緋弾のアリア〜黒鉄の拳闘士〜   作:零崎極識

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燃え上がるWhite Snow 7

 火薬庫(アーセナル)それは武偵校における三大危険地帯の1つ。理由としては武偵校全ての火薬類や危険物を管理、保管しているからである。そのため鍵も電子ロックだけでなく、原始的な南京錠などでも鍵をしている。

 

「……どうして白雪が火薬庫になんか……」

 

 武偵手帳に忍ばせておいた万能キーを使い南京錠を開けると音を立てずにゆっくりと侵入する。中に入るとそこは真っ暗で人の気配が感。

 

「下の方に進んだか……それとも来てないか……」

 

 少し悩み、ホルスターからSOCOMを抜くと慎重に奥へと進んでいく。しばらく歩くと暗闇にも目が慣れてきて大まかなものの位置などは見えるようになってきたが、白雪の手がかりは何も見つからない。

 

「……いないか……」

 

 最後に見えてくる大きな扉をゆっくり開けると奥からは誰かと話す白雪の声が聞こえてきた。

 

「……約束通り一人で来たよ」

「そうか、それなら私と一緒に来てもらおう」

 

 声から判断するに女のようだが、どこか優雅で騎士のような声の持ち主だ。音の反響で距離までは分からないがまだ少し遠い。

 

「でもなんで私なんか……!私はそんなに強くないし……」

「お前は自分の力がどれだけすごいか分かっていない。お前はもっとその力を使うべきだ」

 

 ほとんど無音で移動し、白雪の近くまで来るが敵の姿が全く見えない。とりあえず視界に白雪を収めながら敵の動向を探る。

 

 だが、その一方で別方向から近づく気配がひとつある。よく目を凝らしてみると反対側の棚の陰に隠れているのはキンジだ。誰かから連絡を受けてここに来たようだ。

 

「……だがあいつは俺に気づいていないな」

 

 目の前の白雪に目を取られているせいか俺の方には全く目を向けない。

 

「白雪……君は健気な子だと思っていたが……どうやら悪い子のようだな?君の騎士(ナイト)が助けに来たみたいだぞ!」

「だめ!キンちゃん!来ちゃダメ!!」

 

 その瞬間辺りに煙幕のような煙が焚かれまたたく間に視界を奪っていく。俺は白雪には目をくれず敵の方を追うことにした。幸いなことに一瞬だけ影が上の方へ通ずる階段へ向かっているのを確認した。

 

 追いかける形で階段を昇ると出た先はコンピュータールームと呼ばれる、無数のパソコンといくつかのサーバーの置いてある部屋にたどり着いた。

 

「貴様……星伽白雪はどうした?幼馴染を捨ててきたのか?」

 

 どうやら敵は俺の正体に気づいていないらしい。

 

「さぁ?味方が来て助けてくれたかもな」

「貴様……誰だ?」

 

 俺が『遠山キンジ』でないことを見破った敵は物陰から姿を現した。西洋の甲冑のようなプレートアーマーを胸と腰に付け、他のところも最小限に守った姿の()()()は片手に大きな剣を持って仁王立ちしていた。

 

「……やれやれ」

 

 相手に合わせて俺も陰から身を出してSOCOMを構える。

 

「お前が『魔剣』か?」

「そうだ、私が魔剣だ」

 

 魔剣であると自ら名乗った女騎士はゆっくりとこちらへと近づいてくる。

 

「動くな」

「ふふ……そんな程度の武器で私は止められんぞ?」

 

 周囲の気温がどんどん下がってきていることに今更ながら気づいた俺は大剣を持った腕に狙いをつけて引き金を引く。

 

「甘いな」

 

 撃った弾丸は目標に当たらずその手前で()()()()()()その場に落ちた。

 

「……超能力者(ステルス)か……!」

 

 超能力者と戦うのは初めてではないが、やりづらい相手に変わりないと判断するとそのまま相手に近づくために踏み込む。本当はカートリッジを使いたいところだが、勢い余って床とかを踏み抜くとシャレにならない。

 

「接近戦で勝負を!」

「舐めるな……!両断する!」

 

 迫る俺に対して切り捨てるように剣を振るが、その直前で義眼を発動させ、スレスレで避ける。

 

「天童式戦闘術一の型八番『焔火扇』っ!」

 

 ちょうど空いた胴に対して神速のストレートを繰り出す。右ストレートは狙い通りに女騎士の中心に当たって、なかなかの勢いで壁まで吹き飛ばす。

 

「くっ……やるわね……」

「仕留めきれなかったか……」

 

