ボーカロイドソング二次小説集   作:PlusⅨ

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今回の作品は、作曲:OPA 作詞:AsakiNo'9の名曲「忘却心中」です。

 MEIKOファンなら避けては通れないこの曲、もう大好きです。一昔前のロックな曲調は世代的にもドンピシャですし(←歳がバレるなぁ(^_^;)
 何よりも歌詞が好き。

 そんな歌を、KAITO×MEIKOで小説化してみましたが……うん、なんかいろいろと怒られそうな内容だな、これ。

 というわけで、いろいろな批判をかわすために先に言い訳しておきます。

 これは(一応)フィクションです。この作品内における思想や感じ方はあくまで個人の主観によるもので、実在の組織の公式見解ではないことをご了承ください。

 と、書いておけば大丈夫かな(・_・;)


忘却心中
入校式


 六月五日。

 

 江田島は気持ちのいい晴天で、白いちぎれ雲がのんびり浮かぶ空の下。

 

 その雲と同じくらい白い石造りの大講堂の中、僕は純白の詰襟に金の七つボタンが付いた式典用の制服に身を包み、同じ制服を着た107人の仲間たちとともに、整列し、席に着いていた。

 

 講堂に整然と並べられたパイプ椅子に浅く腰掛け、背筋を伸ばした状態で座る僕たち。

 

 その見つめる先の演壇に、日本国国旗(日の丸旗)と自衛艦旗(旭日旗)に挟まれて、同じく純白の詰襟制服に海将の階級章を付けた人物が立つ。

 

 海上自衛隊海上幕僚長。

 

 海上自衛隊における最高位の人物だ。

 

「起立!」

 

 号令官の声とともに、僕たちは一斉に立ち上がる。

 

 その動作には一瞬の遅れも許されない。

 

 そのタイミングにはわずかのずれも許されない。

 

「敬礼!」

 

 すかさず上半身をまっすぐ伸ばしたまま、腰から上だけを十度の角度に倒し、敬礼を行う。

 

 帽子をかぶっていない場合の敬礼の要領だ。

 

 浅すぎても、深すぎてもいけない。

 

 海上幕僚長から答礼をいただく。

 

「直れ!」

 

 すかさず上体を戻す。

 

「着席!」

 

 背後も見ずに、背中も曲げずに、腰だけを落とす。

 

 僕を含め108名、全員が一斉に着席する音が、一つになって講堂に響き渡った。

 

「海曹長、昇任」

 

 司会進行役が、名簿を手にその名前を読み上げ始める。

 

「3等海曹、忘音シシ」

 

「はいっ!」

 

「同じく、律音キョウ」

 

「はいっ!」

 

 五十音の最後から順番に読み上げられるたび、整列した席の最後尾から、名前を呼ばれたものがあらん限りの声を張り上げ返事を行い、起立していく。

 

「同じく、氷山キヨテル」

 

「はいっ!」

 

 僕の隣に座っていた仲間が、よく通る声で返事し、立ち上がった。

 

 次はいよいよ僕の名が呼ばれる番だ。息を吸い込む。

 

「同じく、始音カイト」

 

「はいっ!」

 

 腹に力を入れ、のどを開き、声を張り上げ起立する。

 

 僕の視界に映るのは壇上の国旗と自衛艦旗と海上幕僚長。そして名前を呼ばれるのを待つ仲間たちの白い制服の後ろ姿だ。

 

 仲間たちの白い両肩に装着されているのは、黒地に金一線と錨マークの付いた階級章。

 

 もちろん、僕の肩にも装着されている。

 

「2等海曹、神威がくぽ」

 

「はいっ!」

 

 仲間が次々と立ち上がり、ついに最後の一人、僕たちの代表の名が呼ばれる。

 

「1等海曹、本音デル」

 

「はいっ!」

 

「以上、108名」

 

 全員が立ち上がったのを確認し、壇上の海上幕僚長が辞令を読み上げる。

 

「海曹長に、昇任させる」

 

 この瞬間、僕たちは海上自衛隊における曹士階級の最上位、海曹長に昇任した。

 

「敬礼!」

 

 海曹長・本音デルの号令によって僕たちは敬礼する。

 

「直れ!」

 

「服務の宣誓。海曹長、本音デル」

 

「はいっ!」

 

 デルが海上幕僚長の前に進み出て、手にした紙をまっすぐに捧げ持ち、その文面を高らかに読み上げる。

 

 

「宣 誓

 

私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、

 

日本国憲法及び法令を遵守し、

 

一致団結、厳正な規律を保持し、

 

常に徳操を養い、

 

人格を尊重し、

 

心身をきたえ、

 

技能をみがき、

 

政治的活動に関与せず、

 

強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、

 

事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、

 

もって国民の負託にこたえることを誓います。

 

平成○○年、6月5日、海曹長・本音デル」

 

 

 海上幕僚長が壇上から退き、代わりに幹部候補生学校校長が登壇した。

 

「諸君、入校おめでとう。

 諸君が多くの海曹の中から選抜、選考され、入校の栄誉を勝ち得たことは、諸君らの平素の研鑽の賜物であり、心から祝意を表するとともに、幹部自衛官への道を選択したことに敬意を表したい。

 ここ江田島は、帝国海軍における士官養成所である海軍兵学校があった場所であり、その歴史と伝統を受け継ぐ地である。

 ここでの教育訓練は、諸君がこれまでに経験したこともないほど、肉体的にも、精神的にも辛く厳しいものになるだろう。

 しかし、これは幾多の先輩が克服してきた試練でもある。

 諸君らがここを卒業し、立派な海上武人となることを期待する。以上」

 

「敬礼!」

 

 この日、僕たちは広島県江田島市にある海上自衛隊幹部候補生学校に、幹部候補生として入校した。

 

 

……めーちゃん、君に、今の僕の姿を見せたいな。

 






早苗ちゃん

かぜをひかないか、元気で、毎日、日参に又学校に行って居ますか。寒いから、きをつけなければいけないよ。

早苗ちゃん病気になると兄さん、うんと心配しちゃうからね病気になんか成るんぢゃないよ。

雪が降ったことが有るかい。兄さんの居る所は時々降るよ。

(中略)

だからずいぶん寒いよ。

だけど兄さんなんかへいきだよ。

どうして、それはね、どんどんかけあしやったり、体操やったりするからだよ。

だから早苗ちゃんもどんどんうんどうするんだよ。そうするとあたかかく成るし、病気なんかにもならなくなるよ。

(中略)

兄さんは毎日元気でトンボのような飛行機にのって飛んで居るよ。

小さな舟や白いホを上げたホカケブネやいろんなかたちをした島のういた青い青い海の上や村の上をブンブンとね。

では早苗ちゃん手紙をまって居るよ。


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