「おい、昼休みが始まったらBクラス教室に三分以内に来いって言ってんだろ。何度言えば分かるんだ?今日は13秒の遅刻だぞ?」
新学年新学期を祝うように満開に咲き誇っていた桜もすっかり散ってしまい春のポカポカとした陽気が夏の蒸し暑さに成り代わりつつある今日この頃。
午前中の授業が全て終わり昼休みに入っていた。
Bクラス拉致工作部隊隊長鈴木二郎は取り決めによって奴隷(と書いてパシりと読む)に成り下がったFクラスを代表してきた明久に自身の腕時計を見せながら言う。
「し、仕方がないじゃないか!今日は鉄人の授業と説教がずれ込んでーー」
「は?そんなこと知らねぇよ。今日は鉄人のせい、昨日は当番が居眠りをしていたから、一昨日は当番が坂本を追い回していたから。この調子じゃ明日は風邪か?」
二郎と同じく拉致工作部隊に属する吉田卓夫は走って来たため息切れしながら弁明する明久を笑う。
「それにだ。お前らまた掃除で手を抜きやがったな?汚い雑巾が出しっ放し。今日の遅刻も含めてパシり期間2日延長だからお前んとこの女装野郎に伝えとけよ。ほら、これがリストと金だ。早く買って来いよ」
二郎はBクラスの生徒の購入希望品をメモした紙とビニール袋に入れられた現金を明久に押し付ける。
「わ、分かったよ(ちくしょう!今に見ていろよ!)」
明久は内心で悪態をつきながら購買部へと駆け出した。
「いやぁ、あいつらも上手くやるよな」
恭二、恵、一刀の三人と弁当を食べながら見ていた義輝は満足げに頷く。
「確か雑巾が出しっ放しだったってのは嘘なんだろ?」
卵焼きを頬張りながら言う恭二。
「根本、行儀悪い」
物を食べながら話すのを注意する恵。
「お前は俺の母親かっての」
「それが違うんだよ。昨日Fクラスの奴等は渋々掃除をやりつつも片付けはしたらしい。だけどその後で吉田がこっそりと掃除用具入れから雑巾を引っ張り出したんだよ。で、鈴木は鈴木であの腕時計、学校のより1分位進んでいるらしい」
「義輝と 根本の策が 感化した」
しみじみと一刀が呟く。
「へぇ。頼もしいじゃねぇか。流石俺のクラスの一員だ。まぁ俺の方がもっと上手くやれるけどな。主に揺すりたかり脅迫で」
恭二が誇らしげに言う。
「とにかくあいつらに一任して正解だったな。Fクラスがいつ気づくのか見物だ」
義輝はそう言うとご飯を口に掻き込む。
「義輝、頼みがある」
弁当を各自が食べ終え、義輝が食後のコーヒー(自前)を飲んでいるところに恵が話しかける。
「ん?何だ、丸?」
「如月ハイランドの、プレオープンチケット」
「プレオープンチケット?何でそんな物を?」
「ああ。あれだろ、今度の清涼祭でやる試験召喚大会トーナメントの副賞品。優勝賞品は特別な腕輪らしいけど」
心当たりがなくて首をかしげる義輝に恭二が教える。
「恭二、やけに詳しいな」
「俺も友香と一緒に出場することにしたからな。賞品は俺らが頂く」
「おー、熱いな代表バカップルは。で、丸。チケットを取るために一緒に出て欲しいのか?」
「私、出ない」
恵は首を横に振る。
「大勢の前に出るより、裏方やりたい」
「裏方?何の?」
「クラスの、出し物」
「・・・・・あぁ、そうだった。清涼祭の出し物、そろそろ決めなきゃな
、恭二」
「面倒くせぇな。今日のホームルーム辺りで決めるか」
はぁ、とため息をつく恭二。
「まあ丸が裏方やりたいならやりたいで良いけどそれじゃあ相方は・・・・・」
「お前も断らん辺りバカップルだな」
「うるさい。・・・一刀、お前誰かと出るのか?」
「出る予定 今のところは 特になし」
「んじゃ、すまないが一緒に出てくれ」
この日、Bクラス内はこの話でもちきりで和気あいあいとした雰囲気であった。
しかし彼らはまだ知らない。
波乱と陰謀に満ちた清涼祭を。
第二巻突入。
義輝、一刀も参戦。
さてさてどうなることやら。
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