南方棲鬼と申します。   作:オラクルMk-II

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ちょっと時間かかりました。ここから物語が急展開を見せます。(超展開ともいう


悪夢のマシン

 日にちを跨いでも、天龍の男ボケッぷりは消えず、それどころか悪化する始末だった。

 

 身内に暴力を振るっていたチンピラ風味な性質はどこにいったのやら。すっかりぼうっとして隙だらけな表情で、今日もバカの一つ覚えのように車を磨いて、ワックスをかけている彼女を尻目に。巧は少し離れた場所で、那智と摩耶の2人と組んで、スープラの補修をしているところだった。

 

「本当に頭に来たよ、あんの野郎……」

 

「でも良かった。けっこー噂になってるアイツに摩耶があって、この程度で済んでさ」

 

「凄いドライバーだったよ。追突もそうだけど、速度出して曲がってる最中にブレーキ踏むわ、あんなサーキットみたいな場所で全開までアクセル開けるわで」

 

「曲がってる最中に? 左足ブレーキってやつ?」

 

「多分……あんなの左足ブレーキって言わねーけどな。2ペダルのソレなんて、ゴーカート乗れりゃ誰でも出来るよ」

 

 引っ掻きキズが生々しく残ったスープラのドアを、ごしごしと紙ヤスリで削りながら摩耶はぼやく。ぶつけられたFRP製のリアバンパーも割れてしまっていたが、それは直せないのでひとまず置いておく。

 

「でも凄いよね。この70って500馬力出るんだっけ? そんなのによく追い付けるよね」

 

「いくらフルチューンったって、向こうはコイツよか20年は新しいのの、それも最新式だからな……追い付くだろそりゃ」

 

「ふ~ん……あともうひとつ。借り物の車なのに、こんな現在進行形でゴリゴリ削っちゃっていいの?」

 

「いいんだよ。このターコイズ特注の色だから勝手に直せねーし、相手は身内だし。再塗装の手間を省かせてやんのさ。」

 

 話しながらも、大雑把に傷部分の塗膜の削りが終わり、今度はその部分を那智がランダムサンダーで(なら)していく。そして最後に、鉄の地肌が見えている部分に、巧が緑のサーフェイサーと錆止めを塗装して補修は完了する。

 

 「さて、マサキに電話しねーとな……」 神妙な面持ちで摩耶がスマートフォンの電源を入れたとき、何も知らない明石と夕張が巧目当てにやって来る。吹っ掛けてきた話題は予想通り、明日の尾行作戦だ。

 

「居た、巧さ~ん……わっ、70スープラだ!? 誰の? これ?」

 

「マコリンの代車らしいですよ。当て逃げされたらしくて、傷の部分の色剥いでたんです」

 

「代車!? こんなどっかのデモカーみたいなのが?」

 

「うっせーな、今から電話すんだからあっち行け」

 

 場の空気に合わない、調子外れでノリノリだった明石に摩耶が睨みを利かし。怒られた彼女の声のトーンが落ちる。……といっても全然堪えなかったようで、テンションはヒソヒソ話的にノリノリのままだったが。

 

「あ、ごめん……巧さん、約束明日だけど車出せます?」

 

「私は別に大丈夫ですけど」

 

「約束? ドライブでもいくのか?」

 

「あ、那智さんも来ます? 天龍がなんだかイケメンとデートするらしくて、みんなで尾行するんですよ!」

 

「デート!? あんな色恋沙汰の気配もないアイツがか。何かの間違いだ」

 

「間違いじゃないんだなコレが! ボイスレコーダーで録音もバッチリ! 聞きます?」

 

 夕張が言ってきた言葉に、「「うわっ趣味悪っ」」と巧と那智のコメントがハモる。でも興味もあった2人はそれを聴いてみることにする。

 

 スイッチオンの発言と共にレコーダーから音声が流れ始める。夕張と天龍の会話を納めた物だった。

 

『初対面の人から連絡先かぁ……絶対オチが付いてるでしょそれ? じゃなきゃ天龍らしくないよ』

 

『……どういうことだ夕張? そんなに俺をコケにしてーのか?』

 

