幻想に生きる魔法少女   作:紅風車

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天の矢は全を還す

封印を解放しきった私は伝説上の生き物へ姿を変えた。

大昔、日本独自の妖怪と呼ばれし大狐『九尾』へと。

少しだけ高くなった背でも後ろの尻尾の大きさには負けちゃう。

 

「・・・ん」

 

プレシアの周りにはジュエルシードが幾つか回っており、私の目の前には培養ポットに入ったアリシアの姿。

 

「・・・プレシアさん、アリシアはどうして・・・こうなったのですか」

 

「・・・私は元々管理局の開発部だったの。その時に開発していたのは稼動炉の縮小化。だけれど失敗してしまったわ・・・その失敗で稼動炉は暴走して開発部を中心にかなりの範囲に暴走した魔力が放出されたわ」

 

「・・・魔力・・・」

 

魔力というのは魔術師にとっての力でもあり命。

魔導師達はリンカーコアという物から生み出すと聞いた。

この世界の魔力の性質はわからないけれど予想としては・・・。

暴走した魔力によってアリシアのリンカーコアに何らかの異変が起きて今の状態になったのでしょうね。

ならば、アリシア自身に解析魔術をかければ何か分かるはず。

 

解析開始(トレース・オン)

 

ポットごしだけれどアリシアの全ての解析結果が私の脳内に送られる。

下半身の異常・・・無し。

ならば・・・上半身の特に心臓辺りにあるリンカーコアを重点的に。

するとリンカーコアに纏わり付く異質な魔力があった。

 

「・・・これが・・・原因?」

 

当時の暴走した魔力の性質が分かれば良かったのだけれど無いものを願っても仕方ない。

さすがに魔力の解析までは出来なかったけれど、やることは分かった。

 

「・・・プレシアさん、アリシアを助ける方法・・・分かりました」

 

「それは・・・確実かしら?」

 

「はい、確実に」

 

「どんな方法かしら」

 

「・・・私の魔術で、アリシアのリンカーコア自体に手を加えます、アリシアはリンカーコアからの魔力供給が無くなった事によって仮死状態近いのでしょう」

 

魔導師にとって魔力は無ければ普通に死ぬらしい。

だがアリシアの場合はリンカーコアは生きているが身体に魔力を供給出来ていない。

ならばそれを解消すれば良い。

 

「・・・分かったわ、あなたを信じる。だから・・・アリシアをお願いします」

 

「はい、お願いされましたっ!」

 

プレシアの許可も貰ったので、アリシアをポットから取り出しましょう。

横に寝かせて私はアリシアの右胸に手を当てる。

 

「・・・・・・I am fantasy is Staying(我が幻想はここに在りて)

 

いつもの呪文を唱えると私の魔力をアリシアへと送り込む。

一気に送り込まずにほんの少しずつ、ゆっくりと。

 

「・・・」

 

魔力を操作してアリシアのリンカーコアへと移動させていく。

本来なら他人の魔力は拒絶反応を起こすけれど、私の魔力性質は能力によって自由に変化できる。

今は私の性質とアリシアの性質が混じっているから拒絶反応が起こらない。

 

「・・・見つけた」

 

リンカーコアに纏わり付く魔力に私の魔力をぶつける。

どうやらアリシアのリンカーコア自体に干渉しているのか、いくらたっても消える気配が無い。

 

「・・・リンカーコア自体が変化した?」

 

実際にリンカーコア自体を解析かけるしか・・・無いかな。

なら、リンカーコアを露出させないと。

置換魔術でリンカーコアを空気と置換・・・空間魔術で魔力との繋がりを作って・・・っと。

 

「リンカーコア・・・これは・・・」

 

アリシアを元に作られたフェイトのリンカーコアは黄色。

それは魔力変換資質が電気によるものだったから。

でも今のアリシアのリンカーコアは・・・どす黒い色。

恐らく暴走した魔力によって変化させられたのでしょうね・・・。

 

