目を覚ますとそこは見知らぬ天井だった。
「よう、やっと目が覚めたか?」
隣から声が聞こえてきてそちらを向くと腕と頭に包帯を巻いたキンジがベッドにいた。
「あー結局あのあとどうなったんだ?」
ひとまず事の顛末を聞くと、なんとか飛行機を止めたもののアリアを庇ってキンジが怪我をして、検査入院させられたそうだ。
「ちなみに京介は車輪に巻き込まれるところだったらしいぞ」
「マジか……助かったな……」
危うくミンチになるところだったって聞かされると生きた心地はしないがな。
そんなことを思ってると病室のドアがノックされ、声をかけるとそこにはアリアが差し入れを持って立っていた。
「京介、目が覚めたのね?」
差し入れの果物を棚に起きながらそう声をかけるアリアも腕に包帯を巻いているようだ。
「まぁ何にせよ生きてて良かったよな」
俺は締めくくるように言うと何故か二人は俺のことをじっと見つめる。
「ずっと気になってたんだけど、京介って銃弾を手で弾いてたよね?」
「それに……車輪を出す時も特に道具を使ったわけでもなかったよな?」
二人の追及に逃げることを諦めた俺は渋々真実を話すことにした。
「「義手??」」
「ああ、正確に言えば義手義足だな。小さい時に右眼と右腕、左脚を失ってな……幸いにしてうちの道場の伝手で特殊な治療をしたんだよその結果がこういうわけさ」
掻い摘んでアリアとキンジに説明したがどうにも納得はしていないようだ。
「まぁ説明するよりは見せた方が早いよな」
そう言うと意識を切り替えて二人を見る。二人はその様子に目を見開いていた。すぐに元に戻すがやっぱり少し疲れるな。
「左右の色が違ってたわ……」
「いつもは片目しか見えないからな。まぁこういう風になってる時は体感時間が引き伸ばされてるって感じだな」
「……だから銃弾に対応できるわけか」
「まぁな。もうひとつギアがあるんだが……それを超えると情報量が増えて下手すりゃ自滅するから使えないんだけどな」
一応今使ってるのが第一段階で、もうひとつ上があるのだが個人的にも使うのを躊躇うぐらい反動がすごいので封印指定だ。
「というわけで俺の話はおしまいだ。このことはくれぐれも他の奴には言わないでくれよ?」
「そうね……その力が切り札になるもんね」
「その通りだ、情報っていうのは大事な
敵のデマに騙されて壊滅したという話もちらほらあるしな。
「あっキンジ、そう言えばあんた今日退院でしょ?ちょっと付き合いなさいよ」
「えぇ……少しぐらい休ませ……」
カチャっと音を立ててガバメントを構えるアリア。
「……粉骨砕身でお供します」
「素直でよろしい」
「……まったく、やれやれだ……」
せめて病室ではないところでやって欲しい。そんなこんなで昼過ぎになり、キンジとアリアが出ていった病室は静かで心が安らぎそうだ。
コンコンと小気味のよい音が響く。声を出すと今度は遥姉さんが来ていた。
「京介、結構派手にやったみたいね?」
「遥姉さん……まぁ久しぶりにね」
わざわざお見舞いに来てくれた遥姉さんに感謝しながらもってきてくれたナイフに手を伸ばす。
「それにしても……刃物嫌いじゃなかった?」
「昔はね……でもそうも言ってられなさそうだし」
アリアや理子、キンジと関わることになって戦闘する機会が増えたのを実感して少しでも装備を整えておこうと思い、実家に眠っていたこのナイフを持ってきてもらったのだが……
「ふふっ……京介の戦いっぷりがまた見れるのかしらね」
「よしてくれよ……俺だって目立ちたくないわけじゃないんだ」
実家の道場でも短剣術はずば抜けて得意だった俺だが……とある一件で刃物を持たなくなったのだった。一時期は見るのですら躊躇うぐらいだったけどな。
「明日には退院出来るらしいから……退院したら職員室に来てね?」
「へーい……それまでには気合で何とかするよ」
その後も他愛のない話をして、遥姉さんは帰っていった。
そして翌日、病院の先生にお礼を言って無事に退院してその足で武偵校の職員室へと向かった。どうやら俺も軽い取り調べが残っていたらしく、調書を取って帰らしてもらった。
少しは病人扱いしてほしいところだよほんと……
そんなことを思いながら部屋の前に立つと誰かの気配を部屋の中から感じる。不可解に思い、ナイフを右手に握ると、気配を消してゆっくりと部屋に入る。
部屋の中はアリアを見送った時と何も変わっていないが……少し小さめの足跡が部屋に通じているのを見つけた。
音を立てないように居間へと繋がるドアまで近づき、そのまま一気になだれ込む。だが、そこに居たのは驚くべき人物だったのだ。