『いやぁ、だって、ねぇ? 信じられないよ、摩耶さんとか、加賀さんみたいないかにもな人なら解るけど、天龍に男が出来るなんて』

 

『はぁ~、やだねぇコレだからモテない奴は。あのガッチリとして背の高いガタイに、男にしてはちょっと長いけど、清潔感のある髪、そしてふんわりした柔軟剤の香り……あぁ~!! また会うのが楽しみだなァ!!』

 

『ダメだこりゃ』

 

「「……………」」

 

 見事にメロメロだなぁ……。録音した夕張も含めて聞いていた全員がそう思う。ONにしっぱなしのレコーダーからは、まだ天龍のノロケ話が流れてきている。

 

 あと何日もなしに仕事に戻るのに大丈夫なのかなぁ? なんて巧が考えていると。向かい側にしゃがんで居た那智の顔が、唐突に蒼くなっていくのに気が付き、何かあるのかと後ろに顔の向きを変える。

 

 後ろに立っていたのは、天龍の妹である、同じく艦娘の龍田だった。本名は巧は知らないが、前に喧嘩騒ぎを止めたときに一回挨拶をしたぐらいしか面識がない人だ。……尤もそんなことよりも、謎の威圧感を発していた彼女に巧は気圧されたのだが。

 

 表情は笑っているのに、周囲の人間には、なぜか下から覗いた能面のような不気味な顔に見える彼女が口を開く。

 

「その話、私も乗らせて貰っていいかしら~?」

 

「き、聞いてました? どこから?」

 

「そうねぇ~「ボイスレコーダーで録音もバッチリ!」から聞いてたわ~うふふ♪」

 

 それ、もう全部聞いてたのと同じじゃないのか? と巧は思った。

 

「ほとんど初めましてよね~巧さん? 龍田です~。姉さんの妹だよ~」

 

「どうも。同行するのはいいですけど、着いていって何するんですか?」

 

「それはもう単純よ~。ベタベタとすり寄ってくるスケベな殿方なら、手首を落とすだけです♪」

 

 おっふ。ヤバいのが来てしまった。言動から隠しきれない病んだ人特有の空気に、巧の目は泳いだ、そのとき。

 

 かけっぱなしだったボイスレコーダーから聞こえた、天龍の発言に。巧、那智、ちょうど通話の終わった摩耶の3人に電気が流れる。

 

『そう言えばデートってどこでするの? 軽井沢とか?』

 

 

『箱根の方面だよ! いや、今日は寝れないな!』

 

 

「「「!!」」」

 

「箱根……! 峠の方に行かないように言っとかないと!」

 

 慌てて巧が立ち上がり、さっきまで天龍が居た場所に目を向ける。が、そこに止めてあった筈の車と共に彼女の姿は無くなっていた。

 

「あれ、居ない?」

 

「姉さんなら、さっき車でどこかに行ったわよ~? 多分帰ったんじゃないかしら~?」

 

「オイオイ冗談だろ……明日何がなんでも追っかけて知らせてやらないと!」

 

 切羽詰まった様子の3人を。状況がよくわかっていない明石達は、不思議な顔で眺めていたのだった。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 問題の月曜日に作戦は決行された。

 

 前の小旅行でも使った線を使って静岡県方面へと向かっていく銀色のR34を、那智が明石を乗せたCR-X、更に後ろから巧が助手席に龍田、後ろに夕張を乗せたインプレッサで追い掛ける。

 

 趣旨は完全に「尾行」から「説得」(?)に変わっていたため、この計画の最初の提案者だったオタク2人から猛反発を食らったものの、それは天龍とそのカレシの身の安全を憂いた那智と摩耶が叩き伏せて納得させて。今日に至るのだった。

 

 しかし、少し反抗期というか、そんなに大人しく天龍が他人の言うことを聞くだろうか、と巧がハンドルを握りながら考えていると。隣の龍田が会話を切り出してくる。

 

「姉さんが言うほど、対してかっこいい人じゃないと思うわ。相手の男の人って」

 

「なんでそう思うんですか?」

 

