翌日。
開戦の時刻である午後1時に備え、Bクラスの面々は早めに昼食を終えそれぞれの部隊で段取りの最終確認を行っていた。
特に気合いが入っているのは最前線で戦う故に最も戦死する可能性が高い前線部隊である。
というのも、相手は格下とはいえDクラスでの戦闘経験があってこちらよりも召喚獣操作にアドバンテージがあるとみることができ、すでに隠す必要がなくなったFクラスの切り札こと姫路瑞希の投入が予想されるからである。
また、『学年トップクラスの成績を誇る彼女の召喚獣は腕輪を装備しているかもしれない』という義輝のアドバイスもあった。
腕輪とはある一定以上の得点をとった者に与えられる物で、それを装備している召喚獣は点数を消費することを代価に特殊能力を使うことができる、言うなればチートであり強者の特権である。
生徒達が知る一説では腕輪の付与基準は400点と言われているが何にせよ警戒しなければならない。
しかし、特殊能力がどういったものか分からないため、発動の兆候があったらその場を離れ回避行動をとる、ということぐらいしか対策がないのが実情である。
義輝はというと、前線部隊のメンバー達に対し、内心申し訳ない気持ちでいっぱいであった。
姫路瑞希という脅威を制御することができるであろうラブレターを恭二から譲り受けた彼ではあるが、秘密兵器をむやみやたらと使うべきではない、という恭二との話し合いもあり序盤で使うことができなくなった。
序盤に使えば大勢のFクラスにラブレターの存在を知られることになり、何らかの弊害が生じる恐れがあった。
よって義輝はラブレターを使うのは明日に決め、『今日の放課後、一人で屋上に来い。他の者を連れてきたり知られてしまったならラブレターを全校放送で読み上げる』と書いた紙を使って瑞希を呼び出し脅しをかけることにした。
もちろん、これは恭二の全面バックアップのもとに行われる。
そして時はまさに開戦時刻。
「良いかお前ら!身の程知らずのバカ共を蹴散らすぞ!」
『『『おおーー!!!』』』
恭二の音頭と同時にチャイムが鳴り響き、開戦の火蓋は切って落とされた。
前線部隊が出陣してから一時間後、逐一送られてくる伝令
によって本陣にいる義輝達は細かな状況を知ることができている。
前線部隊第一陣は律子と真由美の仲良しコンビ率いる総合科目小隊、だったのだがFクラスは数学の長谷川教諭を連れており、一部の隊員は苦手な数学で戦うことを余儀なくされてしまった。
そして予測通りに瑞希が登場し、なんとこれが400点オーバー、想定していた最悪のパターンだった。
しかし、特殊能力発動の兆候が見られた場合の行動を事前に決めていたこともあり動揺は少なかった。
しかし、逃げ遅れた男子生徒2名が戦死し、立ち上がりを攻撃されたことで回避が僅かに遅れ律子の召喚獣が大ダメージを負うなどの被害が出てしまった。
その後瑞希は追い討ちすることなく後方に下がったため、こちらの部隊も第二陣と交代。
以後、時たま前に出てくる瑞希の脅威を牽制しつつも攻め膠着状態に。
だが相手に操作の面で分があるのと数で押しきられているためか少しずつ押されている。
そして現在に至るというわけである。
「姫路が出ているとは言えここまでは想定していた通りか。恭二、協定持ちかけるならそろそろじゃないか?」
「そうだな。じゃあ伊東、丸目。二人に使者を頼む。渡り廊下を突っ切る訳にもいかねぇから、二階を経由して行って来い。」
「分かった、行く」
「行って来る この大任を 果たすべく」
指名された二人は小走りで出ていく。
「さぁて、ここからが本番だな。破壊工作部隊も準備しろ。隙を見計らって教室を荒らして来い。」
「ああ、待って恭二。工作部隊に渡すものがあるんだっ
た」
そう言って義輝は胸ポケットから一枚の紙を取り出す。
「逆ラブレターってところかな。これを姫路の鞄に開けたらすぐ見えるように入れといてくれ」
それは瑞希を脅すための一通の手紙だった。(上記の内容)
恭二と義輝の策謀が漸く始まる。
戦況は義輝にとっても雄二にとっても想定していた通りってところです。
また、義輝らオリキャラ三人は幹部ゆえに滅多に前線には行きません。
故に今回のようにダイジェストとなりました。
そして、そろそろ姫路さん涙目な展開に入ります。
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