幼馴染転生 - ルディと一緒に本気だす -   作:文頼

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第十二話「未来」

 ルディはグルグルに縛られて馬車に乗せられていった。

 

 隣ではゼニスとリーリャが芝居がかった口調でルディを見送っている。

 私は物語に一段落がついてほっとした。

 これで多少原作に縛られずに行動できるだろう。

 まあだからといって、何か行動が変わるわけでもないのだが。

 

 私は背中に背負っている魔力壁を感じながら安堵する。

 はあ、何とか外部魔力を誤魔化すことができた。

 ギレーヌと会ったが、特に何も言われることはなかった。

 私の勝利だ。

 

 魔力結晶ゴロゴロ事件から数日が経った頃。

 

 私は魔力壁ならぬ、魔力結界を作成していた。

 

 性能としては単純で、魔力を遮断するというものだ。

 魔力壁を二年前から制御している私なので、超強度の結界が生成できた。

 その結界内に外部魔力をぶち込み、圧縮し、背中に背負った。

 たったそれだけで、ブラックボックスを背中に背負った普通の少女の完成だ。

 どんな難題も、解決策が思い浮かべば何とかなるものだ。

 

 私は魔力が回復したそばから背中を通して結界に押し込んでいる。

 ギレーヌからは、魔術師を目指しているには魔力が少なすぎる少女に見えただろう。

 外部に魔力を漂わせているわけではなくなったので、魔術のゼロ秒生成はできない。

 まあ戦闘になったら結界を解放するので、何の問題も無いか。

 

 

---

 

 

 ルディが居なくなって半年経った。

 

 シルフィは一人で健気に頑張っている。

 たまに私に泣き言を言ってきたりもするが、少しずつ自分で前に進んでいる。

 しっかりと地に足をつけ、自分の脚で歩き始めたのだ。

 

 そろそろ私も、前に進む時が来たのかもしれない。

 

 前にもいったが、私は原作を最後まで読んでいない。

 更に十数年も前に読んだっきりだ。

 これからもどんどん忘れていってしまうだろう。

 そんな状態では、人神には勝てない。

 

 そこで私は、占命魔術という魔術に目をつけた。

 この魔術は本来、魔法陣を使い適当な未来を見る魔術だ。

 だが現在では廃れて使われなくなってきている。

 狙った未来を見る事ができないのが原因なのだろう。

 しかし、それでも未来を見る事ができる凄いものだ。

 

 私は魔法陣を使わなくてもこの魔術を行使することができる。

 転移魔術を行使できる私ができない筈が無いのだ。

 

 早速私はイメージで魔術を構成し、念のために二秒後には強制的に魔力に戻る様にしておく。

 

 

 

 ――そして脳裏に映った未来。

 

 飲んだくれた大人のルディが、酒場で突っ伏している未来。

 血だらけのシルフィが、物言わぬ骸となって横たわっている未来。

 

 二秒が経ち、魔術が強制終了する。

 

 想像にもしていなかった残酷な未来に、呼吸が浅くなる。

 親しい友達の悲惨な未来を、心の準備無しに見たのだ。

 そうなるのを誰が責められよう。

 

 どういうことだ。

 私が居るというのにこの惨状は、未来の私は何をしていた?

 こんな結果、私の知っている物語にあったか?

 ルディはハッピーエンドで人生を終えたはずだ。

 間違ってもシルフィが殺されるなんて事態は原作では起きていない。

 

 ――分かった。

 

 老デウスが未来からくるという未来を、この魔術は教えてくれないのだ。

 それとも、老デウスが来ない世界なのかもしれない。

 ……そうでないことを祈ろう。

 もしそうだとしたら、私が老デウスの代わりをしなければならない。

 しかし、あんなに上手くルディに助言できるわけがない。

 あれはあくまで未来の自分だったからこそ、あそこまで上手く事が運んだのだ。

 私が助言しても全てその通りにしてくれるとは思えない。

 

 もし老デウスが来ない世界なのだとしたら、無理にでも召喚してやろう。

 私の力なら、そのくらいできるはずだ。

 いや、そのくらいして見せる。

 

 視えた未来についてはこのくらいにして置き。

 この占命魔術を上手く戦闘や未来に役立てる方法に役立てられるようにしなければ。

 キシリカと会えて未来視を貰えれば戦闘は楽になるのだが……。

 彼女は決まった場所には居ないし、仕方がないか。

 

 取り敢えず十歳になるまでにこの魔術で常時未来が視えるくらいにはしておこう。

 ……転移事件が起きたら、迷宮にとんでゼニスの記憶が消えてしまう。

 記憶が消えないように結界を張ってしまおうか。

 パウロが死んでしまうのもどうにかしないといけない。

 でも、どうにかしたら原作崩壊だ。

 

 いやでも、人神はロキシーとルディは必ず結ばれる運命にあると言っていた。

 ならばパウロが死ななくてもルディはその内ロキシーと結ばれるだろう。

 

 だが、それをしたら人神は私の存在を知ってしまう。

 魔力壁のせいで夢に呼べないのを知ったら、邪魔者として消そうとするだろう。

 消せるものなら消してみろと言いたい所だが、周りに被害が及ぶと考えるとそれも難しい。

 

 そうだ、オルステッドに会いに行こう。

 彼はループしていると記憶している、私の事は知っているだろうか。

 いや知っていたら私が居て、その上で人神に勝てなかったってことだ。

 初見であることを願おう。

 

 でも、オルステッドは何処に居るんだろうか。

 キシリカと同じで会う手段がない。

 転移事件の時にナナホシを迎えにオルステッドはロアの町に来る。

 だが私もその事件の被害を抑える為に巻き込まれる必要があるのだ。

 何処に飛ばされるか分からないが、その時にオルステッドとは会えない。

 

 ……占命魔術でオルステッドが何処かに居る未来が視られるように鍛錬するしかない、か。

 

 私は三年後に向けて、占命魔術の鍛錬を鍛錬内容に加えるのだった。

 

 

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