ストパンのVRゲームでウィッチになる話   作:通天閣スパイス

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???

 世界に覇を唱える海洋国家、ブリタニア連邦。その首都であるロンドンのダウニング街十番地の住人の機嫌は、朝っぱらから順調に降下の一途を辿っていた。

 

 朝。使用人に淹れさせた紅茶を啜り、新聞各紙の朝刊に目を通すという日課を行っている男の表情は苦い。まるでブルドックのようだ、と評されるほどに迫力のある顔立ちは、外国人がブリタニア特有のとんでも料理を口にした時のように歪んでいた。

 男は政治家である。かつて保守党で『ディズレーリの後継者』と呼ばれた男を父を持ち、一時期自由党に所属を移してはいたものの、彼自身も保守党の一員としてその敏腕を振るっていた。保守党が自由党との連立によって政権与党の座を保持している今、彼の立場もまた重いものとなっている。

 男は有能な人物である。今までに九つの大臣職を経験し、今も国防担当閣外大臣の任に就いている彼の名は国民達にも受けがいい。今代の政治家の名を一つ挙げよと問われれば、多くは彼を挙げるだろう。彼の前任者が晩節を汚すような形で職務を退いたこともあり、男の評判は相対的に高くなっている。

 だが、男以外に政治家がいないということはない。1688年の名誉革命以降、二百年以上もの間民主政治を続けてきたこの国である。以前は保守党と自由党、今では保守党と労働党が凌ぎを巡る政党政治の中に身を置いていたこの国は、他のどの国よりも政治家の層が厚かった。

 それでいてなお、今この時、ブリタニアが直面している最大の国難に立ち向かえるのはこの男しかいるまい――それは男自身の自負でもあったし、彼を支持する国民の総意だった。事実、ドーバーを挟んだ向かい側が敵の手に落ちてしまった今、ブリタニアが未だ政治的な安定を保てているのはこの男の強烈なカリスマとリーダーシップのお蔭である。

 そして、だからこそ。そんな男に反発する勢力が存在していることは、民主主義の国としてある種当然のことだった。

 

「クソッタレめ……」

 

 ボソリ、と。とある新聞の一面を目にした男は、忌々しげに呟いた。

 それはブリタニアの中でも最も著名な新聞の一つであり、1896年に創刊された最古のタブロイド紙である。新聞王として名高いロザメア卿は、この大衆向け日刊紙を世に送り出したことによってその栄光を掴んだと言っても過言ではない。

 二分の一ペニー――他の新聞の半分程度しかないその価格設定は、多数の庶民を購買層に取り込んだ。1926年には発行部数が二百万部を越え、最早ただの新聞程度と見くびることはできないほどの影響力を有している。ブリタニアが民主主義を掲げている以上、新聞が民意を媒体として政府に牙を向ける可能性は十分にあり得ることなのだ。

 

 そんな新聞が一面で大きな見出しをつけていたのは、先日の欧州大陸での出来事だった。

 欧州からの撤退作戦を遂行中の神聖カールスラント帝国が行った、ネウロイに対しての反攻戦。決して大勢に影響を与えるものではないが、それでも彼らがその戦いにおいて勝利を掴んだという事実は、他の欧州各国でも大きな反響を呼んでいる。

 男の不機嫌の原因は、少なくとも今現在においてはそれではない。以前のカールスラントは第二次産業革命による産業と経済の発達もあり、産業国家としての自負も持つブリタニアとの関係が悪化しかけた時期もあったが、二度の大戦により本国の産業基盤がほぼ破壊された今となっては最早ブリタニアの敵ではなくなっている。潜在的な感情はともかくとして、表面的には現在は両国関係は良好と言ってもいいだろう。

 友邦の一つが戦果を挙げて妬むほど男は狭量ではなかったし、今のブリタニアに余裕がないわけでもなかった。口だけの賛辞なら幾らでも言ってやろう、と思っている程度にはこの大戦果を認めている。

 

 男が問題にしているのはその事実自体ではなく、報道の内容である。記事の見出しこそ特筆すべきものではないが、よくよく中身を見てみれば、その中身は殆どがウィッチ賛美に費やされていた。

