「もしかして……さっきの騒動見てたかしら?」
神崎・H・アリアと名乗るピンクのツインテールの女の子はギロっと俺を睨みながらそう聞いてくる。
「あぁばっちりとな」
俺はなんの臆面もなくそう答えると、あろうことかアリアはガバメントを向けてきた。
「……なぁ、本気で擊つ気か?」
向けられている銃口から目を離さないもののどこか余裕を感じさせるようにそう答える。
「見たからには風穴開けてやるんだから!」
そう言うとアリアが引き金を引く。その瞬間、俺の中の
「俺には
アリアの放つ銃弾が俺の胸に当たることを認識して、体を半身に合わせる。その後、認識した通りの軌道で弾丸が飛んできた。
「嘘!?外した!?」
「おあいにくだな」
意識を再び切り替えると周りの速度が元に戻る。
「あんたいったいなんなのよ!」
「通りすがりのただの武偵だよ」
それだけ言うと呆然としているアリアを尻目にすたすたと歩いていく。
「あんたにも風穴を開けてやるんだから!」
そんな声が後ろから聞こえたが振り向くこともなく教室へと向かった。
時間帯的には既に始業式が終わってると判断して、自分のクラスである『2年A組』に入ると案の定、始業式を終えたクラスメイト達が駄弁ったりしている。それを尻目に自分の席に着くと後ろの席の理子が気づいたみたいだ。
「あっ!ケーくんだっ!おっはー!」
「相変わらずテンション高けぇな……おはようさん、理子」
ーー峰 理子ーー
本人のハイテンションさとあざといと言わんばかりのフリルを用いたファッションと言動、そしてロリ巨乳という属性てんこ盛りのキャラにファンも多いらしい。
「ケーくん始業式出てなかったけど、なんかあったのー?」
「あぁ、ちょっとした事件現場を見ちまってな……どうやら『武偵殺し』の模倣みたいだが……」
その時、理子の雰囲気が僅かに変わったような気がしたが……考えすぎかと判断して無視をした。
「へぇーケーくんも気をつけないとダメですよー!」
「あいにく、狙われるほどのランクもなけりゃ活躍もしてねぇよ」
俺も理子と同じ
「その慢心な危険だねー」
「へいへい、ありがたいAランクさんの忠告を受け入れとくよー」
「むぅーその反応冷たいなー!」
流すような反応をすると思いっきり頬を抓られる。ってめちゃくちゃ痛いなこれ!
「いらいいらい!!」
「適当に流した罰なのだー!」
ケラケラと笑いながら頬をつねる理子の腕を内側から崩してやめさせる。と、その時疲れ果てたキンジが教室に入ってきた。
「よっ、キンジ。疲れてんな?」
「……天童か……今日は朝から色々あったんだよ」
そう言いながら隣の席に座ったキンジは机に伏せながらそう言ってきた。そのあと適当に話していると担任の『天ヶ原先生』が入ってきてLHRが始まった。
「今日はまず新しい仲間を紹介しますー!」
ガラガラガラ
扉を開ける音とともに入ってきたのは、さっき会ったばかりの神崎・H・アリアだった。
「先生、アタシあいつの隣の席に座りたい」
開口一番にそう言ったアリアはあろうことか、俺の方を指さして言い放ったのだ。隣の席からは冗談じゃないと言わんばかりのキンジの雰囲気が漂ってきている。
「あっ、アンタも居たのね?丁度いいわ、そこの席を譲りなさい」
どうやら俺にも気づいたようでツンとした目で睨んできていた。そして、何かを思い出すような顔をして男物のベルトをキンジに投げ渡した。
えっ、お前らそう言うことしたの?
「理子分かっちゃった!これフラグばっきばっきに立ってるよー!」
そんな恋愛推理に周りのクラスメイトが動揺し、からかうように騒ぎ始めたところでアリアはガバメントを抜いたよ!?
バンバンッ!
両手に持ったガバメントからは壁と床に1発ずつ銃弾が放たれ、硝煙の煙が漂っていた。
「れ、恋愛なんて……くだらない!周りのやつも覚えておきなさい!次にそんなことを言う奴には……」
突然の出来事であの理子すら、動きが止まっている状況の中で誰も動けない中、アリアの放った最後の一言はとても暴力的だった。
「ーー風穴開けるわよ!」
そんな出来事があったにもかかわらず、HRが終わる頃には普段のように駄弁ることが出来る奴らのメンタルに敬意を払いながら、俺は
ーー
武偵校の三大危険地帯の一つで、名前の通り『先生』たちがいる所である。普通の学校ですらあまり近づきたくない場所だが、ここは普通じゃない学校。ここにいる人達にまともな人などいるはずもなく……噂では、頭を撃たれたのにも関わらず、五体満足で帰ってきただったり、マフィアを一人で壊滅させたなど……挙げればキリがないほどの伝説を持った人達が集まっている。
なぜそんな危険地帯に俺がいるのかというと……
「京介ー遅刻だぞー?」
「……遥姉さん、予定通りに来てるんだけど?」
姉である『天童 遥奈』に呼ばれたからである。5つ歳上のこの人は22歳にして『天童家』の次期当主である。
「もうー京介ったらつれないんだからー」
「はいはい、それで俺に用って何さ?また練習台になれって?」
いつものようにこの人の
「京介、私からの
改まった様子でそう切り出した遥姉さんに俺は訝しげな目を向けた。