義輝の指揮により宣戦布告の使者吉井明久に振る舞われた、Bクラス一同による最上のおもてなし、フルコース。
前菜『運動部の正拳突き、膝蹴り添え』から始まりデザート『吉井明久の油性ペンデコレーション』で終わり、明久はようやく解放された。
シャツと上着を脱がされ、上半身の至るところに落書きが施されるという無惨というより滑稽な姿になった明久は「もうお婿に行けない」などという捨て台詞を吐いて去っていった。
彼の額には恭二によって『僕は変態です』などと書かれていたのだが、本人は知らない。
また、道中はもちろんFクラスへ帰還した時に目撃した多くの生徒がいるのは言うまでもない。
「よし、皆。Bクラス初めての共同作業ご苦労。この調子でどんどん進めてくれ」
義輝の言葉に『結婚式かよ』と呟く声も聞こえたが生徒達の表情はどこか清々しかった。
「それで?話って何なのよ、恭二」
所変わって場所はCクラス。
明久の来訪とおもてなしで遅延されてしまったが、恭二、義輝、恵、一刀らBクラス幹部四人は当初の予定通り交渉をするためにCクラス代表小山友香を含めたCクラス幹部と会っていた。
Cクラスの他の生徒達はすでに教室を出てしまっており、廊下で見張りをしている生徒を除けば彼女達しかいない。
「待たせてすまん、友香。俺達Bクラスは明日Fクラスの試召戦争をするハメになっちまってな」
「戦争?・・・ルールでは戦争に関しては他のクラスの協力は制限されてたはずよね?」
「それは問題ねぇよ。戦闘さえしなければ大丈夫だ」
「・・・Cクラスに何をして欲しいわけ?」
「話すと長くなるんだがなーー」
恭二の説明は以下の通りである。
Fクラスとの前線での攻防の頃合いを見てBクラスはある協定の締結を持ちかける。
『午後の授業が終了する午後4時までに戦争の決着がつかなければ、その時点をもって休戦し、続きは翌日の午前9時から再開する。両クラスはその間戦争に関する行為をしてはならない』という旨だ。
休戦期間に入ったらCクラスには試召戦争の準備をしてもらい、Fクラスに漁夫の利を得ようとしていると錯覚させる。
一方、Bクラスは精鋭部隊を連れ、さらには教師をCクラスに呼び、『教師に教科書の応用問題を解説してもらい、Cクラスと共に聞く』。
FクラスがCクラスに訪れたところでFクラスの協定違反を宣言し、攻撃する。
重要なのは教師を解説という名目で動員することであり、これによってFクラスを一方的に非難することができる。
「話は分かったわ。でも」
友香は怪しむようにして目を細める。
「それで、ウチのクラスに何のメリットがあるわけ?」
「そこなんだがな、小山」
恭二に代わって義輝が言う。
「例えば、Bクラスが勝てば残るのは疲弊した兵隊とBクラス設備。Fクラスが勝てば疲弊した雑魚とBクラス設備が残る。つまり、どっちが勝とうがCクラスの眼前にはチャンスが転がることになる。どうだ?」
「・・・なるほどね、宍戸。でも良いのかしら?あなた達が勝てばウチと戦争することになるのよ?」
「その時はその時ってことで。Bクラスとしてはそれはそれで構わない。で?この話、受けてくれるか?」
「なんかあなたの掌の上で転がされているような気分だけど・・・いいわ、乗ってあげる。Cクラスの皆には私から説明するわ」
「おっ!話を分かってくれて助かるよ」
こうしてBクラスとCクラスの密約は成った。
その裏には双方の思惑が渦巻いているのだが。
何にしれろまた一歩、Bクラスの勝利は近づいた。
いよいよ次回から戦争突入です。