 いかにこの戦闘でウィッチが活躍したか、いかにウィッチの集中運用が素晴らしい戦術であるか、いかにウィッチがネウロイの天敵足り得るか、エトセトラエトセトラ。さすが新聞王の新聞と言うべきだろうか、読んだ人間が思わず乗せられてしまうほどの文章で情報を伝えている。

 これが民衆からの受けを狙った三流新聞によるものならば、男も取るに足らないものとして切って捨てていた。しかしこれがこの有名大衆向け日刊紙によるものである以上、その裏に潜む新聞王の意思を勘ぐらざるを得なかった。

 

 新聞王、ロザメア卿。彼はメディア業界に君臨する王として知られていると同時に、政治家にとってはとある男性の有力なシンパの一人としても知られていた。

 所属を保守党、労働党と移し、やがては自分を党首とした新党を立ち上げた男性。かつてマクドナルド内閣においてランカスター公領相を務めた彼は、第六代の準男爵というれっきとした貴族でもある。

 貴族であるが故に豊富なコネクションを持ち、また人の上に立つカリスマ性と能力も持ち合わせていたその男性が立ち上げた新党は、今となっては政権与党でも無視するのは危ないほどの規模にまで成長している。ブリタニアウィッチ支持者連合――通称『BUF』の隆盛は、多くの既存の政治家達にはとても歓迎できるものではなかった。

 

 だがこの新聞は、いやかの新聞王は、どうやらその組織の現状に甘んじていないらしい。ウィッチ優先主義――すなわちウィッチの適正がある女子に対する徴兵制度の厳格化、それと付随してのウィッチの社会的な地位、及びに軍内部における影響力の向上、現行の福利厚生制度からのウィッチ経験者やその家族を優先させるものへの改革、そういった国家を挙げてのウィッチ支援を主張として掲げるBUFの指示を広げるべく、こうした過度なウィッチ賛美を行っているのだろう。少なくとも男はそう考えたし、新聞を読んだ他の政治家達もそう思っていた。

 そして、この試みが失敗に終わる保証などない。むしろ新聞の民衆への浸透具合を考えれば万一の可能性も捨てきれず、数年後の選挙で政権与党が変わる、という事態も十分に起こりうる。そうなれば多くの政治家が危惧する最悪の未来――ウィッチ優先の影響を受けた女尊男卑の風潮、そしてその余波を受けた極端な差別意識が生まれる国家へと変貌していく可能性も、決してゼロではないのだ。

 勿論それは最悪の想像であり、実際与党が変わってもそこまでの事態にはならないだろう。しかし男は政治家であり、ブリタニアという国を愛する一人の男でもある。祖国に悪い影響を及ぼす可能性が少しでもあるならば、それを懸念するのは当たり前のことだ。

 

 男は新聞を読み終えた後、部屋を訪れた秘書官に命じて車の用意をさせた。元々入っていた用事をこなすためではあったが、今の男の目的は本来のそれから多少変わっている。

 空軍という今のブリタニアの国防を左右する組織を統括する男性との会談は、本来は彼が以前から持ち込んできた案件に関する協議のために設けられたものである。その提案自体は悪いものではなかったし、ブリタニアの国益が損なわれない範囲でなら前向きに検討してやろうと男も考えてはいた。が、現状を考えた場合、その提案をそのまま通してしまうことは不味い。軍事的には正解なのかもしれないが、政治的に見れば間違いだ。

 朝一番で会議の予定を入れるという相手側の意気込みは理解しているし、この提案が通った場合のメリットも理解しているのだが、それでも男はこの提案を蹴るつもりだった。ただし完全にではなく、時期尚早として提案を暫く寝かせる形で。今の男に出来る最低限の譲歩は、その程度のラインに過ぎなかった。

 

 結果としては、その譲歩さえ蹴り飛ばさざるを得なくなったわけだが。

 

「……閣下。急ぎ、お伝えしたいことが」

 

 身支度を終え、今まさに外へ出ようとしていた時のこと。秘書官が真剣な表情でそう耳打ちをしてきたものだから、男は思わず足を止めた。何だ、と視線で促してみると、秘書官は無言で一枚の写真を男に手渡してくる。見ろ、ということなのだろう。訝しみながらも男はその写真に視線を落とすと、その表情は一瞬で無感情なものへと変化した。

