ストパンのVRゲームでウィッチになる話   作:通天閣スパイス

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“嫌な予感”

2lt.Erica Hartmann

Karlsland Airforce JG52


※間隔調整しました



ミッション 1(E)

 ――それは、圧巻の光景だった。

 

 陸が三分に、ネウロイが七分。遠くに広がる、本来は地面を覆い尽くさんばかりに広がっているであろう農耕地は、無数の黒い異形の怪物に埋め尽くされようとしていた。

 わさわさとネウロイ達が各々の脚部を動かしている様子は、遠目から見る限り、まるで巨大な昆虫が集団となって蠢いているようにも思える。さらにその上空に滞空している飛行型ネウロイ達の姿も合わせれば、地獄からベルゼブブの軍団が抜け出してきたのかと錯覚すら覚えてしまう。

 軽く見積もっても、敵の数は百を軽く越えているのが分かった。中にはここからでもそれと分かる大きさの、所謂中型や大型のネウロイの姿も見受けられていて、今回の作戦を知らなければ敵の本格侵攻が始まったのかとでも思ってしまうに違いない。

 

 ネウロイを誘引して敵勢力をある程度の大きさに纏め、予定地点に引き込んだ上での待ち伏せ作戦。一部の高官によって大仰な作戦名まで名付けられたこの作戦のために、カールスラントはパ・ド・カレーのウィッチほぼ全てを投入していた。

 

「……何と言うか。ウィッチがこうも集まると、壮観だね」

 

 チラチラ、と。自身の周囲の上下前後左右、360度全ての方向に存在している味方達を見て、エーリカは半ば呆れたように呟いた。

 

 現在彼女達は、大規模な編隊を組んでネウロイ群へと向かっている。さながらどこぞのピグミーのように、百数十のウィッチがまるで一つの生き物となったような形で動いていた。

 彼女がいるのは、その奇っ怪な生物の頭――つまり先駆け(・・・)とも言える戦闘集団に、彼女の隊は加えられている。エーリカ、そしてバルクホルン。現時点のカールスラントで上位に入るエースを二人も抱えているのだから、その配置は至極当然といったところだった。

 彼女もその配置に不満はないものの、普段では考えられないほどに潤沢な味方の勢力に再び目をやると、軽く肩を竦めて。これなら自分の働きなど必要ないんじゃないかと、内心で一人ごちていた。

 

「そろそろ接敵だ! 慌てず、武装の最終チェックを済ませておけ!」

 

 隊の先頭を飛んでいるバルクホルンが、後ろのエーリカ達を振り返りながらそう呼び掛けた。彼女が初めて部下を率いる立場になった時から欠かさず行っているその呼び掛けは、彼女の生真面目な性分と優しい根の部分が故である。

 エーリカも、他の隊員達と同様にその場で軽く装備のチェックを行った。既に新兵とは呼べないほどには経験を積んでいる彼女は、昔のようにミスを見落とすようなことは殆どない。何かしらの問題を見つけることもなく、彼女はバルクホルンに状態良好との返事をした。

 

 ふぅ、と一つ息を吐く。その憂鬱な雰囲気を隠さない様子は、とても任務前の軍人のものとは思えなかった。

 そもそも、彼女はこの作戦に乗り気なわけではない。これがカールスラントにとっての今後を左右する重大な一戦であり、ネウロイの戦力を減らす貴重な機会であることも理解しているものの、それでも彼女はどこか一歩引いたような感情を覚えてしまっている。

 怖くはない。ネウロイとの戦闘自体を忌避しているのではなく、ただ何か、上手く言い表せない嫌な予感が彼女の背中を引っ張り続けていた。第六感とでも言えばいいのだろうか、彼女の無意識がこれからの戦闘に対しての警鐘を鳴らしているようにも感じられる。

 

『――これは、我々カールスラントによる対ネウロイ戦争にとっての大きな一歩となり、我々の力を世に示すこととなるでしょう。今我々は、軍人として、ウィッチとして、かの邪智暴虐たる怪物共を討ち滅ぼす騎士となり――』

 

 出発前。急ぐからと、特例として馬車に乗っている状態のままで、激励のための演説を聞かされた。常識的に考えると明らかにおかしい措置ではあるのだが、演説の話者には然程気にした様子はないようだった。