「・・・これは・・・アリシアの・・・?」

 

「ええ・・・」

 

「・・・」

 

プレシアは信じられないといった表情。

そうよね・・・自分の娘のリンカーコアが変わっているんだもの。

 

「・・・これは・・・もう・・・無理よ」

 

 

「ここまで変化していると・・・元には戻らないわ」

 

私はリンカーコアを深く理解はしていない。

だけれどやってみるだけの賭けはある。

 

「私の魔力をリンカーコアに直接ぶつけてみますか・・・?」

 

「・・・」

 

「・・・無言は肯定と受け取りますよ」

 

プレシアは何もいわず、アリシアの手を握る。

何もいわず、動かないのは私を信じているからなのかな。

私は・・・信じよう。

アリシアとプレシアを。

私の魔力をアリシアのリンカーコアにぶつける。

具現化された魔力がリンカーコアにぶつかった瞬間、大量の魔力がリンカーコアから溢れ出す。

まるで触るなと言うような感じで。

 

「ぐっ・・・」

 

完全に封印解放をしていないのがあだになったけど・・・もうやり切るしかない。

アリシアを信じるって決めたから、私は何があっても助ける。

すると私の魔力がリンカーコアへと浸透していく。

私のリンカーコアは虹色だからか、アリシアのリンカーコアの黒色が虹色にどんどん食われていく。

 

「・・・アリシア。怖くないよ、安心して、絶対に助けるから」

 

当てている右手は無理だけれど左手でアリシアの右手を握る。

伝わって無いはずなのに、溢れ出していた魔力はそのまま鳴りを潜めて少しずつ消えていく。

それにしたがってアリシアのリンカーコアも虹色一色へと変わる。

 

「・・・解析開始(トレース・オン)

 

リンカーコアの魔力は少しずつだけれどアリシアの身体に回っていく。

すると握っていた手に少しだけ握り返された。

そんな気がした。

 

「・・・プレシアさん、もう・・・大丈夫ですよ」

 

置換魔術を使って露出させていたリンカーコアを元に戻す。

だけど魔力の供給線が使い物になっていなかったから、急造だけど新しく作り直す。

 

「・・・ありがとう」

 

「私はただ、助けたかった命があったから。それだけですよ」

 

「それでも貴女はすごいことを成し遂げたわ、そして返しきれない恩が出来てしまったもの」

 

「そんなのどうでもいいです・・・表には管理局がいます。説明はしますから後はお願いしますね」

 

管理局に説明する前にアリシアが裸のままなので、投影で暖かい毛布を投影する。

能力で長時間持つようにしてあるから後はプレシア任せ。

その場を後にしようと立とうとするとアリシアの手が私の手を離さないようにしてくる。

 

「・・・お母さんがいますから。私なんて気にしなくて良いですよ」

 

だけれど手を離そうとしてくれない。

力業で話しても良かったけれど・・・それはそれで・・・。

 

「・・・プレシアさん、この子私が連れて行っても良いですか?・・・その・・・手を離してくれなくて・・・」

 

「・・・ええ。私も一緒に行くわ」

 

そういい、私たちは立ち上がろうとすると忘れていたことがあった。

それはジュエルシード。

実際は魔力の結晶体のような物でかなりの保有量があった。

そしてさっき魔力同士のぶつかり合いがあった。

触発されないわけがない。

ジュエルシードの個数は5つ。

少ないけれどそれでもプレシアを余裕で上回る魔力。

 

「っ!プレシアさん、アリシアを抱いて逃げて!」

 

「え、ええ!あなたは!?」

 

「・・・すぐにそっちにいきますから!早く!」

 

これで良い。

この暴れ狂った魔力によって私は成す術もなく死んだ。

そういうことにすれば・・・この関わりは全て消える。

 

「・・・案外楽しかったですね」

 

ーーー君はそれで良いのか。

 

