好きな人への想いにあふれた涙腺崩壊必至の歌詞ですけど、こんな解釈もありかなぁと思ってちょっとだけアレンジしてみました。
なんというか蛇足感ありありの作品ですけど、生温い目で読んでくだされば幸いです。
君の時間、僕の時間。
君の胸に顔を押し付け、その奥にある鼓動を、心のうちでそっと数えてみる。
とく、とく、とく……
一分間に、70回の、ゆっくりとした、温かい振動。
僕の鼓動よりもゆっくりと時を刻んでいく。
僕の鼓動は、一分間に110回も時を刻んでしまう。
君に比べれば僕たちは、一生を駆け足で過ごしているようなものだろうね。
でもね、この胸が脈打つうちは君をまだ守っていたいんだ。
僕の生きる意味は、それでいい。
僕の心臓がね、止まる頃にはね
きっとこの世をね、満喫し終わっていると思うんだ
――ようこそ。
初めて僕が君と出会った日、君は僕を手の平の上に載せてそう言った。
君の両手にすっぽり収まってしまうくらい小さかった僕は、初めて訪れたその世界に怯えて震えていた。
君は手のひらの中で震える僕を、優しく胸の内に包んでくれた。
その時に聴こえた、深く温かい心臓の鼓動に、僕は心ごと全部預けて眠りに落ちたんだ。
君がくれた赤い首輪を、僕は何度も脱ぎ捨てたね。
君が投げた赤いボールを、僕は何度も庭に埋めたね。
君が教えてくれた「お手」を、僕は何度も「おかわり」と間違えたね。
君が散歩に連れて行ってくれたとき、僕は何度も水たまりに飛び込んで君に怒られたね。
君が寝ているベッドに飛び込んで、僕は何度も放り出されたね。
君が拾ってきた性悪な猫に、僕は何度も追い掛け回されてひどい目にあったね。
君が泣いているときは、僕は何度も泣きたくなって月に吠えたよ。
君が笑っているときは、僕は何度も嬉しくなって野原を駆け回ったよ。
君の隣で、君と一緒に生きて、
やり残したこと、なんにもないって思えるくらい、
君の隣でさ、笑い続けていたいと思うんだ。
僕と君が出会ってずいぶんと時が流れたけれど、君はいつまでたっても変わらないね。
僕は小さな体のままだけど、それでもたくさん成長したんだよ。
君がくれた赤い首輪も、僕はもう慣れることができたよ。
君が投げた赤いボールも、僕はもう持ち帰ることができるよ。
君が教えてくれた「お手」も、僕はもう「おかわり」と間違えないよ。
君が散歩に連れて行ってくれた時も、僕はもう落ち着いて君の隣を歩くことができるよ。
君が寝ているベッドに飛び込むとき、僕はもう君の顔を踏みつけることはしないよ。
君が拾ってきた猫は相変わらず性悪だけど、僕はもうあいつとはそれなりに上手くやっていけるよ。
君が泣いているときは、僕ががんばって笑顔にしてあげるよ。
君が笑っているときは、僕がずっと笑顔を守ってあげるよ。
僕の生きる意味なんてそれでいいんだ。
もう一つ、もう一つって同じ涙と笑顔を数えて、
僕らはまたお互いを知るんだ。
高鳴る鼓動が伝えてく。
重なる音と流れる想いを、
もう離さないと約束しよう。
いつでも君が寂しくないように。
君の心臓はね、1分間にね、
70回のね、「生きている」を刻んでいるんだね。
でも僕は、君に比べて少し駆け足だけど、
110回のね、「愛している」を刻んでいるんだよ。
僕はずいぶんと年を取ったけど、君も少しだけ年を取ったね。
君にとってはわずかな変化かもしれないけれど、それでも一緒に年をとれたことが嬉しいよ。
君がくれた赤い首輪を、僕はもう付けることができないけれど。
君が投げた赤いボールも、僕はもう取りに行けないけれど。
君が教えてくれた「お手」も、僕はもう差し出すことはできないけど。
君が散歩に連れて行ってくれた時も、僕はもう君に追いつけないけど。
君が寝ているベッドに飛び込むとき、僕はもうひとりでは登れないけど。
君が拾ってきた性悪な猫に、僕はもう君のことを託さなきゃいけないけれど。
君が泣いているときも、僕は笑顔でいられるよ。
君が笑っているときも、僕は笑顔でいられるよ。
この胸が脈打つうちは君をまだ守っていたい。
生きる意味なんてそれでいいの。
もう一度、もう一度って同じ心を重ねて、
僕らはまたお互いを知るんだ。
僕と君が出会えたことに、
何か理由があるとするならば、
運命かは分からなくても、
嬉しいことに変わりはないよね。
高鳴る鼓動が伝えてく。
重なる音と流れる想いを、
愛し続けると約束しよう。
心拍が止まってしまうまで。
――了――