午後の全ての授業、そしてホームルームが終了した。
通常なら部活動に行くなり、友人と一緒に帰宅するなりするものだが、Bクラスの生徒達はすぐに教室を出ようとはしなかった。。
来るFクラスとの戦争に備えるべく各々が動こうとしていた。
テストを受けようとする者達は参考書をチェックし、義輝から依頼されたブツを作る演劇部と美術部の部員達は集まって知識を持ちより如何にして作るか話し合い、その他の生徒達は同じ部隊ごとに集まって段取りを決めるべく所々で小さなグループを形成していた。
Bクラスの士気は高まるばかりである。
「よーし、皆動いてくれているようだな。恭二、俺達は俺達で動こうか」
「そうだな。友香と話をつけに行くか。義輝、丸目、伊東、着いてこーー」
恭二が着いて来いと言おうとした時だった。
『代表、Fクラスの吉井がこっちに向かって来るぞ!』
テストの実施を教師に依頼すべく職員室に向かおうと廊下に出た生徒が戻って来て侵略者の来訪を告げる。
その一報にクラスは静まる。
「遂に来やがったか。・・・なぁ、恭二。俺、思うんだけどさ、伝統って悪いものは廃止して良いものは受け継いで行くべきだと思うんだ」
「奇遇だな、義輝。俺もそう思っていたところだ。・・・お前ら、言わなくても分かるな?伝統に習って使者を歓迎しようじゃねぇか!」
二人して意地の悪そうな笑みを浮かべている様子を見て周囲は若干引きつつも侵略の使者をもてなすべなく準備にとりかかる。
ある者は獲物を手にし、ある者はストレッチを始めていた。
最下位クラスであるFクラス所属生徒にして観察処分者、吉井明久は使者という大任を果たすべく意気揚々とBクラスに向かっていた。
先日、Dクラスへ宣戦布告の使者として赴いた際は散々たる仕打ちを受けたが今回は違うらしい。
少なくとも腐れ縁である友人、坂本雄二はそう言っていた。
曰く、Bクラスの生徒達は美少年好きだとか。
同じく友人である木下秀吉には貶されたが、美少年である自分がひどい目に遭うことは無いだろう、と思っていた。
・・・こういうところが彼がバカだと言われる由縁なのだろう。
「失礼します!僕はFクラスの使者として来た!FクラスはBクラスに宣戦布告すー」
希望を胸にBクラスのドアを開けて一歩踏み出し宣言した時だった。
「一刀、ドアを塞げ!」
「心得た 此奴は俺が 逃がさぬよ」
「え!?」
明久が入った瞬間、キノコと比喩できる髪型をした生徒の隣にいた少年が命令を発すると、一刀と呼ばれた長身で糸目が特徴の生徒がピシャリとドアを閉め明久の背後に立つ。
(も、もしかして・・・)
「まあまあ、そんなに固くなるなって。で、それだけか?」
「(あ、あれは確かリア充と名高い・・・くっ!堪えるんだ!後で異端者は申告すれば良いんだ!)え、えーっと、戦争の開始時間は明日の午後一時、午後の授業開始と同時だよ」
「へぇ、そうか・・・ま、せっかく来たんだ。茶菓子は無いがゆっくりしていけよ。代わりと言っちゃなんだがフルコースを用意してある」
「え!?フルコース!?(なんだ、雄二の話は嘘じゃなかったんだ!まあ、僕は美少年だからね!)」
Bクラスの面々は知らないが明久は昼に姫路特製の殺人料理を食べさせられそうになったばかりだ。
普段から食に餓えている明久にとっては願ってもない話である。
それが本当で想像通りならばの話だが。
「よし、まずは前菜『運動部の正拳突き、膝蹴り添え』からだ」
吉井明久の幻想は脆くはかなく崩れ去る。
瞬く間に体格の良い生徒達が明久を取り囲む。
「だ、たまされたーーー!!」
校舎中に悲鳴が響き渡った。
やっと原作主人公が登場しましたね。
戦争までもうすぐです。