ボーカロイドソング二次小説集   作:PlusⅨ

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好き勝手VOCALOID小説第10作目は、halyosyさんの名曲「Fire◎Flower」の小説化です。

夏休みネタが思いついちゃったから、夏が終わる前に書き上げたかったんだ……

でも、書いてみたらかなり原曲ブレイクしちゃったんだ……

ノリと勢いだけで書いたので、後で恥ずかしくなっていろいろ訂正するかもしれません(;´∀`)

生暖かい目でご覧いただければ幸いです(^^ゞ


~Fire◎Flower~
想い、抱えて


 昔はなんでも言い合えたはずなのに。

 

 二人のあいだには隠し事なんて何もなくて、思ったことをそのまま伝えられていたはずなのに。

 

 いったい、いつからだろう。

 

 君と日々を過ごしながら、またひとつ夏を超えるたびに、君に心を伝えられなくなっていく自分に気づく。

 

 君への思いがどんどん変わって膨らんでいくのに、それを口に出せない僕がいる。

 

 いまにも爆発しそうなぐらいに膨らんだ君への想いを、胸に抱えたまま――

 

 ――今年も夏がやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「り……リンっ!」

 

 夏休み前日。

 

 終業式が終わってすぐの時間、呼び止めた彼女を前に、俺は言葉に詰まっていた。

 

「どうしたの、レン?」

 

 小首をかしげ訪ね返してくる彼女の仕草に、胸の内が跳ね上がる。

 

 落ち着け、俺。

 

 そして言うんだ、今年こそ。

 

「り、リン……お、俺…と…」

 

「レンと?」

 

「つ、つき……」

 

 動悸が高鳴って、自分の声すらよく聞こえない。

 

 でも、言うんだ。レン、男一世一代の一発勝負!

 

「俺と付き合ってくれ!」

 

「うん、いいけど。どこに?」

 

「…………えっとぉ」

 

 そう返してくるとは思わなかったぜ。

 

 天然?

 

 うん、天然だよね。そこがまあ可愛いんだ。

 

「あのな、リン。付き合ってくれっていうのは――」

 

「――あ、リ~ン。ちょうどいいとこにいた」

 

「ミク先輩?」

 

「み、ミク姉?」

 

「ねぇねぇ、リン。今週末の夏祭りに一緒に行く面子あつめてるんだけどさ。行かない?」

 

 ちょっと、ミク姉?

 

 いま俺一世一代の告白したところだったんすけど、気づいてます?

 

 それとも彼女だけでなく、傍目から見ても、俺の告白ってスルー扱いなんすか?

 

「いくいく、行きま~す」

 

 すごく魅力的な笑顔で彼女が答える。

 

 その笑顔、できれば少し早いタイミングで見たかったなぁ。

 

 と、思ったらその笑顔をがこっちに向いた。

 

「あ、そうだ。レンも、どう?」

 

「うん、いく」

 

「そういえば、どっかに付き合って欲しいんじゃなかったんだっけ?」

 

 付き合って欲しかったのは、恋人という名のゴール地点にしてスタート地点さ。

 

 そんなワケのわからないセリフが頭の中に浮かんで、消えた。

 

「いや、別に大した用事じゃないし。うん、夏祭り、面白そうじゃん」

 

「だよね~。みんなで夏祭り、楽しみだなぁ」

 

 花のほころぶような彼女の笑顔が、そばで見られるなら、それでいいか。

 

 これがきっと、俺たちのちょうどいい距離感なんだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………で、そんな風に自分を慰めて、おめおめと引き下がってきたワケだね」

 

「カイト兄、そんな哀れみのこもった目で見るくらいなら、いっそ笑ってくれ……」

 

「なんだか昔の自分を見ているようでね。笑えないよ」

 

 兄貴分の先輩はやれやれと肩を落としながら、手にしたアイスチューペットをすすった。

 

 俺もチューペットのもう片方をもらいながら、先輩に話を聞く。

 

「カイト兄はさ、どうやってメイコ姉を落としたんだよ?」

 

「落とすなんてものじゃないよ。落ちてたのは僕の方。恋愛は惚れた方が負けってね。だから玉砕覚悟で、好きだ好きだと言い続けた」

 

「……うっざ」

 

「“人前で言うんじゃないわよ、バカイト”って、何度もぶん殴られたよ」

 

 普通ならそこであきらめるところだ。

 

 だけど、顔を真っ赤にされて、声を上ずらせながらそんなことやられたら、ツンデレとしか思えないよなぁ。

 

「メイコ姉もまんざらじゃなかったワケだ」

 

「おかげさまで最近は殴られることもなくなったよ」

 

「相手がツンデレなら分かりやすいんだけどさぁ。天然相手にはどうすりゃいいんだよ。せっかく告白したのに、これじゃ幼馴染からぜんぜん前に進めねぇよ」

 

「曖昧な言葉だから伝わらないんだよ。ちゃんと“好きだ”とか“愛してるよめーちゃん”とか“MMM(めーちゃんまじ女神)”って言わないと」

 

「それ、アンタにしか言えねぇよ!」

 

 だいたいめーちゃんじゃねぇ、リンちゃんだ。リンちゃんなう。

 

 リンちゃんをぎゅーぎゅーしたいな。ジタバタしてるリンちゃんをギューッて抱きしめたいな。

 

「腕噛まれるのもありだな。いや、むしろ噛め」

 

「レン、何言ってんの。え、なに? 僕に噛んで欲しいの?」

 

「なワケねーし!?」

 

 やべぇ、妄想漏れてた。

 

 まぁそれはともかく、あのド天然娘にこっちの想いを伝えるには一筋縄で行かないってのはよくわかった。

 

 かと言って搦手でいったところで気づいてさえもらえずスルーされてしまうのがオチなので、ここはもう直球ど真ん中ストレートで行くしかない。

 

 男の一発勝負が不発に終わったくらいでなんだ。

 

 一発でダメなら、十発でも二十発でも叩き込んでやるぜ!

 

 決戦の場は、夏祭り。リン、覚悟しておけよ!

 

 ……あれ? この思考って結局、カイト兄といっしょじゃね?

 

「レン、チューペットもう一本食べる?」

 

「うん、食べる。あ、次は棒つきの方ちょうだい」

 

「はいはい」

 

 二人してアイスチューペットをすする。

 

 夏はやっぱこれだな。

 

 

 

 

 

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