「昔から姉さんって、なんでも大袈裟に言う癖があるから。思い込みも激しいから」

 

「言えてる言えてる、あんな見た目の癖にけっこー乙女だし」

 

「へぇ?」

 

 なんだかんだ言ったって、まだ鎮守府に来て2か月の巧に。龍田は思い出話を例にして話し始める。

 

「もう大分昔の話だけど~、姉さんと山に虫取りに行ったことがあるの」

 

「虫取り?」

 

「えぇ、全然取れなかったんだけど~私がやっと一匹カブトムシを見つけて取ったら「でっけ~!」って。もう大騒ぎだったの~」

 

 「こんな、親指ぐらいの小ささでしかもメスだったのよ~?」との彼女の言葉に、車内が笑いに包まれる。

 

 なんだ、オラオラしてる割りにけっこーかわいいところあるじゃんか、そんな事を巧が考えていると。前に居た大型トラックをパスして、追い越し車線に入ったとき、不味いものが視界に入ってくる。

 

 やんわりとした笑顔から、ひきつった苦笑いに表情が変わった巧のコメントに。連動して龍田と夕張の目線も前に移った。

 

「…………龍田さん、アレ」

 

「ん? どうし……あら~」

 

「アレってバレてますよね、完全に」

 

 3人の目に映った物。それは、前をいくCR-Xに並走するR34から顔を出して、般若のような顔で隣の車を睨み付けている天龍がいる、という光景だった。

 

 尾行がバレるぐらいは考えてたけど、これからどうするの? と思っていると。後ろに居た夕張の携帯電話のバイブレーションが起動し、何かと彼女はそれの電源を入れる。

 

「あ、明石さんから」

 

「何て?」

 

「『てんりう こわい たすけて』って」

 

「えぇ……?」

 

「あともう1つは『次のパーキングで降りて』と来てます」

 

 これ、追い掛けてきた全員パンチ食らう流れかなぁ?

 

 いざというときは自分が相手を止めなければ。不安だらけな心境で、巧は前の2台の誘導に従って、ウインカーのスイッチに手を伸ばした。

 

 

 

 

 PAに到着し、結局天龍に問い詰められた明石が口を割ったために、巧の車に乗っていた残りの3人も見付かってしまい。見るからに機嫌が悪い様子の彼女への弁明は、言い出しっぺの明石と夕張がやることになるのだった。

 

 いつもはスカジャンかMA-1みたいな、ボーイッシュな服装なのが、わざわざ今日の為に新調したのか。タイトスカートに白のダッフルコートなんて少し洒落っ気のある格好の彼女に。若干ビビりながら2人は必死に口を動かす。

 

「言い訳を聞かせてもらいましょうか。わざわざ他人の車乗せて貰ってまでここまで来たコト」

 

「本当にゴメン! 天龍が言ったことが未だに信じられなくてさ、ちょっと着いてきちゃった」

 

「そうそう、そんなデートの邪魔なんて全然しようなんて思ってないから。ちょっとその、谷本さん? の顔がみたいな~なんて」

 

「ふ~ん。輝お前は?」

 

「右に同じよ~♪」

 

「チッ……いいよ、じゃあ呼んでくるから待っててください」

 

「「本当に!?」」「た だ し」

 

「次コッソリ追い掛けてきたなんてしたら、本気でキレますからね? わかりました?」

 

「「イエス・マム!」」

 

 あ、これぜってー反省してないわ。おバカコンビの応対を見て、3人が思う。

 

 天龍に待ってろと言われた場所に車を止め直してから、待つこと数分。結構長いな、まさか自分の車ほっぽって逃げたか? と全員が思い始めていた時に、彼女は噂の男を連れて戻ってきた。

 

 朝早い時間帯ということで、少しだったが全員が抱えていた眠気はどこかにぶっ飛んでいった。

 

 地毛レベルの軽い茶髪の癖っ毛が、被っていたキャップからはみ出していた彼の顔面偏差値は、この世のどんなひねくれものを連れてきてもイケメンのレッテルを貼るぐらいには整っていた。

 

