幼馴染転生 - ルディと一緒に本気だす -   作:文頼

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第五話「魔術」

 五歳になった。

 

 この世界では歳の五年毎にパーティが行われるらしい。

 そういえばこんなイベントもあったなと今日言われてやっと思い出した。

 ルディと同じ誕生日なので、一緒にパーティが行われた。

 

 パウロからお祝いに、護身用のペンダント型の短剣を貰った。

 魔力を通す事で刃が突き出る仕組みらしく、

 貯蔵されている魔力を通すとペンダントから刃が凄い速度で突き出てきた。

 

 五歳に刃物は早くない……? と疑問に思ったのは私だけではないはずだ。

 この世界は日本ほど治安が良くないから、

 五歳の内から護身用の武器を一つや二つ持つのが常識なのだろうか。

 

 パウロがルディに薫陶を長々と話しているので、

 試しに刃を指の腹に当ててみるとスパッと切れた。

 傷を残す趣味は無いのでゼニスから習った中級の回復魔術を無詠唱で、

 貯蔵魔力を使い、一瞬で綺麗に治した。

 

「はい、サラにはこれよ」

 

 そういってゼニスから手渡されたのは裁縫道具だった。

 以前、ゼニスと裁縫をしたときに、

 私が欲しいと言っていたのを憶えていてくれたのだろう。

 前世の両親は仕事人間でプレゼントも現金という夢も希望も無い親だったので、

 こうして私の事を考えてのプレゼントが純粋に嬉しかった。

 

「ありがとうお母様っ!」

 

 そういうとゼニスに抱きしめられた。

 ……ちょっぴり泣いてしまったのはここだけの話だ。

 

 

---

 

 

 翌日、かれこれ一年になるであろう日課のジョギングを終えて、

 ルディと一緒にパウロに最低限の剣の心得を教えてもらうと、

 魔術を一通り放ちまくり、自分の部屋へと戻った。

 

 ルディが部屋の壁に大穴を開けてから、

 丁度いい機会だと使われていない物置が、私の部屋になった。

 これで一目を気にせず魔術が行使できるようになった。

 

 現在の日常サイクルは、

 常に魔力壁に制御能力を割いているのを前提として、

 

 朝、ジョギング後、庭で消費しない魔力を使い、思いついた魔術を片っ端から放ち、

 昼、それでも消費していない魔力で魔術の試行錯誤に費やし、

 夜、裁縫や書斎にあった本を読んだりして英気を養い、体内の魔力を全て貯蔵した後眠る。

 

 である。

 

 上の通りなので、魔力は一切減らず、ただただ高速で魔力が増え続ける状態だ。

 多分魔力を視認できるキシリカやギレーヌが私を見たら、

 魔力の霧で私を視認することができないだろう。

 それほどまでに増えすぎている。

 

 自分でもこの日常サイクルはどうかと思うのだが、

 時間を無駄にしたくないという思いの方が強くてやめられない。

 社会人を一度経験している身としては、全然苦ではないのも原因の一つだ。

 

 こんな毎日を過ごしていた私は、色々と出来る様になった。

 

 魔力・魔術の制御は息を吸うように操れるようになり、

 遂に貯蔵している魔力を半永久的に溜め続けることもできるようになった。

 

 複合魔術どころか、中級魔術を同時に20個も出せるようになり、

 試しにやってみたら重力魔術・風魔術で空まで飛べるようになっていた。

 

 ……流石に魔術制御の鍛錬しすぎたかな?

 

 赤ん坊という人のボーナスタイムに、

 毎日毎日寝ている間も常に魔力・魔術制御していると、

 こうなってしまうのは必然だったのだろうか。

 今ルディと戦えば私の圧勝だ。

 

 私の鍛えぬいた減ることのない魔力で、

 0,001秒刻みに完璧に操れる制御技術を使えば、

 雨を降らすどころか天地を創造することすら容易い。

 ……あれ、私って本当に人間?

 

 

 

 ――それでも慢心してはいけない。

 

 『無職転生』は調子に乗ると斜め上の敵から一瞬で叩き潰される世界だ。

 ルディがそうであったように。

 私みたいな物語の異物は、とくにそうなってもおかしくない。

 天地創造する私を軽くねじ伏せられる存在が居るはず、

 ――そう、人神はそんな存在だ。

 

 私は少しだけ弛みかけていた気持ちを奮起させて、

 より一層鍛錬にのめり込んだ。

 

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