 何とか起き上がった女騎士は再び剣を構える。だが、それだけではなかった。

 

「オルレアンの氷花……!凍りつけ!」

 

 明確に俺だけを飲み込もうとする氷の奔流が俺に襲いかかるが俺は落ち着いて刀を抜く。そして遥姉さんの言っていたことを思い出す。

 

『その刀には……異能を斬り捨てる力があるの』

 

 その言葉を信じて俺は義眼を発動させる。周囲の時間がスローになる中斜めに刀を構え、一気に振り抜く。その瞬間、俺を襲っていた氷の奔流は霧散し、何事も無かったかのように時間が戻る。

 

「なん……!くっ……!」

 

 咄嗟のことで一瞬だけ硬直した女騎士だったが、次の瞬間には落ち着きを取り戻し再び煙幕で目隠しをしてきた。俺は刀をしまい素手で対応できるように構えをとる。

 

「ちっ……また見失うか……!」

 

 だが、その後ろから二人ほどの気配と正面から1人の気配を感じる。

 

「魔剣……!どこにいるのよ!」

 

 正面から来たのはアリアのようだ。どうやら完全に居場所を察知したようだ。その後ろからはキンジと白雪が合流する。

 

「京介……状況は?」

「キンジ、おまえ……()()()()()()?」

 

 いつものキンジとは変わった雰囲気を纏うことに気づき特別なモードになったことを察した俺は白雪を任せることにした。だが、その次の瞬間どこからともなく水が入ってきて俺たちは流される。

 

 入って来た水が少なかったのか、それとも排水機能が生きていたのか分からないが水はすぐに引いたが全員とはぐれてしまった。

 

「……厄介なことになりそうだ」

 

 ひとまず俺は上へと通ずる階段に行こうとしたがその手前のドアはひしゃげていてとても通れそうになかった。だが、ひしゃげ具合的に中からやったようで敵はまだこのエリアにいるだろう。

 

「っ……!」

 

 後ろに気配を感じ咄嗟にSOCOMを構えるとそこには同じようにガバメントを構えるアリアの姿があった。

 

「アリアか」

「京介ね?そのドアはアンタがやったの?」

「……恐らくは敵がやった」

「ならこのエリアにまだ潜伏してるのね」

 

 アリアと合流してエリアを探しているとキンジと白雪に遭遇した。キンジが白雪を介抱しているのだが、その様子に少しイラッと来たらしいアリアが大股で近づいていく。

 

「……!待てアリア!!」

「そいつは白雪じゃない!」

 

 その時、俺とキンジは同時に白雪でないことを否定し、銃撃をするが先ほどと同じように弾丸を凍らされてしまう。

 

「お前ら二人はとてもいい眼をしているが……それまでのようだな?」

 

 近づいていたアリアの後ろをとり羽交い締めにするとまずはアリアのガバメントを凍らせてしまった。

 

「キンジ……京介……逃げなさい……!」

「はっ、そんなこと出来るわけないだろ!」

「いくらアリアの頼みでもそれはできないね」

 

 俺とキンジは同時に駆け出して左右からの攻撃を仕掛ける。互いに銃撃はダメだと分かっているためキンジはナイフ、俺は素手で近づく。

 

「お前達の愚かさはよく分かった、これでも喰らえ」

 

 女騎士がそう言うと俺たちの周りがピキピキと凍り始めてくる。脚が地面に縫い付けられる前に床を蹴り女騎士に肉薄する。

 

「天童式戦闘術一の型三番『轆轤鹿伏鬼』っ!」

 

 捻りを加えた一撃を女騎士に放つがその寸前にアリアを俺の方に向けてきたせいで技をキャンセルさせられた。だが、俺の方に向いた意識のせいでキンジの攻撃には反応出来なかった。

 

「はぁぁ!!」

「ちっ!」

 

 キンジのナイフに対応するためにアリアを手放した女騎士はバックステップで距離を取る。

 

「ふん……なかなかに厄介なコンビネーションだな」

「それはどうも」

 

 俺は拳を握って構えを取り油断なく相手をみる。

 

「そもそも君は誰だい?そんなに勇敢な女の子の名前を聞かせて欲しいな」

 

 キザったらしいセリフがすらすらと出てくるキンジに吐き気を覚えつつ相手の出方を伺う。すると相手もそんなことを言われたことが無いのか、あたふたと否定するように言葉を並べた。

 

「……わ、私は……『ジャンヌ・ダルク30世』だ!」

 

 飛び出してきた名前は全く想像がつかない名前だった。

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