 無理はない。これから会おうと思っていた男性が、その写真に写っていれば。その彼がBUFの党首と二人きりで談笑している姿を収めた写真は、男の思考を一瞬停止させるには十分過ぎた。

 

 写真を秘書官に返すと、男は踵を返して自室へと向かった。わざわざ着た上着を脱ぐのも煩わしいのか、身支度をしたままの格好で自室の電話を乱暴に引っ掴むと、電話口に出た交換手を八つ当たり気味に怒鳴りつけながらとある男性へと電話を回させた。

 数十秒ほどの後、目的の男性の声が電話の受話器から聞こえてきた。男が中身のない挨拶もそこそこに本題を切り出すと、相手の男性は嬉しさ半分、喜び半分といった様子の声でそれに答える。男性の返事が前向きであることを確かめた男は、後は直接話すと言い残すと即座に電話を切った。

 

 今、男は自分が薄汚い言葉を吐いていないことを自分で褒めてやりたかった。彼は自分が激情家であることを理解している。血筋は間違いなく貴族の生まれではあるが、性格は英国貴族のそれではないことは自身が理解していたし、周知の事実でもあった。

 内心は怒り狂っていても、とある男性の向けての呪詛と罵倒が脳内に渦巻いていても、それを表に出すことは何とか抑えている。深呼吸を数回、使用人に持ってこさせた水を飲むこと数杯。ようやく冷静さを取り戻した彼は、部屋の外で待機していた秘書官へと視線を向ける。そして出来る限り平坦な声で、何事もないと自分にも言い聞かせるかの如く、彼は命令を口にした。

 

「すまんが、急用だ。朝の予定はキャンセルしてくれたまえ」

 

 その命を聞くが早いか、秘書官は一礼して何処かへと去っていった。おそらく電話で会談のキャンセルを相手方に伝えるのだろう、その際の相手側からの文句の聞き流しと宥め賺しを秘書官に押し付けた男は軽く衣服を整え直して、再び外へと向かった。

 玄関先には既に車が用意されていて、男がそれに乗り込むとすぐに動き出した。行き先は既に運転手に伝えられていたし、彼も行き先は変える必要がないため素直に車に揺られていた。

 

 ロンドンは霧の都とも呼ばれる。石炭を燃やした後の煙や煤が霧に混じって生じるスモッグがよく発生するということもあるし、もっと単純に冬の朝方に霧がよく出るということでもある。ただ今の季節は冬ではなかったし、昨晩雨が降ったせいだろうか、スモッグはすっかり洗い流されてしまったようだった。車の窓から見るロンドンの風景は、今日は一際綺麗に見えていた。

 普段なら感想の一つも抱くかもしれないが、今の男にはロンドンという街が男を皮肉っているようにも感じられてしまう。ここ数年で一番機嫌が悪くなっている彼に、風景を素直に楽しむほどの余裕はない。舌打ちを一つ打ち、目的地へと急ぐように運転手へと伝えた。

 

「――きゃっ!?」

 

 が、それが良くなかったのだろう。男の命令を素直に聞いた運転手はアクセルをさらに踏み込んだが、前を横切ろうとする一人の少女に気が付くのが少し遅れてしまった。

 慌てて運転手がブレーキを踏み抜き、車が急停車する。幸い轢いてしまう前に停車させることができたが、慣性の法則に従って男の体は前へと軽く投げ出されることになる。突然の事態に驚いて怒鳴り声を上げかけた彼は、車の前で尻餅をついている少女の姿を見るとその言葉を飲み込んだ。

 じろり。そんな擬音が聞こえるような視線を運転手に向けて、男は何が起きたのかを簡潔に問い質した。震える声で運転手がありのままを答えると、彼は深い溜息を一つ。未だに運転席で固まっている運転手を横目に、さっさと車から降りて少女の元へと歩み寄る。

 

 その少女は年若く、十代の半ばかそこらの容貌をしていた。両手に抱えていたらしい袋は地面に投げ出され、朝食にするつもりだったのか、中からは幾つものパンが飛び出している。目につくのはそれくらいで、怪我らしい怪我はしていない。轢いてはいないと運転手から聞いてはいたが、それを確かめた男は内心で安堵の息を吐くと、地面に足を投げ出したままの少女に手を差し伸べた。

