね?
ご意見、感想をお待ちしております。