 まるで舞台の役者のように、身振り手振りを加えて話していた女性――ゲーリングという女性将校が今回の作戦の発案者らしいと、エーリカは噂で耳にしていた。エーリカが見る限り、彼女からは軍人、というよりはどうも政治家に近い印象を受けるように思える。美辞麗句を並べ立てる彼女はその場のウィッチからも少なくない好意を受けていたようだったが、エーリカはさっさと興味をなくして隣のヴェラとのお喋りに興じていた。

 

 ヴェラ。数時間前に新しく出来た、彼女の友人の一人である。童顔で、一見すると子供らしいように思えるその少女は、中身はそこらの人間よりも余程大人であるらしい。馬車の外に聞こえないように小声でこっそりと行っていた二人の会話で、彼女が涼しい顔をして毒を吐いていたことをエーリカはよく覚えている。

 また、彼女は優れた狙撃手であるという話だが、エーリカ自身はその腕を実際に目にしたことはない。彼女と肩を並べて戦うのはこれが初めてであり、そう意味においてはエーリカはこれからの戦闘を楽しみにしている。静止目標とはいえ、1000メートルもの先を撃ち抜いたという彼女はどれだけの活躍を見せてくれるのか、エーリカは一種の期待感すら抱いていた。

 

 チラリ、とエーリカは後ろを振り返る。背後に広がるウィッチの群れの向こう、最後尾に近い辺りに彼女の姿はあった。

 マルセイユのような、鳥類の使い魔を持つ証のシュンとした耳を頭に生やし、小ぶりの西瓜ほどはあろうかという胸の下で銃を抱えている彼女は、エーリカの視線に気づいて小さく手を振ってくる。それに笑顔で振り返しながら、エーリカはふと、彼女があと一体撃墜すればエースになることを思い出した。

 せっかくなら、私が花道を用意してあげるのも悪くないか――。そんなことを考えたエーリカは、上がらないテンションを無理矢理に引き上げて。友人の撃墜スコアを手助けしてやるべく、心のエンジンをかけ直すことにした。

 

「いいか、まずは地上部隊による一斉砲撃が行われる! それを合図として、我々航空部隊が敵航空戦力に突入、これを殲滅する! 先陣たる我々の仕事は敵陣を乱すことだ、まずは撃墜スコアなぞ後にして飛び回れ!」

「「「Jawhol!」」」

 

 バルクホルンの言葉に、エーリカ達は口を揃えて返答をした。明らかに士気の低かったエーリカがいつの間にかやる気を出していたことに一瞬驚きながらも、バルクホルンは隊員達の戦意が十分であると判断すると、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべる。

 バルクホルンという人間は、普段は真面目で勤勉実直なカールスラント軍人である。プライベートではそれにシスコン気味だの世話焼き好きだのという要素も付け加わるが、総括すれば彼女は実に優しい善人だと言っていい。

 だが戦場での彼女は、時に違った一面も見せる。敵であり、自らや仲間達を脅かす存在であるネウロイに対して、彼女がその優しさを向けることはない。――まるで猟犬のような獰猛さを剥き出しにして、その喉元へと食いかかるのだ。

 

 ドン、と。下の陸上ウィッチと通常戦力の混成集団である陸上戦力が、その砲火をネウロイへと浴びせ始める音が響き渡った。それとほぼ同時に無数の砲弾がネウロイの群れへと降り注ぎ、その戦力の一部を豪快に吹き飛ばして行く。

 上空の彼女達もまた、行動を始めた。今にも吠えかからんばかりに口を横に引き締めていたバルクホルンは、音が聞こえたと同時に今回の作戦で航空部隊の指揮を執るウィッチにアイコンタクトを送る。そしてコクリ、と彼女が頷いたのを見て、待ってましたとばかりに口を開いた。

 

「――――突撃ィッ!!」

Hurrrraaaaaaaaaaaaaaaa(ウラーーーーーーーーーーーーーー)!!』

 

 ウィッチが、戦場に飛び込んでいく。突撃の掛け声の大合唱をBGMに、エーリカは眼前のネウロイ達へと向かっていった。

 近づく間に飛んでくる攻撃を避けながら、彼女は抱えていた銃を構える。引き金に指を掛けた状態で、この距離ではまだ当たらないからと、指に力を入れそうになるのを何とか我慢して。数秒、いや数十秒ほどの体感時間の後、彼女の視界に映るネウロイの姿が大きくなって初めて、彼女はその引き金を引いた。