 

「立てるかね?」

「え? ……あ、はい」

 

 少女は未だに事態を受け止めきれていないのか、驚きの表情を浮かべたままで男の手を掴む。そして男の力を借りて立ち上がると、服に付いた汚れを数度払った。その仕草に痛みを感じさせるものはなく、どうやら本当に無事らしい。怪我はないかと男が念のために尋ねても、少女ははっきりと首を横に振っていた。

 

「すまないね。運転手の不注意だ、あ奴に代わって私が謝ろう」

「い、いえ、別に怪我もしてませんし……。その、周りをよく見てなかったのは、私も同じなので、お気になさらずとも……!」

 

 男が謝罪すると、少女の方も慌てて謝ってきた。男が見る限りそれは演技ではない、本心からのものである。つまり少女は自分が被害者であるにも関わらず男を責めることなく、逆に自分の方にも非があると本気で言ってのけたのだ。何ともお人好しな人間がいるものだと、彼は一瞬心の底からの驚きを覚えた。

 ただ、いくら少女の側がそう言っても、はいそうですかと男側は納得するわけにはいかない。客観的には間違いなく非は男側の方にあり、この事態が表に出るだけならまだしも、被害者側に何の補償もしていないと知られてしまえば男の政治生命に関わる可能性もある。幸い周囲に人影はなく、見た限りでは誰かに見られたということもなさそうだが、念を入れ過ぎて困ることはない。

 しかしそんな事情はおくびにも出さず、男はあくまでも紳士的な態度で以て少女に接した。今までの機嫌の悪さを全くの赤の他人、それも迷惑をかけた人間に対して見せるわけにはいかないと考えられるほどの分別は彼にもある。彼は困ったような表情を浮かべて、少女に対して“お願い”をした。

 

「いやいや、それではこちらの気が収まらんのだ……。よければ詫びをさせてくれないか、お嬢さん」

「詫び、って、いやいやいや。本当に大丈夫ですから……」

「いや、頼む。……君の朝食も台無しにしてしまったようだし、な」

 

 そう言って、男は地べたに転がったままの袋とパンに視線を向ける。あとどれほどの量が袋の中に残っているのかは分からないが、外に放り出されたパンの数を考えればあまり期待できない程度しか残っていないだろう。そのことにようやく気付いたのか、足元の惨状を見た少女は慌ててパンを拾い集めた。

 が、ジャムやバターの代わりに泥が塗られたパンなど誰も食べられないし、食べたくもない。朝食の殆どが駄目になってしまった少女ははっきりと肩を落として、落ち込んだ様子を見せている。

 

「……君。もしよければ、朝食を奢らせてもらうが」

「だ、大丈夫です。私、ウィッチの卵ですから、これくらいでへこたれてちゃ……」

 

 明らかにやせ我慢をしている類の笑みを浮かべて、少女はそう強がった。それを聞いた男は彼女の頑固さを感じ取ると同時に、彼女の言葉の中に出てきたとある単語に反応を見せる。

 ウィッチの、卵。その言葉をそのままに捉えるなら正式にウィッチとして配属される前の学生、すなわちウィッチ養成校の学生ということになる。そういえばロンドン近郊にも一校存在していただろうかと、自分と直接の縁はない情報を男は記憶から攫い出していた。

 思わず先程の事態とその原因を思い出して怒りを再燃させかけたが、男は何とかそれを我慢した。目の前の少女がウィッチの卵ではあっても、先程のそれは彼女にはおそらく関係ない。ここで彼女に当たるのは完全な筋違いだったし、彼もそのような醜態を好んで晒すつもりはなかった。

 

「ウィッチの卵……。ということは、君、訓練生か」

「え……。あ、はい、その通りです。ロンドン近郊の養成校で教育を受けています」

 

 ウィッチの卵は軍人の卵である。男の問いかけに対し、少女は綺麗な直立と敬礼で答えた。ロンドンのウィッチ養成校が、一部の声だけは大きい人々達が唱えている空論――組織的・戦術的なウィッチの偏重主義、それによる旧来の軍人教育を軽視する意見に惑わされるようなこともなく、ちゃんと軍人としての基本も叩き込んでいることが見て取れる姿である。