 身長は巧と同じくらいなので180はあるか。冬なので着ていたものは厚着だが、それ越しでもわかるほど筋肉質でガッシリとした体格で、モデルっぽいナヨナヨしたイケメンではなく、雰囲気的にはどこかで畑を耕しているアイドルみたいな野性味がある。

 

 「男らしいダンディさん」という表現がこれほどしっくり来るやつも珍しい、なんて感想を全員が思っていると。そんな彼が口を開き、キョどりながら龍田が反応する。

 

「初めまして、谷本信輝と言います」

 

「ど、どうも、姉がお世話になります、妹の上山 輝(うえやま ひかる)です」

 

「いえ、世話になったのは私の方なんです。本当に、あのときは里奈(りな(天龍の本名))さんが居なかったらどうなることかと……」

 

 お互いにへーこらへーこらしながら、本名を名乗って相手と話す龍田を、天龍を除いた残りはただ漠然と眺めていた。

 

 そうして顔合わせの挨拶も終わり。天龍は自分の車に谷本と名乗った彼を乗せ、5人にシッシッと手を払う動作を見せてから、また高速に乗ってどこかに走り去っていく……のを我に返った巧が慌てて止めて、天龍に伝言を伝えるのだった。

 

「天龍ごめん、最後に1個だけ」

 

「…………?」

 

「箱根にターンパイクって道路あるでしょう? 帰り道、そこだけは使わないで。約束ね」

 

「はぁ……? わかりました」

 

 警告を聞いたが、イマイチ理解していないような顔のまま、彼女は行ってしまうのだった。

 

 本当に大丈夫なのかな。

 

 何か分からない、表現の難しい胸騒ぎを覚えて。巧は集まったみんなにある提案をする。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 今日の本来の目的も終わり、さぁみんな帰るか……とはならなかった。

 

 PAに入って高速から外れてから、天龍をまた追い掛けたりすればまず間違いなく彼女の顰蹙(ひんしゅく)を買うので、少し時間をずらして道路に戻り。一行は、巧の案で、摩耶が例のGTRに追突されたという箱根ターンパイクまで来ていた。

 

 目的は言わずもがな、天龍とカレシ様の身の安全のため、ここで夜まで張り込み、該当の車が来たら妨害してやろうという物だ。

 

 龍田は特に付き合わせる事もないから、と巧は鎮守府か家に返そうとしたものの、理由を話したら是非とも協力したいと言ってきたので。ここから夜まで12時間ほどの耐久作業が始まるのだった。

 

 やることも特にないので、取り敢えずは、と巧は展望台にやって来る車のうち、いかにもな車種に限定して地元の声を聞いてみる事にする。

 

 

 

 

 張り込み組が駐車場を行ったり来たり、たまに展望台の建物を眺めたり、携帯のソーシャルゲームで暇を潰すこと、時間は午後5時。薄暗くなってきた辺りで、麓のコンビニで食料を調達してきた那智と4人は合流する。

 

「おーい、みんな差し入れ買ってきたぞ」

 

「那智さん! ありがとうございます!」

 

「いいんだこれぐらい。で、どーだった?」

 

「スゴいの一言ですよ、勿論悪い方向に。シルエイティに乗ってたお兄さんは、追突されて前に乗ってた180(ワンエイティ)を潰されたとか、ポルシェのおじさんも全損まで追い込まれたって」

 

「全損……そりゃすごい」

 

「走り屋じゃなくても、一般の人っぽい人たちにも噂は広まってるみたいです。おかげで夜の箱根は、FFと4駆の車以外じゃ近づけないって」

 

 噂の相手について、聞けば聞くほどクレイジーなやつ、という感想が加速していくような状態だったことを、各々が那智に伝える。同時に、少しずつ表情が曇っていく龍田に、具合でも悪いのかと巧は尋ねた。

 

「どうしました、龍田さん」

 

「大丈夫かしら、姉さん。やっと自分の車が持てたって、浮き足立ってたから心配で……」

 

「大丈夫だって、いざって時は自分と巧が無理矢理割り込んででも助けるから」

 

「ならいいんだけど……」

 

「任せてくださいよ、龍田さん。天龍は絶対守るからさ」

 

