幼馴染転生 - ルディと一緒に本気だす -   作:文頼

15 / 24
第十四話「転移」

 十歳になった。

 

 占命魔術の鍛錬は最初の一年で終わり、現在は相手の魔術を誘導・無効化する魔術の作成中だ。

 この発想は占命魔術でルディが似たような魔術を使っていたのを見て思いついた。

 誘導はできていなさそうだったから、完全にパクったわけではない。

 

 占命魔術は大まかにだが、みたい未来が視られるようになった。

 といっても、未来に縛られるつもりは無い。

 むしろ未来を全力で壊しに行くつもりだ。

 現にゼニスの思考領域に魔力壁を設置しておいた。

 相手の体内には簡単に設置できないので、魔力を籠めた魔力結晶に魔力壁の魔法陣を何とか描き、それをネックレスに加工して渡した。

 ゼニスにはお守りと言って常に首にかけているように言った。

 魔法陣は燃費が良い。

 あの調子なら五年はもってくれるだろう。

 

 虹色というには変な色の空から一筋の光が落ちてくるのを見ながら、私はその時を待った。

 

 

---

 

 

 目が覚めた。

 

 五年前から当たり前のように操作していた膨大な外部魔力が無くなっていた。

 居心地が悪い以上に、演算領域が空いて心がスッキリしている。

 想像以上に外部魔力が邪魔になっていたようだ。

 今なら天変地異すら呼吸一つで起こせる気がする。

 

 上体を起こし、周囲を見渡す。

 見渡す限り青色だった。

 頭がおかしくなりそうだ。

 私の今いる所は、こう呼ばれるところだろう。

 

 

 ――絶海。

 

 

 絶海の孤島とかではない。

 絶海だ。

 では私の座っている所は孤島ではないのか。

 目線を下げて見れば、温かい氷の上に座っていた。

 

 温かい氷なんて存在するはず無いが、私が無意識のうちに魔術で構築したのか。

 見てやっと、自分が魔術を使っていることに気が付いた。

 日頃から魔術を使っているとこうなってしまうのか。

 

 いや、魔力結界を久々に解放したせいで加減ができていないのだろう。

 まあするつもりもないが。

 

 それにしてもどうすればいいのだろうか。

 東西南北何処を見ても海。

 リングス海ならどっちに行っても大陸が見えてくるだろうが、大陸の外側の海だった場合はどうしようもない。

 だが、大陸がどっちにあるかなんて分からない。

 

「……?」

 

 海の底から重々しい強い魔力を感じる。

 以前の私の外部魔力と同程度ぐらいか。

 原作で何か記述があっただろうか。

 

「考えるより、潜ってみた方が早いわね」

 

 重力魔術で海を割り、そのままゆっくりと降りてみる。

 降りれば降りる程圧を感じるが、外部魔力で鍛えた私は何の問題も無い。

 外部魔力の重圧が初めて役に立った。

 

 日の光が届かなくなったので眼を強化する。

 海底は、ゴロゴロと大きな岩が転がっている。

 強い魔力は、この岩の下から放たれているようだ。

 

 大丈夫だろうか。

 今の私の外部魔力はルディの魔力の三分の一しかない。

 これが魔物だったら勝てる気がしない。

 というか第七列強レベルではないだろうか。

 

 そんな見たことも無い列強に例えながら、大岩を重力魔術で浮かす。

 少し浮上し、離れた所からその存在を注視する。

 

「……洞窟?」

 

 海の底に、洞窟のような穴があった。

 そこからこの重々しい魔力が噴き出ているようだ。

 

 ……入ってみるか?

 でも危ないし。

 いや、入るだけならいいかも。

 そもそもこの洞窟なんだ。

 ええい、ままよ!

 

 

---

 

 

 洞窟の中は広く、奥にずっと続いているようだ。

 

「………」

 

 折角此処まで来たんだから、奥まで進んでみようか。

 

『グガァーーー....』

 

 奥から魔物の声がする。

 だが、あの魔力の主ではないようだ。

 というかあの魔力は今いる場所よりも深い所から感じる。

 

 ……ちょっと怖い。

 私に勝てる魔物何てそうそういないと思うけど、怖いモノは怖い。

 こっから風魔術で叩き潰そう、そうしよう。

 

「グギャァ....」

「ごめんなさい」

 

 いやいや、魔物に謝ってどうする。

 それにしても、この場所は迷宮か?

 海にある迷宮なんて、有名どころではリングス海にある魔神窟ぐらいだ。

 

 あれ? じゃあここ魔神窟?

 

 どうしよう、ここ攻略したい。

 絶対に強いアイテム手に入るって。

 人神倒せるアイテム手に入るって。

 

 心の悪魔たちが私に囁いてくる。

 

「……」

 

 私は転移魔術をノーコストで使える。

 ぴょんぴょん跳んでダンジョンボスが持つ部屋まで行く。

 ボスを神級魔術の強襲で滅茶苦茶に消し飛ばす。

 チートみたいな魔道具手に入れる。

 

 正直、私は自分の力をあり余してる。

 幾ら夢が魔術を極めることでも、使えなければ楽しくない。

 ここ数年、限界の魔術を使えない事にムズムズしていたのだ。

 今まで我慢していた。

 少しくらい、私に得があったっていいだろう。

 

「……転移魔術で高速攻略、いきますか」

 

 

 

 ――転移初日、私はダンジョン攻略を始めた。









主人公は絶海に飛ばされて色々吹っ切れてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告