 男は、政治家になる前は軍人だった。幾つかの戦争に従軍して活躍も挙げた彼にとって、少女のその姿は好ましいものであり、彼の機嫌を少しだけ直すことにも繋がった。彼の持論では、ウィッチはウィッチである前に軍人なのだ。

 

 それから話を交わしていくと、どうやら少女は一日の休暇を貰ったようで、ロンドン生まれだったこともあって朝から街にやって来ていたらしい。子供の頃によく食べていたパンの味が懐かしくなってパン屋で幾つかのパンを購入し、ほくほく顔で近くの公園へと向かっていた所で男の車に轢かれそうになった、ということだった。

 それに関しては本当に気にしていないらしく、頑なに詫びを受け取ろうとしない少女に対して男が何とか朝食の奢りと困った時には相談を受け付けることを認めさせた、という傍から見れば何とも不可思議な結論に至っていた。本人達がそれで納得していることとはいえ、その話を誰かが聞けば何とも言い難い表情をするに違いない。とは言っても少女にこの話を広める意思はなく、男に自分の醜聞にもなる話を広めるつもりなどないのだから、その仮定は然程意味のないものではあろうが。

 

 男が先程先方と約束した時間までには、まだ幾らかの余裕が残されていた。流石に食事に付き合うだけの時間はないが、少女を店に送っていくだけの余裕はある。パンを買ったという店がこの近くだったこともあり、彼はその店へと彼女を連れていった。

 送る間に交わした会話は、男にとっては久しぶりに純粋に楽しめるものだった。政治の要素のない、発言の裏を読む必要のない会話は本当に気楽なもので、年が半世紀近く離れている少女の相手はある種の新鮮さもあった。

 そして何より、少女はウィッチである。あくまでも遠まわしにではあるが、現状の政治や戦況についてを尋ねた男はウィッチの視点での話を聞くことができた。現場の声を知ることは絶対不可欠ではないが、重要なことである。好々爺とした笑みを浮かべる裏で、彼は幾つもの情報を整理していた。

 

 一方、少女も会話の裏であることを考えていた。別に大したことではない。ただ少し、男の顔に見覚えがあるような――そんなちょっとした既視感が、先程から彼女の脳裏に浮かんだままなのが原因である。

 顔見知りではなかった。少女が通うウィッチ養成校は全寮制であり、その中では男性との接触は殆どない。養成校に通う前に眼前の男と親交があった記憶もなく、彼女は内心で首を捻るばかりだった。

 

 数分後。無事に店へと少女を送り届けた男は、連絡先を書いたメモとパンの代金を渡すとすぐに何処かへと向かっていった。その行き先は彼女は知らないし、あまり興味もない。

 先程潜ったばかりの扉を再び開くと、少女は店へと入っていって。

 

「……あれ?」

 

 ふと、店の主人が読んでいた新聞に目を奪われた。

 それは何の変哲もない新聞であり、目についた記事の内容もそこまで驚くべきものではない。少女が驚いたのは新聞の一面、そのメイン記事によって隅に追いやられたとある記事の写真に写る人物である。

 ブルドックを思い起こさせる風貌をした人間が、議会で演説をしている写真。普段なら軽くスルーしてしまうような政治の一幕を写した写真は、今の少女にとっては衝撃的な事実を告げていた。

 記事の見出しは『政府、追加予算案を提出』。写真の人間は政府の首班であり、今代のブリタニア連邦首相の座に座っている男だった。

 

 

 

 

 

 今まで自分と話していた人間が、いったい誰であったのかを知って。リネット・ビショップは、その場で思わず腰を抜かした。

 

 

 




Q.もし筋力全振りにしていたら……?

A.ここに金属でできた棒があるじゃろ? これをな、こうじゃ(グニャッ

Q.強化人間ルートはよ

A.ネウロイに対抗するための超人兵士計画に参加した主人公。戦争後はコールドスリープ状態になり、眠りから覚めた主人公はキャプテン・カールスラントとして現代に蔓延る悪を倒していく……。なおそんなルートはない模様

Q.フィンランドの某スナイパーの出番を

A.(今のところは)ないです

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