幻想に生きる魔法少女   作:紅風車

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家族

あの夫婦が去ってから数日。

私の体はようやく本調子といった感じで、五感も正常に機能している。

しかし詳細な情報はわからないのである魔術を使った。

 

解析開始(トレース・オン)

 

解析魔術を自分の体に使うとどんな感じなのか簡単にだが理解は出来る。

最も彼のような解析をかけようとするには私自身の封印を外さないとダメだけれどね。

あんなのやってたら常人じゃ頭が処理しきれなくてパンクするわ。

軽く解析をかけると身体にはどこも異常はなかった。

精神は・・・いつも通り。

だけど体の中心辺りに小さな核があった。

そこを詳しい解析をかけると大量の魔力の塊だと分かる。

恐らく・・・この世界での魔術的なものを行使するためかな。

一応念のため能力で魔力遮断をして漏れないようにしとこうかな。

 

解析終了(トレース・オフ)

 

解析を終えると魔術回路も一旦閉じておく。

常に開いておいても疲れちゃうだけだからね。

 

「んん~・・・」

 

軽く体を起こして背を伸ばす。

数日も動いていなかったからか動かすと固まっていた筋肉が動かされてちょっと痛い。

私が背を伸ばしていると扉が叩かれる音がした。

恐らくあの夫婦だろうと思うが、確証はないので返事は出さなかった。

 

「失礼するよ」

 

先頭には私を助けてくれた高町士郎さん、それに続いて桃子さんと入ってくる。

見慣れない三人も恐らくこの人の子供なのだろう。

 

「もう大丈夫なのかい?」

 

「・・・はい」

 

「改めて自己紹介しとこう。僕は高町士郎だよ」

 

「士郎さんの妻の桃子です」

 

「恭夜だ」

 

「美由希です。よろしくね」

 

「・・・よろしく・・・です」

 

名前を聞かされていくと、主に恭夜さんと美由希さんからは警戒する感じが伺えた。

また二人の後ろから小さながら一人の気配を感じる。

 

「・・・警戒、されてるんですね」

 

「「!?」」

 

まさか私みたいに幼い少女に警戒していることがばれたのか驚嘆している。

私も士郎さんと桃子さんには何も思わないけど二人には少なからず警戒をしてしまう。

 

「・・・別に、元より死に体の私ならすぐ倒せるでしょう・・・抵抗するだけ無駄ですし」

 

そう、抵抗するだけ無駄なのだ。

もしここで抵抗すればこの人達には他人であろうと助けてもらったのに仇で返しかねない。

それに無理に生を伸ばしたところで限界は来る。

ならば抵抗なぞするだけお互い無駄になるのだ。

 

「・・・それで・・・何の用ですか」

 

「あ、ああ・・・君の事を聞きたいんだ」

 

「私のこと・・・ですか」

 

「路地裏にボロボロで怪我をしていた君は普通に考えて異常だったんだ。それが気になってね」

 

「・・・聞きたいなら、そういう場を設けるべきでは?」

 

私の言葉を察したのか、桃子さんは席を立つと小さい気配の子と一緒に病室を出ていった。

 

「・・・これで良いかい?」

 

「・・・・・・はい」

 

そこから私は何故あのような状態だったのかを言った。

普通に考えれば平行世界など信じるものはいない。

だけどこの人達は親身になって聞いてくれた。

私が言うのを渋れば聞かなかったし、ある程度隠しはした。

 

「・・・以上です。これ以上は・・・言えません」

 

「うん・・・ありがとう」

 

私は言っていく内に涙を流しはしなかった。

感情・・・というものがあの時に欠落してしまったのかもしれない。

いや感情はある、だがそれを表情には出ない。

 

「・・・名前、言ってませんね。遠明寺・・・陽華です」

 

「陽華ちゃんか・・・ご家族は?」

 

「両親共に生まれたときからいません・・・唯一妹がいましたが、失踪しました」

 

「・・・そう・・・か・・・」

 

美由希さんは恭夜さんに隠れて泣いていた。

私には何とも思わなかった。

それが私が歩んできた人生で、死に物狂いで辿ってきたから。

だけど士郎さんは何か考えているようだった。

 

「陽華ちゃん。もしよければ僕達の家に・・・来るかい?」

 

「・・・それは、一緒に住め・・・と?」

 

まさかあの話を聞いてこんなことになるとは思わなかった。

確かに私は親はいないし、家族はいない。

なのに士郎さんの提案には驚くしかない。

 

「・・・出来ればで良いんだ。でも君の話を聞いて尚更・・・」

 

「・・・はぁ」

 

私はまだ信じたい気持ちがあるのかな。

人を嫌って避けてたくせに。

 

「・・・士郎さん。リボン・・・ありますか」

 

「リボン・・・?・・・あぁ、持っているよ」

 

士郎さんはポケットからリボンを取り出して渡してくれた。

このリボンは・・・夜々の使っていたお気に入りのリボン。

すごく長くて使い方がわからなかったけれど、今となっては分かる。

手慣れた手つきで私は自分の長い白銀の髪を括ると士郎さん・・・いや高町家の皆さんに向かって言う。

 

「・・・そんなことを言うからには・・・色々しないといけませんよ?」

 

「大丈夫だよ。桃子達も受け入れてくれる」

 

それに賛同して恭夜さんと美由希さんは頷く。

 

「・・・それじゃあ・・・お、お世話になります・・・」

 

「ああ」

 

「よろしくね・・・!陽華ちゃん」

 

「もう独りじゃない。俺達を頼ってくれ」

 

士郎さんに抱き着かれると同時に恭夜さんと美由希さんも抱き着く。

少し苦しいけど、凄く安心した。

 

 

 

凜、士郎、大師父に夜々。

私はこの家族を信じてみようと思います。

いつか私のことが話せるように。

 

 

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