 

 彼女が持つ銃は、MG42と呼ばれる代物である。所謂機関銃であり、7.92×57mm弾を一分間に1200発以上も放つことが出来るその銃は、対ネウロイ戦に於いてもかなりの火力を誇る。

 バババ、と人間には正確な認識すら出来ない速さで発射音を鳴らしながら、銃弾が次々に小型のネウロイの胴体を抉っていく。狙いをつけた一体が堪らずに体を粒子に変えたのを横目に、エーリカはバルクホルン達と共に敵中へと突入した。

 

「突っ込みすぎるなよ、ただ乱すだけでいい! 乱れた敵は後ろの味方が仕留めてくれる!」

 

 MG42の掃射をネウロイに浴びせかけながら、バルクホルンは掛け声代わりにそう叫んだ。

 一瞬だけエーリカが後ろを振り返ると、確かに彼女達が切り込んだ後のネウロイを後続のウィッチ達が倒している光景が見えた。エースのように鮮やかではないが、数を活かした連携でネウロイの数を確実に減らしていっている。

 

 エーリカ達の最初の役割は、言ってしまえば()である。ネウロイの注意を一瞬だけでも引き付け、他のウィッチ達がその隙に倒すという戦術をまずは採用していた。囮に多大な負担がかかる戦術ではあるが、バルクホルン隊はカールスラントでも上位に入るエースに率いられた精鋭であり、皆早々と脱落することもなく作戦を進行していた。

 敵陣の三分の一ほどまで食い破った頃だろうか、周囲の状況を見たバルクホルンは前進を中止。これでは完全に包囲されつつあると、横に逸れる形で一度敵陣からの離脱を試みることにした。

 

「……中佐。こちらJG52第2飛行隊、バルクホルン中尉です。後続の進みが遅く、このままでは我々が完全に孤立します。予定より早いですがここで一度離脱します、どうぞ」

『――了解しました、離脱を許可します。離脱後は右翼のJG3に合流し、作戦を進めてください』

「了解、敵左翼方面を突破し直接合流を図ります。ではこれで」

 

 指揮官と無線での通信を終えた後、彼女は一度後ろを振り返る。彼女の後ろに続いているウィッチの数は未だに一つも欠けておらず、精々が服の一部にかすり傷や焼け焦げた痕が付いているぐらいであった。

 エーリカもまた、傷一つ負わずに彼女の後ろを飛んでいた。両手で抱えたMG42をもののついでとばかりに振り回し、自らの撃墜スコアを順調に伸ばしているその姿はまるで鬼神のようでもある。彼女につけられた『黒い悪魔』という渾名は、けっして伊達ではない。

 

「これより、敵左翼を突破して味方右翼に合流する! いいか、私から絶対に遅れるなよ!」

「「「Jawhol!」」」

「よし、いい返事だ……。全員右旋回! 四時方向に全速転進!」

 

 スルリ、と。滑り落ちるように滑らかな機動を描いて、バルクホルンは鮮やかな旋回を行う。後ろの隊員もそれに続いて旋回させてゆくが、彼女ほどに洗練された動きではなかった。

 唯一の例外は、エーリカである。バルクホルンが滑らかな曲線のような動きなら、彼女は鋭いターンをいとも簡単にこなしていた。バルクホルンと方向性は違ったものの、その動きはエースに相応しい、無駄のないが故の美しさを感じさせる。

 これが航空ショーなら拍手喝采ではあっただろうが、残念なことに現在の観客であるネウロイが何か反応を示すわけもなく。その腕前を称賛されるでもなく、彼女達はネウロイが比較的薄い箇所へと再突撃していった。

 

 バババ、と発射音が鳴る。撃ち尽くした弾を即座にリロードしながら、彼女達は前方を塞ぐ小型のネウロイ達を鎧袖一触とばかりに撃墜していった。

 彼女達の動きは、実に効率的だ。やたらめったらに照準を迷わせることもなく、確実に狙えそうな一体を定め、即座に引き金を引く。百発百中とまでは流石にいかないが、自分の出来る範囲を最大限にこなしている彼女達の命中率は、中々に高い部類に入る。無論、あくまで比較的な話であり、どこぞの狙撃特化のウィッチとは比べようもないのだが。

