私はラノア魔法大学にやってきていた。
入試試験を受ける為だ。
別に試験などやらなくてもいいほど有名なのだが、他の生徒に私が来た事を知らせることに意味があるらしい。
試験相手は同じ特別生のリニアーナ・デドルディア。
「こんなチビが相手ニャ? 肩慣らしにもならないニャ」
「ファックなの」
結界の外から肉を片手に中指を立てて罵ってくるケモミミ。
原作に出てきていたような気がするが、ちょっと私を舐め過ぎでは?
いや、本当に私よりも強い可能性はある。
彼女は有名なデドルディア。
大森林の姫君なのだから。
「では、試験開始!」
「私は優しいから先手は譲るニャ」
「そうですか。では」
リニアの耳元に魔術で爆音を発生させる。
それと同時に、重力魔術で足を浮かせ、動きを完全に止める。
リニアは驚いてされるがままになっている。
それが狙いだとも知らずに。
驚いて全く反応できていないリニアを土魔術でグルグル巻きに拘束する。
口も封じ、魔術も使わせない。
何が負ける要素になるか分からないからだ。
「………」
「むーっ、むーっ」
「試験終了です!」
終了の声を聴き、涙目で私を睨むリニアを縛る土魔術を魔力に戻す。
「ず、ずるいニャ! もう一戦やらせろニャ!」
「次負けたら言い訳できませんけどいいんですか?」
「いいニャ! 試験官合図よろしくニャ!」
試験管もあまりに一方的すぎた試合に、もう一度やることを決めたようだ。
確かに何一つ抵抗させなかったのはまずかったか。
試験開始の声と共に、リニアは息を吸う。
吠魔術か。
止めても良いが、それではさっきと同じ結末で面白くない。
「ニャァァァーーーー!!!」
「――っ」
咆哮を聞くと、体の平衡感覚が揺らぎふらつく。
その間にと私に一直線に突っ込んでくるリニア。
速度は速い。
吠魔術も難敵だ。
だが作戦が御座なりすぎる。
「な、何で!」
「一直線に突っ込んで来たらそりゃ捕まりますよ……」
私の目の前には、土魔術でグルグル巻きにされたリニアが居た。
結界の外では信じられないものを目にしたような驚愕を顔に張り付けながら肉を食うケモ耳。
幾ら魔術に特化していない私でも一直線に突っ込んでくる敵を魔術で拘束するくらいできる。
いや、無詠唱だからできるのか。
無詠唱ができない魔術師なら詠唱する間もなく叩き潰されるだろう。
「私は無詠唱魔術師兼水神流剣士です。次からはもっと頭を使って戦った方がいいですよ」
そう言いながら近づき、リニアのけも耳をモフる。
「や、やめるニャ、私の耳をかってにモフるにゃぁぁ」
「勝者が正義です」
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試験は合格だった。
まあ、予想通りの結果だ。
明後日には入学式がある。
それまではまた依頼受けて実践の腕でも上げていよう。
……それにしても、リニアのけも耳、フサフサで柔らかかったなぁ。
あの感触を思い出して口元が緩む。
また一つ、大学生活の楽しみが増えたようだ。