「あはは!オルメスとそのパートナーの力見せてみなよっ!」
理子がワルサーで牽制しながらアリアとの距離を詰めていく。そうはさせじとキンジがベレッタで理子を足止めするかのように射撃をする。
「ちっ……あのキンジは厄介だな」
「可愛い女の子を傷つけたくはない、今すぐにやめてくれないか?」
キンジは辛そうな仕草で説得しようとするが油断なくベレッタを構えていつでも対応できるようにしている。
だが、理子はそれに答えるまでもなく再びアリアに迫っていく。
「理子ぉ!!」
迎え撃つアリアの小太刀と理子のナイフが切り結びお互いに動きが止まる。
「あんたのせいで私のお母さんはっ!!」
すぐさまアリアが片方の手にガバメントを抜き至近距離で理子の腹部を狙うが、寸前の所で理子にその腕を逸らされて明後日の方向へと銃弾が飛んでいった。
「オルメス!私の自由のために踏み台になれ!!」
今度は理子がワルサーを抜き、アリアの腕を狙うが横合いから飛んできた銃弾に弾かれ遠くへと落ちた。
「女の子同士が戦うのは見たくないんだ」
キザったらしいセリフとともにあの密着状態で銃だけを狙ったキンジに少しだけ恐怖を覚えたがまだ静観を続ける。
「じゃあ……これでどう!」
言うやいなや、アリアを蹴飛ばすと制服の袖口からワルサーを出しキンジに向ける。キンジも理子の動きに対応して銃を向けるが、突然機体が揺れキンジの照準がぶれた。
「バイバーイ、キンジ」
揺れたせいか理子の照準はキンジの眉間になっているようだ。俺はすぐさま
少しばかり重い音が響きわたるが弾いた銃弾はベクトルを逸らされて、後ろにあったお酒のボトルを砕いた。
俺の行動に3人とも動きが止まり呆然としているようだ。
「悪い、理子に人殺しにはなって欲しくないからな」
それだけ言うと窓に目を向ける。そして何かが飛行機の翼に近づいているのを確認して……そして爆発した。
「ちっ……!時間切れかよ!!」
理子は悪態を付くように叫ぶと非常口に近づきこちらを向いた。
「お先に失礼するねっ!おっと、取り押さえようなんて無駄だよーワタクシは爆弾魔なので」
そう言うと非常口が弾け飛び理子はそのまま空中に放り出された。慌てて外を見ると、着ていた制服をパラシュートのようにしてゆっくりと去っていくのが見えた。
「キンジ!京介!かなり高度が落ちてきてるみたい……!何とかするわよ!」
状況を判断したアリアがすぐに俺とキンジに命令する。ひとまず操縦席に向かうと、そこには睡眠薬で眠らされた二人のパイロットが転がされており、操縦桿には何かの機械が付けられていた。
「多分これで遠隔操作してたのかもな」
キンジが不意に揺れた時のことを思い出すように言いながら機械を壊した。
「で、どうする?あいにく俺は飛行機を飛ばしたことはないぞ?」
「なら専門家に聞くしかないな」
するとキンジはどこかへ電話をかける。
「もしもし武藤か、今すぐにジェット機の操縦法を教えてくれ、あと着陸の方法もだ」
『はぁ!?そもそも素人には無理だしそれにどこに着陸するんだよ!』
「とりあえず羽田に降りようとは思ってるが……」
そんな電話口のやりとりを聞きながら外を見ると『F-15J』が横合いを飛んでいるのが見えた。
『こちらは航空自衛隊だ、これより君たちを緊急の着陸地へ誘導する付いてこい』
自衛隊機から通信が入り進路を変更するように指示されるがキンジは応じず、街中に入るルートを飛び始めた。
「なんで指示に従わないの!?」
「端から俺達が着陸できるとは思ってないんだよ、それならまだ落とされるリスクの少ない街中を飛んだ方がいいだろ?」
アリアの疑問ももっともだったが確かに指示に従えば落とされていただろうな。
「ともかくだ、このまま進路を
『おい!正気か!?確かにギリギリ行けるかもしれねぇけどよ!!』
とんでもないキンジの発想に武藤どころか隣にいたアリアでさえも目を見開いていた。
「大丈夫だ信じろ」
『けどあそこには誘導灯どころか明かりひとつねぇぞ!?真っ暗のなかじゃ無理なんだよ!』
「無理という言葉は禁止されててな、やってみるさ」
『あぁ!!どうなっても知らねぇからな!!』
武藤はそれだけ言うと何やら他のやつにわーわー言って電話を切った。
「というわけでアリア、俺を信じてくれるかい?」
「し、信じるわよ……!」
2人で仲睦まじくやっているようで良かったが、無視されている俺は居心地が悪かった。
「あー俺は邪魔になるみたいだからどっか行っとく」
「京介にも手伝って貰うことがあるんだけど」
「……えっ?」
操縦桿もうまっているというのに一体何をさせるつもりなんだろうか。
「京介の力でタイミングを図ってほしい、俺でも出来なくはないが操縦に集中したいからな」
「……ったく分かったよ」
渋々頼みを引き受けた俺は立ったままじっと正面のガラスを見て見える景色の処理に入った。どんどん近づいてくる街の光に目を慣れさせて正確な方向を示す。
「キンジ少し右、2時の方向」
「了解」
しっかりと軌道修正したところで真っ暗な空き地島が見えてきたが、やはり武藤の言った通りほとんど目視することが出来ない。
「やっぱり難しいな……最悪は胴体着陸か……」
キンジが最悪の想定をしたとき空き地島に灯りがついた。それもまるで滑走路のように等間隔で直線にだ。
『キンジ!車輌科と装備科の備品を勝手にパクってきたからな!反省文はお前が書けよ!!』
武藤から電話があり他の生徒が俺たちのために準備をしてくれたらしい。俺らもそれに答えないといけないな。
「キンジ!車輪を出せ!」
だが、何故か片方の車輪が出なかった。
「ダメだ!何かが引っかかってるらしい!」
「ちっ……!行ってくる」
「ちょっと京介!?」
「ギリギリまで高度を落とせよ」
アリアが驚愕の声を上げるがそれに構っている暇はない。俺はすぐさま機内を駆け抜けて登ってきた車輪の格納位置まで戻った。
どうやら爆発の衝撃で車輪を下げる装置が壊れたらしい。
「……物理的にやるしかないよな……」
一息深呼吸をして拳を構える。
「天童式戦闘術一の型三番『轆轤鹿伏鬼』ッ!」
車輪に向けて捻りのこもった拳を打ち込む。だがびくともしない。
「なら……これで!天童式戦闘術一の型八番『焔火扇』ッ!!」
今度は右腕に内蔵された
あとは……キンジたち次第だな。
そして、車輪が地面と接触して物凄い音を出しながら地面を走る。その振動で落ちそうになるのを必死に堪えるが、飛行機がなにかにぶつかったらしく180度回転し、それに俺も巻き込まれ壁に叩きつけられそのまま意識を失った。