 

「――ハルトマンッ!」

 

 突如、バルクホルンが短くエーリカの名を呼ぶ。エーリカがそれを耳にした瞬間、彼女は即座にシールドを展開した。その直後、彼女の体を幾筋もの赤い光線が襲う。ガガガ、と削るような音をたててシールドとぶつかったそれは、小型のネウロイが放つそれよりも強力な攻撃であった。

 視界を覆う赤い光が消え去った後、彼女は攻撃が放たれた方向へと視線を向ける。彼女が注意を向けていた飛行型ネウロイ達のその下、今まさに陸上戦力と張り合っている陸上型ネウロイ達の中の中型ネウロイ一体が、その砲身を彼女へと向けていた。

 戦車を体の素材とした個体なのだろうか、それは戦車に蜘蛛のような足が付いた不気味な外見をしている。彼女はチィ、と一つ舌を打って。次に放たれたそれからの攻撃を、今度は急移動によって回避した。

 

 陸上型ネウロイの注意は、陸上戦力が引いてくれる話じゃあなかったのか――。事前に聞かされていた作戦の内容を思い出しながら、エーリカは内心でそう愚痴る。陸からの対空砲火は、航空戦力にとっては自らを脅かす脅威である。ウィッチもまた例外ではなく、対空砲火は航空ウィッチへの牙足りえるのだ。

 故に、陸上型ネウロイの攻撃を空に向けさせないべく、陸では人類側の猛攻撃が加えられているはずだった。少なくとも作戦上ではそうだったはずなのだが、やはり全ての敵を引き付けておくというのはどだい無理な話であったらしい。エーリカへの攻撃を始めとして無数の攻撃が陸から空へと上がり出したのを目にして、バルクホルンは回避のためにその場での散開を指示せざるを得なかった。

 

「こちらバルクホルン、敵の激しい対空砲火を受けている! 話が違うぞ、陸は何をやっているんですか!」

『こちらでもそちらの状況を確認しました。現在、陸上ウィッチ達が全力で敵陸上戦力を攻撃中で――』

「ええい、話が長いッ! いいからさっさと花火を黙らせるか援軍を寄越してください、このままでは合流まで持ちません!」

 

 まるでシューティングゲームのような弾幕を必死に避けながら、バルクホルンは指揮官へと無線で半ば怒鳴るように要請をした。彼女にしては珍しい必死な形相を浮かべて、火線の隙間隙間に見える隊員達の姿を常に探して無事を確認しながらのことである。

 思考回路を出来る限りの速度で動かしていたのだろう、十秒近くの沈黙の後、指揮官のウィッチはようやく口を開いた。

 

『……分かりました、援軍を回します。到着まで耐えていてください』

「バルクホルン了解! 出来る限り持たせます!」

 

 ブツリ、と。通信が切れると同時に、バルクホルンは即座にMG42の弾を放った。

 バババ、と流れるように連続で発射されたその弾は、彼女に攻撃を加えようとしていた陸上型ネウロイの一体へと命中した。が、距離がありすぎるために集弾性が悪くなっているのだろう、装甲の一部を剥がしただけでコアを撃ち抜くことはない。攻撃を中断させることには成功したものの、陸上の敵を排除するのはこの距離では難しいようだった。

 ならば高度を下げればいいということになるのだが、この対空砲火にさらに近づいていくのは最早自殺行為である。エースであるバルクホルンやエーリカさえ、この対空網を掻い潜っていこうとは思えなかった。

 爆発物でもあれば爆撃が可能とはいえ、残念ながらバルクホルン達の中にそれらを今携行している人間はいない。役割故に機動性を重視した結果、余計な装備を大部分減らした結果である。

 

 結果として、彼女達は自力で現状を打破する能力を持ち合わせていなかった。対空砲火に進路すら塞がれ、逃げ回りながら散発的な反撃を繰り返すのが精々という状況である。不幸中の幸いとも言えるのは、同士討ちを嫌ったのか、飛行型ネウロイが近づいて攻撃をしてこないことくらいのものであろう。

 囮の役割としては、ある意味これ以上ないくらいの大戦果と言えるだろうか――。本来の予定に加えて陸の注意すら引き付けていることに、バルクホルンは半ば現実逃避にそんなことを考えた。

