病院で入院していた私は、自然治癒能力を上げていたおかげかすぐに退院ができた。
先生は結構驚いていたけど・・・何とか押し切る。
「あの・・・本当に良いんですか?」
「ん・・・なにがだい?」
「いえ・・・」
「陽華ちゃん。あなたがどんな過去を持っていようと私達はそれを受け入れるわ。最初は私も聞かされて驚いたけれど聞けばずっと独りだったのでしょう?」
「っ・・・はい」
「子供が独りなんて駄目よ。すぐに信じてほしいとは言わないけどね」
「分かってます・・・」
今この場にいるのは私と士郎さん、桃子さん。
美由希さん達はお仕事でいないらしいけれど・・・何となく私の勘が警報を鳴らしてる。
「さて、ここが僕達が営んでる喫茶店だよ」
士郎さんが誇らしげに言うそれは商店街にある喫茶店。
看板には翠屋と書かれている。
「えっと・・・」
「中に入ってから話そうか。僕達も用があるからね」
「は、はい」
士郎さんに言われ扉を引くと喫茶店らしい内装だった。
だけど微かに甘い匂いがして私のお腹が鳴ってしまう。
「・・・」
「桃子・・・良いかい?」
「ええ、待っててちょうだい」
「陽華ちゃん、ここに座っててね。すぐに持ってくるわ」
「え・・・え・・・」
私のお腹の音に気付かれて恥ずかしいと思うが、それよりも独りにまたされたことに少し不安になる。
いくら士郎さん達の喫茶店とはいえ、ここは普通の人も入ってくる。
私の容姿は日本とはかけはなれているから目立つ。
すると奥の部屋から女の子が私のところに来た。
「こ、こんにちわ・・・」
「・・・こんにちわ」
「あ、あの・・・私・・・高町なのはって言います・・・」
高町という名字がいくつも存在はしない。
それが密集となれば尚更なので、恐らく病室に来ていた小さな気配の持ち主がこの子なのだろう。
初対面で日本人ではないからか緊張している感じが見て取れる。
「・・・なのは・・・うん、覚えました」
私は出来るかぎりの笑顔を浮かべてこの子に言う。
「私は、遠明寺陽華・・・その、よろしく?」
「・・・ぷぷ」
最後が変に声が上がってしまい、笑われた。
自分も締まらない感じで恥ずかしい。
「ご、ごめんなさい、笑っちゃって・・・」
「・・・敬語・・・じゃなくていいですよ。それと・・・なのはと呼び捨てにしても・・・良いですか?」
「う、うん!私も陽華って呼ぶね!」
「・・・うん」
なのはに敬語を使うなと言ってしまったため、私もタメ口で喋ることにする。
私は年齢としてはなのはと同じぐらいだと分かる。
同年代の子は無意識に警戒をせずに話せるから。
「は~い、出来たよ」
なのはと話しているとカウンターの奥から桃子さんがケーキを二つもって出てきた。
「陽華ちゃん、甘いもの食べれる?」
「はい、食べれますよ」
「良かったわ、なのはも仲良く出来たみたいだし」
「にゃはは・・・」
「はいどうぞ、翠屋のオススメケーキよ」
「あ、ありがとうございます・・・」
「美味しいんだよ、お母さんが作ったケーキ」
「そなの・・・?じゃ、じゃあ・・・」
なのはも美味しいと言うため恐る恐るケーキを一口。
「んぐ・・・美味しい・・・」
「でしょ?」
「うん・・・」
久々に甘いものを食べたからか、どんどん手は進む。
それに程よい甘さで食べやすい。
「・・・ごちそうさまでした」
「はやっ」
「良かったわぁ・・・食べれなかったら困ったかも」
「そうなんですか・・・?」
「ええ、陽華ちゃんはなのはと同じぐらいでしょ?同じ歳の子がいれば安心するでしょうし」
「そう・・・ですね。なのははなんか・・・凄く話しやすいです」
「あら・・・呼び捨てなんて、なのはも頑張ったわね」
「そ、そお?」
「ええ。私達は堅苦しさがあったのよ?でも今は和らいだ感じね」
「う・・・ごめんなさい。最初は警戒しちゃうので・・・」
「大丈夫よ。これから一緒に住むんだから」
「えっ?」
まさか桃子さん、なのはに言ってないのかな。
それだと驚かれるんじゃあ・・・
「今日から陽華ちゃんも家に住むのよ」
「そ、そうなの?」
「うん・・・色々あって、住まわせてもらうことになったんだ」
「そっかぁ・・・ふへへぇ・・・」
「な、なのは」
何を考えているのか知らないのか分からないけれど何だかなのはから嫌な予感が・・・。
でも・・・拒絶されてない・・・よね?
なら良かった・・・。
「なのは、よろしくね」
「うん!よろしくね、陽華!」
こうして私は初めて同年代の友達・・・という名の家族も出来た。
今度は何があるのかな?