カルデア→現実日常生活   作:黒色エンピツ

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1連目:回転数が全てだ

「あー……暇だ。イベントでも始まんねぇかなぁ。」

 

ある日の深夜、俺はスマホのゲームアプリ「Fate Grand Order」で遊んでいた。

 

「なんか面白い事でもねぇかなぁ〜。」

 

自分の声だけが部屋に響く。一人暮らししてると独り言が増えるな。

 

「はー……寝よ。明日も仕事だ。」

 

 

 

 

夢を見た。桜の下に座る少女を。

場面がどんどん変わる。

雪の夜に歩く和服の女性、黄金の中に佇む男、歯車のある荒野に立つ男とそれを興味深く見る少女、人々に手を伸ばす細身の青年、船の先端に立つ女、図書館のような場所で本を読む少年、山の中で宴を行う少女とそれにやれやれと付き合う大男、西洋のアパートのような場所で安楽椅子に座る男。自分の身よりも大きな雪花の盾を持って白い部屋で微笑む少女。

それからも多くの場面に切り替わった。俺はこれを知っている。実際に見た事はない。しかし、風景は知らなくとも人物は知っている。

 

 

 

 

「〜っ!!?」

 

目が覚めると慌てて体を起こし、周りを見渡す。

 

「夢か……驚かせやがって……。」

 

一息吐く、すると隣に誰かがいる。

 

「な、なんだ!?強盗!?」

 

横を見ると桜が見えた。

 

「……誰?」

 

「んぅ……。」

 

身動ぎした時に声が漏れる。可愛い声だ。見た事あるような気がするけど、髪を結んでないし。

 

「ふわぁぁああ……あふぅ。」

 

体を起こした事で顔が見える。ぴょんと飛び出たアホ毛、整った顔、寝起きでほにゃっとした表情、着崩された和服に羽織、……胸元が見えた。うむ、良い。

ふむ、これらの特徴から見て間違いないだろう。

 

「沖田、総司」

 

そう、沖田総司だ。

Fateに出てくるサーヴァントでクラスはセイバー、俺的最高に可愛いサーヴァント第1位である。

 

「……夢か、寝よ。」

 

時計を見たらまだ2時だ。結構寝た気がするのに少ししか経ってないとか。まあ、夢だし、そんなもんか。

 

「あっ、マスター?」

 

夢とは言え沖田さんと寝られるとか天国かよ。

 

 

 

 

目覚ましの音が聞こえて目を覚ますと、桜色の何かが見えた。後なんか凄い良い匂い。

 

「起きました?」

 

「……あっ、ドーモ。」

 

うわぁ、沖田さん可愛いなぁ……。

 

「マスター?」

 

「あっいやっ、あのですね。なんでここにいるのかなと思いましてはい。」

 

『そこは私が説明しようか!』

 

スマホから音が聞こえて、起き上がってる画面を見るとテレビ通話になっていた。

 

「ダ・ヴィンチちゃん!原因あんたか!?」

 

『そうとも!だって、君、忙しい時とかあまりプレイしないだろう?暇になっちゃったんだよね〜。

後、頼み事もあったからね!』

 

ダ・ヴィンチちゃんがそう言うとスマホが光って誰かが飛び出してきた。

 

「いたた……あれ?ここどこ?」

 

「ロマン……!?」

 

『彼の事をよろしく頼むよ。君の所に居れば安心だ。』

 

「いやでも、ロマンはあの時に。」

 

『まあ、ちょちょいのちょいってね。私を誰だと思ってるのさ。……まあ、カルデアに連れて帰るのは無理だったんだけどね。』

 

ゲームのストーリーだとそのまま消えて、ロマニは助からないはずなのに……まあ、それならそれでいいか。

 

「それでこれからどうすればいい?」

 

『どうすればとは、変な事を聞いてくるね。いつも通りに過ごせばいいじゃないか?』

 

「は……?いや、だって…… 。」

 

『ああ、何か事件でもあるのかと思ったのかい?君には残念だったけど事件はないよ。いつもの日常を過ごしてくれたまえ。

ああ、サーヴァントがそっちに行けるようにはしておくよ。スマホだから不便だし、扉でも付けておくさ。』

 

「あっはい。」

 

『それじゃあね〜。』

 

消えちゃったよ……。

 

「マスター、これからどうします?」

 

「あー……そうだ。沖田さん、カルデアに戻ったら全員に伝えて欲しい事があるんだけど。」

 

「任せてください!なんですか?」

 

「えっと、こっちに来るのは良いけど、家以外、外にいる時はマスターって言うの禁止で、絶対に変な目で見られるし。」

 

「わかりましたけど、どう呼べば良いんですか?」

 

あ、そっか、フルネームは知らないんだった。

 

「えっと、桐谷 時と言います。桐谷か時か、どっちか好きな方で呼んでくれると助かるかな。」

 

「では、時さん!不束者ですが、よろしくお願いします!」

 

「はっ、はい。」

 

いきなり名前で呼ばれるとときめいてしまうじゃないか。

というかこれ結婚のあいさつみたいじゃない?惚れちゃうだろ。もう惚れてたか。

 

「っと、そういえばロマンは……?」

 

リビングに行くとロマンが無駄に優雅にコーヒーを飲みながら新聞を呼んでいた。

 

「おい、何やってんだ……。」

 

「やあ、時君!コーヒー頂いてるよ。」

 

「ああ、うん、それはいいんだけどさ……。驚きとか無いのか?」

 

「……まあ、正直驚いてるよ。僕はあの時消えるはずだったからね。皆にまた会えるなんて思ってなかったよ。

ああ、そうだ。遅ればせながら人理修復おめでとう!君がマスターで本当に良かった。」

 

「あ、ああ、ありがとう。でもさ、この世界だったら人理修復してるやつなんて何人もいるし、そんなに大した事はしてないし、なんなら俺よりも強くて上手くて賢いマスターはたくさんいるんだ。」

 

そう言うとロマンは俺の力強く肩を掴んだ。

 

「そんな事を言ったらダメだ。例え、君以外に居たとしても、僕達のカルデアの最後のマスターは、人理を守って僕達の世界を守ったマスターは時君だけなんだから。」

 

ロマンの言葉に息が止まる。世界でリリースされているFGO、フレンドという形で別世界のカルデアがあると解釈出来るが、彼らにはたった1つの世界なのだから。

 

「……ごめん、悪かった。」

 

「いや、良いんだ。思い切り掴んでごめんね?痛くなかったかい?」

 

「あ、ああ、それは大丈夫だけど。」

 

「うん、それなら良いんだ。

そういえば時君は仕事をしてるんだろう?時間は大丈夫なのかい?」

 

「え?」

 

えっと、出勤時間が8時で今の時間はっと……。

 

「7時50分!?」

 

会社まで車で15分、あれ?やばくね?

 

「い、いってきまーす!」

 

「いってらっしゃ〜い。」

 

「あ!マスター、ご飯は……むう。」

 

食パンを1枚咥えて急いで出る。

最後に沖田さんの声が聞こえたけどどうしたんだろ?

 

 

 




じ、次回からは完全にほのぼのだから……。
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