「・・・ええ」

 

ーーー後悔が無いのだな。

 

「残さないように、作らないようにしましたから」

 

ーーーならば、君がこの世界で関わった彼女達はどうする。

 

「・・・忘れてくれますよ。私はその程度ですから」

 

《・・・ぉ・・・ねぇ・・・ちゃ・・・ん・・・》

 

ーーーほら、呼ばれているぞ。

 

「・・・」

 

《・・・ど・・・こ・・・に・・・ぃる・・・の・・・》

 

「アリシア・・・」

 

ーーー行ってこい、俺のように後悔だけはするな。

 

「・・・そうですね。あなたの前で後悔はするべきではなかった」

 

 

 

I am fantasy is Staying(我が幻想はここに在りて)

 

みんなのところへ行く前にこれを何とかしましょう。

 

投影開始(トレース・オン)

 

投影するは数刻前に穿った私の愛用する弓。

和弓と光の矢を投影すると暴走するジュエルシードに向かって弦を構える。

私が誇る最強の攻撃。

幻想結界以上の全てを光へと還す開闢の一射。

 

I am fantasy is Staying(我が夢想は捻れ穿つ)

 

呪文を唱えると一気に私の周囲は神秘が満ちる。

そして私から溢れ出た魔力は荒れ狂いながらもその場を動かない。

 

「私の全力、受けなさい!・・・開闢を穿つ天命の矢(ディア・ロー・ホーゲン)!》

 

真名解放をすると荒れ狂った魔力は全て光の矢へと集まる。

そして狙いを定めて弦を引くと光の矢は一直線にジュエルシードへと放たれる。

 

「・・・壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 

ジュエルシードの中心部で矢に秘められた神秘は一気に放出され、空間そのものを食らいつくした。

ジュエルシードの魔力が小さく見えるほどの膨大な魔力は少しするとその場に留まった。

 

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

久々にあんな本気をだしたからか、かなり疲れた・・・。

 

「う・・・ごほ・・・」

 

あんな規格外を中途半端な封印解放で放ったからか、身体への反動で吐血・・・しちゃった。

 

「・・・少し・・・だけ・・・」

 

もう動けないや。

少しだけ・・・寝させて・・・。

もう目の前が掠れて・・・見えないや。

 

「・・・ぁ・・・ぅ・・・」

 

 

 

「陽華!どこにいるんだ!」

 

「クロノ君はあっちを!私は向こうを見てみる!」

 

「ああ!」

 

「私は・・・母さんの所を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん・・・ぁ・・・」

 

眩しい・・・。

 

「・・・ぁ・・・ぅ・・・」

 

ここは・・・病院?

確か・・・ジュエルシードを消し去ろうとして・・・。

 

「・・・解析開始(トレース・オン)

 

私の身体は・・・何も異常無しかな。

あの時感じた魔力の核はリンカーコア・・・魔術回路と接続しちゃおう。

 

「・・・生きてた・・・か・・・」

 

静か・・・ですね。

 

「あら、人に心配かけまくったのに随分と余裕そうね?」

 

「・・・ぇ?」

 

声がした隣を見ると。

黒い髪で、綺麗で大きな瞳。

その後ろには白髪の少年。

私が信じた人達であり、大切な人。

 

「・・・どうして・・・」

 

もう会えないと思ってたのに。

どうやって・・・。

 

「とりあえず・・・久しぶりね、陽華」

 

「・・・は・・・ぃ・・・」

 

 

 




最後の人達、誰でしょうね?
私には分かりませんね(すっとぼけ)
ということで一応、一期のお話は終わりです。
次からは後日談的な感じです。

開闢を穿つ天命の矢(ディア・ロー・ホーゲン)はいつもの自作宝具です。
こちらは対界・対人宝具ですね。
威力は熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)が余裕でパリンと割れます。
詳しい設定は、陽華の設定集に乗っける予定です。
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