 

「……うげぇっ!?」

 

 一方、エーリカは危機に陥っていた。数分もの間、敵の砲撃を回避し、時折嫌がらせ混じりに銃撃を陸に浴びせていた彼女ではあったが、攻撃が掠りでもしていたのだろうか、片足のストライカーユニットの調子が明らかに悪くなりつつあった。

 いきなりエンジンが止まったりということはまだないものの、プスン、という気の抜けた音が時々エンジン音に挟まっていることに、彼女はさっと顔色を青くさせる。明らかな不調であり、それはこの状況においては彼女の命すら脅かしかねない緊急事態を意味するのだ。

 いくら実力があったとしても、不完全な飛行で敵の猛攻を凌げるような人間はいない。……明確な死の予感、というものを初めて激しく感じて、彼女はパニックになりかけた自分の心を理性で必死に抑え込んだ。

 

「ヤバイ、トゥルーデ助けて! ユニットが片っ方調子悪い!」

「――何だとッ!? 待ってろハルトマン、今行くぞ!」

 

 彼女が大声で助けを求めると、バルクホルンの声が即座に返ってきた。が、それが隙になったのか、飛んできた砲撃の一つを避けられずに、彼女はシールドでの防御を行う。

 展開する時間は十分あったために、彼女への直接のダメージはなかった。だが衝撃はシールドでは防げず、ドン、と強く揺さぶられるような衝撃が彼女を一瞬だけ襲う。それは不可避のものであり、本来なら取るに足らない短い隙を産み出すだけだったのだ、が。

 

「――え」

 

 ブスン。そんな一際大きな音を吐き出した直後、彼女の右足のストライカーユニットは動きを止めた。

 

「――ハルトマァーーーーーーーーーーンッ!!」

 

 バルクホルンの叫び声を、エーリカはどこか遠くの音のように感じていた。彼女は呆然と、出力が半分になり、徐々に高度を下げて行く自分の体を見つめ続けた。

 彼女が無意識に張っていたシールドに、対空砲火が次々と命中していく。回避行動を行おうとはするものの、片足ではまともな機動すら難しい。被弾箇所を致命的な場所からずらすのが精々で、彼女はなされるがままに攻撃を耐え続けるしかなかった。

 

 ……ふと。彼女の脳裏に、彼女と瓜二つの双子の妹の姿が過った。幼い頃の思い出を想起しながら、彼女は小さく、妹の名前を口にして――

 

 

 

 

 

「……あれ?」

 

 ぎゅう、と。砲撃の雨に必死に耐えていたはずの彼女の体が、今度は抱き締められるような感触を覚えた。

 どうしたのかと彼女が瞼を開くと、いつの間にやら周囲には何人ものウィッチ達がいて。見覚えのあるその少女達は、バルクホルン達を脱出させるべく敵の注意を分散させようとしていた。

 

 チラリ、と。彼女は自らを抱き抱える存在へと視線を向ける。彼女を後ろから抱き締める形で支えているその少女を、彼女は誰だか知っていた。

 まるで恋人のように、少女は彼女を力強く抱いている。それは彼女を支えるためであるというのは理解しているが、彼女はこの状況への喜びの感情を覚えた。

 先程までの不安の反転が、その少女への感情に変化した。それは別に大きなものではないし、少女との関係を直ぐ様変えてしまいもしないが、ただ少なくとも、の話として。

 

「……ヴェラ?」

「――はい。無事ですか、エーリカさん」

 

 ニコリ、と可愛らしい笑みを向けてくるその少女を見た瞬間、彼女の心に何かの種が蒔かれたのは確かだった。

 

 

 

 

 




Q.パンツじゃないから恥ずかしくないんですか?

A.パンツじゃないから恥ずかしくないんです。

Q.オッペンハイマー博士の出番をですね……

A.あの兵器は……うん。まだブラウン博士とかの方が出せると思います、はい。

Q.他のプレイヤーどうしてんの?

A.ハーレム作ったりレズったり覚悟完了したりAC乗ったりとかしてるんじゃないっすかね。いや嘘だけど。

Q.ウルスラ好きかと思っていたのに……

A.何言ってんだ大好きに決まってんだろ! でも主人公はエイラ派。

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