幻想に生きる魔法少女   作:紅風車

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吸血鬼の夜

いつから私は自分を人形だと思うようになったのだろう。

人に必要とされず、人から敬遠され、疎まれた私。

 

死にたい。

 

そういう感情が幼い頃に芽生えたのも必然だったのかもしれない。

私の身に宿る忌ま忌ましい能力。

魔術師ですら普通の者も持ち得ない特異能力。

【自分の想像を具現化する】というこの力さえ無ければ私は普通の子として生きれたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、冬木の町で大火災が起きた。

殆どの者が焼け死に、私も消えた夜々を探している途中に巻き込まれた。

その時感じたことはただ一つ。

 

やっと・・・やっと・・・死ねるのだと。

 

だけど私の能力は私の意志に反して能力を使い、生きながらえさせた。

でも・・・あの時助けてくれた人。

衛宮切嗣。

彼はあの大火災の中から私とは別にもう一人男の子を助けていた。

それが心底嬉しそうで。

 

「僕はね、正義の・・・味方になりたかったんだ」

 

切嗣の家で住まわせてもらっていた、ある日の夜。

私と少年・・・士郎に言った。

なりたかった。

もう自分にはなれないという言葉を理解したのか、士郎が言葉を発した。

 

「なら俺がなってやる」

 

 

「じーさんの夢は俺がしっかり叶えるからさ」

 

士郎の言葉に助けられたような切嗣の表情は今でも忘れない。

あれが3人で話した最後の日だったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・!」

 

酷く懐かしい夢を見た。

あの世界の時の事・・・か。

もう思い残す事はないと思ってたのにな。

 

「・・・ここ・・・は」

 

とりあえず今の状況を見ようと辺りを見渡すが、見たことの無い景色。

だけどお洒落な家具で、高価そうな所からお嬢様のような屋敷かな。

すると扉が数回ノックされ、ドアが開いた。

 

「失礼致します」

 

 

「お身体は大丈夫でございましょうか」

 

「・・・はい」

 

見た感じ老いた執事だけど、動きに隙が無い。

かなりの手慣れだと分かる。

 

「ご紹介が遅れました、私は月村家に仕える加賀山と申します」

 

 

「お嬢様方が起きたら連れて来るよう言われておりますので」

 

「・・・わかりました」

 

加賀山さんに言われ、私はベッドから出ると部屋を出て加賀山さんに手をひかれる。

 

「・・・えっと」

 

「目が見えておりませんな?」

 

「・・・」

 

何故。

恭夜さん達に気付かれなかったのに何故この人は分かったのだろう。

 

「・・・秘密ですよ。すぐに見えるようになりますから」

 

能力で身体能力・・・視力の回復。

・・・よし、もう見える。

 

「・・・ほら。もう見えます」

 

「すすかお嬢様は貴女様を心配しておられます。このことは他言しませぬがいずれは」

 

「・・・ありがとうございます」

 

「いえ・・・それではお部屋にご案内致します」

 

加賀山さんにばれるのは予想外だったけれど・・・このことはまだ言いたくない。

とりあえず今まで通り、いつもみたいにしていれば加賀山さんでもばれはしない。

 

「お嬢様、入ってもよろしいでしょうか」

 

「入りなさい」

 

加賀山さんがドアを開けると中にはすずかさん、忍さん、恭夜さんが座っていた。

 

「えっと、陽華ちゃんだったわね。大丈夫?」

 

「はい、もう大丈夫です」

 

「そう・・・じゃあ、本題に入っていいかしら?」

 

「・・・どうぞ」

 

本題というのは恐らくあの黒服。

誘拐にしては、随分と大雑把な感じだったけれど。

 

「・・・陽華ちゃんの事は・・・言いたくないのよね?」

 

「・・・そう、ですね。まだ話したくない・・・です」

 

「そう・・・なら、今回のことは他言無用。良い?」

 

「はい」

 

「まず・・・唐突なのだけれどね。吸血鬼って信じる?」

 

「・・・吸血鬼・・・ですか」

 

吸血鬼という単語を出して来る辺り、月村家は吸血鬼の家系だと察する。

だが私が知る吸血鬼といえば・・・脳天気な猫っぽい金髪吸血鬼や、串刺し公が頭をよぎる。

全く、長生きも良いものじゃない・・・ね。

まだ私チビだし、実年齢分からないぐらいだし。

 

「私が知る吸血鬼は・・・血を吸った者を眷属にする・・・ぐらいですね」

 

言い方としてはあれだが、血を吸った者・・・屍食鬼(グール)とかが当てはまるから大丈夫でしょう。

 

「う~ん・・・ちょっと違うけれど血を吸うのは合っているわね。私は『夜の一族』って言われるの。すずかは・・・受け継いだから同じね」

 

「そうですか・・・」

 

「・・・何も思わないの?」

 

「別に・・・偏見したりはないですよ・・・友人に吸血鬼がいますので」

 

その言葉に全員が興味を持ち出す。

まぁ吸血鬼なんてこの二人ぐらいだからだろうね。

 

「・・・いつか紹介できたらします。それまで・・・」

 

「分かった。だが・・・陽華、君は本当に」

 

「良いんです、人並みの生活が少しでも出来ればそれ以上は望みませんから」

 

これは紛れも無い真実。

忌み子の私が幸せになるわけにはいかない。

だから普通の生活が少しでも出来れば私はそれで満足。

 

「あの・・・よ、陽華さ・・・ちゃん!」

 

「・・・はい?」

 

「私と・・・友達になってください!」

 

「へっ?」

 

すごいいきなりでびっくり。

でも・・・友達・・・か。

すずかはこの秘密を他の子には言ってない。

だからこそ私とも友達になっておきたいのかな。

 

「恭夜さん、帰りましょうか。お腹すきました」

 

「あ、ああ・・・」

 

「・・・ぅ・・・」

 

「・・・学校案内・・・してくれる?」

 

「・・・!うん!」

 

「それでは忍さん、また。すずかもまたね」

 

なんだか自然に笑えてる・・・のかな。

すずかが笑ってくれてる。

なら・・・よかった。

 

「陽華、ご飯作れるか?」

 

「ご飯・・・ですか。人並みには作れますが・・・」

 

「時々で良い。母さんを手伝ってやってくれないか?」

 

「ふふ、良いですよ」

 

私はこんな会話だけでもうれしい。

あの世界では出来なかった事だから・・・

 

 

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