 

 

 

 そうこうしているうちに日はすっかり落ちて、時間は8時頃に突入する。

 

 ここから10時半までが正念場か。気合いいれていかなきゃな、とハンドルを握る巧の手に力が入る。

 

 日が落ち始めた辺りから、最後の食事休憩を済ませて、全員が駐車場から張り込みの場所をずらすことになり。巧は今、峠の中間地点にある待避所に車を止めていた。因みに那智はもっと標高が高い場所の待避所に、車がない3人は雪がある草っぱらに、厚着をして張り込みを続けていた。

 

 作戦は、峠の入り口近くに立った3人が、何かの手違いでここに来てしまう可能性のある天龍の銀色の34Rか、オレンジの35Rを見たときにすぐに車持ち2人に連絡。そして上から来る車の護衛or妨害をするというものだ。

 

 なるべくなら何も起こらずに終わると良いんだけどな。巧が携帯の時計を確認すると、もう少しで10時になるところだった。

 

 突然車内にスマートフォンのスピーカーの音が響き渡り。巧に緊張が奔る。

 

『銀色の34が通りました!! 那智さん、そっちいくから追い掛けて!!』

 

『任せろ!』

 

『巧さんも一応発進して!』

 

「りょーかい!」

 

 Nに差したシフトノブを1に入れ、踏みっぱなしだったブレーキから足を移し、アクセルをグッと踏み込む。そしてホイールスピンを起こしながら白いインプレッサが走行を開始する。

 

 走り出して数分後。後ろから来た車のライトの明かりに、巧の気持ちが引き締まるその時だった。拍子抜けするような情報が、通話モードにしていた携帯からもたらされる。

 

『明石、車が違う。同じ34でもGTRだし、ナンバーも違うぞ』

 

『本当ですか!? すいませんでした……』

 

『ちゃんと見ろよ。アイツの車は確かウイング以外インパルのエアロだった筈だ。切るぞ』

 

「ふぅ~……なんだ、ビックリした」

 

 他人で良かったと思いながら、巧はハザードを点けて路肩に停車し、後ろの車が追い越してくるのを待つ。そしてそれを追いかけていた那智と仲良く特定の場所まで上がり、同じ持ち場に戻るのだった。

 

 そんな、少しヒヤッとすることはあったが、結局これから何も起こらずに時間が来たので、張り込みは終わる。

 

 帰り道の車内で。無事に何事もなく今日が終わることに。巧と龍田、夕張はホッとしていた。

 

「よかった、なんにもなくて。さっきめちゃめちゃビビりましたもん」

 

「私も気が気じゃなかったわ~……姉さんが事故でも起こしたら、と思うとね」

 

「私はちょっとつまらなかったかな。もっとこう、巧さんの全快ドライブが那智さんのドラレコ越しに見れると思ってたから」

 

「トラブルに巻き込まれなかったからそんな呑気な事言えるんですよ。全くもう。想定してた事が起きたら今頃それどころじゃないですよ」

 

「あはは、ごめんなさい」

 

 和やかな雰囲気のまま。そのまま2台は峠を降りて、帰路に就くのだった。

 

 

 

 

 

 翌日、天龍が市内の病院に運ばれたという情報が一行に伝わるのは、その日の夜頃になるだなんて。このときの5人は夢にも思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 




天龍、画面の外で事故回でした。一体誰のせいで事故ったのかなぁ?()

ランダムサンダー→アイロンに紙ヤスリを取り付けたような形状の機械。車体や建物の壁など、広い面の塗装を剥がしたりしたいときに重宝する道具。

シルエイティ→日産180sx、240sxの車体のフロント部分を同社のシルビアに交換した車。初出は不明だが、一説には180に乗っていて事故を起こしたドライバーが思い付きでやってみたのがきっかけだとか。普通はS13型のシルビアに交換するのが一般的だが、やろうと思えばS14、S15でも可能。この内のS13型シルエイティはメーカーでも生産されたことがある。


オマケ 那智さんとその愛車になります。あと前話にもこっそり挿絵を追加していたりしています。

【挿絵表示】


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